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ReConstructed -デッキ再構築-
スタンダード構築を紐解く
スタンダード構築を紐解く
Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing
2014年12月2日
ワールド・マジック・カップでは、最も難しく興味深いデッキ構築のテーマでありつづける、チーム共同デッキ構築・スタンダードが登場する!
ReConstructedで扱う題材だとは思っていなかったかもしれないが、そうでもないよ。
チーム共同デッキ構築・スタンダードは、そのフォーマットの制限下で1つのデッキを構築すればいい、というだけでもなければ、最良のデッキ3つを一緒に使えばいい、というわけでもない――パーツが被らない3つのデッキ、その最良の組み合わせを探し当てなければならない。そこが面白いんだ。
チーム共同デッキ構築・スタンダードの主なルールは次の通り。
- スタンダードで使用可能なデッキを3つ用意しなければならない。
- 3つのデッキ全体で、同じカードは4枚までしか使えない。(基本土地は除く。)
要するに、3つのデッキを全てまとめたとしても、まとまったその1つのデッキはスタンダードで使用可能でなければならない。
私(ガヴィン)とジャッキー・リーがこのフォーマットについて説明している動画も参照してくれ。(リンク先は英語)
デッキをどのように分けていこうか? すでに確立されているデッキ3つを利用してみようか、それともこのフォーマットで成功するための新しいデッキに挑戦してみようか? 同じカードを複数のデッキで分け合って使いたいだろうか、それとも3つとも全く別のデッキにしたいだろうか?
さあ、取り掛かる時間だ! 今回は、チーム共同デッキ構築・スタンダードに取り組むための2種類の手法を詳しく調べていきたい。始めよう。
分割
スタンダード環境の上位にありながら、他の上位デッキと使用カードが全く被らない、というデッキを3つ揃えるのは難しい。とはいえ、少々の調整によってそれに極めて近い状態にはできるかもしれない。良い手法の1つは、使用カードがほとんど被らない3つのデッキを選ぶことだ。いくつかの妥協が必要になるという現実を受け入れる代わりに、実績のある強いデッキを3つ、ほとんどそのまま利用できる。
昨年では、フランスがこの手法を効果的に用いた。彼らは緑が被っているデッキを2つ――緑単とジャンドを――選んだ結果、ジャンドは《東屋のエルフ》や《エルフの神秘家》無しで何とかやりくりする必要に迫られ、緑単は《スラーグ牙》を入れられなくなった。
それもすべては、白と青のカードに手をつけず、ヤン・グットマン/Yann Guthmannが使う3つめのデッキに全てを残しておくためだ。
8 《島》 6 《平地》 4 《氷河の城砦》 4 《神聖なる泉》 2 《ムーアランドの憑依地》 1 《幽霊街》 -土地(25)- 4 《ボーラスの占い師》 3 《瞬唱の魔道士》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(11)- |
3 《思考掃き》 2 《アゾリウスの魔除け》 2 《本質の散乱》 2 《熟慮》 1 《天界のほとばしり》 2 《雲散霧消》 1 《拘留の宝球》 3 《至高の評決》 1 《巻き直し》 2 《中略》 3 《スフィンクスの啓示》 2 《ルーン唱えの長槍》 -呪文(24)- |
1 《霊異種》 2 《払拭》 1 《真髄の針》 2 《否認》 1 《天界のほとばしり》 1 《本質の散乱》 3 《終末》 1 《思考を築く者、ジェイス》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 1 《月の賢者タミヨウ》 1 《浸食する荒原》 -サイドボード(15)- |
18 《森》 4 《変わり谷》 -土地(22)- 4 《東屋のエルフ》 4 《エルフの神秘家》 2 《若き狼》 4 《絡み根の霊》 1 《漁る軟泥》 4 《エルフの大ドルイド》 4 《捕食者のウーズ》 2 《ドルイドの使い魔》 4 《ウルフィーの銀心》 -クリーチャー(29)- |
4 《怨恨》 4 《情け知らずのガラク》 1 《狩られる者の逆襲》 -呪文(9)- |
3 《レインジャーの悪知恵》 2 《捕食》 2 《帰化》 2 《漸増爆弾》 1 《獰猛さの勝利》 3 《狩られる者の逆襲》 2 《原初の狩人、ガラク》 -サイドボード(15)- |
1 《沼》 4 《血の墓所》 4 《草むした墓》 4 《根縛りの岩山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《森林の墓地》 2 《竜髑髏の山頂》 2 《ケッシグの狼の地》 -土地(25)- 3 《漁る軟泥》 4 《生命散らしのゾンビ》 4 《高原の狩りの達人》 3 《オリヴィア・ヴォルダーレン》 4 《スラーグ牙》 -クリーチャー(18)- |
2 《悲劇的な過ち》 4 《遥か見》 2 《戦慄掘り》 1 《ミジウムの迫撃砲》 3 《忌むべき者のかがり火》 2 《化膿》 1 《ラクドスの復活》 2 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(17)- |
4 《火柱》 3 《強迫》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《ラクドスの復活》 2 《地下世界の人脈》 1 《忌むべき者のかがり火》 1 《血のやりとり》 -サイドボード(15)- |
さてそこでだが、今年ならどのようにその魔術を再現できるだろうか?
