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Savor the Flavor
絶望的な時の中で―闇の隆盛への物語・最新版
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絶望的な時の中で―闇の隆盛への物語・最新版
Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki / Translation-supervised by Yohei Mori
2012年1月4日
「悪い」が「最悪」になる時、君は自身に何を告げる?
アート:Jason Chan |
君の最悪の怖れが、来たるものの序曲でしかないと知った時、いかにして希望を持ち続ける?
アート:Jason A. Engle |
光の力が君を見捨てる時、闇の機嫌を取るために君はどんな暴虐を考えるだろう?
アート:Michael C. Hayes |
崩れゆく嘘
イニストラードの人々は邪悪がはびこる世界に適応し居住していた。防護魔法は怪物たちを寄せ付けず、村々を比較的安全に保っていた。祈りと神聖なる誓言は幽霊を追い払い、吸血鬼たちをその場に串刺しにして、危険が大きすぎる時には人間たちが怪物たちの群れを制御することを可能にしてくれていた。大天使アヴァシンの存在によって、希望と信仰は闇を討つ力を現実に有し、それゆえに希望と信仰は栄えていた。アヴァシンが失踪した後でさえ、そして夜に棲む残酷なクリーチャーたちが進出してきても、四つの州の人々は生き残っていた。防護魔法の力は衰えたが、教会は新たな聖戦士を補充して武器を取り、反撃した。天使は祈りに応えなくなったが、村人たちは村の境を閉め、霧に覆われた荒野へと続く道を閉ざした。グールと幽霊は人間に対して優位に立ち、今まで過ごしてきた何世代よりも物事は厳しく思える。だがイニストラードの人々は協力して統一戦線を張り、人類はすんでのところで安全を保つことができた。まるでアヴァシンは決して彼らを見捨ててなどいないように。
だがイニストラードの安全は、慰めの虚構だった。世界の邪悪な力に囲まれて、噂は広まっている。
アート:Volkan Baga |
勢いを増す闇
イニストラードのホラー達は獲物の弱点を学んできた。吠え群れは田舎の村々の防御を試し、それらが悲しくなるほどに薄いことを発見した。今や狼男は、狼狩人や祝福された銀の武器のない地方の至る所で小村を威嚇している。吸血鬼たちは相応しいと見た獲物の人間を選りすぐり、全ての州で吸血鬼の系統に支配権を得させている。子供や聖者の寝室にまで幽霊は臆せずに現れる。歩く死体は教会が支配する街の防御さえにも穴をあける。奇怪な肉の構築物は防護された聖所へと妨げられることなくよろめき進み、アヴァシンの約束を頼る無辜の人々を虐殺する。人類の防衛は崩れ、イニストラードの恐怖の物語はかつてないほどに悲惨なものとなってきている。
アート:Peter Mohrbacher |
死せざる脅威
人間たちは今や、悪鬼に対抗する戦いの中で暗い新たな歪みに直面している。それはただ、防護魔法や祈りがもはやこれらのクリーチャーを束縛しないというだけではない。今や死の束縛さえもそれらを捕まえてはいない。明らかに倒された狼男がよろめきながら立ち上がり始め、彼らの飢えはうわべだけの破壊によって繰り返されるだけである。幽霊は、聖職者の最も強力な追放呪文によって追い払われた後に舞い戻る。吸血鬼は杭や炎を嘲笑い、彼らを殺すと知られているあらゆる策略や地方の秘伝にもかかわらず勢いを増している。アヴァシン教会が気短な耳をますます安心させようとするほどに、古からの言い伝えはもはや適用されなくなる。
アート:Kev Walker |
信心の揺らぎ
より多くの苦悶の中、イニストラードの人々が希望を失っている可能性の兆候がある。エルゴード訓練場は、不死者を討つ聖戦士となる新兵は更に少なくなっていると報じている。敬愛される大天使の彫像は、猛り狂う狼男の手当たり次第の攻撃によってではなく、落胆した人間達によって倒される。悪魔信者は何らかの力、当てにすることのできる力なら何でも求める人々を引き入れて数を増している。避難者を一杯に乗せて霧の中へ、どこか遠い港へと航海に出た船の行方を聞くことは二度となかった。幾つかの村々では彼らのうち最も弱い者を捧げざるを得なかった。柱に繋がれた無垢な生命が、夜の餓えた獣をなだめてくれるようにと。
