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木曜マジック・バラエティ
行弘賢の「MOを遊びつくせ!」第2回:モミール・ベーシック
読み物
木曜マジック・バラエティ
2012.02.23
行弘賢の「MOを遊びつくせ!」第2回:モミール・ベーシック
著者紹介:行弘 賢(ゆくひろ・けん)
「deathsnow」の二つ名を持つ、気鋭のプレイヤー・デッキデザイナー。
マジック歴は時のらせんブロックからと短いながら、プロツアー・京都09での《ミストメドウの魔女》デッキ、プロツアー・アムステルダム10での「オリスチャント」など、特異なデッキデザイン能力は海外からも注目を集める。
高いレベルで安定した成績を残し続け、主な戦績にグランプリ・神戸2012 準優勝、The Finals 2011 トップ8などがある。
また、「ニコニコ生放送」で配信を行うなど、ネットを使った積極的な活動でも知られている。
皆さんこんにちは! グランプリ・神戸に行った方はお疲れ様でした!
さて、今月の「MOを遊びつくせ!」は『モミール・ベーシック』を遊びつくしちゃいたいと思います!
1. モミール・ベーシックって何?
基本土地60枚とアバター〈Momir Vig, Simic Visionary〉 1枚のデッキを使って遊ぶフォーマットです。
Momir Vig, Simic Visionary Avatar
ヴァンガード
手札 +0/ライフ +4
{X},カードを1枚捨てる:点数で見たマナ・コストがXである、無作為に選ばれたクリーチャー・カード1枚のコピーであるトークンを1体戦場に出す。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動でき、各ターンに1回しか起動できない。
MO上に登録されている、支払ったマナの数に等しいマナ域のクリーチャーが「無作為に」登場するというのが非常に面白そうなこのフォーマット。早速デッキを組んでプレイしてみましょう!
12 《山》 12 《島》 12 《平地》 12 《沼》 12 《森》 -土地(60)- -クリーチャー(0)- |
-呪文(0)- |
基本土地60枚で組むので、とりあえず12枚ずつ入れてみました。それでは早速対戦してみましょう!
1戦目:××
・1本目
土地を置く順番に特に気を使わずに《山》、《森》、《島》とセットランドしたのですが、対戦相手が3ターン目に起動した《猫族の戦士ミリー》が急に森渡りしてきてアラ大変。
まぁこっちのクリーチャーの方がサイズが大きいのでなんとかなるだろうと思っていたら、勿論相手も5、6マナ起動で1、2、3マナのサイズでは突破できないクリーチャーを召喚してきます。
そうこうするうちに、地味に《猫族の戦士ミリー》によりライフが詰められ、後半戦の重い飛行クリーチャー同士の対決となった時にはこちらから攻めることができないライフになっており、そのまま膠着して最後は飛行クリーチャーの数が1体足りない所でフルアタックされて負けてしまいました。
・2本目
次は初手に《平地》が5枚あったので、今度は変に渡られまいと《平地》だけセットランドしていくことにしました。
すると5マナで起動した時に戦場にクリーチャーが出てきません。何が起きたのかなとログを調べてみると、どうやら出ていたで「あろう」クリーチャーは《海賊船》でした。
《島》が場に無かったせいでその姿を見ることなく墓地へいってしまわれました。「ティム」の能力を持っているだけに、場に出てくれていたらそれなりに活躍してただろうなーとか考えながら8マナで起動すると、なんと《憤怒の天使アクローマ》が!
しかし僕の場には《平地》が5枚と《沼》が2枚、《山》が1枚と若干寂しいランドバランスとなっており、結局アクローマはいまいち活躍できぬまま、対戦相手に《潮汐を作るもの、ロートス》が登場してしまいアクローマ以外のクリーチャー全てがタップされて殴りきられてしまいました。
2. 行弘は知識を蓄える。
その後も何回か対戦してみて分かったことがあります。それは、『回避能力』を持ったクリーチャーが非常に強いということです。
サイズが大きいだけでは、コンバットトリックは盤面で見えている分しかないこのフォーマットではすぐにダブルブロック等で打ち取られてしまいます。
なので、『渡り』は非常に強力であり、それを意識したデッキ構築とセットランドの手順も大事だと感じました。
24 《山》 12 《島》 8 《平地》 8 《沼》 8 《森》 -土地(60)- -クリーチャー(0)- |
-呪文(0)- |
デッキ構築と土地の置く順番
基本的には《山》を中心にセットランドしていくのが一番良いと思います。というのも、マナを多く使う起動型能力には《山》を使う能力が多く、なおかつゲームをそのまま決めてしまうカードも少なくないからです。
《憤怒の天使アクローマ》や、《ヘルカイトの首領》等がそれに当てはまりますね。
個人的には《山》→《山》→《山》→《平地》→《島》→《山》→《森》→《沼》の順にセットランドするのが理想的だと思います。
《平地》は渡られる心配がほとんどないので安心して4ターン目に置けます。《島》を5ターン目に置くのは、先ほどの対戦で紹介した《海賊船》のような、「自分の場に《島》がないと維持できない」クリーチャーが存在するからです。
そういったクリーチャーは下のマナ域にも存在するので、手札に《山》や《平地》がない時は、《島》から2ターン目や3ターン目に置くのが良いと思います。
