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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第62回:『基本セット2012』先取り!日本選手権直前特集
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.07.13
第62回:『基本セット2012』先取り!日本選手権直前特集
こんにちはー。
今週末はいよいよ日本選手権です。僕はライターとして参加予定なのですが、みなさんはもうデッキを決めましたか?
今回は直前予選や本戦、またはサイドイベントに参加される予定のみなさま、あるいはカバレージをご覧いただく方々のお力になれるよう、『基本セット2012』入りのデッキ特集をしていきます。
僕はデッキを一から作るのが苦手なのですが、色んなサイトをめぐって情報を集めたりして、極力実戦レベルのデッキを載せられるように努力したつもりです。それでも、まだまだ至らぬところは多いかと思いますが、今週も最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
なお、今週の記事を書くにあたっていくつかのサイトのリストなどを参考にさせてもらいました。この場を借りてお礼を申し上げます。
まずは、信じられないくらいの勝ちっぷりを披露しているこのデッキから紹介させていただきましょう。
「今週の勝ち組」・「白単《鍛えられた鋼》」
16 《平地》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(20)- 4 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《呪文滑り》 4 《鋼の監視者》 4 《磁器の軍団兵》 -クリーチャー(24)- |
3 《オパールのモックス》 4 《急送》 4 《きらめく鷹の偶像》 1 《四肢切断》 4 《鍛えられた鋼》 -呪文(16)- |
4 《コーの火歩き》 3 《天界の粛清》 3 《忠実な軍勢の祭殿》 3 《攻撃的な行動》 2 《ぐらつく峰》 -サイドボード(15)- |
先週くらいから圧倒的な勝ち頭となっているのがこちらの「白単《鍛えられた鋼》」です。デッキ名にもなっている《鍛えられた鋼》を引いた時の爆発力はすさまじいものがあり、大抵のデッキはその猛攻を防ぎきることができません。一度《鍛えられた鋼》が戦場に出てしまえば、環境的にメイン戦ではほとんど《鍛えられた鋼》を割られることがないため、こちらの優位は揺るぎません。
《きらめく鷹の偶像》と《墨蛾の生息地》コンビのおかげで、《審判の日》のような全体除去を撃たれたあとでさえ、すみやかにゲームに勝つことができるのも強みですね。
サイドボードに入っている《忠実な軍勢の祭殿》も全体除去対策として重宝しますね。出てくるトークンがちゃんとアーティファクト・クリーチャーなので、《鍛えられた鋼》の恩恵を受けられるのも高評価です。青系のコントロール相手には、これさえ通ってしまえばその後有利にゲームを進めることができます。
《鋼の監視者》は追加の《鍛えられた鋼》といった役割で、クリーチャーなので《鍛えられた鋼》と比べると少し除去されやすいものの、生き残った場合には《鍛えられた鋼》と同等かそれ以上の活躍を見込めます。
このリストはMagic Online上で最も一般的なもので、多くのリストはこの75枚に近い構成か全く同じ構成になっています。つまりすでに完成されたと言ってもいいくらいの出来栄えで、あまりアーティファクトが強くない基本セット2012から入るカードはほとんどないでしょう。
強いて挙げるならば《忘却の輪》がありますが、おそらくはサイドボード要員になると思います。なぜなら、メインボードの完成度はそれくらいに高いからです。
このデッキは特にこれと言った相性の良し悪しはなく、ちゃんとまわればどんなデッキにも勝てますが、その半面で《鋼の監視者》か《鍛えられた鋼》を引けない場合には若干の苦戦を強いられることになるでしょう。
実際に僕がMOで使った感想もそのような感じで、その両者、特に《鍛えられた鋼》を引けるかどうかが勝率に大きく影響していました。