そうだな、ReConstructedの読者であるジョージ・ウォルフ/Georgr Wolfeが、かなり手堅いアプローチを提供してくれた。それはジェスカイを起点とするもので、デッキリストはこのようなものだ。
2 《島》 2 《平地》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 2 《啓蒙の神殿》 3 《シヴの浅瀬》 4 《天啓の神殿》 1 《戦場の鍛冶場》 4 《凱旋の神殿》 -土地(26)- 4 《カマキリの乗り手》 3 《灰雲のフェニックス》 -クリーチャー(7)- |
4 《稲妻の一撃》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 4 《ジェスカイの魔除け》 2 《神々の憤怒》 3 《かき立てる炎》 1 《対立の終結》 2 《時を越えた探索》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 3 《龍語りのサルカン》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(27)- |
ジェスカイはスタンダードで数多くの成功を収めてきている。そしてこのデッキリストに注目する要素が特に無いとしても、これが魅力的に思える理由が実はある。それは、他のデッキで使いたいカードをほとんど使わないので、チーム共同スタンダードのデッキ構築の方法論にうまく当てはめられる、という点だ。
ジョージは、ジェスカイと組むデッキとしてアブザンと赤単を提案している。このデッキとアブザンは使用カードの被りがほとんど無いので、この2つは良い組み合わせだ。赤単は《稲妻の一撃》などが少々被るものの、この3デッキを組み合わせるため、ジョージはその負担を受け入れるつもりのようだ。これで、お互いに使用カードの被りが無いかなり優秀なデッキ2つと、わずかに使用カードが被るデッキ1つが揃う。
例えば、こんな感じだ。
3 《森》 3 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《砂草原の城塞》 1 《豊潤の神殿》 1 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 3 《コイロスの洞窟》 1 《静寂の神殿》 1 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《包囲サイ》 1 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(19)- |
3 《思考囲い》 4 《アブザンの魔除け》 3 《英雄の破滅》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《完全なる終わり》 1 《残忍な切断》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(16)- |
18 《山》 -土地(18)- 4 《アクロスの十字軍》 4 《火飲みのサテュロス》 4 《鋳造所通りの住人》 4 《激情のゴブリン》 4 《僧院の速槍》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(24)- |
4 《ドラゴンのマントル》 4 《槌手》 4 《タイタンの力》 2 《統率の取れた突撃》 3 《マグマの噴流》 1 《かき立てる炎》 -呪文(18)- |
ジョージは、ジェスカイ・デッキ側に《ゴブリンの熟練扇動者》を採用しないことで、赤単に投入できるようにしている――そして《稲妻の一撃》の不足は《マグマの噴流》で補っている。(もしこの3デッキ構成に合わせるためにジェスカイ・デッキを修正するなら、私は多分《稲妻の一撃》と《マグマの噴流》を2つのデッキで均等に分割するか、《稲妻の一撃》を赤単に与え、《マグマの噴流》をジェスカイに持たせるだろう。)ともあれ、赤単とジェスカイ・デッキで少々の衝突があるにもかかわらず、そろえて扱うのに向いている3つのかなり手堅いデッキが手に入る。
さて、これが手法の1つだ。では別の手法は? よくぞ聞いてくれた!
