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Savor the Flavor
イニストラードからの絵葉書 基本土地編
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イニストラードからの絵葉書 基本土地編
Adam Lee / Translated by Mayuko Wakatsuki / Translation-supervised by Yohei Mori
2011年11月23日
ダグが君たちをイニストラードの基本でない土地への旅に連れ出したのは数ヶ月前になる。今、再び月は安全に欠けてきて、この怖れをはらんだ世界をもう一度垣間見させてくれるにはちょうど十分な光がある。
基本すぎない土地
基本土地は舞台を位置づけ、あらゆるクリーチャー、呪文、エンチャント。そしてやるべき事を行うプレインズウォーカーたちの背景となっている。このことによって基本土地は料理全体にしみ渡るソースとなり、そして繊細さ(もしくはさほど繊細でなさ)はフレイバー美食家である我々全員に、舞台全体を知覚的に経験させてくれる。
大いなる熟考は基本土地を視覚化し、イニストラードへ向ける緊張と強い感情を作り出す。マジックのアートディレクター、ジェレミー・ジャーヴィスは可能な時はいつでも、カメラアイを常に風景へと向けることを求めた。それは無意識に人間というものの小ささを感じさせるであろう。彼はまた距離や高さを知覚する目を霞ませるために、霧の覆いを求めた。それはさらに飽き飽きするほどの閉所恐怖症と、霧の中に潜む未知の怪物への不安を作り出す。
ジェレミーはホラー映画が大好きだと私は言及したことがあっただろうか?
これら、憂鬱と恐怖に包まれた世界のスナップ写真を見る時は、君自身少々の注意を払い、そして心の隅で少々不安になり始め、光があることに感謝する君がいることを見つけて欲しい。
君の目はもう暗がりに慣れただろうか? 素晴らしい。イニストラードの基本土地を探検に出かけよう!
ダグは彼の記事でツアーガイドを務めた。今回、私たちはイニストラードに生きる者の、地に足のついた恐怖を垣間見ることにしよう。
平地
教会は再び、スレイベン外部城壁の更なる拡張を承認しました。あまりに多くの人々がここに群がるので、季節ごとに私たちは新たな巡礼者の波をアヴァシン大聖堂へと収容しなければならないようです。
・・・私は誰を騙しているのだろう? 彼らは城壁の中に庇護を求めてやって来た難民です。これら哀れな村人や農民から私たちが聞く、家族全員がアンデッドの群れに虐殺されたという話は......それは私を、この忌々しい城壁から飛び出してそれら腐った者どもを地獄へ送らせようとします。ですが命令は命令。それに神聖を汚す者どもはいつでも打ちのめすことができるでしょうから。
平地
ついに! 私たちはスレイベンから命令を受け、今や護衛を救援するためラムホルトの村にいます。彼らはモンドロネン(月唸り)の吠え群れの恐ろしい遭遇戦に耐えており、ここの聖戦士部隊は多大な損失を被ってきています。警備隊は全員、アヴァシンの護法が衰えるにあたって虐殺されました。士気ははなはだ弱まっています。私たちはスレイベンからあまりに離れているため、審問官の助力を要請すべく迅速にエルゴード訓練場へと伝言を送りました。アヴァシンはこれら呪われぬ哀れな魂を祝福して下さいます。
平地
ムーアランドは荒涼として寂しい土地です。日中私たちはこの地を悩ます邪悪どもをできる限り捜しながら、地を浸す霧の中を歩いています。私たちは次々と神聖を汚す者に遭遇し、奴らの一群がグール呼びの小屋を囲んでいました。アルダスと何人かの警備兵は死魔道士の魔法によってひどく弱らせられてしまいましたが、私はそいつを倒しました。切り落とされたそいつの首はぽかんと口をあけて私を見て、「スレイベンは墜ちる」とだけ呟き続けていました。彼はひどく狂っていたのですが、私は本能的な恐怖にぞっとするのを感じました。
