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Latest Developments -デベロップ最先端-
他のチームと仕事をする
他のチームと仕事をする
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2016年3月11日
この記事では、デザインとデベロップの間の様々なやり取りについてお話ししてきたので、今回は開発部内外のデベロップと関わりのある他のチームを見て、そしてそれらとの関わりが作り上げるものについてお話ししようと思います。
ストーリー・チーム、アート・チームとの仕事
デザインは世界観構築の過程において、アート・チームおよびストーリー・チームと最も密接な関わりのあるチームですが、デベロップにもいくつか関わることが存在します。我々はそのセットがどんな世界にあるかを見て、環境に適正な量の重なりがあるようにすることを好みます。例えばイニストラードに行くなら、我々はいくつかのスピリット、人間、ゾンビ、吸血鬼がスタンダードにあるようにします。何らかの理由でイニストラードの前の世界にそれらがいなかったなら問題です――デベロップが変更を勧めるものです。
セットがデベロップに差し掛かると、カードが重要なイベントを極めて効果的に表現するようにすること、そしてストーリー・チームにどのカードがコンセプトに最もふさわしいかを伝えるようにするのは我々の仕事です。アートは基本的に第1波と第2波に分かれていて、デベロップがそのセットを手にする頃にはちょっと急いでそのセットの半分を「確定」させようとしています。もちろんその確定は本当の意味での完成ではありませんが、我々はいったん決定された実際のアートを使って作業する必要があります。
その結果第1波には、基本土地と(あるなら)2色土地、伝説のパーマネント、プレインズウォーカー、アートとメカニズムが強く結びついていないカードなどが含まれます。それから我々は火力呪文(基本的に簡単に正確なマナ・コストとダメージを変えられるので)と打ち消し呪文、そしてかなり自信を持っているクリーチャーを見ていきます。これによりアートとストーリーのチームは、後で我々が変更することがないようなカードに必要な時間を費やすことができるのです。
セットのリード・デベロッパーは、通常カードをコンセプトから始めることを助けるためにストーリー・チームのメンバーと「見どころ/top-lining」会議と呼ばれるものに同席します。クリエイティブが(開発部がプレイテストで使う、《Look at Me, I'm R&D》のような)ステッカーの貼られたカードを読み、クリエイティブ的に最高にクールなカードを考え出そうとし、後でより良い描写ができるようにアートの基本的な要点を手早くメモします。ここでリード・デベロッパーはとても役に立ち、トップダウン・デザインかもしれないカードに関する記録を出したり、さらなるデベロップのために必要な柔軟性のあるコンセプトにクリエイティブ・チームを向かわせたりします。
例えば、もし我々があるクリーチャーのテキストをとても気に入っているけども、それが2/2になるか3/3になるかはっきりしない場合、どちらのサイズでも構わないようなクリーチャー・タイプを要求するかもしれません。具体的な数の行動を行う呪文に取り組んでいて、その数字を変更する可能性がある場合、あとでデベロップがその数字を2に変更するのが大変になるので、クリエイティブに3に関するコンセプトで書かないように伝える必要があります。
リミテッドやフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL)によって後から物事が変更されることがしばしばありますが、それらの変更はデベロップとそのセットのクリエイティブ代理の間で全てが共存できるものを考えだすために議論が行われます。デベロップは可能な限り柔軟なコンセプトを持つ適正なカードに変更を行うことができ、アートの再発注をしないのが理想です。しかしながら過程の後半のいくつかのアートには、基本的にFFLの懸念のために使われるある程度の時間と余地が存在します。
例えば、我々は最近発売されたセットのカードやまだ発売されていないけどももう変更できないカードに対するサイドボード・カードの必要に気づいたりするかもしれません。我々は何か他のカードをセットから外して、必要に応じたデザインの新しいカードを入れることができます。この最も有名な例の1つが《墓掘りの檻》で、このカードは『闇の隆盛』から、後に『統率者(2014年版)』で《創意工夫の傑作》になるカードを蹴り出して収録されました。
編集チーム、ルール・チームと仕事をする
私が完全無欠ですごくすごく賢いと信じたいのと同じぐらい、私が何度プレイテストのカードに「場に出たとき」や「ターンまで」と書いたり、全く意味不明な文を書いてしまったか伝えきれません。たとえば「あなたのライブラリーからインスタントかソーサリーを1枚探してきて、それを入れる。そうしたなら、あなたのライブラリーを切り直す。」のような感じです。これが我々の中にデザインやデベロップが様々な製品に書いたテキストを調べて、それを意味が分かるものにする編集チームがいる理由です。
また編集の分野にはルール・チームも含まれ、我々のカードが既存のルールで機能するか、少なくともそれが機能するルールを書けるようにするのがその仕事です。例えば授与は、我々がテーロスを作っていた時のルールでは技術的に機能しなかったので、オーラが戦場に出たときに対応して対象になったクリーチャーが除去された場合の挙動を少し変更しました。これはデベロップからのとても強い要望だったので、彼らは機能的に働くようにしました。同時に、ルール・チームは我々が本当に馬鹿なことをしようとしたときや、1枚のカードを完成させるためにルール全体を大きく変更しなければならないようなときに、それに対して反対をしたりします。
このやり取りの大部分は2つの段階に分かれています――1つ目はデベロップと編集/ルールの間で我々がやりたいことに同意を得ようとする非公式な話し合いで、2つ目はそのセットのより複雑なカードの詳細かつ正確な機能を決めるための話し合いである公式のテンプレート会議です。
