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Savor the Flavor

血に飢えたシェフ

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Savor the Flavor

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血に飢えたシェフ

Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki

2011年8月3日


 プレインズウォーカー達は君たちが考えるような味がする。

 ミラディン出身のプレインズウォーカー? 銅のぴりっとする味だ。確実に新鮮なものを手に入れること。ファイレクシアの堕落の兆候が何かしらある者は食に適さない。

 ラヴニカ出身の? こくがあるね。国際的な味。洗練された風味のスパイシーなブレンドだ。

 ラバイアの? 乾熱滅菌で調理するといい。神河? 生で試してみよう。人間は住んでいないけれどローウィン? 共食いの後味はそんなにしないよ!

 だけどもし君が真に血を渇望しているなら、プレインズウォーカー肉料理のエキスパートと一緒に行くことだ。今日のお題は「血に飢えたシェフ」。次元跳び魔術師の生き血を求める君たちの食欲を満たすための最高の食材を手に入れる方法だ!

捕食性の獣

 君たちのママが教えてくれたように、狂喜は生きるための自然の本能に由来する。血が流れる時、感覚が目を覚ます。毛穴は引き締まる。瞳孔は広がる。我々はそれらの本能を古の捕食種から引き継いでいる。クロコダイルは傷を負った獲物が近くの水中へとやって来た時、エネルギーを節約する倦怠の中から稲妻ほども速い行動へと移る。コウモリ、音波を駆使する夜のハンターは魔術師の頸動脈から個人の心臓の鼓動のわずかな振動を目指す。傷を与えられた犠牲者、その血の痕跡の中にあるアドレナリンと恐怖の香りは、原初の神経線維に火をつける。

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隠れ潜む鰐》 アート:Donato Giancola

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薄暮狩りのコウモリ》 アート:Jesper Ejsing

 最大規模で考えても、良質のプレインズウォーカーの素晴らしい風味にも同様の評価をすることができる。森の住人達は日常的に動物を生け贄に捧げ、強欲なワームを呼び出す。だが最大サイズのワームは、彼らの食事の中にある「灯」の味でなだめられただけと理論立てる者もいる。そしてどんな次元でも、ヘルカイトの食欲を刺激するには、プレインズウォーカーの血がたった一滴あればいい。あらゆる次元のドラゴン属の中でも最も恐ろしい敵、そいつは何マイルもの熱い地殻を突き破ってメインディッシュを食べにやって来る。

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殺戮のワーム》 アート:Dave Kendall

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憤怒生まれのヘルカイト》 アート:Brad Rigney

 だが水の中の血の匂いを感じて活気づくのは、本能に生きるクリーチャーだけではない。

戦いに飢えた人型生物

 知能は狂喜を除去したりしない。事実、知能は心に狂喜をより深く食い入らせる。コウモリやワームは本能によって血の源を攻撃する。知性ある者は血への飢えに自ら進んで食い尽くされ、感情と思考を混濁させ、殺戮に駆り立たせる。古の記憶にある飢えを押し動かし行動する。怒りの鬨の声は、晩餐を知らせるベルへのよく洗練された反応以外の何でもない。彼ら自身を戦へと駆り立てる大きな脳を持つ者達は、甘い闘争と味のよい勝利の完璧なごた混ぜを追い求める美食家達だ。

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血まみれ角のミノタウルス》 アート:Wayne Reynolds

 ミノタウルス達はひづめのある戦争機械だ。彼らの種族は戦闘の狂乱の技に理想化されていて、苦痛のうめきを戦の呼び声とする。彼らは戦場に完璧な武装と心構えで現れる。彼らに期待されるのは敵へと殺到し、圧倒すること以外の何でもない。

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血のオーガ》 アート:Christopher Moeller

 オーガ達は決して理論的に物事を考えはしないが、彼らは傷ついた野生の獣や傷ついたプレインズウォーカーが歯をくいしばり荒く息をつく、ぶざまな失態を理解する。彼らは四つ星レストランの開店に合わせ、叫びを上げながら料理評論家の熱意を持って洞窟から進み出る。特に《血のオーガ》の部族は次から次へと食事をする。一つの饗宴の食べ残しは次に来る近隣のオーガの食欲に火をつける。

