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戦略記事

ReConstructed -デッキ再構築-

フィナックス信奉会

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フィナックス信奉会

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2014年1月21日


 『神々の軍勢』で見うけられる神々は、『テーロス』のそれとは異なる特徴が多い。

 その差を1つ挙げるとすれば――マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterの最初のプレビュー記事メカニズム記事を読んでいれば既に知っているとは思うが――『神々の軍勢』の神は多色カードだ。『テーロス』の神々とは異なり、彼らは2つの色を備えている。

 現時点まで情報を追い続けていれば、それらは既知のことかもしれない。しかし恐らく皆はまだ知らないだろうが、デッキに入るこれらのカードは『テーロス』の神々とは全く異なる役割を果たすんだ!

 『テーロス』の神々は汎用性の高さを目指してデザインされた。例えば、十分な白マナを備えていればどんなデッキでも《太陽の神、ヘリオッド》を利用できるし、同様にクリーチャーさえ多ければ《鍛冶の神、パーフォロス》は非常に効果的だろう。要するに、『テーロス』の神々は万神殿における主神という位置づけであり――各色の特徴を表現していなければならない。

 しかしながら、次のセットに含まれる神々については少々事情が異なる。『神々の軍勢』の神々は――それぞれの得意分野に関することでのみ――非常に強力になるようデザインされた。既存のデッキにそれらを投入しても、たぶん一貫して動くことはないはずだ。だがその神々を中心に構築するか、それらにとって理想的なアーキタイプのデッキに投入すれば、『テーロス』の神々よりも遥かに強くなるだろう。

 つまりどういうことかって? フィナックスを見てくれ!

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 少し間を置こう。そして、《欺瞞の神、フィナックス》で何ができるのかを把握しよう。あなたが『テーロス』で期待していたようなものとは、少し違うようだ。

 さて、今カードに目を通したわけだが......実際にこれをどう使おうか?

 《欺瞞の神、フィナックス》は『テーロス』の神々と比べると信心をさらに1つ多く要求するため、彼らより少し難易度が高くなっている。(《欺瞞の神、フィナックス》自身が持つマナ・コストの色マナ2つが信心7という要求に答える助けにはなる。)しかもいったん顕現させたとしても、4/7というサイズは5マナとしての記録を打ち破るようなものでもない。

 だが都合の良いことに、それらの懸念点はすべて彼自身の能力を軸に考えることでひっくり返る。

 《欺瞞の神、フィナックス》を搭載したデッキは、彼のライブラリーアウト能力を上手く利用するだろう。そしてよく考えて欲しい。《太陽の神、ヘリオッド》や《狩猟の神、ナイレア》とは異なり、いったん《欺瞞の神、フィナックス》がクリーチャーになればその能力は自身にも付与される! それはつまり《欺瞞の神、フィナックス》がいったんクリーチャー化すれば毎ターン7枚のライブラリーを削れるようになることを意味する――すぐに決着がつくことに疑問の余地は無いだろう。

 この独特な神を用いる方法とは? 見てみよう!

タートルタウンへ旅立とう

 恐らく《欺瞞の神、フィナックス》を使いこなすための分かりやすい方針の1つは、タフネスの高いクリーチャーで戦場を埋め尽くすことだろう。この方法は、自分のライフの安全を確保した後に《欺瞞の神、フィナックス》を着地させて、相手のターン終了ステップにライブラリーを削り始めることで速攻で片をつけることになる。

 これが今後そのようなデッキとして見かけるかもしれないものの一例だ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「タートルタウン」
スタンダード[MO] [ARENA]
9 《
4 《
4 《湿った墓
4 《欺瞞の神殿
3 《ディミーアのギルド門

-土地(24)-

4 《門衛
4 《前兆語り
2 《つぶやく幻
4 《浮遊障壁
4 《霜の壁
3 《欺瞞の神、フィナックス

-クリーチャー(21)-
1 《破滅の刃
4 《英雄の破滅
4 《骨読み
2 《解消
2 《悪夢の織り手、アショク
2 《記憶の熟達者、ジェイス

-呪文(15)-

 基本的に《霜の壁》のようなカードは構築戦でよく見るカードに比べて弱いと思われているようだが、このデッキはその認識を覆す。戦場に《霜の壁》がいるときに《欺瞞の神、フィナックス》を出せれば、対戦相手に残された時間は急激に少なくなる――そして恐らくはさらに他にもライブラリーを削り取るための高タフネスクリーチャーを戦場に展開できているだろう。

 高い防御力というテーマから導かれ、序盤からライブラリーを少量削る手段として《門衛》もこのお祭り騒ぎに加わる。基本的には《前兆語り》と《骨読み》によって見つかるはずだが、例えしばらく《欺瞞の神、フィナックス》が見つからなかったとしても、最終的に見つけ出すまでには《門衛》が《欺瞞の神、フィナックス》の仕事を非常に楽なものにしておいてくれるだろう。

 少し違う方向性を模索してみたい? そうだな、より確実に《欺瞞の神、フィナックス》をクリーチャー化する方法としては《ディミーアの黒幕ラザーヴ》が考えられる。《夜帷の死霊》が《欺瞞の神、フィナックス》の信心3つ分になる一方で、《ディミーアの黒幕ラザーヴ》は4つ分の信心を満たせる――神自身が持つ2つの色マナシンボルと合わせれば、《欺瞞の神、フィナックス》がクリーチャー化するのに必要な信心はたった1つだ。(加えて、さらに《ディミーアの黒幕ラザーヴ》はもっと高いタフネスを持つクリーチャーのコピーになることも選べる!)