ご存じかもしれませんが、「クリーチャー1体を対象とする」と「あなたのコントロールするクリーチャー1体を対象とする」には大きな機能的違いが存在します。そしてご存じないかもしれませんが、他にも我々がカードをテンプレート化する方法でわずかに機能が変化する細かい違いが多く存在し、そしてそれらの変化は実際に根拠を持っています。例えば、基本的に2~3枚のカードをライブラリーの下に置く場合は好きな順番で置けますが、それ以上(もしくは変化する場合)になるとランダムになります。デベロップがそうすべきでないという本当に良い理由を持っていないかぎり、このような類のルールが一貫して適用されるようにするのは、ルールとテンプレート・チームの責任です。
デジタル・チームと仕事をする
ここ数年の間に、デザインとデベロップはデジタル・チームに現在何が進行中であるか知らせるようにする、とても優れたコミュニケーションが取れるようになったので、「マジック・デュエルズ」や「Magic Online」でうまく機能するようにカードを微調整できるようになりました。我々はデジタルを助けるために紙に悪影響があるような多くの決定を行いませんが、(任意のプレイヤーではなく対戦相手だけを対象に取るような)わずかな調整でクリック数を減らすことができるならば、それらを行おうとします。
面白い話:『神々の軍勢』がタイプセットやローカライズに渡って印刷が始まろうとしていた時に、「Magic Online」のカードセット・チームはちょっとした問題を持って我々のところにやって来ました――《運命の気まぐれ》です。このカードは多くのセットにあった「赤の何が起きるか分からない変なレア枠」でした。「Magic Online」ではカードを3つの束に分ける良い方法がないことが判明しました――これまでに我々は2つの束にしかカードを分けたことがなかったのです。これはつまり、「Magic Online」におけるこのセットのために必要な作業の大部分が、これ1枚に対応するためにカードの束を分ける方法を作りなおすことであるということでした。
不運なことにこのカードは我々にとって重要なカードではありませんでした――我々はこれをクールだと思っていましたが、このセットの軸だとは考えていませんでした。もし我々がデジタルともっと良いコミュニケーションを取る手段を持っていたら、『神々の軍勢』のためのプログラム時間を減らして彼らを助け、そして余分なリソースを何か他のことに向けられるようにこのカードに微調整を加えることができたでしょう。
《運命の気まぐれ》 アート:Seb McKinnon |
無色マナに取り組んでいるとき、我々は可能な限り早く「Magic Online」チームに知らせるようにしました。無色マナを適切に機能させるには大幅なアップデートが必要だったので、これは良いことだったと後に判明しました。私がお話しした初期のコミュニケーションの改善により、デジタルは我々にそのメカニズムを保つために詳細な情報を得た上で決定を行えるよう、過程の十分早い時期にどれぐらいの作業が必要かを教えてくれるようになり、我々はその作業を行いました。これはそのセットのデベロップの後期にメカニズムのプログラムをする時間がないことが判明する世界に住むよりもずっと良いことです。
ブランドと仕事をする
ブランドはマーケティングや宣伝、生産、ウェブサイト、組織化プレイなどを担当している人たちの部署です。
デベロップ、特にリード・デベロッパーの視点から、彼らがキャッチフレーズを書いたり広告カードを作ってより効果的にそのセットの販売キャンペーンを行えるように、そのセットの最も重要な部分をブランドに伝えることは重要なことです。デベロップの視点から、彼らに龍や、楔3色、フェッチランドといったそのセットの主なセールスポイントを教えることは重要です。可能な限り、そのセットが伝えようとしている洗練された経験を取り上げ、ブランドにそれを売り込むための能力を与えることが我々の目的です。
そのセットが完成すると、今度はプレビューの計画を練り始めます。ここでの仕掛けは可能な限り内部で宣伝に効果的なカードを見つけ、外部の世界の人々やお店に我々が最も宣伝に効果的であると感じたカードを紹介することです。
例えば、私は優れたデベロップの話を伝えられるカードをプレビューするのが好みで、同じようにマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterは彼が伝えたいデザインの話に結びついたカードをプレビューすることを好みます。外部のお店については、我々は彼らが好み興奮しそうだと思うカードを探そうとします。例えば、我々はいつもLoadingReadyRun(※)が面白い動画を作れるようなバカなカードを見つけようとします――おそらく最もよくそれを現しているのは《うねる塔甲羅》をプレビューしたものでしょう。
(※編訳注:カナダのスケッチ・コメディ制作会社。「Friday Nights」や「Crapshots」などマジックに関するシリーズを制作。)
メインのセットだけでなく、我々はデュエルデッキや『統率者』のような補助的な製品についてもブランドと一緒にテーマを考えていて、初代『コンスピラシー』や『テーロス』のチャレンジ・デッキ、他にもこれからの数年であなたが目にすることになる新しい製品を作り出しています。また我々は禁止制限リストの更新についても彼らと一緒に取り組んでいて、そして様々な組織化プレイの取り組みやトーナメントの詳細に我々の意見を反映する代理人もいます。
一丸となって
これらはデベロップがマジックのセットを作るときに社内で一緒に仕事をする中のほんのわずかで、これらのグループがデザインとデベロップが考えだしたものから皆さんがプレイしているカードへと翻訳する作業については触れてもいません。なので今度あなたがブースターパックを開けるときに、それらのカードを作るためにどれだけの人の手がかかっているかを少し考えてみてください。
今週はここまでです。来週は『イニストラードを覆う影』の新しいカードをプレビューします。
ではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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