しかしながらそのような弱点を抱えていながらもMOで勝ちまくっているデッキなので、マリガンなどをしっかりすれば十分に許容できるということなのでしょう。
プロツアー・名古屋でも活躍したように、「ミラディンの傷跡」ブロック構築でもお馴染みのデッキですし、みなさんもデッキの大まかな動きは把握していると思うので、いつものように、実際にMOで使って気付いた点をいくつか紹介したいと思います。
極力4枚目の土地を置かない
《鋼の監視者》と《鍛えられた鋼》にバックアップされた《墨蛾の生息地》は、本当にそれだけでゲームに勝てるほどの威力を持っています。必要なタイミングでのみクリーチャーになるので、《審判の日》などにひっかからないですし、それゆえに、他に対象の無い《地盤の際》を《墨蛾の生息地》に使われるという展開は極力避けたいものです。
このデッキはマナカーブが低いですし、それに加え《オパールのモックス》もあり、土地を3枚しか置かなくても展開に支障が出たりはしないので、相手のデッキに《地盤の際》が入っている場合にはこれを徹底したいですね。
もちろん、手札に土地が大量にある場合には、土地を置き続けるだけで《マナ漏出》を回避できるようになるので、ケースバイケースではあるのですが、実際に僕もこのパターンで何度も負けていますし、結構な頻度で「土地を置かない」という戦略が有効であることは覚えておいてください。
《忠実な軍勢の祭殿》の枚数
前述の通りメインから《きらめく鷹の偶像》と《墨蛾の生息地》を取っているため、もとから全体除去にもある程度の耐性は付いているのですが、サイド後の《忠実な軍勢の祭殿》は4枚にしてもいいと思います。
インスタントタイミングで大量にトークンが出るこのカードは、《鍛えられた鋼》などのバックアップなしでも、単体でゲームを決めるだけの力があります。
「青黒コントロール」、「青白コントロール」など、青系のコントロール相手には特に強いので、《ぐらつく峰》か何か1枚を《忠実な軍勢の祭殿》にするといいでしょう。
~このデッキを対策する場合~
このデッキを対策するには、除去などのカード選択に少し変更を加える必要があります。例えば黒いデッキならば、《喉首狙い》ではなく《破滅の刃》を優先したりだとか、《黒の太陽の頂点》や《弱者の消耗》を入れたりですね。
ちなみに現在のメタゲームならば、僕は《喉首狙い》よりも《破滅の刃》をお勧めします。先週紹介した「吸血鬼」と「黒単コントロール」は、「白単《鍛えられた鋼》」と「青黒テゼレイター」を足した数よりも断然少ないですし、現状はメタゲーム上に黒いクリーチャーがあまりいませんからね。
《黒の太陽の頂点》と《弱者の消耗》の比較に関しては、サイド後の《忠実な軍勢の祭殿》まで見据えると、《弱者の消耗》の方がいいでしょう。
特に「青黒コントロール」のようにパーマネント処理能力が低いデッキの場合は、なおのこと《忠実な軍勢の祭殿》対策は重要になってくるので、インスタントの《弱者の消耗》はお勧めです。
「青白コントロール」ならば帰ってきた万能除去の《忘却の輪》か、《神への捧げ物》や《存在の破棄》がありますね。
《忘却の輪》は、「青白コントロール」のミラーマッチで鍵となりそうな《光輝王の昇天》、「赤単」の《燃え上がる憤怒の祭殿》や《槌のコス》のようなカードにも対処できるので、少し重いながらも採用は必須となるでしょう。
地上のクリーチャーをがっちりと受け止められ、時間があれば全てを無に返せる《エルズペス・ティレル》もなかなかに効きます。
「白単《鍛えられた鋼》」デッキは、《鋼の監視者》や《鍛えられた鋼》、そしてサイド後の《忠実な軍勢の祭殿》のような特定のカードに依存しているので、青系のデッキは《呪文貫き》や《マナ漏出》も有効な対処法であることも明記しておきます。
「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」はメイン戦は単純なスピード勝負を挑むことになりますが、サイド後は《自然の要求》などで《鋼の監視者》《鍛えられた鋼》をきっちりと対処していけば、クロックが小さくなり、《原始のタイタン》まで楽々と繋げると思います。
サイド後は相手の《攻撃的な行動》を意識して、ライフが少ない場合は《転倒の磁石》を用意してから《原始のタイタン》をキャストするよう心がけましょう。
