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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
闇の隆盛 シールド編:?ナベのシールドテクを聞きなさい!!?
読み物
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2012.01.27
闇の隆盛 シールド編:~ナベのシールドテクを聞きなさい!!~
初めましての方は初めまして。
去年の連載を読んでいただいていた方はお久しぶりです。渡辺です。
今年に入ってからこのMTG-JPで記事を書くのはこれが初めてなので、あけましておめでとうございます、と言ったほうが正しいかもしれませんね。
記事のタイトルを見ていただけば分かるように、去年に引き続き今年も「リミテッドのススメ」を書かせていただくことになりました。これも皆さまのご声援あってのことです。ありがとうございます。
ただ今年は去年のような週刊連載ではなく、新セットが出るたびにいくつかの記事を寄稿していくという方針でやっていきます。
去年の連載で特に人気があった「シールドの基礎」・「7つの分析」・「点数表」の三つのシリーズを、新セットが出るたびに特集記事として寄稿させていただきます。
週刊連載を楽しみにしていただいていた方もいるかもしれませんが、今年はこういう形でMTG-JPに関わらせていただくことになりました。
何にせよ、今年も「リミテッドのススメ」をよろしくお願いします。
さて、今回は「闇の隆盛」の第1回目・シールドの基礎編です。
ここを見ている方の多くは、今週末の闇の隆盛プレリリース、もしくは来週末の発売記念パーティーに参加する予定だと思います。まだ出るかどうか決めていないという方もいるかもしれませんが、せっかくの新セットを使ったお祭りイベント。
出ないのは、かなーりもったいないいのですよ!
一人で行くのはちょっと・・・という方は友達を誘ってみましょう。友達とワイワイ新しいカードで遊ぶのは非常に楽しいですし、新しい発見の共有もできますしね。
普段構築ばっかりだからリミテッドはよく分からない・・・という方もいるかもしれませんが、そういう方のためにこの記事があるのです。
今回の記事では、今回初めてプレリリースや発売記念パーティに参加するという方や、普段リミテッドをやらない方のために、シールドの基礎を紹介します。
シールドというフォーマットをプレイするに当たって、これは知っておいたほうがよい、こういうことを意識してデッキを組むと戦いやすい、といったシールド戦のセオリーをいくつかお伝えしていきますよ。
去年の連載を見ていた方や、普段からリミテッドをやり込んでいるリミテッドジャンキーの方にはちょっと物足りない内容かもしれませんが、プレリや発売記念パーティ前の復習といった感じで見てもらえれば幸いです。
もちろん「闇の隆盛編」と銘打っているので、各項目ごとに闇の隆盛で当てはまりそうなカードを取り上げていきますね。
それではまずひとつつ目から。
強いカードを使う
シールドは自分に配られたブースター6パック・84枚の中から、いかに強いデッキを組むかというフォーマットです。
その限られたカードプールの中で構築するので、当然その中で強力なカードを使わない手はありません。ゲームを決定付けるような爆弾級の強力レアや優秀なアンコモンは、できるだけ使うようにしましょう。
闇の隆盛にも、《不浄なる者、ミケウス》や《月の帳のドラゴン》のような分かりやすく強力なカードがいくつかあります。こういったカードに運良くめぐり合えたときは何とかして使うようにしたいものですね。
ただ一つ注意しておきたいのは、強いカードがあるからといって必ずしもその色を使えるとは限らないということ。
たとえ強力なレアがあっても、それと同じ色の他のカードが軒並み弱い、なんてこともあります。単体で強力なカードを使えるとしても、結果的にデッキそのものが弱くなってしまっては元も子もありません。
もらったカードプールの内容をよく確認して、その強力カードを擁する色が本当に使えるかどうかをしっかりと判断しましょう。
また、もし強力なカードを使えたときは、それらをサポートできる為のカードも用意しておくようにしましょう。
闇の隆盛のカードなら、《追跡者の本能》や《予言》でライブラリを掘って探したり、《墓所粛正》のようなカードで対処されても再び使えるようにしておくと、強力カードを使える頻度が増え、ゲームを有利に進めることができるので、そういったカードはできれば用意しておきたいですね。
除去カードは重要
上で挙げたような強力カードに対する一番の回答。それが除去カードです。
シールドはほとんどのプレイヤーが何かしら強力なカードを持っているので、それらに対処できる除去カードは非常に重宝します。どんなに強力なクリーチャーでも戦場から墓地へ送ったり無力化させてしまえば、もう怖くはありません。
それ以外の場合でも、有利な盤面を更に有利にしたり不利な盤面を持ち直したりと、除去カードはリミテッドにおいて不要になることはほとんどありません。もらったカードプールの中にある除去カードは、できるだけ使うようにしましょう。
闇の隆盛のカードを見ると、どんなクリーチャーでも対処できる《死の愛撫》や、フラッシュバックで繰り返し使うことのできる《不死の火》あたりの除去は優秀ですね。これからのシールド戦でも頻繁に見ることになりそうです。
