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木曜マジック・バラエティ
浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part4?コンボの系譜 前篇
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木曜マジック・バラエティ
2011.04.21
浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part4 -コンボの系譜 前篇
By 浅原 晃
コンボデッキ、甘美な響きを持つこの言葉は数多くのデュエリストを魅了してきた。無限マナ、無限ライフ、瞬殺、循環系コンボなど、マジックに存在したコンボは数限りない。これまでのデッキタイムトラベルでは主に色別のアーキタイプという形で紹介してきたが、今回はコンボ編ということで、色の流れではなく、コンボとして活躍した代表的なカードを登場時期で追っていき、そこから、コンボの活躍時期、派生などにも触れていきたい。
コンボ編ではスタンダード以外のデッキも多く紹介するので、興味を持ってみてもらえると幸いだ。
それではさっそく、めくるめくコンボの世界へレッツタイムシーブ!
■1993年~
1) 《チャネル》
⇒1993年 +《火の玉》
最古のコンボとも言われる『チャネルファイアーボール』を生み出したのがこの《チャネル》だ。
《チャネル》の効果は簡単に言えば、ライフ1点を1マナに変換できる緑のソーサリー呪文である。これを用いた『チャネルファイアーボール』とは、《Black Lotus》などから、《チャネル》を使い大量のマナを生み出し《火の玉》で決めるデッキのことで、マジックの黎明期における代表的な、そして、今でも伝説的なコンボとして知っている人も多いだろう。4枚制限のデッキ構築ではないフォーマットの語り草として
20 《Black Lotus》
20 《チャネル》
20 《火の玉》
というデッキが語られることがあるが、実際に作った人が居るかどうかは定かではない。が、『チャネルファイヤーボール』がもっとも有名なコンボデッキであることに異論を挟む人は居ないはずだ。
⇒2008年 +《死者の鏡》
4 《真鍮の都》 4 《禁忌の果樹園》 4 《宝石鉱山》 3 《Tropical Island》 -土地(15)- 1 《白金の天使》 -クリーチャー(1)- |
1 《Ancestral Recall》 1 《渦まく知識》 4 《Force of Will》 1 《神秘の教示者》 4 《否定の契約》 1 《吸血の教示者》 1 《チャネル》 1 《Demonic Tutor》 4 《加工》 1 《伝国の玉璽》 1 《ケアヴェクの火吹き》 4 《親身の教示者》 1 《思案》 1 《Timetwister》 1 《修繕》 1 《Black Lotus》 4 《彩色の星》 4 《死者の鏡》 1 《水蓮の花びら》 1 《記憶の壺》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Sapphire》 4 《師範の占い独楽》 -呪文(44)- |
4 《ザンティッドの大群》 3 《古えの遺恨》 1 《蒸気の連鎖》 3 《根絶》 1 《天秤》 2 《破壊放題》 1 《上天の呪文爆弾》 -サイドボード(15)- |
《チャネル》は今の時代に置いてはヴィンテージのみで使うことができるが、その場合は《火の玉》でなく、同種の《ケアヴェクの火吹き》や《苦悩火》を使うのが一般的だ。
また、アラーラの断片で加わった神話レア《死者の鏡》とのコンボも生まれている。《チャネル》は呪文の効果中ではなく、ターンの間ずっと1点のライフを1マナに変えることができるため、マナを出して能動的に敗北を《死者の鏡》によって置換し20点のライフと7枚のカードを得ることで、またライフをマナに変えるといったことが可能だ。それによって大量のマナを得て、《ケアヴェクの火吹き》などで決めるデッキが生まれた。スタンダードでは見向きもされなかったカードがヴィンテージで使われる、それもマジックの奥深いところだろう。
2) 《天秤》
《天秤》自体は直接的なコンボカードとしてよりも、戦場に対して強力な干渉を行うリセットカードとしての強さを持つ。
土地、手札、クリーチャーそれぞれに置いて、少ないプレイヤーに合わせるという効果を持っていることは、《ハルマゲドン》や《精神錯乱》、ときに《神の怒り》であり、それどころか、それらを同時に行うといったことも珍しくなかった。
2マナという軽さと、アーティファクトやエンチャントに対しては特に影響が無かったため、マナアーティファクトを適当に並べてから《天秤》なんてことで簡単にアドバンテージを取ることができた。
⇒1995年 +《Zuran Orb》
《天秤》がコンボ要素として機能した代表的な例が、アイスエイジに収録された、土地を2点のライフに変えることができる《Zuran Orb》との組み合わせ『ズーランバランス』だろう。このコンボは大量のライフと《ハルマゲドン》がセットになっており、逆転の要素だけでなく、決定的な局面を作り挙げることができた。世界選手権96では、トムチャンフェンが《天秤》を劇的にトップデッキし勝利を収めている。
15 《平地》 4 《ミシュラの工廠》 4 《露天鉱床》 1 《Kjeldoran Outpost》 -土地(24)- 4 《サバンナ・ライオン》 4 《白騎士》 4 《Order of Leitbur》 4 《白き盾の騎士団》 2 《セラの天使》 2 《Phyrexian War Beast》 -クリーチャー(20)- |
4 《剣を鍬に》 1 《増援》 1 《臨機応変》 4 《解呪》 1 《復仇》 1 《天秤》 1 《ハルマゲドン》 1 《土地税》 1 《Zuran Orb》 1 《Lodestone Bauble》 -呪文(16)- |