島
ガヴォニーからネファリアの港町ヘイヴングルを目指し、私たちはカーク川を下ってきました。エルゴードの審問官たちから、教授と指示のために召喚されたのです。道中、いくつかの村を通過しました。聖戦士が派遣されている村は今も繁栄する共同体に見えましたが、スレイベンから遠く離れるにつれ、狼男によって完全に破壊された教区がより多く見られるようになりました。それらの中でも最悪はトロスタッドでした。私たちはその日、船で屍の間を縫って下りました。アヴァシンの護法がどれほど弱まっているのか、私は知るよしもありませんでした。
島
私たちはヘイヴングルへ到着し、その飾り立てられた建造物とざわめいた船着き場を見ました。旅の途中、何人かの傷ついた兵士たちが夜へと逃亡していきました。獣性に呪われていることは疑いありません。そのため私たちは、アヴァシンの拳を吠え群れへと浴びせようと繰り返し心構えをしました。そして私たちはエルゴードの派遣隊に加わりました。彼らは栄光と復讐の日を約束してくれました。私たちが待つ中、ネファリア人の船乗り、エバハート船長が難破船や海墓、霧や潮流とともにやって来る、溺れ死んだ水兵の幽霊の話をしてくれました。
島
私たちはドルナウを過ぎて南へ進んでいます。獰猛な吸血鬼の攻撃の噂に、私たちの部隊は殺気立っています。アヴァシンの光の欠如が明らかになり、流城の吸血鬼たちはますます図々しくなりました。新鮮な杭を作るため、私たちの多くがネファリアには稀な木々を探し始めました。それら悪鬼の一体を殺す役には立つでしょう。エルゴード派遣隊の隊長アムリックは、神聖を汚すものを狩るために私たちをモークラットの沼地へと連れてきました。今や私たちはオスピド川の塩水を辿り、ネファリアの中心へとこれまでになく深く進んでいます。
沼
モークラットは寒々とした地で、怪物、幽霊、死の悪臭に満ちています。私たちの兵士の何人かは既に暗い霧の中、何かに連れ去られてしまいました。モダグの花嫁が彼らを死へと待ち伏せているのだと言う者もいます。アムリック曰く、パルサダー川がついには私たちをステンシアへと導くとの事でした。ですがその地へと辿りつく前に、神聖を汚す者の集まった群れとの戦いを経なければなりません。信念と力を試す時が待ち構えています。
沼
巨大な、見捨てられた海の墓所の端で私たちは大群に遭遇しました。奴らは馬と乗り手の両方を沼地へと引き込むに十分な数で、シダの茂みに潜んでいました。戦いの騒音と叫びの只中、私はグール呼びがいっそう多くの屍をその墓からかき出そうとする詠唱を聞きました。それは凝視するにはあまりに忌まわしいものでした。死体が地面から蟻のように這い出しました。私と仲間の四人は乱戦の中それらを切り捨て、沼地の中をやみくもに戦いました。今や私たちは現在地を見失い、闇は増大しています。
沼
仲間やエルゴードの兵士たちの行方は知れず、私たちは高所から山地へと向かいました。うまくいけばこれは光に見捨てられた沼にいる最後の日になるでしょう。じめじめした地面と滑る藪の中を重い足取りで進んで行くと、私たちは見捨てられて長い地所に偶然辿りつきました。狼男に踏み荒らされたことは疑いようもなく、証拠として残骸には鉤爪の跡がありました。私たちが出会ったある旅人によると、シャドウグランジまで歩いて一日との事。そこからクルーイン峠を通ってスレイベンへの長い帰路につくことができます。
山
私たちは灯台に辿りつき、そして守り手がその隅で血を吸われて崩れ落ちているのを発見しました。突然、吸血鬼たちが私たちの頭上に現れました。マリウスは速やかに二体のファルケンラスの悪鬼に圧倒され、血の流れの軌跡を残しながら夜空へと連れ去られてしまいました。私は一体の吸血鬼が飛び立つ際にそいつの足首を掴みました。そしてペトルとコスティンがそいつに飛びかかり、唸り声を上げる怪物を地面へと押し倒しました。ドリナが猫のように動き、叫びを上げて吸血鬼の胸へと杭を突き刺しました。その死の苦しみようはまさに悪夢の産物でした。
山