またカードプールによっては除去カードそのものが少ないパックもあるでしょう。そういう場合は《骨を灰に》のような打ち消し呪文や、《陰惨な発見》のような手札破壊呪文を使って、場に出る前に対処してしまう手もあります。
ドラフトよりゲームが遅くなりがちなシールドではこれらのカードを上手く使うことで、除去の代わりとして機能させることが可能です。
綺麗なマナカーブを
シールドに限らずリミテッド全般に言えることですが、デッキを構築する際にはデッキの中に入っているクリーチャーカードのマナカーブを意識しましょう。
低マナ域にクリーチャーが寄っているならともかく、4マナ以上にクリーチャーの比重が傾いている場合はデッキが全体的に重くなっている証拠です。
デッキが重いと相手の軽量クリーチャーに押されがちな展開が多くなってしまうので、貴重な除去呪文を序盤にプレイしなくてはいけなくなったり、最悪の場合序盤の展開の差が響いてそのままゲームに負けてしまうこともあるでしょう。
そういった展開を防ぐためにも、3マナまでの序盤用のクリーチャーはできるだけ厚く用意して、中盤以降のクリーチャーはほどほどにするくらいが丁度いいですね。
理想としては3マナをピークに、そこから先のマナ域のカードが少しずつ減っていく放物線のようなマナカーブが理想です。例として2マナが4~5枚、3マナが5~6枚、4マナ3~4枚、5マナ1~2枚、6マナ1枚といったように各マナ域のカードを用意できれば、自然と良いマナカーブになります。
クリーチャーではない呪文に関してはそれほどマナカーブを気にすることはありませんが、5マナや6マナくらいの重い呪文に関しては唱えるために丸々1ターン費やすようなものなので、マナカーブの枠内に加えてカウントしたほうがよいでしょう。
限られたカードプールから組むシールドでは綺麗なマナカーブでデッキ組むのは難しいかもしれませんが、意識しているかしてないかでも全然違います。構築の際はデッキのマナカーブは常に意識しておきましょう。間違っても5マナや6マナのカードが沢山入っているようなデッキにはしないように。
できるだけ2色で
リミテッドのデッキは基本的に2色で組むのが定石です。
構築とは違い、2色以上のマナを供給してくれる優秀な土地カードや、《極楽鳥》《不屈の自然》のような優秀なマナサポートを自由に使えるわけではないので、基本的にはデッキを2色以内で抑え、マナ面で不自由しないようにするべきですね。
ただイニストラード・ブロックには、フラッシュバックコストが元々プレイするための色と違う呪文が多数あります。《旅の準備》や《禁忌の錬金術》のようなカードですね。
これらのカードをフラッシュバックまで視野に入れて使おうとすると、どうしてもデッキを3色にしなくてはいけないことがありました。
闇の隆盛でもそれは受け継がれていて、《野生の飢え》《海墓の刈り取り》のような、フラッシュバックのコストが元の色と違うものがそれなりの枚数あります。
これらのカードをフラッシュバックまで見据えてきちんと使うためには、やはりデッキの色を増やして使えるようにする他ありません。
フラッシュバックのカード以外にも、2色ではカードの枚数が足りなかったりした場合、他のカードの関係で使えなかった強力カードや優秀除去を3色目としてタッチするのはよく見られる手法です。
まぁデッキの色を増やすといっても、何も均等3色にする必要はありません。デッキの基本のベースは2色にして、そこに2~3枚のタッチ色を仕込むくらいが良いでしょう。
また、《夜明け歩きの大鹿》や《進化する未開地》のような色マナサポートカードは、3色デッキにありがちな「色マナ事故」のリスクを軽減してくれます。
3色でデッキを組む際にはこれらのマナサポートカードをできるだけ使うようにしたいですね。
土地の枚数
リミテッドのデッキは基本的に40枚で構築するもので、その40枚のデッキに対して土地の枚数は17枚が適正と言われています。
ですが実際には、デッキの全体的な重さやマナシンボルの要求によって土地の枚数は変わってきます。17枚というのはあくまで一つの目安として覚えておいてください。
構築でも60枚のデッキに対して基本は24枚が適正と言われていますが、デッキのタイプによって土地の枚数は大きく異なりますよね。軽量のビートダウンだったら20枚前後だったり、コントロールなら30枚近くだったり。それと同じです。軽かったら土地少なめ、重かったら土地多めというのはどのフォーマットでも共通です。
リミテッドでは基準値の17枚から、デッキが全体的に軽かったら16枚、重かったら18枚といった感じです。
カードを意識して集められるドラフトならともかく、限られたカードプールの中からデッキを組むシールドでは大抵の場合デッキが重くなるので、土地の枚数は17~18枚になることが多いですね。
上の項目で触れたような3色のデッキを構築する際などは、土地を18枚にすることが多いです。デッキを動かすために要求される色マナが2色デッキよりも多くなるので、マナ関連で不自由を被らないためですね。
闇の隆盛にはありませんが、呪文なのに土地とほとんど同じような働きしかしないようなカードもあります。イニストラードの《旅行者の護符》や《隊商の夜番》といったカードですね。
これらカードを使う際は、土地の枚数にカウントしてデッキを組むようにしましょう。
