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Savor the Flavor

闇の隆盛 受信メールボックスの日

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闇の隆盛 受信メールボックスの日

Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki / Translation-supervised by Yohei Mori

2012年2月1日


 さて今や、闇は隆盛を開始した。メール飛行船が我々に運んできてくれたものを見る絶好の時だ。これらの質問やお便りはページ下部の電子メールリンク経由で送られてきたものだ。もし今まで送ったことがなければ、君の信書を送ることを私は奨励しよう。丹念に熟考した質問がなくても、それどころか、図解の問題や断定でもいいんだからさ。ただその(私の記事でも、他のコラムニストのでも)リンクをクリックして、どのようにでも挨拶してくれればいい。ここDailyMTG.comで働く男女は皆永久にこのマジック関係に取りつかれている類の人物だし、我々はそれについて君達と語らいたいのだから。


メールを!

 だから始めよう! 今日は気取った構想や趣向は抜きで、そしてこれ以上ののろのろとした前置きも無しだ! 既に質問は上がっている! 最初に我々が見るべき無理算段野郎はどいつだ?

エンジェルス

 ウィルソンは、イニストラードにおけるアヴァシン以外の天使についての質問をくれた。

 やあダグ。

 アヴァシンの運命が明らかになってからというもの、私を悩ませていることがあります。それは彼女の天使の現状です。

 アヴァシンがいなくなり、天使達の出現が少なくなったのは何故でしょうか? アヴァシンが天使達へとエンジェル・パワー・ジュースを注入し、動かせるようにしていたとか何かなのでしょうか?

 イニストラードは現在進行形の難局のように思えます。天使達は以前よりもいっそう活動的になっているべきですが、状況は完璧に正反対のように思えます。彼女らは何処へ? そして何をしているのでしょうか?

 お手数をおかけ致しました。

――ウィルソン・Tより

 いい質問だ。クリエイティブ・チームでは少々話題になったが、ウェブサイト上ではこの件についてあまり多くを伝えてこなかったね。

 アヴァシンが《獄庫》へと押し込まれる前にさかのぼる。彼女に仕え、また様々な種類の超自然的獣達からイニストラードを守る助けとなる天使達の仲間、もしくは「群れ」がいた。今もそこここに数少ない天使達の痕跡があるが、アヴァシンが去った今、彼女らが真の戦天使のやり方で狼男/ゾンビ/吸血鬼をやっつけているのではないというのは真実だ。どうなっているのだ?


鎮魂歌の天使》 アート:Eric Deschamps

 天使達の多くは今も現役で活動している。彼女らは暗黒の隆盛を目にしており、今もその状況を変えたいと心から願い、あらゆる邪悪と戦っている。あの者達は天使なのだ。だがその天使達はイニストラードの異常なほどに数を増やした影のクリーチャー達に対して、アヴァシンがいた時ほどの力は持っていない。アヴァシンの存在は鎧一式のようなものと考えよう。それを失い、彼女達は戦いに敗れる。傷を負い、退却せざるを得なくなる。好機を待たざるを得なくなり、ゾンビの群れやデーモン類との正面きっての派手な戦いは行われなくなる。もしくは今も、それが自分達の最期となるであろうことを知りながら、栄光ある突撃を行っている。ウィルソン、君は正しい。人類が差し迫った時に直面している今、天使達は最も有用な存在だ。だが彼女らは姿を現す時をより注意深く選ばねばならない。彼女らは夜明けの光の中に、もしくは雲の背後の輝きに隠れ潜まねばならない。自身の存在を明白にすることが彼女らを痛めつける限り。おそらく、アヴァシンが創造される以前もこのやり方だったのであろう。邪悪な存在が何度も何度も凱歌を挙げるのを、天使達はただ遥か遠くから見ていることしかできなかった。アヴァシンの存在無しには、あの者達の貢献は小さなものとしかなりえない。

 ああ、可哀想なイニストラードの人間達よ、そして彼らを助けることのできない可哀想な天使達よ。そうとも、きっと彼らは焼かれてしまうだろう。んー、ハハハ! ウィルソン、質問をありがとう!

