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木曜マジック・バラエティ

行弘賢の「MOを遊びつくせ!」第3回:4パックシールド

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木曜マジック・バラエティ

2012.03.22

行弘賢の「MOを遊びつくせ!」第3回:4パックシールド

著者紹介:行弘 賢(ゆくひろ・けん)

 「deathsnow」の二つ名を持つ、気鋭のプレイヤー・デッキデザイナー。
 マジック歴は時のらせんブロックからと短いながら、プロツアー・京都09での《ミストメドウの魔女》デッキ、プロツアー・アムステルダム10での「オリスチャント」など、特異なデッキデザイン能力は海外からも注目を集める。
 高いレベルで安定した成績を残し続け、主な戦績にグランプリ・神戸2012 準優勝、The Finals 2011 トップ8などがある。
 また、「ニコニコ生放送」で配信を行うなど、ネットを使った積極的な活動でも知られている。


 最近少しずつ暖かくなり、春を感じさせる今日この頃。
 皆さんいかがお過ごしですか?

 僕は冬の間はMagic Online上で闇の隆盛×3のドラフトをひたすらやったのに、結局《イニストラードの君主、ソリン》も《高原の狩りの達人》も出なくて悔しい思いをしたり、オンスロートブロックのドラフトで3-0するも手に入ったパック全部売っても参加費が返ってくるだけというしょっぱい結果ばかり繰り返す日々を送っていました。まさしく冬ですね。

 こんな塩味しかしないリミテッドフォーマットではなく、何か面白くて『実』になるリミテッドフォーマットはないかなーとぼんやりリミテッドのページを眺めていると、『ISD(イニストラード)4パックシールド』なる見たことも聞いたことも無いフォーマットが目につきました。

queue

これです

 4パックシールドってなんぞ?と思い、早速4パックシールドの説明を読んでみました。

 Magic Online: Events(リンク先は英語)

 なんとこのイベント、参加チケットはかかりません。必要なのは闇の隆盛2パックとイニストラード2パックのみ。シールドなので出たカードは全部自分のものになります。

 賞品は3勝5パック、2勝3パック、1勝1パックとなります。全試合3試合のスイス形式のトーナメントなので、幅広く商品がもらえます。
 この時点で普通にパックを剥くより得しちゃってます。

 あれ? これってもしかしてオイシイんじゃない!?そう思った僕は早速4パックシールドに参加してみました。


4パックシールドの洗礼

 4パックシールドをやってみて最初に違和感があったのは、デッキのサイズです。
 シールドやドラフトは『40枚』以上でデッキを組むのが一般的ですが、4パックシールドは『30枚』以上でデッキを組むのです。

 そもそも、いつもなら土地は16~18枚で組むのですが、30枚でデッキを組むとなると何枚土地を入れて良いのかが分かりません。結局構築時間ギリギリまで考えて、13枚でやってみることにしました。


1戦目:青緑 ××

 1本目の対戦相手は初動《血まみれの書の呪い》という非常に微妙な動きです。

 こんなカードがデッキに入っているようじゃ楽に勝てそうだなーと思っていたら、いつの間にか僕の山札が6枚ぐらいしかありません。
 アレ!? なんでこんなに山札減ってるの!? と気が付いた時には後の祭り。アッサリ山札が切れてライブラリーアウトで敗北してしまいました。

 何回も言いますが、4パックシールドの山札の枚数は『30枚』以上です。つまり基本的には対戦相手のデッキは30枚となります。ということは、『ライブラリーアウト戦略』が通常に比べて非常に強くなるのです。

 2本目はかなり勝ち確定ぐらいの盤面だったのですが、いきなり《高まる混乱》をX=0でプレイされた後、フラッシュバックでX=9で墓地からプレイされ、山札がいきなり18枚削られ、ライブラリーアウトにより敗北してしまいました。


 その後2戦目と3戦目は無事勝利することができ、初戦で敗北したにも関わらず3パックもゲットすることができました。初戦で負けたのに3パックももらえるのは、スイス式のトーナメントならではですね。


4パックシールドのデッキ構築

 さて、その後も4パックシールドを何回かやってみてこのフォーマットのセオリーみたいなものが掴めてきました。


セオリー1:土地の枚数

 最初は13枚で構築していた僕ですが、あながち間違いの枚数ではありませんでした。

 30枚中、土地11枚≒40枚中、土地15~16枚
 30枚中、土地12枚≒40枚中、土地16~17枚
 30枚中、土地13枚≒40枚中、土地17~18枚

 ぐらいの感覚と思っていただければ良いと思います。
 なので、3~4マナ域がマナカーブの頂点のデッキは土地11枚で良いと思いますし、ちょっとデッキ重いなと思ったら12~13枚の土地を入れたら良いと思います。