「赤単」系のデッキは《コーの火歩き》を除去できる万能除去である《四肢切断》に加え、「白単《鍛えられた鋼》」デッキ相手だけではなく、ミラーマッチの《燃え上がる憤怒の祭殿》も対処できる《粉砕》か《躁の蛮人》を入れておきたいです。ミラーマッチのことも考えると、最悪クリーチャーとして無駄にならない《躁の蛮人》の方がいいでしょう。
どのデッキでも《漸増爆弾》なら無理なく使用できますね。「白単《鍛えられた鋼》」が強い今現在ならば、今一度採用を検討してみてもいいカードだと思います。
「白青《鍛えられた鋼》」
6 《平地》 4 《金属海の沿岸》 4 《氷河の城砦》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(18)- 4 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《呪文滑り》 4 《鋼の監視者》 -クリーチャー(20)- |
3 《オパールのモックス》 4 《急送》 3 《定業》 4 《起源の呪文爆弾》 4 《きらめく鷹の偶像》 4 《鍛えられた鋼》 -呪文(22)- |
3 《マナ漏出》 2 《存在の破棄》 1 《四肢切断》 3 《忠実な軍勢の祭殿》 3 《屈折の罠》 3 《激戦の戦域》 -サイドボード(15)- |
メインボードに《定業》を加えて安定感を高め、サイドボードに《マナ漏出》を入れて全体除去や対「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」へ更なる耐性を付けているのがこちらのリストになります。
「タッチ青」の原案は雑誌「ゲームジャパン」で連載を持つラッシュ(高橋 純也)君です。《定業》だけに限らず、《起源の呪文爆弾》もデッキの安定性を増しつつ、全体除去への耐性が上がる良い選択ですね。
このリストは時間の関係で試せなかったのですが、この大会以外でも勝っているところを何度も見ているので、このリストも大いに検討の余地があると思います。
特にサイドボードの《激戦の戦域》などは、普通の「白単《鍛えられた鋼》」でも使えるテクニックなので、ぜひ試してみてください。
「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」
12 《山》 6 《森》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 3 《広漠なる変幻地》 3 《進化する未開地》 -土地(28)- 4 《草茂る胸壁》 4 《真面目な身代わり》 1 《ムル・ダヤの巫女》 2 《隠れしウラブラスク》 4 《原始のタイタン》 1 《ゼンディカーの報復者》 -クリーチャー(16)- |
2 《稲妻》 4 《探検》 4 《不屈の自然》 2 《四肢切断》 1 《砕土》 3 《緑の太陽の頂点》 -呪文(16)- |
3 《強情なベイロス》 2 《自然の要求》 3 《紅蓮地獄》 2 《四肢切断》 2 《転倒の磁石》 3 《反逆の印》 -サイドボード(15)- |
「ChannelFireball」の総帥であるLSVが、自身の連載記事で「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」を試していたので、そのリストを拝借させてもらいました。
今までと大きく異なる点は、《カルニの心臓の探検》を抜いて、基本セット2012で再録された《不屈の自然》を加えたことでしょう。
これによって、これまた基本セット2012で再録された《真面目な身代わり》を3ターン目にキャストできる可能性を高めています。
その《真面目な身代わり》は、LSVが自身の連載で語っている通り、プレインズウォーカーへの牽制にもってこいで、それでいて、「死亡したとき」に誘発するドローのおかげでビートダウン相手にも多少の耐性があります。
《不屈の自然》共々、「基本土地をサーチできる」カードが増えたことは、このデッキにとって大きな意味を持ちます。これらのカードのおかげで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が誘発するタイミングが早まりますし、これはどんなデッキ相手にも重要ですからね。
