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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
第45回:ISD日記?ドラフト点数表総点検! 後編
読み物
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2011.12.14
第45回:ISD日記~ドラフト点数表総点検! 後編
こんにちは。渡辺です。
今回は前回の続きで、イニストラード・ドラフトの点数表を新しく作っていこうと思います。
先週が黒までだったので今回は赤からですね。
前回の記事を読んでないという方はそちらを読んでからどうぞ。
また以前の点数表と見比べてみて、どのようにカードの評価が変わったのかを見比べてみるとより分かりやすいかもしれません。
点数の基準も前回と同じです。一応載せておきますね。
点数 | 基準 |
10 | 神カード。見たら取るべし。確定初手。 |
9 | 爆弾カード。これ1枚でゲームに勝てるようなカード。初手~2手目。 |
8 | かなり優秀なカード。流れてきてもおかしくないが、初手でも問題ないレベル。初手~3手目。 |
7 | 優良カード。是非デッキに入れたいレベル。2~4手目。 |
6 | 普通にデッキに入るくらいのカード。3~6手目。 |
5 | ぎりぎりデッキに入るぐらいのカード。5~8手目。 |
4 | できればデッキに入れたくないようなのカード。枚数が足りないときに仕方なく使うレベル。または特殊な条件でのみ使用するカード。7~9手目。 |
3 | サイドボード要員。基本はデッキに入らない。10~12手目。 |
2 | よほどのことがない限りデッキに入れることはないカード。12~14手目。 |
1 | 何をしてもデッキに入らないレベル。ほぼ14手目。 |
では、まずは赤から。
赤
赤は《小悪魔の遊び》が相変わらずのトップ。
使うたびに思いますが、再利用できるX火力は駄目ですな。
トップグループからは《災火のドラゴン》がランクダウン。
書いてあることは確かに強いですが、環境がわかった今なら断言できます。7マナは重過ぎる。
以前は9点評価でしたが、今は6点まで落ちてしまいました。
他に評価の落ちたカードは《地獄の口の中》《燃え投げの小悪魔》《苛まれし最下層民》といった、やはり重めのカード達。
環境の速度が分かってくるにつれて、これらのカードの評価はどんどん落ちていきましたね。
といっても《地獄の口の中》は以前が過大評価なだけであって、現在でも問題なくデッキに入るカードだとは思っています。
確かに6マナと重いですが、ほぼ確定除去と《ガヴォニーの居住区》や《ムーアランドの憑依地》のようなレア土地に有効に対処できる手段の一つには違いないですからね。
逆に大きく点数アップしたカードは《霊炎》《灰口の猟犬》《異教徒の罰》の3枚。
《霊炎》は環境の高速化に伴い、タフネス1の使用率が高くなってきたのが評価アップの要因。
1マナで相手の2マナや3マナのクリーチャーを対処できればそれだけでテンポを稼いでくれますし、フラッシュバックも後半にらみを利かせてくれます。
最悪5マナで2点火力にもなるので、手札で腐ることが少ないのが良いですね。
《灰口の猟犬》も《霊炎》と同じくタフ1キラー。相手の3マナや4マナのクリーチャーと相打ちしてくれるので、2マナ域のクリーチャーとしては十分な仕事ですね。
これも使うたびに評価が上がっていって、今では赤のコモンのエースクリーチャー扱いです。
《異教徒の罰》はキャストに5マナ、起動に4マナと重いカードではあるのですが、一度回り始めると盤面の制圧力が凄まじく、あっという間に盤面を掌握してしまいます。
捲れるカード次第で与えるダメージが変化してしまいますが、環境のクリーチャーの基本サイズが2/2や3/3くらいなので、それほど気にせず起動できるというのもあります。
環境的に重いカードは余程強くないと駄目だと思っているのですが、これはその「余程強いカード」に入る部類ですね。
これらの点を踏まえて、微調整を加えた赤の点数表がこちら。
イニストラード点数表・赤(改) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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では次は緑を。
緑
緑のトップは相変わらずの《情け知らずのガラク》/《ヴェールの呪いのガラク》。
その後に《アヴァブルックの町長》/《吠え群れの頭目》《ケッシグの檻破り》と続くのは変わらず。
一つ評価が落ちたのは《夜明けのレインジャー》/《黄昏の捕食者》。
変身後の能力に赤マナが必要なので、赤緑という色でなければ使いにくいという理由から。
実際にこの前の世界選手権の2ndドラフトデッキのように、白緑なのに《山》を入れなくてはいけない、というようなことになりますからね。
まぁ、それでも十分強いカードに変わりはありませんが。
その他のカードでは、《暗茂みの狼》《アヴァシンの巡礼者》《蜘蛛の発生》《裂け木の恐怖》といったカードの評価が上がりました。
《暗茂みの狼》は以前は緑のコモンの5番手という位置づけでしたが、今ではコモントップである《旅の準備》と悩むほどまでになりました。
スピードの速いイニストラード環境において、序盤から4/4相当の生物として使うことができ、ゲームの終盤まで活躍してくれるというのはコモンとして見たら破格の性能といって良いでしょう。
間違いなく緑のエースクリーチャーですね。
《アヴァシンの巡礼者》も当初より大分評価の上がった1枚。
序盤の展開が重要なこの環境において、相手よりも一歩先に展開できるようになるのはかなり重要。
まず間違いなく先手有利の環境なので、先手後手をひっくり返すことができるカードというのはそれだけで重宝します。
またクリーチャータイプが人間なので、人間シナジーが見込めるのも評価点。
「人間なら~」という装備品も多いので、ゲーム後半はそれの装備先として使えますね。
《蜘蛛の発生》《裂け木の恐怖》の2種類は、「発掘」というアーキタイプによってぐっと評価が上がったカード。
当時は見向きもしないカードでしたが、「発掘」で使うこの2枚はかなり強いですね。
