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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第72回:新環境の《出産の殻》デッキ特集
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.09.29
第72回:新環境の《出産の殻》デッキ特集
こんにちはー。
イニストラードの発売が、いよいよ今週末に迫ってまいりました。先週末は現実世界でゼンディカーブロックと基本セット2011が使える最後の大会だったということで、各地で思い入れのあるカードを使ったデッキが大暴れしたことでしょう。
ゼンディカーブロックと基本セット2011の追悼企画は、先週の記事でやらせていただいたので、今週からは心機一転、新環境のデッキを特集していきます。
とはいえ、現実世界でイニストラードが使えるのは今週末からなので、今週に限っては大会結果を参考にすることはできません。
そんなわけで、久しぶりに僕が作ったデッキをお届けしたいと思います。
昔から自分でデッキを作るのは苦手なのですが、できるだけトーナメントレベルに近づけるように努力したつもりなので、最後までお付き合いの方よろしくお願いいたします。
記念すべき新環境1発目!
第70回の連載でお伝えしたように、ローテーション後にTier1になりやすいデッキは、大まかに分けて以下の3つになります。
- ローテーションの影響を受けないデッキ
- 新セットの登場により誕生する新デッキ
- ブロック構築でTier1だったデッキ
具体的な例は70回の記事を読んでいただくとして、基本的にこれらのデッキが環境を支配していくことが多いのが新環境初期の特徴です。
しかしながらこの時期と言えば、新しいアーキタイプを自分で生み出す絶好の機会でもあります。何もお手本にすべきものがない状況なので、メタゲームが定まるまでに時間がかかることが多いですし、普段であればメタゲームを教えてくれるはずの「Decks of the Week」も、MOにはまだイニストラードがないので当てにできませんからね。
そんな誰もが手探り状態の中で、メタゲームをあまり気にせずに自分の好きなカードの入ったデッキを作ったり、まだ誰も見つけていないテクニックをいち早く発見したり、というのも新環境の醍醐味のひとつです。
それにローテーション前後に限らず、新セットが発売されると、いつも以上にマジックするのが楽しいですよね。努力して集めたカードをデッキに加える瞬間だったり、スポイラーを眺めながら「早くこのカード使いたいなぁ」なんてカードに想いをはせる瞬間は、多くのプレイヤーにとって至福の時だと思います。
もちろん僕もその中の一人なので、今週は新セットのカードを詰め込んだ「《出産の殻》」デッキを見てまいりましょう。「《出産の殻》」デッキばかり特集してしまって申し訳ない気持ちもあるのですが、今ではまぎれもないTier1デッキですので、仮に使わないデッキだとしても、チェックしておいて損はないと思います。
「《出産の殻》」デッキの動きやカード選択の理由については、第59回や、第66回、第68回の連載が参考になると思いますので、まだご覧になっていない方は、お手数ですがぜひそれらもご覧になってみてください。
特に第59回でお伝えした「《出産の殻》」デッキが抱える、「《出産の殻》を引かない時にどうするか」という問題は、デッキの色は違えど、今回の連載でも度々登場するので、ぜひとも抑えておいてほしいポイントです。
今週は旧環境のリストと新環境のリストを見比べながら、「《出産の殻》」デッキができなくなったこと、また、イニストラードのカードが加わって、新たにできるようになったことを中心に書いていきます。
ローテーションによる「《出産の殻》」デッキの変化
まずはローテーションによる以前との違いを、旧環境のデッキを見ながら簡単にまとめてみましょう。