他に気になる点としては、《隠れしウラブラスク》の採用と、《召喚の罠》よりも《緑の太陽の頂点》を優先しているところでしょうか。
《隠れしウラブラスク》に関しては、比較対象となる《業火のタイタン》や《ワームとぐろエンジン》とどちらがいいかを現状では判断しかねるのですが、《隠れしウラブラスク》のメリットとしては、
などがあります。
これらのメリットは個人的にそこまで大きなものに感じなかったので、比較する場合に大事なところは《業火のタイタン》と《ワームとぐろエンジン》がメタゲーム的に強いか否かを考えた方が早いでしょう。
みなさんご存じの通り、《業火のタイタン》はそのクリーチャー除去能力があまり意味を持たないメタゲームならそこまで強くありません。《ワームとぐろエンジン》も「絆魂」のおかげでビートダウンに強いですが、こちらは除去耐性があるのでコントロール相手にも幾分かはマシですね。
このようにどのカードにも当然のことながらメリット、デメリットはあるのですが、《隠れしウラブラスク》はその中でも少し点数が低いという印象です。
理由としては、他のクリーチャーと比べ、単体の性能が低いことが挙げられます。単体で見るとただの5マナ4/4「速攻」でしかないので、結局は《原始のタイタン》を引けるかどうかに強さが依存してしまいます。
《原始のタイタン》の力を最大限に発揮できるのは非常に良いことですが、今まで何度となくお伝えしている通り、このデッキが抱える最大の問題点は《原始のタイタン》を引けない場合にどうするかという点に尽きます。そのため、単体で不利な戦況を打破できないカードにはあまり好感が持てませんね。
《真面目な身代わり》のおかげで4マナ→6マナへとスムーズにマナが伸びるようになったことも、6マナのフィニッシャーを増やす良い動機となりますし、この枠は《業火のタイタン》か《ワームとぐろエンジン》に変更した方がいいように思えます。
《緑の太陽の頂点》は、青系のデッキが減ったことを受けての採用とのことですが、仮にこのスペースを《召喚の罠》に変更してしまうと、3マナ以下のマナ加速が《草茂る胸壁》《不屈の自然》《探検》《砕土》の13枚だけになってしまうので、それを考慮してのことでもあるでしょう。
初手にマナ加速があるかどうかは、マリガンの回数にも大きく影響してきますので、こちらのリストのようにマナ加速が少なめのバージョンなら、《召喚の罠》よりも優先して《緑の太陽の頂点》を使用するのもいいですね。
「赤単(バーン型)」
12 《山》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 4 《ぐらつく峰》 -土地(24)- 4 《燃えさし運び》 4 《ゴブリンの先達》 4 《渋面の溶岩使い》 -クリーチャー(12)- |
4 《稲妻》 4 《噴出の稲妻》 4 《焼尽の猛火》 4 《燃え上がる憤怒の祭殿》 4 《よろめきショック》 4 《槌のコス》 -呪文(24)- |
3 《躁の蛮人》 2 《焼却》 4 《四肢切断》 4 《反逆の印》 2 《魔力のとげ》 -サイドボード(15)- |
「赤単」は基本セット2012から《渋面の溶岩使い》、《火葬》、そして《魔力のとげ》という強力な武器を得ました。
《渋面の溶岩使い》は《トゲ撃ちの古老》に代わる優秀な1マナ域なので確定で入ると思われますが、《火葬》に関しては入れ替える枠が《よろめきショック》くらいしかなく、《よろめきショック》が強いこともあり、入るかどうか微妙なラインだと思っています。
《魔力のとげ》は青系のデッキ全般に非常に強く、枠が許すのなら3枚目を検討したいくらいですね。4マナのカードなんてほとんど入っていなかった昔とは違い、今のバーンには4マナ域に《槌のコス》という確定パーツがあるので、4マナ域の渋滞を防ぐという意味合いでも2枚くらいに抑えておく方が良い気もしますが、申し訳ないのですが、この辺りは実際にやってみないと分からないです。
《魔力のとげ》は苦手としている《神聖の力線》に多少の耐性が付くのも注目ですね。0ターン目に《神聖の力線》を出された場合は厳しいですが、《魔力のとげ》さえあれば4ターン目の《神聖の力線》はなんとなると思います。