1 《臨機応変》 4 《神への捧げ物》 1 《復仇》 1 《流刑》 1 《魂の絆》 1 《Energy Storm》 2 《アレンスンのオーラ》 1 《黒の万力》 2 《鋸刃の矢》 1 《Kjeldoran Outpost》 -サイドボード(15)- |
ただ、《天秤》は制限カードであったため、デッキの軸や戦略としてのコンボではなく、強力な制限カードという位置付けであったのは間違いない。
その後、《天秤》は効果の形を変えて《平等化》としてオデッセイに現れ、そのときはコンボデッキとしての地位を確立した。
⇒2001年 【派生】《平等化》+《土を食うもの》
4 《ほくちの加工場》 4 《用水路》 4 《古き泉》 4 《地熱の割れ目》 2 《硫黄孔》 4 《海底の瓦礫》 2 《森林地の廃墟》 4 《遺跡発掘現場》 -土地(28)- 4 《土を食うもの》 4 《敏捷なマングース》 -クリーチャー(8)- |
3 《オアリムの詠唱》 4 《平等化》 4 《火 // 氷》 4 《彩色の宝球》 3 《抹消》 3 《中略》 3 《嘘か真か》 -呪文(24)- |
1 《熊の谷》 2 《解呪》 2 《十二足獣》 3 《記憶の欠落》 1 《枯渇》 1 《秘教の処罰者》 1 《探索するフェルダグリフ》 1 《オアリムの詠唱》 3 《排撃》 -サイドボード(15)- |
《平等化》は《天秤》に存在した不平等、いわゆるアーティファクトやエンチャントに対しての部分を改善したもので、パーマネントそのものの数と手札の数を参照するようになった。そのため、アドバンテージを取ることは難しいように思えるが、唯一平等にならないものを利用してコンボとして成立している。
それはマナであり、《平等化》を使う側は、インベイジョンブロックなどに存在した《ほくちの加工場》といった生け贄に捧げることで2マナを生み出す土地を使い、全てのパーマネントを無くした上で、マナを余らせ、《平等化》で全てのパーマネントを吹き飛ばした後、そのマナで巨大なサイズの《土を食うもの》を無人の荒野に召喚したのだった。
ちなみに筆者も長い間愛用したデッキでもあり、特にエクステンデッドでもカルトな人気を誇っていたデッキでもある。
3) 《Fastbond》
《Fastbond》は1点ダメージを受けることで土地を置ける緑のエンチャントだ。1マナということで、1ターン目から大量の土地を置き、マナを出すことも可能で、この土地を好きなだけ出せるという構造を利用して、アライアンスの《嵐の大釜》と組み合わせて『ストームドレイン』というデッキが生み出された。
⇒1996年 +《嵐の大釜》
4 《沼》 2 《森》 4 《Bayou》 2 《Tropical Island》 4 《地底の大河》 2 《River Delta》 2 《真鍮の都》 2 《Rainbow Vale》 -土地(22)- -クリーチャー(0)- |
4 《魔力の櫃》 4 《嵐の大釜》 4 《Fastbond》 4 《ネクロポーテンス》 4 《生命吸収》 1 《Taste of Paradise》 2 《霊魂焼却》 4 《暗黒の儀式》 4 《Demonic Consultation》 3 《Arcane Denial》 1 《ブーメラン》 3 《Lim-Dul's Vault》 -呪文(38)- |
1 《ハーキルの召還術》 2 《ブーメラン》 4 《枯渇》 4 《Force of Will》 2 《沼》 2 《森》 -サイドボード(15)- |
世界選手権96で「業師」中村聡が作り上げたデッキである。この時代は今とはルールが違っていた点について少し説明したい。もっとも大きな相違点はライフが0になってもフェイズが移行しない限り敗北しないということだろう。このデッキは《嵐の大釜》と《Fastbond》でライフがマイナスになっても大量のマナの《生命吸収》を打つことでライフをプラス域まで戻して勝利する。
今はライフが0になったらその時点で敗北するので、この構造のデッキは存在しないといっていいかもしれない。後に紹介する『プロスブルーム』も同じようにライフが0になっても後でプラスに戻せばいいといったスタンスを取っている。
また、注目すべき点は《ネクロポーテンス》をドローソースとして、使っている点だ。《ネクロポーテンス》によってコンボパーツとそれを無理矢理通す手段を確保するという戦略はこれから先多くのコンボデッキで使われるようになった。
4) 《Time Vault》
カードの中でも特に問題児とされるカードがいくつかある。《Time Vault》もその問題児の中の一つで、歴代でもエラッタの回数はトップクラスの多いカードが《Time Vault》だ。
このカードの意図された効果は時間を一旦飛ばして、後で追加ターンを得るものだ。ただ、マジックプレイヤーがこのカードを見て考えることは、もちろん、そのデメリットだけをどうにかして無視してメリットを享受しようというものである。
⇒1994年 +《動く秘宝》+《賦活》
初期では《動く秘宝》でクリーチャー化し《賦活》でアンタップするというものが無限ターンとしてしられていたが、1996年にカウンターを乗せる仕様に代わるとそれができなくなる。これが第1回目のエラッタだ。
《Time Vault》はエラッタごとにいくつものコンボを生み出しているが、もっとも面白いのが、《Time Vault》が持ち込んだ「ターンの間」という概念によるコンボデッキだろう。
『フェイズ・ゼロ』というデッキの名前を聞いたことがあるだろうか。フェイズ・ゼロはまさにターンの間を利用したコンボで、相手と自分のターンに間があるとしたのは、《Time Vault》が一つの要因になっている。
《Time Vault》は「アンタップフェイズにアンタップする代わりにターンを飛ばす」という効果を持つ。ただ、アンタップフェイズに入っているのにそのターンを飛ばす選択をするというのは、今行なっているターンを飛ばすことになってしまい矛盾が生じてしまう。