イニストラード前の「《出産の殻》」デッキには、「青緑白」、「青緑赤」、「青緑黒」など、様々なバリエーションがありますが、だいたいの場合は、「青緑」に+αという形が主流でした。
これはなぜかと言いますと、基本セット2012で登場した《幻影の像》がデッキの特性に合致していて強いこと、《海門の神官》と《定業》が《出産の殻》を探すのに適任だったことが、理由として挙げられます。
5 《森》 2 《島》 1 《平地》 4 《剃刀境の茂み》 4 《金属海の沿岸》 4 《霧深い雨林》 2 《地盤の際》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 3 《ラノワールのエルフ》 1 《森のレインジャー》 1 《ヴィリジアンの密使》 2 《幻影の像》 4 《海門の神官》 1 《刃の接合者》 1 《シルヴォクの模造品》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《真面目な身代わり》 1 《石角の高官》 1 《強情なベイロス》 2 《酸のスライム》 1 《剃刀のヒポグリフ》 1 《正義の執政官》 1 《太陽のタイタン》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(28)- |
4 《定業》 4 《出産の殻》 2 《滞留者ヴェンセール》 -呪文(10)- |
1 《呪文滑り》 1 《孤独な宣教師》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 2 《強情なベイロス》 1 《酸のスライム》 1 《正義の執政官》 3 《瞬間凍結》 3 《帰化》 2 《忘却の輪》 -サイドボード(15)- |
《幻影の像》はローテーション後でも使えるので問題ありませんが、《海門の神官》と《定業》の退場こそが、「《出産の殻》」デッキが今後抱える問題です。
~ローテーションによって失ってしまった機能~
ローテーションで失ってしまったカードは、《森のレインジャー》や《強情なベイロス》などそれなりにありますが、これらは簡単に代用品を見つけることができます。
前者であれば《アヴァシンの巡礼者》や《ヴィリジアンの密使》が、後者であれば《解放の樹》《剃刀のヒポグリフ》《ホロウヘンジのゴミあさり》といった具合ですね。
しかし前述の《海門の神官》と《定業》は、比較的替えがききづらいパーツに分類されます。
《定業》に関しては、《思案》が使えなくもないですが、やはり各種フェッチランドというシャッフル手段を失ってしまったことで、大きく弱体化してしまったことが懸念材料です。
以上の理由から、《出産の殻》を探すのが以前よりも難しくなると予想されますが、そこで新セットから《海門の神官》の代わりを探していたところ、1枚のカードが目に止まりました。それが《弱者の師》です。
7 《森》 2 《平地》 1 《島》 4 《剃刀境の茂み》 4 《金属海の沿岸》 4 《内陸の湾港》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 2 《ラノワールのエルフ》 2 《アヴァシンの巡礼者》 1 《幻影の像》 1 《ヴィリジアンの密使》 1 《呪文滑り》 3 《弱者の師》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 3 《真面目な身代わり》 1 《解放の樹》 1 《石角の高官》 1 《ファイレクシアの変形者》 3 《酸のスライム》 1 《剃刀のヒポグリフ》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《太陽のタイタン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(28)- |
4 《出産の殻》 4 《情け知らずのガラク》 2 《滞留者ヴェンセール》 -呪文(10)- |
