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捕食者のデベロップ
捕食者のデベロップ
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2014年8月8日
今週は捕食者特集ということで、メタゲームの捕食者のお話をしたいと思います。それがマジックをプレイする経験で重要である理由と経緯、そしてどのようにマジックを、特にスタンダードを面白いものに維持しているかについてです。
《地割れ潜み》 アート:Jack Wang |
《弱者選別》
メタゲームとは、強力なデッキがその強さが基準に全く達していないデッキの集合の中から現れるところから始まります。全てが公平とは限りません――そしてそれでいいのです。もし弱いデッキが存在しないなら、どうやって何が実際に強いデッキだと証明するのでしょうか? 現在多くの「Magic Online」上のものも含むマジックのトーナメントが多数開催されており、何が強いか弱いかが明らかになるのは昔よりもはるかに早くなっています。しかし、幸運にもマジックはメタゲームから人々が多くのことを学ぶ傾向にあるぐらい、十分に健全です。
我々はスタンダードの新鮮さが失われないように、以前はとても弱かったカードやデッキが支配的になる機会があるようにするために、新しいセットを加えローテーションを迫ります。これがカードやデッキの生涯です。そのサイクルの中で時と共にそのメタゲーム中の最弱のデッキがそのフォーマットから姿を消し始めます。
我々の目標のためにローグ・デッキを見ています。勝っているデッキの上位6〜8位までに入らない全てのデッキがローグ・デッキです。一般的に、ローグに分類されるデッキの勝率はほとんどのフォーマットにおいて30%から40%の範囲であり、上位デッキの上位たる所以は、環境に定着したデッキには50%以下の勝率でもローグ・デッキを叩き潰すからです。弱いローグ・デッキが自然と減少し始めるにつれて、それらのデッキの多くの勝率は変化し、しばしば強力なローグ・デッキを上位デッキの1つにして、ローグ集団にローグの捕食者だったものを引きずり下ろすことを可能にします。
あるゆるデス・スターに排気口は必要である
フューチャー・フューチャー・リーグにおける我々の目標のひとつは多様性のあるメタゲームを作り出すことで、それには大多数のデッキに特定の弱点があるようにするということが含まれます。もし、あるデッキの不利な相手がそれを倒すためにデザインされたデッキだけになった場合、それは問題です。親和の年やカウブレードの年を見てみると、それらのスタンダードの最強のデッキは明白です。人々はそれらのデッキを倒すためにデッキを組みましたが、山ほどの対策カードを入れてさえそれらのデッキに対して勝率50%を上回るのに四苦八苦していました。つまりは親和かカウブレードをプレイすることだけが正解だったということです。
我々はメタゲームを、それぞれのデッキに苦手な戦略があるようにするだけでなく、ある特定の苦手なカードもあるようにしたいと考えています。あるデッキが支配的になりすぎた場合、それらのカードの多くがサイドボードに、あるいはメインデッキにさえも姿を現し始めます。それはその上位のデッキを必ず殺す決意のデッキになりえますが、しかし上手くいけば他の上位デッキの全てがお互いを倒すために自身の形を歪めたときにいくつかの戦略が現れます。例えば数ヶ月前、赤をメインにしたバーン・アグロ・デッキが1週に行われた全て大規模のスタンダードのトーナメントで勝利を収めたのは、そのデッキが捕食者となるところまでメタゲームが変化したためです。しかし上位デッキが速やかにお互いに対するカードを減らすと共に、赤単デッキは失速していきました。赤単をプレイして、赤単に対する組み合わせを強化し、赤単を無視して人々がそれをイベントに持ち込むのをやめることを願うのが正解である明確なポイントがありました。そしてそれらの全てが複数回起こったのです。
メタゲーム中の上位デッキとローグ・デッキの両方にある種の柔軟性があることを我々は好んでいます。かなり上手く定着したカード・プールを取ることができ、毎週変わる事柄があるということは、メタゲームを読む鋭いプレイヤーが正しい選択をするチャンスを持ち、そうしないプレイヤーは毎週異なる経験をするであろうということです。
カラー・パイとマナ基盤