その部分を解消するために作られたのが「ターンの間」だ。
相手のターンと自分のターンの間にこの動作が行われるという解釈がなされたのだ。
⇒1998年 【関連】『フェイズ・ゼロ』《根の壁》+《停滞》
そのターンの間のルールの盲点を付いたのが『フェイズ・ゼロ』というデッキだ。
動きとしては、ターンの間にマナ能力を使うことができるということに起因して《根の壁》でマナを出す。しかし、ターンの間はターンではないため、《根の壁》の起動の「ターン中に1回」という制限には引っかからない。そこで、ターンの間に無限マナを出し、本来そのままではマナバーンを受けてしまうアンタップフェイズを《停滞》で飛ばして、アップキープに《マグマ地雷》などで相手を倒すというものだ。
本当にルールはおかしなことになってしまうことがあるという例かもしれないが、このコンボはすぐに、当然と言えば当然に、ルールエラッタによって不可能になった。
さて、《Time Vault》の話に戻ろう。2度目のエラッタでは、次のターンを飛ばすことでアンタップできる仕様になったが、いくらでもアンタップできる構造を利用され《炎の一斉攻撃》とのコンボで無限ダメージを与えることができた。ただ、これもすぐにエラッタによって不可能になる。
その後3回目の4回目のエラッタを経て、最終的には一番初期のものに戻ることになる。ただ、それによって安易に無限ターンが得られるようになったと言えるかもしれない。
⇒2006年 +《求道者テゼレット》
今では使える環境はヴィンテージに限られるが、ターンを飛ばさないとアンタップはしないが《Time Vault》はタップするとターンを得るという非常に簡単なものになったため、《求道者テゼレット》や《通電式キー》でアンタップするだけで、無限にターンを得るということが可能になった。ヴィンテージ環境では制限カードとは言え、非常に強力なコンボの一つとして使われている。
■1995年
5) 《永劫の輪廻》
アイスエイジで収録された《永劫の輪廻》は戦場から墓地に置かれたクリーチャーを手札に戻すことができるエンチャントだ。追加のクリーチャーをドローすることができないが、クリーチャーを使いまわせるシステムを構築すれば、大きなアドバンテージを得ることができる。それが直接的にコンボとして使われるようになったのは、テンペストで《ゴブリンの砲撃》が加わってからだろう。
⇒1999年 +《ゴブリンの砲撃》+《ファイレクシアの歩行機械》
4 《Badlands》 4 《Scrubland》 4 《真鍮の都》 4 《宝石鉱山》 3 《泥炭の沼地》 3 《ファイレクシアの塔》 -土地(22)- 4 《Shield Sphere》 2 《ファイレクシアの歩行機械》 4 《アカデミーの学長》 -クリーチャー(10)- |
3 《モックス・ダイアモンド》 1 《魔力の櫃》 4 《ゴブリンの砲撃》 1 《沈黙のオーラ》 4 《ネクロポーテンス》 3 《永劫の輪廻》 4 《強迫》 4 《暗黒の儀式》 4 《Demonic Consultation》 -呪文(28)- |
2 《平和の番人》 3 《沈黙のオーラ》 1 《中心部の防衛》 4 《紅蓮破》 1 《中断》 2 《枯渇》 2 《不毛の大地》 -サイドボード(15)- |
0マナのクリーチャーを《ゴブリンの砲撃》で飛ばして、《永劫の輪廻》で回収しそれを永遠に繰り返す。本来このコンボは『ペブルス』と呼ばれているが、このデッキではドローソースとして《ネクロポーテンス》が使われているため『ココアペブルス』と呼ばれているデッキだ。コンボデッキならばリソース自体はコンボを達成するものだけが残っていればよいため、《Demonic Consultation》と言ったリスクのあるサーチカードも使うことも可能だった。
6) 《Illusions of Grandeur》
《Illusions of Grandeur》は戦場に出たとき20点のライフを得て、戦場を離れると20点のライフを失う、累加アップキープ{2}を持ったエンチャントだ。
このエンチャントは単体で使うと恐ろしいくらい弱いカードと言ってもいいかもしれない。このカードが突然輝きだしたのは、一見意味不明のカードである《寄付》がウルザズデスティニーで収録されてからのエクステンデッドでだ。
⇒2000年 +《寄付》+《ネクロポーテンス》
7 《沼》 1 《真鍮の都》 1 《地底の大河》 4 《Underground Sea》 4 《宝石鉱山》 2 《裏切り者の都》 4 《泥炭の沼地》 -土地(23)- -クリーチャー(0)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《ネクロポーテンス》 4 《Illusions of Grandeur》 4 《強迫》 3 《寄付》 3 《吸血の教示者》 4 《Demonic Consultation》 3 《渦まく知識》 3 《紅蓮破》 1 《炎の嵐》 4 《Force of Will》 -呪文(37)- |
1 《赤の防御円》 4 《無効》 1 《紅蓮破》 1 《炎の嵐》 2 《Arcane Denial》 3 《誤った指図》 3 《Pyrokinesis》 -サイドボード(15)- |
《Illusions of Grandeur》を相手に《寄付》しコントロールをあげることで、自分が20点のライフを得ながら、相手には累加アップキープの払いを強要し、払えない場合は20点のライフを失わせて勝利する。大抵の場合、序盤でこのコンボを決められると累加アップキープが払えず、また、こちらは20点のライフを得ているので負ける心配もほとんどない。
《ネクロポーテンス》との相性も抜群に良く、得たライフをカードに変え《Force of Will》などをかき集め盤石の体制を築くことができた。
