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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
第13回:WチャンネルMO
読み物
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2011.04.18
第13回:WチャンネルMO
こんにちは、渡辺です。
今週末にはグランプリ・神戸が開催されますね。
先月の震災によって開催が危ぶまれたグランプリ・神戸ですが、延期という形でイベント自体が立ち消えにならずこうして開催されることをうれしく思います。
僕も今は神戸に向けてエクステンデッドの練習をしています。
最近は大きなイベントで良い成績を残せていないので、ここらで景気よく大きい一発を打ちたいところです。
さて今回の内容ですが、久しぶりに実践編をやらせていただこうと思います。もっとも、最近はリミテッドの大きなイベントはないので、Magic Online(編注:リンク先は英語)でドラフトしようかなと。
去年の連載でも行った、MOのピックを公開して皆さんに見てもらう形の実践編ですね。
せっかく先々週・先週と僕の点数表を書いたので、それを基準に僕がどんなドラフトをしているかを見ていただくという趣旨です。
というわけで早速Magic Onlineを起動し、ドラフトルームへ。
包囲戦-傷跡(SOM Block)ドラフトの「8-4」卓へ申し込み、人が集まるのを待ちます。
8-4というのはその卓の賞品体系のことで、シングルエリミネーションの3回戦で上位から1位(3連勝)に8パック、2位(2勝)に4パックと配分されるシステムのことです。
MOには他にも「4-3-2-2」卓や(上位から順に4パック・3パック・2パック・2パック、最初に1勝すれば賞品が確定)、「Swiss」卓(スイスドロー3回戦で1勝するごとに1パック)などの卓がありますが、その中で一番参加するプレイヤーのレベルが高いとされているのが8-4の卓です。
今回はそれに参加します。練習するならレベルの高い卓で練習したいですからね。
8-4卓へ続々と人が集まり、5分と経たずにドラフト開始。
すぐに人が集まってすぐにドラフトができるのもMOの良いところの一つです。マジックジャンキーは世界中にいますからね。
では早速ピックをしていきましょう。
1パック目
初手
開封パックからいきなり難しい2択。
強力な感染クリーチャーの《ファイレクシアの槽母》か、相手のクリーチャーのコントロールを得る《堕落した良心》か。どちらも強力なカードでかなり難しい2択です。
時間いっぱいまで非常に悩んだのですが、最終的にピックしたのは《ファイレクシアの槽母》。
色として青よりも黒のほうが全体的に点数が高いので、色の強弱の観点からのピックです。
また《ファイレクシアの槽母》からなら、黒の感染を視野に入れながらピックできます。黒の感染は上手く組めれば環境随一のアーキタイプですから、それも考慮してこちらを優先しました。
ただカード単体で見たら《堕落した良心》を取るかもしれません。
実際に同じシチュエーションで《堕落した良心》をピックする方もいるでしょう。
これは非常に難しい2択なので、皆さんも考えてみてください。
2手目
流れてきたパックはコモン消えだが中々に高カロリーなパック。
その中から純粋に一番評価を高くつけた《迫撃鞘》をピック。
他には《ファイレクシアの憤怒鬼》《神への捧げ物》とあるなかで、《荒廃後家蜘蛛》を取って感染一直線もなくはないですが、ここは丸いピックで。
3手目
ここで青の大量ドロー呪文、《青の太陽の頂点》が。
初手はやっぱり《堕落した良心》だったかなーと思いながらピック。
《ファイレクシアの憤怒鬼》を取って黒を固めるのも手ですが、まだドラフト序盤なのでカードパワー重視で。
4手目
《火膨れ杖のシャーマン》で受けを広げるか、《災いの召使い》で今の色を伸ばすか。
自分は《火膨れ杖のシャーマン》で受けを広げることを選択しました。
ドラフト序盤は受けを広くしてドラフトしていきたいですし、純粋なカードパワーに差があるのもピック理由の一つ。
5手目
《縒り糸歩き》をピック。
この巡目で取れるアンコモンの生体武器はかなり嬉しいですね。
MOでは生体武器が遅めに取れることが多いので、単純に点数が低く見られているのかもしれません。
6手目
純粋なカードパワーで見たら《入れ子のグール》の方が上ですが、既に取れている《迫撃鞘》とのシナジーや、これから取れるカードの選択肢の幅も広がる《マイアの種父》を優先。
7手目
色・カードパワー的に欲しいものが特にないパックだったので、最悪どんなデッキでも使える《皮剥ぎの鞘》を取って色決めは保留。
8手目
ここで黒の優良アドバンテージカードである《病的な略取》が流れてきたことにより、黒が一歩リード、できれば使いたいという感じに。
9手目
一周してきた自分の開封パックには《マイアの種父》が。
これ以降取れるシナジーカードに期待。
10手目
早速《マイアの種父》をシナジーを形成できる《錆びた斬鬼》が!
