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実体験の歴史

Billy Moreno / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年2月8日


 まず、全容の解明とささやかな自慢のために、大隊、もしくは我々が当時「突撃/Assault」と呼んで親しんでいたものの構想のために私がそこにいたことを共有したいと思う。情熱的でスリリングだったGreat Designer Search 2(リンク先は英語)で、小さく活動的で身近な未来のゲームデザイナー達が横一線に並び、トップ8を目指して働いていた時、私は仲間の開発部メンバーであるショーン・メイン/Shawn Mainの素晴らしいメカニズムの検討にかなりの時間を費やしていたんだ。

 これはショーンがパーフェクト・パック・チャレンジで提出した中の、私がデザインを手伝った1枚だ。

不毛の大地の大将軍/Wasteland Warlord、その2(metaghost/ビリー・モレノの手による)

{2}{R}{R}

クリーチャー ― 人間・戦士

2/2

二段攻撃

突撃 ― あなたが3体以上のクリーチャーで攻撃したとき、それが最初の戦闘フェイズである場合、あなたのコントロールする全てのクリーチャーをアンタップする。このフェイズの後、あなたは追加の戦闘フェイズを得る。


 二段攻撃と二段戦闘フェイズの素敵な類似点に気付いて、2/2のサイズでやさしく強調し、無色2マナと赤2マナで遠まわしに反復させた。実際の美しさはボロスのリーダー、《戦導者オレリア》に少し似ていた。残念ながら、どの類似点も気のせいで、幸運の一致であり、私はマジックのゲームを変える最新の伝説の天使とは関係なかったんだ。その代わりに、私は街灯のデザインで忙しかった...

空路なら3つを

 私はこの記事を項ごとに書いているので、大事だと思うことについてどうやってそれが全体的なテーマに収まるかを考えることなく話すことができる。この項のタイトルは有名な「ポール・リビアの騎行」の一節(空路なら一つ、海路なら二つ)のリフで、偶然ながら、さっきの《戦導者オレリア》、《炎まといの報復者》と《果敢なスカイジェク》(こいつは時々飛んでいないことがあるがまあ気にしない)が当てはまる。あと《空騎士の軍団兵》も、と言いたいところだが、これはパワーが2しかない。


空路だったら3

 しかし、私がぬるくて使い古されたダジャレを使う口実を探してボロスのカードのページをスクロールしている間に、説得力があってボロスの生き様を上手く伝える特徴を思い出したんだ。

 大隊は軍隊の陣形だ(まさしく「3体かそれ以上」の部隊を作り上げている)。優秀な大隊というのは様々なサブユニットの相互作用と、同じようにそれらのユニットを戦場で編成し活用するための最良の使い方の戦略的な理解によって定義されている。これは全てマジックのゲームにも同じことが言える。下の戦場を見てみよう。

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 これが君のターンで攻撃している場合、対戦相手は多くの問題を抱えている。対戦相手のクリーチャーのうち2体は大隊の誘発で死んでしまい、その間最後の1体はそれを見ているだけだ。6点の大きな戦闘ダメージは言うまでもない。もし《火拳の打撃者》が《ボロスの精鋭》だったらどんなことになるだろう?

 うん、大隊が誘発した《ボロスの精鋭》は確かにそれが単体でアタックする時よりもブロックし辛い。しかしでっかい《通りの掃除機》はこのエリートとか言うのを気にも留めず、簡単にまともな戦闘でやっつけてしまう。突撃が防御クリーチャー2体を倒すなら、多分この兵士の特攻は価値がある。その一方で、恐らく君はレッドゾーンへの進出をより良い形になるまで待ったほうがいいかもしれない。

 では、《火拳の打撃者》はそのままで、対戦相手の《イスペリアの空見張り》が《飛行術の探求》のついた《協約のペガサス》になったらどうだろうか?

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 このつぎはぎの3/5はブロッカーとして《炎まといの報復者》の《稲妻のらせん》能力では死なず、こちらの全軍でのアタックをとてもまずいものにしてしまうだろう。どう考えてもより良いチャンスを待ったほうがいい。つまり、大隊は君の全部隊を毎ターン考えなしにレッドゾーンに招待するものではない、ということだ(そういうのをお探しなら、どうぞグルール特集へ)。場を調べ、プランを形作り、目的を理解し、そして君が得てきたものと連携するんだ。

 幸運にも、デベロップ・チームはこの適切な戦場での戦略こそが大隊のメカニズムとしての機能だと理解していた。ボロスのギルドメンバーの持つ、それぞれが戦いの形に異なる変化をもたらす独特な誘発の山に加えて、私たちは積極的なプレインズウォーカーの指揮官のために、いろいろなわかりにくい(あるいはわかりやすい)道具を用意した。

強行軍

 ほとんどの場合、大隊を達成する突撃を予想するのは簡単だ。対戦相手のクリーチャーは3体以下か? 相手は恐らく必要な数が集まるまで攻撃を仕掛けてこないだろう。上記で示されたように、大隊が実際に結集する場合はより複雑になるが、それでも君はそれが来るのが分かるだろう。もちろん大隊がぎこちなく無様で、いつでも予測できるようなものなら、ボロスのデッキを取り上げたゲームは劇的だったり印象に残るものにはならないだろう。

 赤と白の間で構成されたボロス・ギルドには突然(実際には君の手札に巧妙に隠された)大隊を達成し、それゆえ全ての対戦相手が気をつけているようなことが多くある。速攻は恐らく最も分かりやすい奇襲の方法で、《軍勢の忠節者》や《空騎士の軍団兵》、《火花の強兵》は全てこの能力を特徴としている。《はた迷惑なゴブリン》は速攻に対して「常に全力」の形でアプローチし、さらに《反逆の行動》は追加のアタッカーの供給と相手の防御の一時的な弱体化という二つの役割を持っている。