1 《シルヴォクの模造品》 1 《正義の執政官》 3 《帰化》 4 《機を見た援軍》 4 《審判の日》 2 《忍び寄る腐食》 -サイドボード(15)- |
このデッキに新たに加わったのは、《弱者の師》と《情け知らずのガラク》という強力な2枚です。
《弱者の師》は、《海門の神官》を超える可能性すらある逸材で、デッキ内のクリーチャーのほとんどがパワー2以下であるため、安定したドローサポートになります。
特筆すべきは、《情け知らずのガラク》と《滞留者ヴェンセール》、両プレインズウォーカーとも相性が良いことですね。
《情け知らずのガラク》は、狼・トークンを出す能力を使えば、僅か1マナでドローを進めることができますし、《滞留者ヴェンセール》でパワー2以下のクリーチャーを隠せば、ターン終了時にドローすることができます。
《弱者の師》を使う際の注意点として、《弱者の師》の能力を使うかどうかの判断が少し難しいですが、基本的には、積極的にドローを進めると言うよりも、マナが余ったら引く、くらいに考えておいた方がいいでしょう。
あくまで《出産の殻》を引かない時のアドバンテージ源なので、あまりドローに拘りすぎて、自分の展開に支障が出てしまうのは避けたいところですね。
マナ喰い虫なので、ビートダウン相手に弱そうなのが気になりますが、他にも色々と相性の良いカードが多いので、みなさんも上手く使える方法を模索してみてください。
《弱者の師》の登場は嬉しいものの、これでも《出産の殻》を引けるかどうかには、まだ若干の不安が残ります。そこで活きてくるのが、第59回で解説した「《出産の殻》を引かない時にどうするか」、ですね。
前回は《精神を刻む者、ジェイス》という、単体でゲームに勝てるカードを入れることで改善を図りましたが、今回もそれに倣ってプレインズウォーカーの力を借りることにしました。
《情け知らずのガラク》はこのカラーリングにとって貴重な除去でありつつ、《ヴェールの呪いのガラク》になれば、マイナス能力で《出産の殻》のような働きをも期待できる新鋭です。
《情け知らずのガラク》を入れることで、「《出産の殻》を引けない時」のカードパワーの低さを緩和することができますし、前述の通り、《弱者の師》との相性の良さも高評価の要因ですね。
それと《強情なベイロス》の穴埋めは《解放の樹》と《剃刀のヒポグリフ》にしてみました。《解放の樹》はまだお試しといった感じですが、《剃刀のヒポグリフ》は、このリストのように《真面目な身代わり》を多めに入れたものならば、安定したライフゲイン手段として重宝すると思います。
そしてそれに伴い、少しだけ《出産の殻》の起動の仕方についてのお話しを。
~理想的な《出産の殻》の連鎖のスタートライン~
僕が《真面目な身代わり》を多めに採用したのには、単純なカードパワーと、《剃刀のヒポグリフ》との相性の良さに加え、もうひとつの理由があります。それは以前解説した、「このデッキのゴール」と関連性があります。
「《出産の殻》」デッキは、「戦場に出たとき」や「戦場を離れたとき」の能力を持つクリーチャーを、《出産の殻》で最大限に活用することでアドバンテージ差を広げていき、最終的に《ワームとぐろエンジン》《太陽のタイタン》《大修道士、エリシュ・ノーン》のようなデカブツ、いわゆる「ゴール」に繋げることで勝利するデッキです。
例え《極楽鳥》から連鎖を始めたとしても、5ターンもすれば、《石角の高官》や《酸のスライム》で相手の妨害をした上で「ゴール」に繋がるのが、《出産の殻》の持つ長所です。
とはいえ、実際問題として《極楽鳥》から連鎖をスタートしていては、あまりにも悠長なのは火を見るよりも明らかでしょう。「どのマナ域からスタートしてもゴールに繋がる」というのは、《出産の殻》の持つ魅力と強さの側面にしかすぎず、連鎖の理想的なスタートラインは、《極楽鳥》や《ヴィリジアンの密使》ではないんですね。
では理想的なスタートラインはどこになるのでしょうか?