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嵐血の狂戦士》 アート:Min Yum

 狂喜持ちの人型生物のカテゴリーは狂戦士でなくてはならない。血、戦、狂気、そして「今日の目標」それら全てが互いに同じ意味を持つ者達だ。もし狂戦士達がブログを持っているなら、彼らのあらゆる書き込みは「狂乱」「血」「顔面に斧を食らって錯乱した奴」といったタグが付けられているだろう。狂戦士達は戦の狂気の中で食事をしたいと熱望する。彼らが戦いへと到着する前に流された血を手に入れるのは実際とても困難だ。

だけどもし狂戦士達が狂喜の王だとすれば、もう一つカテゴリーがある。狂喜持ち達の高貴なる血の皇帝でなければならない、もう一つの特別なクリーチャーのタイプが。

吸血鬼

 多元宇宙で、血を賞味することについての権威者がいるならば、それは吸血鬼だ。他のどんなクリーチャーのタイプよりも、発見し、追跡し、獲得し、貪り、そして血を糧とすることにこれほど適合した者はいない。取り憑かれたワイン愛好家のように、彼らは他に何も飲まず、何も気にかけない。だからこそ真の狂喜シェフとなるためには、吸血鬼達の専門的知識をリスペクトすることが不可欠だ。プレインズウォーカーがどんな味なのか知りたいかい? ソリン・マルコフに聞いてみることだ。賭けてもいいよ、彼は生きている間にカップルをむしゃむしゃ食べたと思う。

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血怒りの吸血鬼》 アート:Steve Prescott

 もしくは、その上品で高貴な外面とは裏腹に不本意にも牙をむき出しにした吸血鬼に聞いてみることだ。もしくは、あまりに残忍な渇望が自制心を圧倒してしまい、吸血鬼の支配する領地から追放されてしまった、発狂した吸血鬼に聞いてみることだ。

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吸血鬼ののけ者》 アート:Clint Cearley

 もしくはヴァーズゴスからいらした紳士殿にお尋ねしてみることだ。その古からの渇望はとても強く、とてもなだめられず、吸血鬼の下僕からなる彼の軍団は団結することによってより深い血への渇きを得る。狂喜のシェフ達よ、君たちの仕事を愛すること。ヴァーズゴスの地へと巡礼し、その地の吸血鬼の一人とお目にかかるんだ。血の調理法と評論についての彼らの経験を我がものとすること。だけどもちろん、自己責任で、十分に準備をして。何か強力な信念や、少なくともお世辞を詰め込んで武装していくべきだ。君の5クォート(訳注:1クォートはほぼ1リットル)の血液が血王のメニューに上らないように。

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ヴァーズゴスの血王》 アート:Greg Staples

 食事というものが必要とするのは、長ったらしい生理学上の不可欠性ではない。狂喜のシェフになれば、君にもプレインズウォーカーがとても美味しい七面鳥の脚に似ているとマンガ的に思えてきて、一番美味しいところに牙を突き立てることができる!

今週のお便り

 今週は短い質問を二つ。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 「基本セット2012の内部事情 その2」を読ませて頂きました。
 この新しい単語、「強膜」を教えて下さってありがとうございます。私は、ソリンの瞳孔はちょうど普通の人々のように黒だということを貴方に伝えることで好意をお返し致します。瞳孔は瞳の中央の黒い穴です。色のついた部位は「虹彩」と呼ばれており、それがソリンの絵にある明るい色をした部位です。
 瞳孔は実際に黒いわけではなく、瞳の内部へと開いている穴であって、そこから光が入ります。黒くない瞳孔を持つためには、赤い内部で何かの光が反射するか(写真のフラッシュで赤目になったりしますね)、もしくは瞳の内部に何か光源的なものを持つ必要があります(ソリンのような、えーと......非生の要素を持つ者にはとてもありうる話です、瞳の内部にかすかに輝くものを持つというのは)。
 --Kartal T.