怪物からの安全な隠れ家はもはや存在しない、一般市民の心の中にさえも。そして怪物たちはそれを知っている。
アート:Gabor Szikszai |
地獄からの覚醒
だがあらゆる知らせの中でも真に暗きものは、地獄の軍勢の出現かもしれない。スカースダグのようなカルトが、世界の奥深くの奈落から悪魔的な存在を招き寄せている。灰口のような大地の裂け目は、あらゆる所で大混乱と死を振りまくデーモンと小悪魔を吐き出す。アヴァシンの長い不在と神聖魔法の有効性の衰退から勢いを得て、デーモン達はその気まぐれのために人間たちを利用し始め、無垢な者達を生け贄として暗黒の魔術を焚きつけている。人間たちは伝説的な怪物、かつては怪談や焚火を囲んでの作り話の中だけで語っていた存在の慰み物となっている。
アート:Svetlin Velinov |
最後の土壇場
この暗黒の時に何か善なるものが現れるとすれば、その苦境における危険な賭けだと人間たちは知っている。人類全体に後はない。数少ない教区の聖職者、ピッチフォークの使い手、そして生き残った悪鬼処刑人は、伝統的な挨拶は不要であると学んできた。アヴァシンはもはや彼らの信仰の妙技を手助けしてくれないかもしれない。だが死の侵入という脅威の中、彼らの魔法は絶望によって強化されている。それら魔法の開発者は、損失の悪循環という絶望を呪文に込めて投げつけることを学んでいる。それは彼らへと、死者の列に加わるのではなく切り裂くための力を与える。人間たちは彼らの敵から学んでさえいる。新たな方法を発見し、死の魅惑する力を活用し、増幅された力とともに致死的な呪文を唱えるために。
アート:Karl Kopinski |
プレインズウォーカーたちの役割
プレインズウォーカー、リリアナ・ヴェスは彼女の魂を所有する強大なデーモンを追跡している。彼女はそのデーモン、グリセルブランドがここイニストラードにいることを発見した。だがそこからは、追跡は無情なものとなった。彼女の次の一歩は、彼の居場所の秘密を知る何者かを探すことである。そしてその探究は彼女を、アヴァシン教会のまさに最高階級へと立ち向かう道へと導くであろう。その一方、リリアナが鎖のヴェールとして知られる暗黒のアーティファクトを利用し、その誘惑に屈服するなら、彼女はその主たちを別のものへと交換するかもしれない。
野生語りのガラク、鎖のヴェールの力でリリアナによって呪いを受けた彼はイニストラードへと、死の魔女を追跡してきた。かつての自分のおぞましい紛い物へとゆっくりとした変身によって苦しめられており、彼に残された時間は少ない。彼は常に無双の狩人であったが、リリアナは彼が立ち向かってきたものとは違う類の獲物で、そして現地の人間は彼を目にするなり攻撃してくる。ガラクは今度だけは疑問に思っている。自身の次のプレインズウォークを生き残ることができるのかどうかも怪しい自分を置き去りにしてリリアナが多元宇宙へと再び逃走する前に、獲物を追い詰めることができるのだろうかと。
最後に、その存在が強い影響力を持つであろう、そして既にイニストラードの物語の広範囲に渡って衝撃を与えている、もう一人のプレインズウォーカーがいる。彼の過去はこの世界の歴史とともに織られており、長い不在を経た彼の帰還は、長く埋もれた秘密を明かすことになるだろう。彼の人間性は遥か昔に取り払われたにもかかわらず、イニストラードにおける彼の目的は、驚くべき忠義を明らかにするだろう。彼の身元は今のところ秘密だが、イニストラードの運命の中で彼が果たすべき役割を我々は学ぶであろう。それはすぐだ。
邪悪の瞳を大胆に見つめろ
アート:James Ryman |
君が目覚めている時の恐怖が最悪の悪夢を上回るなら、君はどこで引き返す?
天使たちが聞いてさえいるのかどうか確信が持てない時、君はどう祈る?
最後の聖域が破られた時、最後の聖印がその輝きを失った時、そして最後の蝋燭がゆらめいて消えた時、君は何をする?
翻訳監修:森 陽平
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