バーン型以外にも、《ゴブリンの手投げ弾》を手に入れた「ゴブリン」も大幅に強化されました。
「ゴブリン」
16 《山》 4 《ぐらつく峰》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《トゲ撃ちの古老》 3 《ゴブリンの奇襲隊》 4 《ゴブリンの戦煽り》 4 《燃えさし運び》 4 《ゴブリンの酋長》 -クリーチャー(23)- |
4 《稲妻》 4 《噴出の稲妻》 4 《ゴブリンの手投げ弾》 4 《燃え上がる憤怒の祭殿》 1 《反逆の印》 -呪文(17)- |
3 《ヴァルショクの難民》 2 《焼却》 3 《焼尽の猛火》 4 《四肢切断》 3 《反逆の印》 -サイドボード(15)- |
MOで成績がよかったものに基本セット2012を加えてみました。もとのリストに《焼尽の猛火》がメインに入っていないところ以外は非常に綺麗だったので、大きな改良は施していません。
個人的には赤のデッキで、メインに《焼尽の猛火》が入らないことはないと思うのですが、このデッキは土地が20枚なので安定して「上陸」できないこと、他の火力が優秀なこともあって変更しませんでした。火力を1マナで固めておくと動きやすいですしね。
土地が20枚ということで4マナと重めの《魔力のとげ》も入れていませんが、青系のコントロールを強く意識するなら、入れてもいいかもしれません。
こちらのバージョンはクリーチャーが多めなので、《神聖の力線》に強い点が「バーン型」との主な違いです。その半面、クリーチャーというのはメタるのが最も簡単な部類に入るので、全体除去などには弱くなっています。
しかし《燃え上がる憤怒の祭殿》の採用でそれも少し緩和されているので、このバージョンにも注意しておきましょう。
「Caw-Go」
5 《島》 5 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 1 《聖別されたスフィンクス》 -クリーチャー(5)- |
4 《定業》 3 《呪文貫き》 3 《マナ漏出》 3 《広がりゆく海》 2 《四肢切断》 2 《忘却の輪》 1 《冷静な反論》 4 《審判の日》 3 《ジェイス・ベレレン》 2 《エルズペス・ティレル》 2 《ギデオン・ジュラ》 -呪文(29)- |
3 《糾弾》 3 《天界の粛清》 2 《瞬間凍結》 1 《広がりゆく海》 1 《四肢切断》 1 《忘却の輪》 4 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
先週紹介できなかった「Caw-Go」を解説しながら、基本セット2012から加わったカードを見ていきましょう。
このデッキは「青黒コントロール」、「青白コントロール」の隆盛を受け、MOで密かに流行の兆しを見せています。《石鍛冶の神秘家》と《精神を刻む者、ジェイス》がいなくなっても見事に生き残ったというわけなんですね。
このデッキの良いところは、フィニッシャーが2マナと軽い《戦隊の鷹》であるため、コントロール対決における「仕掛ける際のリスク」を、最小限にとどめられることにあります。みなさんも「Caw-Blade」時代に嫌というほど味わったと思いますが、このクリーチャーの対処のしづらさは歴代でも屈指のものなので、このようなデッキが成立するというわけです。
そして白という色は実に器用で、《糾弾》《審判の日》といった除去はもちろんのこと、サイドボードにも《コーの火歩き》《天界の粛清》のような「赤単」専用カードから、《存在の破棄》や《神への捧げ物》のような《帰化》系のカードまで、入れたいカードは山のようにあります。しかしサイドボードは15枚しかないので、今まではこれらのカードをどのような組み合わせで採用するか、という嬉しいような悲しいような悩みがありました。
それを緩和するという意味でも、《忘却の輪》の再録は朗報と言えるでしょう。このカードさえあれば、極端にメタが偏らない限りは、もう《神への捧げ物》や《存在の破棄》に頼らなくてもよくなるはずです。
《糾弾》や《天界の粛清》&《四肢切断》にはそれぞれ1マナの除去、「《欠片の双子》」対策という側面があるので減らせませんが、メインボードとサイドボードを含め、デッキ構築の時に悩んでいた問題の多くが《忘却の輪》によって解決するでしょう。