『ネクロドネイト』はコンボがサイド後に取るアグレッシブサイドボードを参考にするにもいいデッキだ。《Illusions of Grandeur》は20点のライフを得る能力に対応して《解呪》などで割られてしまうと先に20点を失うため、サイド後にエンチャント破壊をたくさん入れるのが対策の定石だった。それを逆手に取って、『ネクロドネイト』側は《ファイレクシアの抹殺者》などを使って殴り切っていたのだ。
《ネクロポーテンス》はその後、エクステンデッドで禁止されるが、その後は青+タッチカラーの『トリックス』として活躍している。
⇒2001年 +《サファイアの大メダル》
14 《島》 4 《シヴの浅瀬》 4 《Volcanic Island》 -土地(22)- -クリーチャー(0)- |
4 《蓄積した知識》 2 《渦まく知識》 1 《転覆》 4 《対抗呪文》 4 《寄付》 3 《火 // 氷》 4 《Illusions of Grandeur》 1 《衝動》 3 《直観》 4 《商人の巻物》 4 《Force of Will》 4 《サファイアの大メダル》 -呪文(38)- |
1 《冬眠》 2 《水流破》 3 《変異種》 4 《紅蓮破》 3 《紅蓮地獄》 2 《天才のひらめき》 -サイドボード(15)- |
サイド後にはアグレッシブサイドボードの一種である、《変異種》を加えてコントロールとして戦うモードも搭載している。カイブッティは《変異種》を劇的にトップデッキし、それによってプロツアー決勝を制した。
■1996年
7) 《死体の花》
《死体の花》はミラージュに登場した、手札をマナに変えるエンチャントだ。この《死体の花》を使ったコンボデッキ、『プロスブルーム』はミラージュブロック構築で猛威を振るい、マナエンジンの一つである《資源の浪費》をブロック構築において禁止させるにまでに至った。
⇒1996年 +《資源の浪費》+《自然の均衡》+《繁栄》+《生命吸収》
『プロスブルーム』の面白いところは単純に揃えるコンボではなく、段階的にマナを出すシステムを構築していく連鎖型のコンボという点だろう。それ故、『プロスブルーム』はプロツアー優勝というコンボデッキとしてのトーナメントレベルの成功デッキというだけでなく、もっとも美しいコンボデッキとも言われている。
5 《島》 6 《沼》 7 《森》 3 《湿原の大河》 4 《知られざる楽園》 -土地(25)- -クリーチャー(0)- |
4 《資源の浪費》 4 《死体の花》 4 《自然の均衡》 1 《エルフの隠し場所》 1 《エメラルドの魔除け》 4 《繁栄》 4 《衝動》 4 《冥府の契約》 4 《吸血の教示者》 1 《三つの願い》 2 《記憶の欠落》 1 《魔力消沈》 1 《生命吸収》 -呪文(35)- |
2 《根の壁》 4 《エレファント・グラス》 3 《孤独の都》 1 《エルフの隠し場所》 3 《エメラルドの魔除け》 1 《記憶の欠落》 1 《魔力消沈》 -サイドボード(15)- |
基本的な動きは《資源の浪費》を置き、全ての土地からマナを出して生け贄に捧げ、《自然の均衡》で土地を出し、再び《資源の浪費》生け贄に捧げる。これで多くのマナが出るので、《冥府の契約》といったドローソースを使い、《死体の花》を置いたのち、手札をマナに変えて大量の《繁栄》を打つというものだ。
このデッキも実際はライフが0以下に下回ることが多く、今のルールでは動かすことは難しいが、パズルとしての面白さもあり、一度手に取って回してみるのをお勧めしたいデッキだ。
8) 《浅すぎる墓穴》
ミラージュでは《浅すぎる墓穴》によってリアニメイトコンボが生まれた。
リアニメイトとは墓地のクリーチャーを釣り上げるアーキタイプのことで、巨大なクリーチャーを早いターンに戦場に出すことで大きなアドバンテージを得ることを狙ったデッキである。
特に派手で有名なのは、《ニコル・ボーラス》を《浅すぎる墓穴》で釣り上げて一撃を見舞う、『ニコルシュート』だろう。《ニコル・ボーラス》は対戦相手にダメージを与えると全ての手札を捨てさせる能力を持っており、最速なら《暗黒の儀式》から《葬送の魔除け》を自分に使って、《ニコル・ボーラス》を墓地に落とし、《浅すぎる墓穴》で釣り上げて、対戦相手に《ニコル・ボーラス》をぶつけ、相手のリソースを全て奪うことができた。
《浅すぎる墓穴》は一時的な攻撃のみなので、アップキープコストを持つ《ニコル・ボーラス》といった特殊なケースでのみ使われるが、基本的なリアニメイトは、単純に強力なクリーチャーを《動く死体》や《ネクロマンシー》、《再活性》で釣り上げる。優秀なパーツが集まれば、時にメタの一線級に躍り出ることがある。
優秀なクリーチャーが加わっていくエクステンデッドなどの環境では、プロツアーを含め多くの大会で活躍した。
⇒2001年 【関連】《納墓》+《再活性》
19 《沼》 3 《リシャーダの港》 -土地(22)- 1 《悲哀の化身》 2 《Krovikan Horror》 1 《マローの魔術師ムルタニ》 1 《冥界のスピリット》 1 《新緑の魔力》 1 《ゴブリンの太守スクイー》 -クリーチャー(7)- |
4 《吸血の教示者》 4 《ゾンビの横行》 2 《動く死体》 3 《生き埋め》 4 《強迫》 4 《納墓》 4 《再活性》 4 《死体発掘》 1 《虐殺》 1 《汚染》 -呪文(31)- |
1 《悲哀の化身》 1 《隆盛なるエヴィンカー》 1 《骨砕き》 2 《汚染》 3 《棺の追放》 1 《無のロッド》 2 《虐殺》 1 《非業の死》 1 《恐怖》 2 《ファイレクシアの抹殺者》 -サイドボード(15)- |
当時のYMG(Your Move Games)がデザインしエクステンデッドのプロツアーに持ち込んだのがこの『Benzo』だ。
《納墓》によって、釣り上げるクリーチャーをデッキからサーチできるようになり対応力が大きく向上している。本来は自分に対して手札を捨てるカードを使わなくてはいけないが、《納墓》によってその問題を一気に解決したため、一気にメタのトップに躍り出た。