この巡目で確保できたのは嬉しいですね。
あとはナイスサイドカード《コスの急使》くらいで、たいしたカードも取れず1パック目終了。
2パック目以降は黒・赤・青の3つの色の中から、流れの良い色をチョイスしてピックしていく方針にしていきます。
2パック目
初手
2パック目の開封パックには《溶鉄の尾のマスティコア》さんがこんにちは。
パックの中に他にピックしたいカードもなく文句無しのピックです。
いやーついてるなー。
2手目
2枚取れている《マイアの種父》を有効利用できる《連射のオーガ》をここで確保。
ここまでで青が取れず、黒と赤のカードがそれなりになってきたので、これ以降はこの2色でピックする方針にします。
3手目
非常に難しい2択。
この環境のティムに当たる《燃えさし鍛冶》か、若干重いものの万能除去である《金屑化》か。
ここまでで軽いアーティファクトをそれなりに取れているので《燃えさし鍛冶》も問題なく使うことができそうですが、自分がピックしたのは《金屑化》。
現状で純粋な除去が取れていないということを加味してピックしました。相手の強力なクリーチャーに対処できないで負ける、というのは避けたいですからね。
ここも人によっては意見の分かれるピックだと思います。
皆さんも考えてみてください。
4手目
デッキの目指しているのが金属術ではないので《嵌め乗りの滑空者》は置いておき、単純に一番点数の高い《ダークスティールの歩哨》を。
5手目
ここも非常に悩んだ1手。
安定のマナマイアか、既に取れている《連射のオーガ》や《迫撃鞘》とのシナジーを考慮して《炉の式典》か。
自分は《鉄のマイア》を選択しました。
現状でまだマナマイアが1枚も確保できていなかった点と、このパックの3手目で流したもう1枚の《炉の式典》が帰ってくる可能性があると感じていたので、ここは無理せずにマナマイアを確保しておく安定志向のピックです。
またこれから先に《炉の式典》とかみ合うカードが取れるという保証もないので、「無駄になる可能性のある1枚」よりも「確実に使える1枚」を優先しました。
とりあえず3手目で流した《炉の式典》が帰ってくることに期待です。
6手目
自分のデッキで使えそうなのは《ヴァルショクの模造品》だけですが、今の自分のピック状況的に《エズーリの大部隊》は出されてしまうと対処するのが非常に困難なので、ここは我慢してカットします。
なんでこんな巡目で流れてくるんすか?と思うところではあります。
7手目
この巡目で取れる《粉砕》は嬉しいですな。
ここはさすがにマナマイアを取るはずもなく。
8手目
追加コストの厳しい《肉体アレルギー》ですが、《マイアの種父》が2枚あります。追加コストが問題なく調達できるこのデッキなら、優良除去として働いてくれるでしょう。
9手目
帰ってきた自分のパックには特に何もなく・・・。
一応自分の色に合っている《オーガの装具奪い》を確保。
その後は10手目で《鉄を食うもの》を取り、11手目で期待通り《炉の式典》を確保!