団結
少々の犠牲を受け入れつつ、カードプールを既知のデッキ3つで分割するのが手法の1つだとすれば、逆の手法は、新しいデッキを3つ組み合わせるものになる。
もし他のチームが少々妥協したデッキを使っているとすれば、より影響の少ないデッキでそれらを食い荒らす絶好のチャンス、ということになるかもしれない!
ここで、これら2つの戦略は、状況を見て適切なほうを採用するべきだ、と注意を促しておく。昨年勝利したフランスのデッキリストを振り返ってみよう。緑単はあらゆるスタンダード・イベントで勝利するような環境トップレベルのデッキではなかったが、このチーム共同デッキ構築・スタンダードではよい選択である、ということが判明した。
その立ち位置を今年に合わせて考えれば、トップレベル・デッキへの警戒を潜り抜けている青黒コントロールのようなデッキがそのまま当てはまるかもしれない。他のデッキが多少なりとも弱体化しているとすれば、コントロール・デッキがその僅かな優位性を確保する、有利な状態になりやすい。もしくは、信心のようなデッキが舞い戻ってくる機会かもしれない。
しかし今回は、もっと思い切った全く新しいデッキを考慮してみよう。まずは、イトウ カズナリが投稿してくれたこのデッキをお目にかけよう。
6 《島》 6 《山》 4 《急流の崖》 4 《天啓の神殿》 4 《ダークスティールの城塞》 -土地(24)- 4 《羽ばたき飛行機械》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《幻影の天使》 4 《賢いなりすまし》 -クリーチャー(16)- |
4 《虚空の罠》 4 《アーティファクトの魂込め》 4 《引き剥がし》 4 《軍事情報》 4 《爆片破》 -呪文(20)- |
こういったデッキは――とりあえず今は――スタンダードの上位で見かけるデッキではない。誤解しないでほしいが、完璧から程遠いデッキではあるものの、世界へと羽ばたく準備はできている。そしていくつか調整することで、競技レベルたりえるかもしれず――スタンダードで多くのプレイヤーがこういうデッキを調整していくうちに、天啓を受けて新しいものを見出せるかもしれない。
さて、こういったデッキを採用すれば、他のデッキを用いる場合よりは、人気のカードを取り合うことが少なくなる。実際、もしこのデッキを選択すれば、ついこの間開催されたグランプリ・サンアントニオ(リンク先は英語)で最高の実績を残したデッキから残りの2つをそのまま採用し、すぐに3つのデッキを共存させることが可能だ!
例えば、グランプリ・サンアントニオからこのような極めて強力なデッキ2つを取り込むことができる。
9 《平地》 2 《島》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《啓蒙の神殿》 2 《平穏な入り江》 1 《マナの合流点》 -土地(22)- 4 《恩寵の重装歩兵》 4 《戦識の重装歩兵》 4 《イロアスの英雄》 3 《道の探求者》 4 《ヘリオッドの巡礼者》 -クリーチャー(19)- |
4 《果敢な一撃》 4 《神々の思し召し》 1 《液態化》 4 《タッサの試練》 3 《抵抗の妙技》 1 《ヘリオッドの試練》 1 《鐘音の一撃》 1 《層雲歩み》 -呪文(19)- |
3 《森》 3 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《開拓地の野営地》 2 《奔放の神殿》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《神秘の神殿》 2 《シヴの浅瀬》 -土地(24)- 4 《森の女人像》 3 《爪鳴らしの神秘家》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《凶暴な拳刃》 3 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 2 《灰雲のフェニックス》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 1 《龍爪のスーラク》 -クリーチャー(25)- |
3 《頑固な否認》 3 《火口の爪》 3 《稲妻の一撃》 1 《ティムールの隆盛》 1 《ティムールの魔除け》 -呪文(11)- |
世界選手権とワールド・マジック・カップでは、相当に風変わりなデッキが登場するかもしれない。つまり中継を見る上で、チーム共同デッキ構築・スタンダードはますます楽しみだってことさ!(編訳注:原文は開催前に執筆されたものです。)
編訳注
ワールド・マジック・カップ2014は12月5~7日に開催され、チーム共同デッキ構築・スタンダード(および『タルキール覇王譚』チームシールド)にて競技が行なわれました。
実際の結果はどのようになったのでしょうか? ぜひイベント特設ページにてご覧ください。
(今回のデッキ募集はありません。)
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