リアニメイトは瞬殺コンボではなく、巨大なクリーチャーのマナを踏み倒すという戦略ではあるが、瞬殺デッキとしての墓地利用デッキも存在するのでそれはまた別で紹介していこう。
9) 《ファイレクシアン・ドレッドノート》
1マナ12/12トランプル。軽いマナコストと最強のサイズを持つのがミラージュの《ファイレクシアン・ドレッドノート》だ。ただ、そのサイズの代償として、戦場に出るときに合計パワー12以上のクリーチャーを生け贄に捧げなくてはいけないため、単体のクリーチャーとしての実用性は薄く、パワーの大きさを生かすコンボやそのデメリットを無視できるようにするといった形で使われることが多い。
⇒1998年 +《伏魔殿》
4 《島》 3 《山》 1 《沼》 2 《アダーカー荒原》 4 《硫黄泉》 3 《地底の大河》 1 《知られざる楽園》 3 《宝石鉱山》 2 《反射池》 -土地(23)- 4 《ファイレクシアン・ドレッドノート》 -クリーチャー(4)- |
4 《吸血の教示者》 1 《解呪》 1 《中断》 4 《衝動》 3 《マナ漏出》 1 《対抗呪文》 4 《直観》 2 《魔力消沈》 3 《再活性》 2 《先触れ》 4 《伏魔殿》 4 《魔力の櫃》 -呪文(33)- |
1 《ウークタビー・オランウータン》 2 《水流破》 4 《紅蓮破》 1 《解呪》 1 《地に平穏》 1 《非業の死》 3 《憂鬱》 2 《日中の光》 -サイドボード(15)- |
もっともこのクリーチャーを有名にしたコンボは、"日本三大地雷"笹沼希予志が制作し1998年のアジア太平洋選手権で準優勝を果たした『パンデモノート』だろう。
《伏魔殿》はエクソダスで加わったエンチャントで、クリーチャーが戦場に出たとき、そのパワー分のダメージを好きなように飛ばすことができる。《ファイレクシアン・ドレッドノート》は戦場に出たとき、条件を満たさないと墓地に置かれてしまうが、一旦は戦場に出るため《伏魔殿》の誘発型能力はトリガーし、12点のダメージを与えることが出来た。2回出すか、1回使った《ファイレクシアン・ドレッドノート》を《再活性》することでコンボを達成した。
その後のエラッタによって、《ファイレクシアン・ドレッドノート》の生け贄に捧げるというテキストが「戦場に出たとき」から「出るに際し」に変更になり、そもそも戦場に出なくなったことで、このコンボは一時的に消滅する。
しかし、2007年に再びテキストがもとに戻り、コンボ要素として復活を果たす。
⇒2007年 +《もみ消し》
8 《島》 4 《Underground Sea》 1 《沼》 3 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 3 《アカデミーの廃墟》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地(22)- 4 《ファイレクシアン・ドレッドノート》 2 《粗石の魔道士》 -クリーチャー(6)- |
4 《もみ消し》 3 《計略縛り》 4 《渦まく知識》 3 《商人の巻物》 1 《嘘か真か》 4 《Force of Will》 3 《目くらまし》 1 《誤った指図》 1 《残響する真実》 4 《強迫》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(32)- |
4 《寒け》 3 《基本に帰れ》 3 《魔力流出》 3 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 2 《残響する真実》 -サイドボード(15)- |
テキストが元に戻った後は《もみ消し》によって、《ファイレクシアン・ドレッドノート》の誘発型能力を打ち消し殴り勝つ、コンボデッキ『スタイフルノート』がレガシー環境で生まれた。
決まれば勝ちという類ではないが、コンボ要素が共に1マナと軽いこと、リアニメイトなどと違い墓地に落とすといった手間が無いこと、青の豊富なドローソースやカウンター呪文を無理なく使えることなどの利点があった。
⇒2010年 +《Illusionary Mask》
また、2010年にレガシーで《Illusionary Mask》が解禁されたことで、『マスクドレッド』も復活している。《Illusionary Mask》は手札のカードを変異のようにして使えるため、《ファイレクシアン・ドレッドノート》の場に出たときのデメリットを無視できる。ヴィンテージでは定番のコンボだったが、それがレガシーでも使用可能となっている。
■1997年
10) 《大地の知識》
テンペストブロックが発売され、マナを無限に生み出すというコンボで多くの派生を生み出したのが、《大地の知識》だ。2マナのエンチャントでクリーチャーをタップすることで基本地形をアンタップでき、基本地形に《繁茂》などをエンチャントすることでそのマナからクリーチャーを生みだす、もしくはクリーチャーをアンタップさせるといったシステムが使われた。組み合わせるものとの名前を冠して『~クラフト』と呼ばれる。
⇒1997年 +《聖なるメサ》+《繁茂》
8 《平地》 3 《森》 4 《低木林地》 1 《真鍮の都》 3 《草原》 -土地(19)- 4 《根の壁》 -クリーチャー(4)- |
4 《悟りの教示者》 1 《税収》 2 《解呪》 4 《中断》 4 《関税》 4 《ガイアの祝福》 2 《神の怒り》 4 《大地の知識》 4 《聖なるメサ》 2 《淘汰》 1 《謙虚》 4 《繁茂》 1 《操り人形のヒモ》 -呪文(37)- |
平地に《繁茂》を付け、《聖なるメサ》で生み出したトークンを使ってアンタップして、再びそのマナでトークンを生むというもの。無限に表れるペガサストークンで攻撃して勝利した。