僕の見解としては、それは3マナ域か4マナ域になります。理由としては、4マナ域や5マナ域になれば、相手に干渉できる手段が一気に増えるからですね。
特に《弱者の師》や《真面目な身代わり》のように単体で強いカードは、《出産の殻》の有無に関わらず、安定したゲーム運びを可能としてくれるので、これらのように「単体で強く、なおかつ《出産の殻》で生け贄に捧げれば、即座に強いカードに繋がるクリーチャー」は、デッキを作る上でたくさん採用するように心掛けています。
今回の連載で誉めちぎっている、今は亡き《海門の神官》は、その点でも優秀だったので4枚採用されることが多かったのでしょう。《詐欺師の総督》を使えば、2マナから4マナへと一気にジャンプアップできますが、やはり《詐欺師の総督》は、単体での弱さが気になりますね。
みなさんも「《出産の殻》」デッキを作る際には、「ゴール」と呼ばれるクリーチャー選択だけでなく、「スタートライン」のクリーチャー選択にも気を配ってほしいと思います。
いろいろと脱線してしまいましたが、本題である「《出産の殻》を引かない時にどうするか」に戻りましょう。
このリストのように、「《出産の殻》以外にアドバンテージの取れるカードを増やす」のも、ひとつの手ではありますが、日本選手権でふっじー(藤本 知也)さんが行ったように、《出産の殻》に頼らない構成にするのも魅力的な戦略です。
4 《森》 3 《平地》 3 《活発な野生林》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《剃刀境の茂み》 2 《湿地の干潟》 2 《新緑の地下墓地》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 4 《極楽鳥》 4 《巣の侵略者》 3 《水蓮のコブラ》 3 《刃の接合者》 4 《刃砦の英雄》 1 《強情なベイロス》 3 《酸のスライム》 3 《ワームとぐろエンジン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(26)- |
3 《未達への旅》 1 《出産の殻》 4 《野生語りのガラク》 -呪文(8)- |
3 《呪文滑り》 2 《孤独な宣教師》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《酸のスライム》 1 《ガイアの復讐者》 2 《天界の粛清》 2 《忘却の輪》 1 《忍び寄る腐食》 2 《召喚の罠》 -サイドボード(15)- |
このデッキは基本的には中速ビートダウンデッキであり、《出産の殻》は、デッキの汎用性を上げてくれるおまけ程度の存在でした。
しかし《出産の殻》だけで勝てるマッチアップは確かに存在しましたし、実際にMOでは《出産の殻》を増やしたリストもよく見かけました。それを踏まえた上で、このデッキを新環境に適応させると、こんな感じでしょうか。
9 《森》 5 《平地》 4 《剃刀境の茂み》 4 《陽花弁の木立ち》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(24)- 4 《極楽鳥》 4 《アヴァシンの巡礼者》 2 《ヴィリジアンの密使》 4 《刃の接合者》 4 《ミラディンの十字軍》 1 《悪鬼の狩人》 1 《弱者の師》 4 《刃砦の英雄》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《酸のスライム》 1 《ケッシグの檻破り》 1 《天使の監視者》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(30)- |
3 《饗宴と飢餓の剣》 3 《出産の殻》 -呪文(6)- |
2 《呪文滑り》 2 《帰化》 4 《機を見た援軍》 2 《戦争と平和の剣》 2 《忘却の輪》 3 《忍び寄る腐食》 -サイドボード(15)- |
このような形にすれば、《出産の殻》を引けるか否かに関わらず、安定した試合運びができると思います。
唯一5マナ圏のみ、まだどれが良いかの判断がついていないのでバラけていますが、これは実際に試していけばすぐに統一できるでしょう。《出産の殻》の特性を活かすためにも、このままでも良い気もしますけどね。
5マナ圏の中で期待しているのが、《天使の監視者》で、このカードは増量を検討してもいいくらいに強いはずです。このデッキの主力である、《刃の接合者》《ミラディンの十字軍》《刃砦の英雄》などが軒並み「人間」であるため、概ね破壊されない呪禁クリーチャーとしての活躍が期待できるでしょう。