というか当時は「発掘」というアーキタイプに気づいていなかったというのがあります。
初めて対戦相手にプレイされた時は目から鱗でした。
使ってるカードは《グール呼びの鈴》や《夢のよじれ》のような、どれも自分が「デッキに入れたくない」と評価したカードばかりだったのに、それらを上手く使ってデッキとして機能させているのを見て素直に驚嘆してしまいました。
それを見て、やはりドラフトはやればやるほど新しい発見があるというのを再認識しましたね。
今では発掘関係のカードは見たら積極的にカットするようになりました。
ちょっと話がずれてしまいました。本筋に戻りましょう。
次は緑で当時より評価の下がったカードです。
緑で当時より評価の下がったカードは、《解放の樹》《黴墓の大怪物》《森林の捜索者》辺りですね。
《解放の樹》は守るデッキで真価を発揮するカードですが、単純にこの環境は守るよりも攻めたほうが強い環境なので、守り専門のこのカードの評価は当時よりかなり下がりましたね。
使われるとかなりめんどくさいのは間違いないのですが、こいつよりも攻めるカードを確保したいというのが僕の現時点での見解です。
ただ守るデッキで使う場合はかなりの活躍が期待できるので、そういうデッキを組む際には確保しておくと良いかもしれません。
《黴墓の大怪物》は《災火のドラゴン》と同様、ただただ重いですね。
場に出たら確かに強いですが、やはり7マナという重さはネックです。
あとは《森林の捜索者》ですね。
陰鬱という能力が単純に達成しにくく、4マナという決して軽くないマナ域なのに関わらずサイズも微妙。
回収するものが無作為なのも使いづらいところ。
当時はぎりぎりデッキに入るくらいの評価でしたが、今ではデッキに入れたくないという評価になってしまいました。
同じ4マナ域の《ただれ皮の猪》と比べるとちょっと悲しくなりますね。
これらの点を加味しつつ、新しく付け直した点数表がこちら。
イニストラード点数表・緑(改) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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次は多色です。
多色
多色のカードは4種類しかないので簡潔に。
元々評価の高い《オリヴィア・ヴォルダーレン》と《死体生まれのグリムグリン》は変わらず。
次の評価だった《邪悪な双子》も変更なし。
その下だった《聖トラフトの霊》ですが、これは最近評価が上がってきました。
単純に青白という色が強いのと、その色なら《幽体の飛行》や《戦慄の感覚》でのバックアップが容易ということがあります。
クロック自体は3マナで6点と破格の性能なので、上手く使うことができればかなり活躍してくれるカードですね。
イニストラード点数表・多色(改) | |||||||||||||||
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次はアーティファクトです。
アーティーファクト
トップの《荘園のガーゴイル》は変わらず。
当時より評価の上がったカードは《グール呼びの鈴》。
これは前述の「発掘」の為ですね。
一応ライブラリーアウトを組む際にも使うので、実は用途は広いです。
まぁ安く拾うカードには変わりないので、最低限の評価になっただけですが。
逆に評価が下がったのは《悪魔の長帷子》。
確かに色々シナジーのあるカードではあるのですが、色によって使いやすさがかなり変わるので若干下方修正。
《宿命の旅人》や《霊廟の護衛》を擁する白で使うと強いのですが、逆にそれ以外の色だとどうしてもコストがネックになってしまって使いづらいという印象でした。
また白以外でシナジーを形成するカードが単体で使うと弱いものなので、相対的にデッキが弱くなってしまうという点も挙げられますね。
今では文面どおりの評価という感じです。
あとは各種装備品が若干過大評価だったのでその辺りの微調整と、《片目のカカシ》のカードの方向性が環境に合わない部分で下方修正しつつ。
そんな感じで今のアーティファクトの評価がこちら。
イニストラード点数表・アーティファクト(改) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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最後は土地です。
土地
土地はほとんど評価が変わっていないのですが、《ムーアランドの憑依地》が以前より少し評価が上がりました。条件付きとはいえ、土地がクリーチャーを生み出すのはやはり強いですね。
出てくるトークンが飛行持ちなのもかなりえぐいです。
他は特に変わらずですね。
イニストラード点数表・土地(改) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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以上が僕の新しいイニストラード・ドラフトの点数表となります。
以前のものと見比べると、やはり大分変わっていますね。
全体的に低マナのカードの点数が上がっており、重いマナ域のカードは下がっています。
自分の中での環境理解度が進むにつれて、イニストラードは守るカードがあまり強くなく、一度傾いた盤面をひっくり返すのが難しいので、序盤から攻めていくのが有効だという結論になりました。
なので僕はこの環境ではできるだけ軽い部分を優先して取るようにしています。
序盤に展開して《旅の準備》、《戦慄の感覚》や《夜鳥の手中》のようなカードで押し込むのが現状で一番有効な戦略だと思っています。
グランプリや世界選手権を経て、現在の僕の環境理解はここで止まっています。
もしかしたらまだまだ他の有効な戦略が隠されているかもしれません。
プロツアー・闇の隆盛inホノルル予選などでまだまだプレイする機会の多いこのイニストラード環境。
自分だけの戦略を考えて、他のプレイヤーたちを出し抜く術を見つけてみてはどうでしょうか?
では今回はこの辺で。
また来週お会いしましょう。
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