 おおぉぉぉう。先週の記事で私が知ったかぶりをした虹彩/瞳孔の区別、白目話を共有できることに私はとても興奮した。目についての私の失言を指摘してくれたKartalともう何人かの読者に感謝する。

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 猫や多くの夜行性のクリーチャー達は反射層、タペタムを持つことに注意。それは瞳の後ろにあって、彼らに光を当てた時に瞳孔が光るのはそのためだ。ソリンは正常な黒い瞳孔を持ち、タペタムは持っていないであろうと思われる。もしくはその男を描くのではなく、誰かが彼に写真のフラッシュを当てた時には光るのかもしれない。どう説明するのが無難かは定かではない。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 プレインズウォーカー達の「基本」バージョンについての私が感じているいくつかの混乱を解消していただけますでしょうか? プレインズウォーカー達のほとんどに今のところ何らかの点で「基本」であるバージョンがあり、それはキャラクター自身の名前がそのままカード名となっているのが顕著です。ですがエルズペスについては、印刷された最初のバージョンが必ずしもそうではありません。私は疑問に思います。第一に、これは実際に熟考の上でそうなっているのか、それともこれがパターンだという私の認識が誤りなのでしょうか? もしそれが本当ならば、私を誤らせているのは、テゼレットの基本バージョンを見ていたことでしょうか? 私は彼にラストネームがあるとは考えていません。そしてただ「テゼレット」とだけ呼ばれているカードは存在しませんが、もしかしたら貴方がたがプレインズウォーカー・カードにただ一語だけのカード名を望まないゆえに、《求道者テゼレット》が彼の基本バージョンとされているのでしょうか(同様に、与えられた状況によっては、それは明確に思えます。《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》はニコル・ボーラスの基本バージョンにカウントするべきでしょう......ですがカーンには適用されないように思います。《解放された者、カーン》というのはとても物語上具体的な名前であり、例えば「ゴーレムのプレインズウォーカー、カーン」というのもできるでしょう。ヴェンセールはただ私を混乱させ、そして悩ませています。そのパターンが本当に誤りなのかと)。
 時間を取って下さってありがとうございます。
 --Harry

 それはパターンだ。だけどたぶん腹が立つほどに「パターンを意識したもの」で、気まぐれなパターンだ。我々はローウィンで印刷されたオリジナルのプレインズウォーカー5人、彼らのフルネームをきちんと定めて始めることをはっきりと求めていた。彼らをより手の込んだカード名にすることもできた、「死の魔術師」や「炎の達人」や何か、そんな形容辞とともに。だけど我々は、彼らのキャラクターをまず彼ら自身として知ってもらうことを望んだ。それらのカードの、次に登場するバージョンにはただそのキャラクターのファーストネームが使われている。

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 エルズペスはそのパターンに従っていない。彼女のフルネームは彼女の最初のカード名ではない。当時、我々は彼女をより脇役的なキャラクターと考えていた。だが我々は彼女が好きだったし、プレイヤーも彼女が好きだった。そして彼女がミラディンの傷跡の物語に登場する時が来て、我々は彼女のフルネーム、《エルズペス・ティレル》を設定しようと決めた。エルズペスは《ギデオン・ジュラ》や《黄金のたてがみのアジャニ》と白単色のプレインズウォーカーの「スロット」を大いに争っているが、彼女は偉大なキャラクターであり、彼女はまだ最後を迎えていないと私は確信している。だから私は彼女の名字が決められたのを嬉しく思う。《エルズペス・ティレル》は《遍歴の騎士、エルズペス》よりもエルズペスのより「基本的な」バージョンだろうか? それは少々、フレーバー的な感じがある。

 テゼレット、コス、ヴェンセール、カーンは全員ラストネームが存在しない。その一つの単語が彼らのフルネームであり、「ファーストネーム・ラストネーム」というパターンに合うバージョンを印刷する実際の方法はない。それゆえに、もしもあらゆるプレインズウォーカーに「基本バージョン」のようなものがあるならば、それはそのように設定された姓の存在によるものではない。例として《求道者テゼレット》はどのように我々がそのキャラクター、テゼレットの本質の初演を行ったかを表している。そして青黒の《ボーラスの工作員、テゼレット》は、金属に心を傾けるエスパー人の経歴の発展系だ。もしかしたらいつか、我々はただ「テゼレット」とだけ呼ぶ、それこそがキャラクターの真の要素であると我々が感じるようなカードを印刷するだろうか。それはわからない。だけど私はその単語名の奴らについて心配はしないだろう。我々は一つの名前だけという流行のスタイルよりも、プレインズウォーカー達のカード名にクールな二つ名を与えてやりたい傾向にあるから。

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 皆、質問をありがとう! また来週。

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