臭う薔薇

 次、トラヴィスは吸血鬼の物語における、ありふれた料理的私見について質問をくれた。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 貴方の記事、「信仰の現状」に関して質問があります。

 ある考えが私の心に浮かんだ時、私はちょうど、ビネガーをベースにした鶏肉のシチューを料理していました(とても美味しいですよ、保証します。酸が骨を柔らかくするのを助けてくれるんです、食べられるくらいに)。イニストラードにニンニクはあるのでしょうか? この疑問は私がその素敵な小鱗茎の皮をむいていた時に思い浮かびました。もしイニストラードにニンニクがあるのなら、それは元々目論んだ通りに狩人達に使用されているのでしょうか。強烈で不愉快な死のオーラを切り開き、取り囲む全ての吸血鬼を衰弱させる手段として、そして上述の狩人達が吸血鬼に対する正気を保つ助けとしているのでしょうか? それとも歪曲された形で、ですが今や古典的となった、冥府より来たる血を吸う悪鬼達を実際に防ぐというやり方に使用されているのでしょうか? この全てがありうると思います。もちろん、ニンニクを手に入れても調理しない者は台所の愚か者と言われるように(展示品Aは私の父親でしょう)、食べ物を素晴らしくしてくれることに加えて。

 もしくはもっと奇妙なことに、イニストラードにニンニクはあっても誰もそれについて知らず、まさにその無学から最も利益を得る吸血鬼達を救っているのでしょうか? それとも、最も奇妙なこととしては、ニンニクは彼らにさえ知られておらず、今も次元に自然のまま成長しているのでしょうか?

 少なくとも彼ら(イニストラード人)の食事は素晴らしいものなのか、どうか教えて下さい。

――トラヴィス・Fより

 イニストラードに吸血鬼を追い払うネギ属は存在しない。いや、イニストラードにタマネギ科のその美味しい根菜が存在しないと言っているのではない。何故なら私は、それが存在してはならない理由を見ていないからだ。正確に言えば、それら層状をしたぴりっとする基本食料品のいずれも、上流社会の吸血者達を追い払う効力を発揮はしない。

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 次元の超自然的世界構築の見地から、我々は古典的な対・吸血鬼の定番の中から取捨選択をし、意識的決定をした。いくつかを採用したが、全てではない。大抵の場合、我々がよく使用している定番をも少々ゆがめ、イニストラード特有のひねりを与えた。例えば、十字架が吸血鬼を遠ざけるというアイデアは、アヴァシン教会の僧侶達や吸血鬼狩人達がアヴァシンの首飾りを聖印として使用し、彼らの信仰心を導き、邪悪なクリーチャー達を押し留めるという方法に反映されている。イニストラードの人間達は木の杭をこの世界の吸血鬼達に対しても使用するが、我々はそれを、鋭く尖らせた生木のみが吸血者達の不自然な長寿命に対して有効であるとした。伝統的なゴシックホラーの用法の、この世界特有のひねりだ。我々はニンニクについても熟考したが、イニストラードの優雅で恐ろしい吸血鬼達のコンセプト・アートが姿を現し始めると、我々は決定した。そのアイデア、ニンニクを連ねたネックレスを見てそれら荘厳なクリーチャー達が緊張するというのは、少々......まずいと。だからこの世界の吸血鬼に、ニンニクの防護は通用しない。


アヴァシンの首飾り》 アート:James Paick

 まあしかし、次元の植物学的世界構築の見地から......そしてこれは彼の(小さな)キッチンでの料理を愛し彼自身の(小さな)野菜畑を自身の(小さな)裏庭に持つ素人グルメからの意見だが、農業の発達したあらゆる文化が、刺激的な/ぴりっとする/苦い植物を、彼らの味気ない/デンプン質の/味気ない/味気ない/味気ないものへと味をつけるためにどうにかして取り入れていると私は思っている。だからもしイニストラードにニンニクがなければ、きっと料理用に同じ役割を果たす何かがあるのだろう、それが用途に叶うならば。それらはおそらくガヴォニーやケッシグの原野に、カボチャのような何かの姿で生えていて、その風味が微妙なことからかろうじて、その秋の土のような風味を美味しくて香りのよい根菜の類とともに組み合わされて、炙ったラム肉に添えて食べられる。だがイニストラードの料理人にとって、それを使用するのは美味しさという理由からであり、超自然的な防護のためではない。

 なんてことだ、私は世界構築のフレイバーと料理人類学に同時に熱中していたとは(涙を拭って)。トラヴィス、私を駆り立ててくれてありがとう!