これでドラフトの方向性は見えましたね。
3パック目は《炉の式典》を意識しつつ、赤と黒のカードを集めるという方針ですね。
3パック目
初手
3パック目のオープニングパックは若干寂しめな内容。
まぁ今までの2パック目が豪華だったというだけですな。
候補は《感電破》と《大石弓》の2枚で、《大石弓》と噛み合うようなカードも特にないので、《感電破》をピック。
除去はいくらあってもよいですからね。
2手目
上家からレア抜けで流れてきたパックには《粉砕》がありましたが、2枚目となる《連射のオーガ》の姿が。
《マイアの種父》を有効活用するのでも《炉の式典》を使うでも役立つので、デッキに何枚あっても困りません。
3手目
《連射のオーガ》が2枚あるので恒久的にアーティファクトを生み出し続ける《マイアの繁殖者》はかなり魅力ですが、それでも除去も重要。何度もいいますが、除去はいくらあっても困りません。
というわけで《金屑化》をピック。
《マイアの繁殖者》が単体で見たときに能力が重過ぎるということもあります。
4手目
4手目に白の万能除去である《拘引》が流れてきて軽く焦るも、さすがに色の合っていない除去を取るわけにはいかず、自分のデッキに必要な《パラジウムのマイア》を確保。
5手目
正直取るものがないパックだったので、まだ使う可能性のある《シルヴォクの生命杖》を。
《マイアの種父》につければそれなりの時間稼ぎにななりそう。
6手目
ここも難しい選択。
先程泣く泣く流した《燃えさし鍛冶》か、《選別の高座》か。
《選別の高座》は、このデッキになら《マイアの種父》という分かりやすい生け贄クリーチャーと《炉の式典》があるので非常にデッキに噛み合っているといえます。
ただ単体で見た性能はやはり《燃えさし鍛冶》の方が上。
難しい2択でしたが、ここは単体の能力で勝る《燃えさし鍛冶》をピックしました。
《炉の式典》を使うための生け贄関係のカードは現状取れている2枚の《連射のオーガ》、《迫撃鞘》、《錆びた斬鬼》で十分な枚数だと思います。
なのでここは《燃えさし鍛冶》を優先しました。
7手目
7手目にしてはかなり高カロリーなパック。
強いカードが多いですが、カットなどはせず素直に自分のデッキで使うことのできる《モリオックの模造品》をピック。
《炉の式典》も使えるし、《病的な略取》で回収しても強いので、デッキに欲しかった1枚ですね。
8手目
自分のやっている色の《刃族の狂戦士》がありますが、デッキ的に金属術が達成しにくくデッキに入るヴィジョンも見えなかったので、《分散》をカット。
9手目
正直取るもののないパック。まぁ微妙なパックが1週したらこうなりますな。《テル=ジラードの抵抗》をピック。
その後はとるもののないパックが続き、このままドラフト終了かと思ったところで《虚無の呪文爆弾》を12手目確保。
これで《連射のオーガ》も《炉の式典》も十分に運用できるようになりました。
できたデッキはこちら。
9 《山》 8 《沼》 -土地(17)- 2 《マイアの種父》 1 《鉄のマイア》 1 《燃えさし鍛冶》 1 《迫撃鞘》 1 《モリオックの模造品》 1 《パラジウムのマイア》 1 《火膨れ杖のシャーマン》 1 《錆びた斬鬼》 1 《溶鉄の尾のマスティコア》 1 《ファイレクシアの槽母》 2 《連射のオーガ》 1 《縒り糸歩き》 1 《ダークスティールの歩哨》 -クリーチャー(15)- |
1 《虚無の呪文爆弾》 1 《感電破》 1 《粉砕》 1 《炉の式典》 1 《病的な略取》 1 《肉体アレルギー》 2 《金屑化》 -呪文(8)- |
赤黒のボードコントロール風なデッキ。
2枚の《連射のオーガ》と《炉の式典》のシナジーで盤面をコントロールしていくデッキですね。
レアも《ファイレクシアの槽母》《溶鉄の尾のマスティコア》とあるのでラッキーWINも期待できます。
除去も豊富で、デッキとしても強いのでこれは3-0も狙えるスペックだというのが個人的な評価ですね。
肝心の試合のほうは1戦目・2戦目を順調に勝ち、3戦目の相手は黒緑タッチ白の感染デッキ。
1本目を綺麗に捌いて勝ち、2本目をマナフラッドで負けてしまい、1-1で迎えた3本目は今度は土地が詰まってしまい、マナ面で苦しんでいるところを《法務官の手》のバックアップを得た対戦相手の感染軍団に速やかに撲殺されてしまいました。
3-0ならず! 残念!!
決まり手はマナフラッドとマナスクリューというどっかで聞いたような内容でしたが、最終戦の相手のデッキは強い感染デッキだったのでまぁ仕方ないですね。
事故に付け込まれるのもまたマジックということで。
とはいえ、久しぶりの実戦編ということで、良い成績を残したかったのですが・・・。
でもデッキは自分の想像通りの動きをしてくれました。
《連射のオーガ》や《迫撃鞘》がある場での《炉の式典》は本当に意味が分からないほど強いですね!
さて、今回はここまでです。
冒頭でも書きましたが、今週末はグランプリ・神戸が開催されるので、これからグランプリまではエクテン漬けの日々となりそうです。
実は先週までグランプリ・ダラスのためにスタンダードを練習していたので、最近はほとんどエクテンをやっておらず、今この原稿を書いている現在エクテンに関してはほとんど無知に近い状態です。
これから週末のグランプリまではエクテンの猛練習の日々になりそうですね。
グランプリ・神戸に焦点を当てて練習していた皆さんに追いつけるかは分かりませんが、できるだけ追いつけるように頑張ろうと思います。
では今回はこの辺で。グランプリ・神戸の会場でお会いしましょう。
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