⇒1999年 +《カブトガニ》
8 《島》 14 《森》 -土地(22)- 4 《アルゴスの女魔術師》 4 《カブトガニ》 4 《花の壁》 -クリーチャー(12)- |
4 《大地の知識》 4 《魔力消沈》 4 《繁茂》 4 《肥沃な大地》 3 《直観》 4 《天才のひらめき》 4 《時のらせん》 -呪文(27)- |
青マナだけでアンタップする《カブトガニ》と《大地の知識》の相性は非常に良く、簡単に無限マナが出て《天才のひらめき》などで勝利できた。この《カブトガニ》などの活躍によって、《大地の知識》はスタンダードで禁止カードに指定されることとなった。
《大地の知識》が2マナということもあり、ある一定の動作を循環させるコンボの中でも、十分な速さを持っていたというのも禁止の要因だろう。
11) 《魔の魅惑》
《魔の魅惑》はテンペストで加わったエンチャントで、3マナ以下のクリーチャーをインスタントタイミングかつコスト無しでキャストすることができるカードだ。この効果自体はマナを踏み倒すというコンボのために作られたようなカードになっているが、それが大きく注目されたのは発売よりずっと後のエクステンデッドであり、どちらかと言えば遅咲きのコンボデッキだと言えるだろう。
⇒2002年 +《洞窟のハーピー》+《ワタリガラスの使い魔》
《魔の魅惑》は《永劫の輪廻》のような無限循環系のコンボデッキである。プレーンシフトの開門クリーチャー《洞窟のハーピー》は戦場に出たときに青と黒のクリーチャーを手札に戻すことができた、1ライフを払えば能力で戻ることもできたため、《ワタリガラスの使い魔》を1ライフだけで使いまわすことができたし、《魂の管理人》によって無限ライフを得ることができた。
4 《ヘイヴンウッドの古戦場》 4 《ラノワールの荒原》 4 《サングラスの大草原》 4 《トロウケアの廃墟》 4 《真鍮の都》 2 《コイロスの洞窟》 1 《高級市場》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(24)- 4 《花の壁》 4 《ワイアウッドの野人》 4 《ワタリガラスの使い魔》 4 《洞窟のハーピー》 3 《アカデミーの学長》 1 《魂の管理人》 1 《リシャーダの巾着切り》 1 《渦巻き戦士》 1 《まやかしの預言者》 -クリーチャー(23)- |
4 《陰謀団式療法》 4 《エラダムリーの呼び声》 4 《魔の魅惑》 1 《押収》 -呪文(13)- |
4 《帰化》 4 《催眠の悪鬼》 1 《ウークタビー・オランウータン》 1 《まやかしの預言者》 1 《現実主義の修道士》 1 《静寂》 1 《日中の光》 2 《ボトルのノーム》 -サイドボード(15)- |
このコンボのメリットは、マナが《魔の魅惑》分しかかからないという点だ。それゆえにコンボデッキとしての安定度は高い。クリーチャーが追加されるごとにマイナーチェンジを繰り返し、その安定度を高めていったため、エクステンデッドでは長い間使われるコンボデッキとなっていった。
当然ながら、カードプールが広ければ広いほどにそのクリーチャーの選択範囲も広いため、レガシー環境では《帝国の徴募兵》を使いより少ないパーツでコンボを達成している。
⇒2007年 +《帝国の徴募兵》+《夢で忍び寄るもの》
3 《Bayou》 3 《裏切り者の都》 2 《森》 1 《島》 3 《汚染された三角州》 1 《沼》 4 《Tropical Island》 3 《吹きさらしの荒野》 3 《樹木茂る山麓》 -土地(23)- 1 《オーリオックのチャンピオン》 1 《洞窟のハーピー》 2 《夢で忍び寄るもの》 1 《永遠の証人》 3 《帝国の徴募兵》 1 《蛆たかり》 1 《大クラゲ》 4 《花の壁》 4 《根の壁》 -クリーチャー(18)- |
4 《直観》 3 《陰謀団式療法》 4 《生ける願い》 4 《思考囲い》 4 《魔の魅惑》 -呪文(19)- |
1 《骨砕き》 1 《永遠の証人》 1 《帝国の徴募兵》 1 《大クラゲ》 1 《厳格な試験監督》 1 《ヴィリジアンのシャーマン》 1 《陰謀団式療法》 4 《虚空の力線》 3 《仕組まれた爆薬》 1 《裏切り者の都》 -サイドボード(15)- |
《帝国の徴募兵》が1枚あれば、《夢で忍び寄るもの》、そして《洞窟のハーピー》を持ってくることで、全てのコンボパーツを揃えることができる。問題は《帝国の徴募兵》が高いということかもしれない。
12) 《隠遁ドルイド》
リアニメイトではなく、墓地を利用した瞬殺デッキと呼べるデッキを進化させたのが、ストロングホールドで生まれた《隠遁ドルイド》だろう。
《隠遁ドルイド》は基本土地が出るまで、ライブラリーを墓地に落としていき、基本土地が捲れたらそれを手札に入れる起動型能力を持っている。この能力は当然ながら、デッキに基本土地を入れなければ、全てのカードが墓地に落ちることを意味する。
この全てカードを落とせる速さは類を見ないもので、それによって多くのコンボデッキが生まれている。
⇒1998年 +《惨劇の記憶》
スタンダードこそ墓地のクリーチャー分のダメージを与える《惨劇の記憶》といったカードと共に使われるくらいであったが、カードプールの広いエクステンデッドで、《隠遁ドルイド》さえあればコンボが決まるという形が開発されると一気にトーナメントシーンへ踊り出ることになった。
⇒2002年 +《縫合グール》+《憤怒》
1 《山》 1 《地底の大河》 4 《ラノワールの荒原》 2 《デアリガズのカルデラ》 4 《真鍮の都》 4 《見捨てられた都市》 1 《色あせた城塞》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《反射池》 -土地(23)- 4 《隠遁ドルイド》 2 《憤怒》 2 《縫合グール》 1 《悲哀の化身》 2 《新緑の魔力》 1 《クローサの巨像》 -クリーチャー(12)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《強迫》 4 《再活性》 2 《死体発掘》 4 《吸血の教示者》 4 《納墓》 2 《陰謀団式療法》 1 《クローサ流再利用》 -呪文(25)- |