(訳注:小見出しの「臭う薔薇/The Stinking Rose」はサンフランシスコにあるニンニク料理レストランの店名でもある)

屍術のリーダーシップ

 ジェレミーは我々の腐敗した友人達の制御構造について質問をくれた。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 ゾンビ達について質問です。マジックにはとても多くのゾンビ部族カードがあります。《アンデッドの戦長》、《アンデッドの王》、《墓地を刈り取るもの》等々。ですがゾンビ達は決して一緒に働くことはないと私には思えます。つまり、彼らは殺しへの渇望に突き動かされた愚かな存在ですが、何故彼らは互いに助け合おうとするのでしょうか? 強大な屍術士が彼らを結束させていると私は想像できます。ですがゾンビ部族の助けとなるほとんどのカードは、ゾンビです。何故ゾンビ達は協調して働き、そして何故貴方がたは通常、人間の屍術士を印刷しないのでしょうか?

――ジェレミーより

 素晴らしい質問だ、ジェレミー。その傾向はフレイバーよりもカードデザイン的な理由から来るものだと私は考えている。部分的にはサイクルのデザインから、そして部分的には現代式の「ロード」のデザインから。指導者サイクルの他のメンバーに合うように、何体かのゾンビ指導者はゾンビだ。《ゴブリンの戦長》はゴブリン、《マーフォークの君主》はマーフォーク、等々。そのように均整の取れた物事を保つため、ゾンビの代表はそれが相互作用する同じサブタイプを持つ。何年も前、《ゴブリンの王》のようなカードは彼らが強化する種族タイプではなかった。そして代わりにロードのタイプを持っていた。種族外のクリーチャーがゾンビの群衆を導き指揮する、それこそ君がゾンビ達にもっと求める結びつきの類だろう。《ゾンビ使い》はこのフレイバーを持つよう意図されていたのかもしれないが、今や彼自身のタイプもゾンビであり、ほとんどの現代式の「ロード」達がそうするように、ただ「他の」ゾンビ達を強化する。

 時折、我々は数体のゾンビクリーチャーを、知的理解力と呪文知識を持つものとする。「リッチ」と称される死者やそんな、他のアンデッドを導く能力を有するかもしれない者達だ。だがそれらは例外だ。我々のゾンビ・ロードのほとんどは部族デッキをよりよく動かすゾンビそのものであって、心を持つ人間が心を持たないアンデッドを指揮するという平凡なフレイバーを誇示することを目論むものではない。


ヘイヴングルのルーン縛り》 アート:Bud Cook

 しかしながら、君が描写するやり方でゾンビ化した軍勢を率いる、数少ない人間の屍術士カードが存在する。《屍術師リム=ドゥール》や《冥府の世話人》はこの系統だ。《宿命のネクロマンサー》にもいくらかこの感じがあるが、彼は必ずしも創造を楽しんでいるのではない。闇の隆盛にはとてもタイムリーなことに(?)、人間の屍術士の良い例が二つ、君のために用意してある。シャーマン的屍術士の《覚醒舞い》と、フランケンシュタイン博士そのままに肉体を動かす《ヘイヴングルのルーン縛り》の姿で。質問をありがとう、ジェレミー!