後手を取る
84枚という限られたカードプールの中から構築するシールドでは、ドラフトのように早くて攻撃的なデッキを構築するのは余程プールに恵まれない限り組めることはありません。
シールドはどちらかというとスローゲームになることが多く、長期戦になりやすいフォーマットです。したがって土地を先にプレイできるメリットよりも、後手ドローの分でカードのリソースが1枚多い後手のほうが一般的に有利と言われています。
これはあくまで一般的な話であって、環境のカードプールによって先手の方が断然良かったり、後手環境でも先手を取りたいと思うようなデッキを組むことのできるカードプールも存在します。
ですが、相手のデッキの情報をまったく知らないような1ゲーム目に先手後手の選択権を得た場合は後手を取るのがシールドの定石です。
・・・ですが、闇の隆盛が入る前のイニストラードのみのシールドでは、どちらかというと先手を取るようなデッキを構築することが多くありました。早速定石を破るようなことを言って申し訳ない。
これは何故かというと、イニストラードには先手の方が活躍しやすい各種狼男クリーチャーや、《暗茂みの狼》《戦慄の感覚》のような先手の方が機能するカードが多かったのが要因です。
ただカードプールによっては後手を取ることもあったので、やはり先手後手は自分のカードプールから作れるデッキによって決めるようにしましょう。
デッキ構築の際には、「このデッキは先手なのか、後手なのか」を意識して構築するのも大事です。
それを意識しておくことで、カードの選択で迷ったときに先手向きのカードを優先したほうがいいのか、それとも後手向きのカードを優先したほうがいいのかが分かりやすくなり、デッキ構築で迷う時間を短縮できますからね。
少々長くなってしまいましたが、シールドの基礎としてはこれらのことを覚えておけば問題ないでしょう。
あくまでここに書いたのは「基礎」なので、実際にトーナメントで勝ち抜くためにはそれ以外の要素も必要になってくるでしょう。
それは今までの「経験」だったり、その日良いパックをもらえる「運」だったりと色々ありますが、全ては「基礎」という土台があってこそ生きてくるもの。どんなことでも「基礎」は疎かにしてはいけません。
日頃リミテッドに精通してる方も、この記事で「基礎」の部分を改めて見つめ直してみるのもいいかもしれませんね。
最後は闇の隆盛の特集らしく、闇の隆盛からの新メカニズムについてリミテッド視点で考察したいと思います。
不死
一度死亡したクリーチャーに+1/+1カウンターが乗って戦場に帰ってくるという、以前あった「頑強」を強化したような能力。
以前の「頑強」でさえ非常に強力な能力だったのに、それが強くなって帰ってくるとは夢にも思いませんでした。
カードアドバンテージを取るのが構築より難しいリミテッドにおいて、1枚で2枚分の働きをする能力が弱いわけがありません。
除去耐性があり、戦闘も有利に行える非常に強力な能力です。不死を持っているクリーチャーはそれだけでデッキに入る基準を満たしていると言っても過言ではないでしょう。
不死持ちのクリーチャーを対処するには、墓地に置かずに無力化させるのが効果的です。
闇の隆盛なら《罪の重責》や《スキフサングの詠唱》のような、対処しても墓地に行かないような擬似除去カードが、不死持ちには有効ですね。
また「+1/+1カウンターが置かれていない状態で死亡」というのが不死の誘発条件なので、戦闘の最中に《吠え群れの飢え》を相手のクリーチャーに打って不死の誘発を防ぐということも可能です。
カードを1枚使うので得はしていませんが、相手のクリーチャーをどうしても戦場に帰したくないというときはこういう手段もあるということ覚えておいて損はないですよ。
窮地
自分のライフが5以下ならカードの効果が段違いに跳ね上がるという、今回の人間側の能力。
構築とは違い、リミテッドでは自分のライフを調整することはほぼ不可能に近いので、窮地の能力を期待してそれをデッキに入れることはないでしょう。
基本的には元々の能力のみを期待して、たまにライフが5以下の時にプレイできたら嬉しい、くらいの感覚でデッキに入れるのがよさそうです。
例えば《町民の結集》は元の能力が普通なので窮地目的でなくともデッキに入りますが、《しがみつく霧》は窮地していないときはただの重たい《濃霧》。いくら窮地を達成している状態での能力が強いといっても元の能力がこれではあまり使いたくはありませんね。
《ガヴォニーの鉄大工》や《村の生き残り》のようなクリーチャーに窮地が付与しているものに関しては、クリーチャーとしての働きをしつつ戦場にいるだけで対戦相手にプレッシャーをかけられますが、呪文で窮地を持っているものは元の能力が本当に役に立つのかをよく吟味してデッキに入れるようにしましょう。
とどのつまり、
・不死はただただ強い。
・窮地はカードの元々の能力次第で。
といった感じですかね。
今回の「闇の隆盛」・シールド編はここまでです。長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週末のプレリリースの会場は、イベント検索から探せます。
それではまた、次回の「闇の隆盛」7つの分析でお会いしましょう。
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