セオリー2:ボムは使おう

回転

 《血統の守り手》のような非常に強いレアカードの事を『ボム』といいます。語源は恐らく『爆弾レア』からだと思われますが、とにかく1枚で勝てるようなレアに対して使われます。

 この30枚というデッキの薄さは、単純に「強いカードを引く確率が上がる」ことになります。したがって、1枚で場を制圧できるカードの価値は、40枚デッキに比べて非常に重要になってきます。
 他のカードが少し弱いが、《血統の守り手》を擁する黒と、カードが揃っているが特に飛びぬけて強いカードは無い白なら、黒を優先した方が良い時の方が多いです。

 先ほどの《高まる混乱》はこのフォーマット最強のボムといっても過言ではないので、プールにあったら絶対タッチしてでも使いましょう。


セオリー3:ボムが無い時は・・・?

 もちろん、いつでもボムが引けるわけではありません。その時は『相手のライブラリーを削る』カードを探してみましょう。

 普段はあまり使われない《血まみれの書の呪い》や《叫び霊》なんかも、30枚というデッキの薄さから、青を使っていたら必ず入る!と言ってもよいほどに強いです。
 ただし、《叫び霊》1枚しかライブラリーを削るカードがない・・・なんて場合はプラン的に厳しいものがありますので、その時はライブラリーアウトではなく別のプランを探しましょう。


セオリー4:どっちも無い場合?

 これもよくある話です。あなたは正に『あまり強くない』プールを手にしてしまいました。

 この場合、30枚デッキで取れる強引な戦略として『多色化』という方法があります。30枚デッキということは、タッチしいてるカードを引きやすくなりますし、タッチしてるカラーの土地も引きやすくなります。
 例えば除去が薄いならば《》2枚と赤の除去を2枚足す、といった感じです。
 通常2色で組めるようなカードプールなら安定性を求めて、多色化は推奨される組み方ではありませんが、カードが弱いなら話は別です。40枚で組む時でさえ、カードが弱い時は色を増やす選択肢を取らざるを得ない時があります。なので、2色で組むとカードが弱い・・・なんてときは思い切って色を増やしてみましょう。


ライブラリーアウト戦術に対抗しよう!

 この環境は3回戦やると必ずといっていいほどライブラリーアウトに1回は当たります。なので、ある程度対策を立てておきましょう。


ライブラリーアウト対策虎の巻:序

 まず誰でもできることとして、山札の枚数を増やしましょう。
 土地を2~3枚増やして、デッキの候補に悩んでいたカードを2~3枚増やせば、4~6枚はデッキの水増しができるはずです。その4~6枚で自分が攻撃できるチャンスが1~2回以上は増えるので、水増ししといて損はありません。


ライブラリーアウト対策虎の巻:破

 次はあなたのプールにライブラリーアウトへの回答になる呪文がある時の場合です。

 《記憶の旅》や《墓所粛正》なんかがそれに当たりますね。これらのスペルは色さえ合っていればサイドインするようにしましょう。
 《記憶の旅》はフラッシュバックで打てなければあまり効果的でないので、緑をやっているときに入れるようにしましょう。


ライブラリーアウト対策虎の巻:急

 これはデッキ構築の段階の話なのですが、本来非常に強い《禁忌の錬金術》や《甲冑のスカーブ》なんかをデッキに入れる時、本当にそれを入れてライブラリーアウトデッキに勝てるのかを検討してからにしましょう。
 手なりでデッキに入れてしまいすぐに山札が無くなり敗北してしまった、なんて話はざらです。自分の山札を削るカードは通常以上にリスキーなので採用する時は慎重に。


4パックシールドをやってみよう!

 通常シールドのデイリー・イベント(DE)やプレミア・イベント(PE)に参加したはいいものの、弱いプールをもらってしまって何の賞品も無く大損してしまった・・・なんて経験をしたことがある人は多いと思います。
 シールドは好きだけどもっとお金をかけずにお手軽にできないかな?と思ってる人にはピッタリなフォーマットだと思います。
 通常4回戦以上のシールド戦と比べて、3回戦という少ないラウンド数なのもお手軽感があって良いですね。

 闇の隆盛はドラフトでは1パックしか剥くことができませんが、4パックシールドでは2パック剥くことができます。なので、闇の隆盛をたくさん剥きたい人にもオススメです。僕もこの4パックシールドで遂に《高原の狩りの達人》を手に入れることができました。

回転

お目当てのレアを楽しみにしつつ、シールドでも遊ぼう!

 ドラフトと同じぐらいの費用と時間でシールドが遊べるので、是非一度4パックシールド、遊んでみてください!

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