《沼》や《森》は早めにおいても渡られるリスクがあがるだけなので、なるべく遅くセットするように心がけるのが良さそうです。
基本的にこのフォーマットでは皆、「8マナ」まで伸ばすようにセットランドします。
というのも、8マナ域には非常に強力なクリーチャーが数多く存在するからです。後手の場合、手札破壊や土地破壊されない限りは2マナから毎ターン起動して、ちょうど8マナで土地がストップするのですが、先手の場合は2マナ以降のどこかのマナ域を1回飛ばさなければ8マナ域までたどり着かないので、基本的に一番カードが弱い2マナ域を飛ばすのがベターなようです。
各マナ域の代表選手
さて、次は各マナ域毎の大当たりと大外れの代表格を紹介したいと思います。これを知っておくと状況に応じて起動するマナ域を変えたりと選択の幅が広がると思いますので、参考にしてみてください。
2マナ:「当たり!」《アゾリウスのギルド魔道士》 「ハズレ...」《誘うワーム》
3マナ:「当たり!」《根気強いハンター》 「ハズレ...」《田舎の破壊者》
4マナ:「当たり!」《突風粉の魔道士》 「ハズレ...」《塵の精霊》
5マナ:「当たり!」《忠義の天主》 「ハズレ...」《地ならし屋》
6マナ:「当たり!」《忠告の天使》 「ハズレ...」《世界喰らいのドラゴン》
7マナ:「当たり!」《白金の天使》 「ハズレ...」《触れられざる者フェイジ》
8マナ:「当たり!」《潮汐を作るもの、ロートス》 「ハズレ...」《深海の生息者》
9マナ:「当たり!」《魅力的な執政官》 「ハズレ...」《リバイアサン》
10マナ:「当たり!」《大祖始》 「ハズレ...」《核の占い師、ジン=ギタクシアス》
11マナ:「当たり!」《無限に廻るもの、ウラモグ》 「ハズレ...」《マイコシンスのゴーレム》
12マナ:「当たり!」《荒廃鋼の巨像》 「ハズレ...」《一なる否命》
13マナ:該当無し
14マナ:該当無し
15マナ:「当たり!」《引き裂かれし永劫、エムラクール》 「ハズレ...」《土着のワーム》
これを見ていただければ分かると思いますが、ほとんどのマナ域に大外れが存在します。なので、有利な場からでも起動してしまったせいで負け、といった事態は往々にして起こります。
ただし、9マナ域以降は外れは外れでもゲームの敗北を即招いてしまうようなカードは少ないため、8マナの起動で有利な場になったらセットランドして、9マナを目指すのも一つの戦略になります。
13マナと14マナはクリーチャーが存在しないので起動しても意味がありません。16マナには《ドラコ》だけ存在するので、どうしても飛行が欲しくて16マナある場合は起動してみても良いかもしれませんね。
先手の利を活かす消耗戦プレイング
戦闘関連で言えば、先手の場合は少し不利なトレードでも消耗戦にした方が良い場合があります。
モミールは必ずマナカーブに沿ってカードがプレイされるので、序盤のカードはすぐにチャンプブロッカーしか役目がなくなったりします。
例えば、サイズの大きなバニラを先に引いて、こちらから殴れる機会があるとします。
先手を取れることは有利なのですが、相手の場にチャンプブロッカーが存在すると、時間を稼がれてしまうため殴りにくい、ということがあります。そうした盤面は往々にして起こってしまいます。
そのため、序盤に出た相手の2/1のクリーチャーと自分の3/2のクリーチャーは、普通ならば相打ちにしたくはないのですが、先手の時はそういった少し不利なトレードでも消耗戦にした方が、先手のアドバンテージを活かせる展開にしやすい、ということを覚えておくと良いかもしれません。
3. モミールをやってみよう!
モミール・ベーシックは今回書いた内容だけでは足りないほど、奥深いフォーマットです。
戦闘関連にしても、ほぼ毎試合接触戦闘が起こるのでモミールが上手い人は戦闘が上手く、リミテッドも上手いとよく言われます。
一見、ただ強いカードを叩き付けるだけに見えるこのフォーマットですが、極めると漏れなくマジックが上手くなるという非常にお得なフォーマットになっています。
しかも、導入するのは非常に簡単。〈Momir Vig, Simic Visionary〉 のアバターを購入し、基本土地60枚と一緒に入れるだけですからね。
〈Momir Vig, Simic Visionary〉と土地60枚がセットになったパックが、ストアの「SPECIAL SETS」でも販売されています(9.99ドル=2012年2月現在)。
MOの導入の仕方は、鍛冶さんの記事で紹介されています。
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第16回:番外編その1・「Magic Onlineのアカウント作成」をリプレイ!?
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第17回:番外編その2・「Magic Onlineのブースタードラフトの試合まで」をリプレイ!?
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第18回:番外編その3・「Magic OnlineのPauperデッキを構築するまで」をリプレイ!?
強いカードをたくさんプレイしてみたい!とか、戦闘をもっと上手くなりたい!とか、どんな理由であれ、モミールを一回プレイしてみていただければ必ずハマってしまう魅力があると思いますので、是非皆さん一度モミモミしてみてはいかがでしょうか?
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