目の正確さ

 次の読者ジョディは、ほとんどのヴォーソスが持つ症候群の深刻な(そして深刻なくらいに面白おかしい)症例、フレイバー精度炎(FPI)だ。あるカードが一定量のトップダウン・フレイバーを伝えてはいるが、マジックの他のカードと比べた時にフレイバー不足であるように見える時にはいつでも、FPIの発作が起こりうる。古典的なFPIの症状が出ているジョディの手紙を、そしてその点について可能と思われる治療法を見てみよう。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 《目玉の壺》のプレビューは厳しい欠陥を示しています。クリーチャーが死亡した時にはいつでも、その眼球が二つ取り出されて壺の中に入ります。どんなクリーチャーがこれのために二個の眼球を提供するかご存知でしょうか? 《オームズ=バイ=ゴアの邪眼》。《アーボーグの邪眼》。《巡礼者の目》。《縫い目のドレイク》......その目は縫われています! 《片目のカカシ》......目は一つしかありません!

 そのカードを回収して明らかに目立つ見落としを公式に詫びるよりも、今行うべき最も単純な事は、現存するカードに、死亡した際に《目玉の壺》へともたらす目がいくつかを記述するエラッタを提供することだと私は考えます。これを処理する最も公正な方法は、私の意見ですが、クリーチャーのステータス表記をパワー/タフネス/眼球個数へと変えることです。《灰色熊》は2/2/2と最も単純です。《血まなこのサイクロプス》は4/4/1になるでしょう。《組み直しの骸骨》は1/1/0。《始源のハイドラ》は+1/+1/+2カウンターを得ます。《闇の後見》は「あなたがコントロールするクリーチャーは+0/+0/?2の修整を受ける」の一文を含むよう書き換えられます。《眼球の輪》はエンチャントされたクリーチャーに追加の+0/+0/+20修整を与えます。《レイモスの眼》は+0/+0/+1を与える装備品にもなるという変化を得ます。《ウルザの色眼鏡》は今や白のクリーチャーを赤にも変えます。

 これは公正で単純なだけでなく、全くもって新しい開発スペースを作り出します。赤と黒は沸騰や摘出の効果によって、眼球数を減らす効果を得ます。緑は伝統的な《巨大化》効果によって個数を増加させます。白は貴方のクリーチャー達へと標準化を提供し、眼球数を統一させます。そして青は眼球数をパワーやタフネスと入れ替え、もしくは眼球の色を変えます。

 私が考えるこれら少々の単純なひねりとともにカードは安定し、人々も再びマジックを安らぎとともにプレイできます。どうでしょうか?

――ジョディより

 素晴らしい! 私が言いたいのは、いやはや困ったものだ、FPIのとても厄介な症例だってことだ。フレイバーに矛盾する複数のカードを引用している。完全にフレイバーを基礎とした全ゲームの再解釈を含む、根本的な代案システムを提案している。私が今までに見てきたFPIの最も模範的な症例で、明らかに末期症状だ。

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 私の診断は終了だ。この先、二つの方法のいずれかを勧めなければならないのが残念だ。ジョディのFPI源があちこちへ転移してしまう前に、炎症を起こしたヴォーソス臓器の一部を完全に切除してしまうか......もしくはマジックの全クリーチャーへこの眼球数システムの適用を即座に採用するか。何故ならそれはとても素晴らしくて、そしてなんてことだ、今や私もそのアイデアに捕らわれたからだ。

 私はこのメールをとても楽しんだ。ジョディ、君とハイタッチだ。君は本当に精神を病んでいる、ありうる限り最良の形で。もし君が目の問題の件について、あらゆるクリーチャーの眼球数を表記すること、エラッタを使用して彼らに正しいフレイバー的合理性を与えることを主張するのであれば、私の心からの祝福を受けてくれ。

沢山の無理算段に感謝

 今日の記事に使用したメールをくれた全員に、もう一度お礼を言おう。私は君達の具体化した思考プロセスと、我々が関心を共有するマジックへのフレイバーに満ちた掘り下げ、それらを心から楽しみながら読んだ。もし君達のメールに辿り着かなかったとしても、それは今週の記事にもう場所がないからか、もしくは君達が実際に送信してくれなかったからか。その二つなら後者に賭けるよ。我々は皆から意見を聞くことを真面目に愛している。だからもし君が共有したいと願う神経系の意見があるのなら、私やこのウェブサイトの他の執筆者へと遠慮なく連絡をして欲しい。168時間後にまた会おう!

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