イニストラード・トップカードレビューでも少し触れましたが、スタンダードにはトーナメントレベルの人間・クリーチャーが数多く存在します。
先ほど紹介したものだけに限らず、他にも《アヴァシンの巡礼者》や《悪鬼の狩人》《弱者の師》《ケッシグの檻破り》と盛りだくさん。
これらだけでなく、《純鋼の聖騎士》や《霊誉の僧兵》など、スタンダードにはまだまだ優秀な人間クリーチャーがたくさんいるので、《天使の監視者》は、今後要チェックのクリーチャーだと思います。
さて、ここまではローテーションで失ってしまったドロー能力についてお話ししてきましたが、ここからは新たに加わった能力を中心にしたリストを見ていきましょう。
~新戦力・陰鬱と変身~
「陰鬱」と「変身」は、みなさんご存じのように、イニストラードでフィーチャーされているメカニズムです。
「陰鬱」のトリガー条件は、「このターンいずれかのクリーチャーが死亡していた場合」なのですが、「《出産の殻》」デッキであれば、《出産の殻》を起動するだけでこの条件を満たせるので、《出産の殻》デッキにピッタリの能力と言えますね。
構築で使われそうな代表格は、《ホロウヘンジのゴミあさり》《モークラットのバンシー》《深淵からの魂刈り》なんかがあります。
第59回の連載をご覧いただければ分かるように、もともと「《出産の殻》」デッキがデビューしたのは「緑黒」2色のものだったので、これらのカードはそのカラーリングなら何なくデッキに加えられるでしょう。
今回はその「緑黒」バージョンに《幻影の像》をタッチした、3色のリストをお届けします。
13 《森》 3 《沼》 2 《島》 4 《森林の墓地》 1 《水没した地下墓地》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 3 《ラノワールのエルフ》 1 《ヴィリジアンの密使》 1 《危険なマイア》 1 《呪文滑り》 2 《幻影の像》 1 《シルヴォクの模造品》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《裏切り者グリッサ》 1 《スカーブの殲滅者》 3 《真面目な身代わり》 1 《納墓の総督》 1 《皮裂き》 1 《解放の樹》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《酸のスライム》 1 《モークラットのバンシー》 1 《ホロウヘンジのゴミあさり》 1 《虐殺のワーム》 1 《深淵からの魂刈り》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《囁く者、シェオルドレッド》 -クリーチャー(30)- |
4 《出産の殻》 3 《情け知らずのガラク》 -呪文(7)- |
1 《グリセルブランドの信奉者》 1 《邪悪な双子》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《練達の盗賊》 2 《酸のスライム》 1 《棘投げの蜘蛛》 1 《破滅の刃》 2 《喉首狙い》 3 《忍び寄る腐食》 2 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
《危険なマイア》+《裏切り者グリッサ》や、《出産の殻》から《スカーブの殲滅者》を導くギミックなどは入っていますが、比較的オーソドックスなタイプですね。ここでも《出産の殻》を引けない状況を打破するために、《情け知らずのガラク》を採用しています。
サイドボードに潜む《グリセルブランドの信奉者》は、密かに注目している1枚で、ビートダウンデッキ相手に良い働きをしてくれそうです。とはいえ、あまりにも状況に依存するので、素直に《解放の樹》の追加を入れる方がまるい気もしますが。
最後は「変身」ギミックを多用したリストの紹介です。
7 《森》 2 《沼》 2 《山》 4 《銅線の地溝》 3 《森林の墓地》 3 《黒割れの崖》 2 《ケッシグの狼の地》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《ラノワールのエルフ》 3 《ヴィリジアンの密使》 1 《アヴァブルックの町長》 1 《シルヴォクの模造品》 1 《ファイレクシアの憤怒鬼》 1 《躁の蛮人》 2 《夜明けのレインジャー》 1 《真面目な身代わり》 1 《責め苦の総督》 1 《扇動する集団》 1 《オリヴィア・ヴォルダーレン》 1 《オキシド峠の英雄》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《酸のスライム》 1 《ケッシグの檻破り》 1 《隠れしウラブラスク》 1 《虐殺のワーム》 1 《業火のタイタン》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《災火のドラゴン》 -クリーチャー(31)- |