私たちはクルーイン峠を通り、禿鷲の翼幅へとできる限り迅速に向かいました。かつてないほど高地へと向かい、一日ごとに寿命が終わるように思えました。私たちがまだステンシアにいるのかさえ知るよしもありませんでした。わかっていたのは、ウルヴェンワルドに辿りつくまで進み続けなければいけないという事だけでした。ガヴォニーはそこから遠くはないでしょう。私たちは毎夜狼男の声を聞きましたが、ありがたいことに崖沿いに点在する洞窟が安全と野営の場所を提供してくれました。私はその峠をマルコフ家の者が巡回していると知っていましたが、またアヴァシンが安全な道を示して下さる形で私たちを祝福して下さることも知っていました。
山
私たちはついに峠を越え、そしてすぐ高い崖に刻まれた修道院を見つけました。かつてガツタフにいたという司祭が私たちに縄梯子を下ろし、そして食事と避難所を提供してくれました。その夜遅く、司祭たちは吸血鬼の各家系が血の渇望を強めているという話と、人間の虐殺を大いに楽しむために数を増している爪の群れの報告をしてくれました。これらのクリーチャーは、護法の弱体化を感じさせます。私たちはこれをスレイベンに報告しなくてはなりません。彼らは何がやって来ようとしているのか、知るよしもないのです。
森
私たちは山地から、眼下にウルヴェンワルドの森を見ました。私はアヴァシンの護法が弱まり、世界が解れているのを感じました。わかっています、私たちは故郷へと辿りつかねばならないと。私はこの危険な地を端を通ろうと計画していました。ですがスレイベンが心配であり、時は流れ続けています。ケッシグで育ったドリナは、もしその森をまっすぐ突っ切れば、三度目の日の出の前にガヴォニーに辿りつけるだろうと言いました。彼女は勇敢で当てになる存在です。私たちは夜明けとともに、ウルヴェンワルドに入りました。
森
ウルヴェンワルドを移動し続け、私たちは時間の感覚を失いました。何度も、詠唱か何か想像もつかない獣の音かを耳にしました。それらを無視しようとしましたが、森の中に何が潜んでいるのか、結局のところ私たちは準備ができていなかったのです。藪の中に隠れていた、苔に覆われたとある古い墓所に私たちが愚かにも迷い込んだ時に、コスティンは命を失いました。昆虫のような怪物が地面からどっと現れました。その触手はコスティンを捕まえ、彼を地中へと引きずりこみました。私たちはまだ剣を抜くことすらできていませんでした。足の下で彼の叫び声は次第に鈍くなり、私たちは無言のまま無力に立ちつくすしかありませんでした。
森
ガヴォニー! 近野教区と故郷に近づくにつれ、私は木々の匂いを感じました。私たちはまだ慎重にいかなければなりません、ウィッタール教区にはおびただしい数の狼男がいるのです。スカハーラと彼女の吠え群れ、獰猛かつ残忍な虚の瞳はこの地域を血の渇きとともに見回っています。ウィッタールの祭壇に辿りつければ、私たちは庇護を受けられるでしょう。希望を持ちましょう、アヴァシンが私たちを見守り、この集いつつある暗黒をスレイベンに警告する旅を導いて下さると。私が望むのはただ間に合うことだけです。
以上がイニストラードの基本土地だ。このちょっとした冒険と危険の物語がその場面、人々、そして彼らの苦心のいくつかへと多少の光を当ててくれることを私は願う。物語は明らかにしていないが、これら絶望的な人間たちが生き残るための戦いの中で何が起こるのか、私たちはそれを見るだろう。私が言えるのは、それは全て、より美味なフレイバーの類になるだろうという事だ!
ところで疑問。それは甘い甘い人間の血のフレイバー(味)なのか、それとも栄光ある旗を掲げた勝利のフレイバー(味)なのか? チャンネルはそのまま! ダグはフレイバーに満ちた彼流のカンフーを示すために、来週戻ってくる。それまでの間、切ったばかりの生木の杭を枕の下に入れて、必ず浅く眠るようにしていてくれ。
翻訳監修:森 陽平
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