それと「赤単」系のデッキ対策として話題沸騰中の《機を見た援軍》なんですが、僕の見解としては入らないのではないかと思っています。理由としては、効く相手があまりにも限定的だからです。
《コーの火歩き》が採用されていない背景として、《四肢切断》などで死ぬという理由は確かにあるのですが、それが第一の理由というわけではなく、先週紹介したように「《欠片の双子》」や「吸血鬼」にも幅広く効く、という理由から《天界の粛清》が優先されているのだと思います。
これは《コーの火歩き》が《機を見た援軍》になっても全く同じ問題で、汎用性という意味でおそらく《天界の粛清》を超えることはないでしょう。特に今回のようにメタゲームが読みづらい場合は、「特定のデッキにだけ強い」カードよりも、「様々なデッキ相手に効く汎用性」は重要だと思います。
「Caw-Go」以外にも、先週紹介した「青白コントロール」や「青黒テゼレイター」に《真面目な身代わり》を入れても面白いでしょう。単体の強さはもちろんのこと、《滞留者ヴェンセール》や《ボーラスの工作員、テゼレット》とも相性がいいですからね。
《滞留者ヴェンセール》に関しては、序盤に使った《忘却の輪》を再利用できたりと、基本セット2012のカードとの相性の良さも見逃せないポイントです。
「M12以降のスタンダードにおけるメタゲーム展望」という記事で知ったのですが、《石角の高官》とのコンボは、除去の無いクリーチャーデッキを投了に追い込むのに十分な性能を秘めていますしね。
「青黒テゼレイター」に《真面目な身代わり》を入れる場合は、《倦怠の宝珠》をどうするかなど、微調整が必要になるのもお忘れなく!
最後に、《思案》の再録が追い風となる「青赤《欠片の双子》」と「青赤《紅蓮術士の昇天》」の2つのうち、MOで徐々に数を増やしてきている「青赤《紅蓮術士の昇天》」を紹介してお別れしたいと思います。
「青赤《紅蓮術士の昇天》」
7 《島》 7 《山》 4 《沸騰する小湖》 4 《ハリマーの深み》 -土地(22)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《定業》 4 《稲妻》 4 《噴出の稲妻》 4 《乱動への突入》 4 《マナ漏出》 4 《紅蓮術士の昇天》 2 《思い起こし》 4 《テゼレットの計略》 -呪文(38)- |
2 《ジュワー島のスフィンクス》 3 《呪文貫き》 4 《紅蓮地獄》 4 《瞬間凍結》 2 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
MOで勝っていたリストの、《予感》の部分を《思案》にしただけなんですが、軽いドローサポートの登場により、今まで以上に動きが安定しました。
単純にドローサポートという観点で見ると、《予感》の方が優れているのですが、土地が22枚だけのこのデッキでは1マナと4マナの差は大きいですし、そのマナ差は《紅蓮術士の昇天》のクエスト達成条件にも大きく関わってきます。
装いを新たに登場した《炬火のチャンドラ》もこのデッキにはうってつけの存在です。《炬火のチャンドラ》の強さを考慮すると、最早《思い起こし》は必要ないのかもしれないですね。
今週は書きたいことが多かったので、あまりまとまりのない文章になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
個人的には手広さに定評のある「青白コントロール」系のデッキがいいように思えますが、やはり自分の手に馴染んだ、使いこんでいるデッキが一番いいでしょうね。
MOで突然勝ち組に参入してきた「白単《鍛えられた鋼》」デッキがどれだけいるのか、そしてみながどれくらいそのデッキをメタるのか。新環境1発目ということで、その辺のメタゲームの探り合いも気になります。今週の記事が何かしらみなさんのお力になれれば幸いです。
日本選手権の権利をお持ちの方も、そうでない方も、ぜひ会場や生放送で一緒にマジックを楽しみましょう! 日本最高峰の戦いを間近で観るだけでも、十分に楽しめると思いますよ!
それでは、また来週ー!
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