 ここでは採用ラインに達しなかった――とりわけ《予知するスフィンクス》や《破壊的な逸脱者》などの――魅力的な5マナ域のカードがかなりの数存在するのだが、それは防衛クリーチャーの展開を経由しつつも何とかしてマナカーブの頂点を5マナ域に収めるようにしたいからだ。そうすれば手札に抱えて苦しくならない程度の、少量の5マナ域を引き入れることができる。

 このデッキは今までもよくあった手法によるものだが――それが《欺瞞の神、フィナックス》のすべてではない。次のデッキを見てみよう......

神の下に誰もが集う

 先ほどのデッキは元から高いタフネスを持つクリーチャーを利用したものだった。しかし自らの手でタフなモンスターを作り出したらどうなるか? そうする手段はあるだろうか?

 ああそうだ。その手段は確かにいくつかある。

 ちょっと変わったものを紹介させてもらおう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「タフネスコンボ・ライブラリーアウト」
スタンダード[MO] [ARENA]
3 《
4 《アゾリウスのギルド門
4 《ゴルガリのギルド門
4 《セレズニアのギルド門
4 《シミックのギルド門
3 《ディミーアのギルド門
1 《オルゾフのギルド門

-土地(23)-

4 《エルフの神秘家
4 《門を這う蔦
4 《森の女人像
4 《斧折りの守護者
3 《欺瞞の神、フィナックス
3 《クルフィックスの預言者

-クリーチャー(22)-
4 《唯々 // 諾々
2 《塔の防衛
4 《門の維持
3 《スフィンクスの啓示
2 《太陽の勇者、エルズペス

-呪文(15)-

 このデッキは赤以外の4色をごちゃまぜに入れただけのように見えるかもしれない――だがそれ以上のものがここにある。これは《欺瞞の神、フィナックス》をクリーチャーにしなくていいフィナックスデッキなのさ!

 《門の維持》と《塔の防衛》の2枚は実質的にこちらのクリーチャー全体のタフネスを上昇させるカードだ。通常ならタフネス上昇をデッキに採用する価値は無いが、戦場に《欺瞞の神、フィナックス》さえ出ていれば全ての価値観は入れ替わる。

 《諾々》でトークンを4体出して次の自分のターンを迎えるとしよう。それから《塔の防衛》と《欺瞞の神、フィナックス》を唱えればちょうどライブラリーを24枚削れる......そのときトークン以外のクリーチャーをコントロールしていない訳がないよね。

 タフネス強化では《門の維持》も極めて有効だ。デッキのマナ基盤のほとんどがギルド門なので、クリーチャーが土地の枚数分のタフネス上昇を受けるようなものさ。異常なほどのタフネス上昇を全クリーチャーが受けることによって、1~2ターンのアクションだけでライブラリーアウトが可能だろう。

 ギルド門を用いるので、マナを安定させる助けとして《門を這う蔦》も同様にギルド門エンジンに組み込んでいく。緑のマナクリーチャー群を採用することで土地の総数を減らしつつクリーチャーを大量に展開できるので、《欺瞞の神、フィナックス》の効果がさらに致死的なものになる。《クルフィックスの預言者》は必要なクリーチャー全てを早急に展開することを助けてくれる......そして《クルフィックスの預言者》が出ていればこちらのクリーチャーは《欺瞞の神、フィナックス》の能力を2倍使えるんだ!

 ちょっとデッキをいじってみたいって? それなら《迷路の終わり》で勝ちに行くデッキへと改修できるかもしれない。思いもよらない組み合わせかもしれないが、間違いなく相手が想像もしていなかった2方向から攻撃できるだろう......もしかしたらどちらも成功するかもね。

独自の軍勢

 『神々の軍勢』ブースターを見れば《欺瞞の神、フィナックス》が5小神のうちの1人だとわかるだろう。他の神が何をするのか見るためにこのサイトなどのウェブ記事を見るのもいいんじゃないかな。それらはあなたのデッキ構築意欲をかきたてるだろうね!


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(2月4日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 吉川)

モダンの軍勢

 2週間後には、プロツアー『神々の軍勢』がバレンシアで開催される! モダンに注目すると、そこには新鮮味がダブルパンチで用意されている――『神々の軍勢』が使用可能となるだけではなく、新しい禁止カードと禁止解除カードが発効となるのだ。《死儀礼のシャーマン》が去り、《野生のナカティル》と《苦花》が戻り、まったく新しいセットが加わって、何が起きるかなんて誰が知り得るだろう?

 ああ、もしかしたら皆さんは、我々が期待しうるものを考え、今週のデッキ構築ミッションで提案してくれるかもしれないな。

フォーマット:モダン

デッキの制限:『神々の軍勢』のカードを1枚以上含むこと。

締め切り:2月11日(火)午前11時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Modern(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 モダンへのチャレンジでは幅広いデッキを受け取れることから、いつも私のお気に入りの週だ。モダンで『神々の軍勢』をいかに使ってくれるのか、見るのが待ちきれない――その中には、間違いなく、胸躍るシナジーがあるはずだ!

 それまで、この記事について考えたことやコメントがあれば、フォーラムへのコメントや私へのツイートを送ってほしい。皆さんの考えることは、いつだって聞いてみたい。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey

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