なぜデザインにカラー・パイの問題があるかはとても理解しやすいことです――それは異なる色に異なる見た目と雰囲気を与えます。それだけでなく、リミテッドと構築の両方のバランスを取るためにも重要です。それぞれの色が異なる動きをするので、我々は各色の欠点を興味深いメタゲームの変化を作るために使うことができます。例えば青は軽くて優秀なブロッカーもクリーチャー除去もないので、早いクリーチャー戦略に対してかなり脆弱です。緑にもクリーチャー除去はあまりありませんが、クリーチャーが他の色よりも大きいのでクリーチャー戦略を圧倒する傾向にあります。青緑デッキを組むことは両方の色からのアドバンテージを得られますが、またそれらの弱点も共有することになるでしょう。
《肉は塵に》 アート:Julie Dillon |
色を組み合わせるということは、あなたのマジックのデッキをある意味で一貫性を減らし、より強力にして弱点を補うので重要なことです。色事故で負けると最悪な気分になりがちですが、これはマジックにおいて重要な役割を果たしています。単色デッキは2色デッキよりもより一貫性がありますが、2色デッキはより多くのことができます。2色デッキは3色デッキよりも一貫性がありますが、3色デッキはより多くのことができる、などです。デッキの色を増やすと、マナが欲しいときに土地を1枚も引かないか引きすぎるか、どちらかの確率が高くなります。
これは我々がスタンダードに超強力なマナ基盤を印刷しないのと同じ理由です。基本的にスタンダードで使えるのはショックランドぐらいのパワー・レベルのサイクルと、それより少し弱いサイクルで、3つ目のサイクルがあるとしたらタップ状態で出るものだけです。我々はプレイヤーが自分のデッキの呪文を唱えられるようにしたいと思っていますが、制限なく唱えられるようにしたいとは思っていません。《不毛の大地》はレガシーに5色デッキだらけにしないようにしていますが、我々はスタンダードに強力な土地破壊を印刷しません。その上、我々は多色をプレイするのにそれに伴うリスクがあることを望んでいます。そのことはデッキの雰囲気を独特のものにする助けになり、1つのデッキがより支配的になったときにメタゲームが興味深い場所へ行くようにします。
これは捕食者とどんな関係があるのでしょうか? メタゲームはデッキの正解の色数が循環する傾向にあります。今年のことを例に挙げると、スタンダードの黒単信心は単色バージョンと、同型を意識して《ヴィズコーパの血男爵》のために白をタッチしたバージョン、《突然の衰微》や他のエンチャント破壊のために緑をタッチしたバージョンを循環していました。同じように、《スフィンクスの啓示》デッキもエスパー型や純正青白型、時には赤白青型も少し見かけられました。それぞれのバージョンは浮き沈みがありますが、色が多くなれば一貫性が失われ、そして引きの悪さや土地のデメリットによってアグロ・デッキに弱くなったことによって負ける可能性が高くなります。
バランスを探し求める
我々はマジックがあるデッキとそのアンチ・デッキだけになることを求めていません。我々はとても満足度の高いプレイ経験のためにそれを見つけず、私がここまでに書いてきた技術の全てを駆使して、かなり上手く避けている傾向にあると考えるもののひとつです。我々はマジックの大多数がプレイヤーが自分の好きな戦略を選んで、それらの戦略をどのように構成すればその環境で競技的になれるかを考え出すものであってほしいと考えています。例えばフライデー・ナイト・マジックはプロツアーやグランプリとは全く異なった環境です。基本的にフライデー・ナイト・マジックでは、プレイヤーはより参加者が多く過酷なトーナメントに比べて、自分の好みの戦略をプレイして成功を収めることができます。最初のほうで書いたようにローグ・デッキは上位のデッキに対して勝率が低い傾向にありますが、それは誰かが適正なデッキを適正な週に見つけられない、あるいはそのメタゲームと戦う方法を考え出せないという意味ではありません。
メタゲームの素晴らしいところは、それらが固まっていくにつれてデッキが環境に定着したデッキを倒す方法を思いつくチャンスが増えていくところです。ローグ・デッキはしばしば事態を根本的に変えるのに十分に役立たないかもしれませんが、それらは週単位のレベルで勝つことができ、そして次のセットが発売されるまで物事の面白さを保つのに十分であり、より大きなレベルで物事を変化させます。
今週は以上です。来週は『Annihilation』特集ということで、除去呪文の移り変わりについてお話しします。
ではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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