4 《出産の殻》 2 《情け知らずのガラク》 -呪文(6)- |
4 《呪文滑り》 1 《解放の樹》 1 《酸のスライム》 1 《ホロウヘンジのゴミあさり》 4 《電弧の痕跡》 4 《古えの遺恨》 -サイドボード(15)- |
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|
両面カードのルール |
「変身」は、「陰鬱」とは違って誘発する条件がカードによって異なるのですが、赤と緑の「狼男」が「変身」するためには、「直前のターンに呪文が唱えられていない」必要があります。
しかしながら、シミチンさんが記事で解説している通り、《出産の殻》を起動して「狼男」を導けば、呪文を唱えることなく戦場に出して、次のターンに「変身」させることが可能です。
このリストは、その《出産の殻》と「変身」の相性の良さを活かして、少し前のめりに組んでみました。色は違うのですが、第68回で紹介したPatrick Chapinのデッキのように、《出産の殻》を使ったビートダウンのイメージですね。
「変身」クリーチャーの注意点として、「変身」すると=夜の側の状態だと、点数で見たマナコストが0になってしまう、という点が挙げられます。
他のデッキであれば、これは全く気にならない問題なんですが、《出産の殻》で夜の面のクリーチャーを生け贄に捧げた場合は、《極楽鳥》などの1マナ域のクリーチャーしか持ってこれないのでご注意くっださい。
長い間赤の代名詞であった、《狡猾な火花魔道士》はもういませんが、ティムの強化版と言える《夜明けのレインジャー》や《オリヴィア・ヴォルダーレン》が登場していますし、サイドボードの《電弧の痕跡》と《古えの遺恨》は赤だけに許された特権ですので、今後も赤を使うメリットは十分にあると思います。
個人的に、無色ランドシリーズで最も期待している《ケッシグの狼の地》も、赤絡みのデッキでないと使えませんしね。ぜひとも《最後のトロール、スラーン》や《災火のドラゴン》に起動したい1枚です。
実は《裂け木の恐怖》《錯乱した助手》《ヴェールのリリアナ》などを駆使し、墓地を活用する「《出産の殻》」デッキも考えていたのですが、残念ながらそちらのほうは時間内にまとめることができませんでした。しかしながら、「《出産の殻》」デッキの多様性と可能性をほんの僅かではありますが、みなさんにお見せできたのではないかと思います。
今回紹介した色の組み合わせでデッキを作ってもらえたら嬉しいですが、シミチンさんのように「青緑赤」で組むもよし、まだ見ぬ「緑白黒」で組むもよしと、《出産の殻》デッキの可能性は無限大です!
期待の新戦力リスト
最後に、イニストラードで「《出産の殻》」デッキに入りそうなカードを色ごとにピックアップしたので、「《出産の殻》」デッキを作る際にはぜひご活用ください。これらのカードを上手く使えるかどうかは、あなたの腕にかかっています。
~白~
~青~
~黒~
- 《グリセルブランドの信奉者》
- 《脳ゾウムシ》
- 《血統の守り手》
- 《モークラットのバンシー》
- 《血の贈与の悪魔》
- 《深淵からの魂刈り》
- 《心なき召喚》
- 《死の支配の呪い》
- 《堀葬の儀式》
~赤~
~緑~
- 《アヴァシンの巡礼者》
- 《骨塚のワーム》
- 《裂け木の恐怖》
- 《夜明けのレインジャー》
- 《解放の樹》
- 《ケッシグの檻破り》
- 《ホロウヘンジのゴミあさり》
- 《荒れ野の本質》
- 《隊商の夜番》
- 《骨までの齧りつき》
- 《蜘蛛の発生》
- 《情け知らずのガラク》
~マルチカラー~
- 《邪悪な双子》
- 《オリヴィア・ヴォルダーレン》
~その他~
- 《死者の呪文書》
- 《ガヴォニーの居住区》
- 《ムーアランドの憑依地》
- 《ケッシグの狼の地》
こんな感じですね。本当に《出産の殻》の持つ可能性は未知数なので、みなさんもぜひぜひご自身ならではの形を見つけてみてください。
今週はここまでです。来週からは、各地の大会結果をチェックしていきたいと思っています。どんなデッキが現れるのか、みなさんの力作に期待大ですね。
それでは、また来週ー!
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