1 《幻影のニショーバ》 4 《防御の光網》 3 《寒け》 1 《仕組まれた疫病》 1 《棺の追放》 1 《天啓の光》 2 《帰化》 1 《頭の混乱》 1 《沼》 -サイドボード(15)- |
ジャッジメントで加わった墓地と関連深いクリーチャー《縫合グール》、そして、墓地のカードをライブラリーに戻せるフラッシュバックの付いたインスタント《クローサ流再利用》が、《隠遁ドルイド》を起動するだけで勝てるデッキへと進化させている。
このデッキでは《山》を手に入れる必要があるため、一度で全てのデッキを墓地へ落とすことはできないが、2回の起動で全て落とすことができ、そこから、《クローサ流再利用》で《再活性》 《縫合グール》を釣り上げ、墓地のクリーチャーを取り除けば、致死ダメージをたたき出すだけのトランプル、速攻を持ったクリーチャーが誕生する。
また、《納墓》によるリアニメイトとの複合型になっており、瞬殺を狙うだけでなく普通のリアニメイトとしての側面も存在していた。
⇒2003年 +《死体のダンス》+《ドラゴンの息》
その後、《納墓》は禁止されてしまうが、それでもデッキの中核は失われておらず、よりコンボの形へと進化していく。鍛冶友浩がプロツアー・ニューオリンズで使った形は《納墓》こそ禁止されているものの、1回の起動で全て墓地に落ちるようになっており、《山》がなくても速攻を付与できる《ドラゴンの息》を使用し、また、《生き埋め》と《死体のダンス》によって、《隠遁ドルイド》にだけ頼らない構成になっている。
2 《古えの墳墓》 4 《真鍮の都》 4 《裏切り者の都》 4 《ラノワールの荒原》 4 《囁きの大霊堂》 4 《地底の大河》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(23)- 4 《隠遁ドルイド》 3 《クローサの雲掻き獣》 2 《縫合グール》 -クリーチャー(9)- |
4 《生き埋め》 1 《陰謀団式療法》 4 《死体のダンス》 1 《ドラゴンの息》 4 《強迫》 2 《死体発掘》 1 《クローサ流再利用》 4 《モックス・ダイアモンド》 2 《神秘の教示者》 1 《再活性》 4 《吸血の教示者》 -呪文(28)- |
1 《秘儀の研究室》 1 《陰謀団式療法》 1 《棺の追放》 1 《ひどい憔悴》 3 《防御の光網》 1 《クローサ流再利用》 1 《帰化》 4 《プロパガンダ》 1 《天啓の光》 1 《木裂獣》 -サイドボード(15)- |
⇒2007年 【関連】《セファリッドの幻術師》+《コーの遊牧民》
今はレガシー環境においても《隠遁ドルイド》は禁止カードになっているが、それに代わるものとして『セファリッド・ブレックファスト』が存在するのは関連として記しておこう。
《セファリッドの幻術師》を《コーの遊牧民》で対象に取り続けることによって、墓地にカードを全て落とすことができるのであとは同様にコンボを決める。墓地にカードを落とすエンジンの部分が入れ替わったデッキと言えるだろう。
4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 3 《Tropical Island》 4 《Tundra》 2 《Underground Sea》 -土地(17)- 4 《セファリッドの幻術師》 3 《ナルコメーバ》 4 《コーの遊牧民》 1 《コーのシャーマン》 1 《縫合グール》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(17)- |
4 《渦まく知識》 2 《エラダムリーの呼び声》 4 《Force of Will》 4 《俗世の教示者》 2 《陰謀団式療法》 1 《戦慄の復活》 4 《先触れ》 4 《霊気の薬瓶》 1 《ドラゴンの息》 -呪文(26)- |
3 《闇の腹心》 1 《厳格な試験監督》 4 《中断》 2 《残響する真実》 1 《ひどい憔悴》 4 《強迫》 -サイドボード(15)- |
13) 《精神力》
エクソダスで加わった《精神力》はコンボにおいては悪名高いウルザブロックにおけるコンボ時代を象徴とするカードの一つだ。ただ、エクソダス当初から注目されていたというわけではない。実際の能力から見れば燃費の悪い能力であるため、それを最大限生かせてしまう、ウルザブロックがどれほど強かったかということが分かる。
⇒1998年 +《トレイリアのアカデミー》+《時のらせん》
《精神力》がもっとも凶悪なコンボとして知られるのがウルザズ・サーガが加わったときの《トレイリアのアカデミー》そして、《時のらせん》との組み合わせだ。実際のトーナメント、当時の年末に行われたFinalsといったイベントでも会場を席巻しており、1ターンキル率が現実的なものであるというのは、《Force of Will》の無いスタンダード環境においては致命的といってもいい出来事であったのかもしれない。
3 《島》 4 《古えの墳墓》 4 《真鍮の都》 4 《トレイリアのアカデミー》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- -クリーチャー(0)- |
3 《水蓮の花びら》 4 《魔力の櫃》 4 《モックス・ダイアモンド》 3 《巻物棚》 3 《通電式キー》 3 《精神力》 4 《時のらせん》 3 《意外な授かり物》 1 《火の玉》 1 《転覆》 3 《直観》 3 《魔力消沈》 3 《天才のひらめき》 3 《紅蓮破》 -呪文(41)- |
1 《無のブローチ》 3 《日中の光》 4 《寒け》 2 《ヨーグモスの意志》 3 《解呪》 1 《天才のひらめき》 1 《紅蓮破》 -サイドボード(15)- |
大量のアーティファクトと《トレイリアのアカデミー》によって1ターン目に《意外な授かり物》や《時のらせん》をキャストしていく。莫大なマナと優秀なドローソースによって再び大量のアーティファクトを置いていき、《精神力》まで繋げれば準備万端、まずは《天才のひらめき》を自分に使い大量のカードを手にし、それをマナに変えて、今度は相手に《天才のひらめき》を引ききれない分だけ撃って勝負を決める。
もちろん、シャッフルに付き合っていただけでゲームが終わってしまうようなデッキが許されるわけもなく、多くのカードが禁止カードに指定された。それでも《精神力》は形を変えて生き残っていくが、結局はデッキ構成のメインとなるパーツのほとんどが禁止されることなる。
■1998年
14) 《騙し討ち》
《トレイリアのアカデミー》などの影の隠れてはいたものの、ウルザズ・サーガの中では健全なコンボデッキとして使われたのがこの《騙し討ち》だ。《騙し討ち》は4マナのエンチャントで、赤マナを1つ払えば、手札のクリーチャー1体を、マナコストを関係無しに戦場に出し、速攻を付けて攻撃できるというものだった。
⇒1999年 +《火口の乱暴者》+《セラのアバター》
8 《山》 5 《平地》 4 《真鍮の都》 3 《ファイレクシアの塔》 3 《リシャーダの港》 -土地(23)- 1 《魔術師の導師》 4 《アカデミーの学長》 1 《無限のワーム》 3 《血まなこのサイクロプス》 4 《火口の乱暴者》 4 《ファイレクシアの巨像》 2 《茨の精霊》 1 《セラのアバター》 -クリーチャー(20)- |
4 《厳かなモノリス》 4 《騙し討ち》 1 《ヨーグモスの取り引き》 4 《ギャンブル》 4 《悟りの教示者》 -呪文(17)- |
1 《スランの鋳造所》 1 《呪われたトーテム像》 4 《防御の光網》 1 《緑の防御円》 1 《赤の防御円》 1 《正義のオーラ》 1 《秘儀の研究室》 1 《日中の光》 1 《解呪》 3 《断層》 -サイドボード(15)- |
最初こそ《騙し討ち》の最上のパートナーは20ライフなら1回の攻撃で相手を倒せる《セラのアバター》と思われていたが、そもそも通らないファッティにそこまで有用性が無いということが分かると、ボードをコントロールできる《火口の乱暴者》や安定したダメージが期待できる《ファイレクシアの巨像》などにシフトしていった。
同時に、《アカデミーの学長》によって、《騙し討ち》を戦場に出せるだけでなく、出した後も、エンチャントを戦場に出せるクリーチャーとして投げられるというのは強みであり、ウルザズ・デスティニーが出た後のウルザブロック構築でも活躍したデッキだった。
また、エクステンデッドにおいても強烈な個性を発揮したデッキでもある。
⇒2005年 +《ドラゴンの暴君》+《猛火の群れ》
4 《ドラゴンの暴君》 3 《共生のワーム》 1 《セラのアバター》 4 《刃の翼ロリックス》 2 《火口の乱暴者》 -土地(14)- 4 《裂け目の突破》 4 《金属モックス》 4 《猛火の群れ》 4 《ギャンブル》 4 《捨て身の儀式》 4 《煮えたぎる歌》 4 《騙し討ち》 -クリーチャー(28)- |
4 《ドワーフ都市の廃墟》 4 《鋭き砂岩》 3 《水晶鉱脈》 3 《裏切り者の都》 4 《山》 -呪文(18)- |
4 《紅蓮光電の柱》 4 《防御の光網》 2 《最後の賭け》 1 《落盤》 3 《セラのアバター》 1 《映し身人形》 -サイドボード(15)- |
《セラのアバター》で成しえなかった現実的な瞬殺コンボを《ドラゴンの暴君》と《猛火の群れ》で成しえたのがこの形だ。二段攻撃によって、《ドラゴンの暴君》のパワーを10にすれば致死ダメージとなり、トランプルと飛行によってクリーチャーで止めるのはほぼ不可能だった。
《騙し討ち》はクリーチャーの質が上がれば上がるほどに強くなる。今のレガシーでは、エルドラージという最強のクリーチャーを得て強力に進化した。
⇒2010年 +《引き裂かれし永劫、エムラクール》
3 《古えの墳墓》 2 《島》 4 《霧深い雨林》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 4 《Volcanic Island》 -土地(18)- 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 4 《森滅ぼしの最長老》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 1 《残響する真実》 4 《Force of Will》 3 《水蓮の花びら》 4 《思案》 3 《煮えたぎる歌》 4 《実物提示教育》 4 《騙し討ち》 2 《呪文貫き》 1 《拭い捨て》 -呪文(34)- |
3 《血染めの月》 2 《炎渦竜巻》 4 《紅蓮破》 2 《貪欲な罠》 1 《大祖始の遺産》 2 《呪文貫き》 1 《トーモッドの墓所》 -サイドボード(15)- |
歴代最強クラスのクリーチャーと言えば《引き裂かれし永劫、エムラクール》だろう。このデッキでは《実物提示教育》によって戦場に出すパターンと、《騙し討ち》によって襲い掛かるパターンの2つが用意されている。どちらにしろ1回攻撃できれば、相手のパーマネントは0であり、勝利をもたらしてくれるのは容易だ。
今ではミラディン包囲戦から《荒廃鋼の巨像》といった選択もあるかもしれない。クリーチャーがオーバースペックなるにしたがって《騙し討ち》も強くなる、そんな世界も体験できるのがレガシーという環境なのだろう。
今回はここまで。次はスタンダード最強の1ターンキルコンボ、最速禁止の『メグリムジャー』が登場するぞ!
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