 白は瞬速のようなキーワード能力を持つクリーチャー、もしくは《天空の目》のようなトークンを作り出す呪文に長けている。それ自身が大声でオルゾフのカードであると宣言しているのにも関わらず、《亡霊招き》はボロスの使える手段の中で最も姑息な一枚だ。対戦相手が無謀な攻撃に全力を注いだ後の好機が熟してから、そのターンの終了時にクリーチャーを作り出せるだけでなく、このスピリット・トークンは飛行を持っているので君の大隊クリーチャーに同行させると非常に効果的でもある。

戦争の満ち干

 デベロップにおける大隊とボロス・ギルドの目標は、ゲームをダイナミックなものに感じるようにすることだ。もし大隊が、全てのボロスのゲームが早くに大隊を整え、それから容赦なくほとんど対話がないレースをすると感じたなら、我々はできる限りで最良のゲームのプレイをもたらすということに失敗していたことになる。基本的に、我々は含まれているカードに基づいて、様々なボロスのゲームが様々な雰囲気と形を持つことがとても重要だと考えた。「構築してから戦う」ゲームは組み立てが簡単で、これらの手段はデザイン過程の初期で提供された。マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterが先週の彼のコラムで指摘したように、ボロスは大隊を早く達成できるように特に攻撃的なマナカーブを求めている。加えて大隊の能力ははそれ自体がインパクトにあふれていて、ほとんどの場合チャンスがあれば誘発させる価値は十分にある。リード・デベロッパーのデイブ・ハンフリー/Dave Humpherysの指導の下、我々はボロスの「満ち干」の覆いを外しにかかった。

 最初のほうで、私はレッドゾーンの風景がゲーム内のクリーチャーによってどれぐらい変わるかを示した。《果敢なスカイジェク》、《爆弾部隊》、《火拳の打撃者》、そして《軍勢の忠節者》は全て最も効果的な状況が異なる。《戦心の歩兵》と《ボロスの精鋭》はかなりまっすぐだ。《戦心の歩兵》が何か4/4と激突する心配がかなり少なくなる以外はだが。何を言おうとしてるかと言うと、時々ボロスのプレイヤーは大隊を誘発させるのに十二分なクリーチャーを持っているが、まだ有利な攻撃をすることができないことがある。適切な時点では、《死相》や《正義の突撃》など様々なカードがレッドゾーンを一時的に再調整できる。このギルドにふさわしく、自らの武器庫から最良の武器を得たというわけだ。

 少なくとも3体のクリーチャーで攻撃して、対戦相手がどれだけブロックするか分かっている時、《軍部の栄光》は最も不満のある野戦将軍でも満足させるのに十分な選択を提供してくれる。その効果の片方の+0/+3は君のクリーチャーの1体を来たるべき危機から守ることができるのは明らかだが、《ウォジェクの矛槍兵》や《オルドルーンの古参兵》のようなボロスの支持者と組み合わされば、もう片方の+3/+0も攻撃的防御が可能だ。君の軍のアタッカーを守ることといえば、《ボロスの魔除け》はより少しだけ率直で、君の全てのクリーチャーを破壊されなくしてくれる。

汝の隣人を愛せよ

 彼らが言うには、ギルドは《》ではない......もとい孤島ではない。とはいえ、私は今ギルドが島だったらどう見えるかにちょっと興味がある。とにかく、ギルド門侵犯の(そしてその前のラヴニカへの回帰も)デベロップの大部分は隣り合うギルドと十分な相互作用があることを確かめることだった。ボロスは赤をグルール、白をオルゾフと共有していて、そしてこのお隣さんと仲が良いことを伝えることができて私はハッピーだ。

 家系図のグルール側の親類は7年ぶりのピクニックに山盛りの湧血と共に現れて、そのメカニズムはクリーチャーを攻撃時だけのコンバット・トリックにしてくれる。君のボロスのデッキにちょうどアタッカーの強化が必要なときには、《皮印のゴブリン》は喜んでマナ・カーブと戦闘に加わるだろう。他にも、《ヴィーアシーノの軸尾》のような印象的なクリーチャーは君のアタッカーを守るのにより効果的だ。しかし同じように、《焦土歩き》や《破壊のオーガ》といったパワーの高い湧血クリーチャーは、ブロックされないクリーチャーが対戦相手のライフに深刻なダメージを与える手段として活路を見出すことができる。結局のところ、君が「3体以上のクリーチャー」で攻撃しているときはいつも対戦相手はそれら全てをブロックするのに切羽詰ることになる。

パワーがタフネスより高い赤の湧血カードは大抵、アタッカーを守るよりもダメージを追加するために使うほうが良い

 我々はオルゾフの親類を家族の集いに招待しないようにしてみたが、皆彼らに債務があり、招待はその利息の一部だということが判明した。強請は素晴らしいオルゾフのメカニズムで、その巧妙な捕獲の手口は「あなたのお好きではない提案をさせて下さい。どういたしまして、またのご利用をお待ちしております。」だ。軍の真のメンバーではない者が横領している間、私は君が対戦相手の顔を調査している時に合法で確実な強請の使い道を見つけることができると確信している。例えば、ボロスデッキがしばしば大隊の再建のために立ち止まっているところをあちこちで見かける。そうしている間に、《債務の騎士》や《徴税理事》は圧力を維持する助けができる......多分。特に《債務の騎士》が最も効果的なのはそれが攻撃する時で、毎ターン大隊の一翼を担うのに十分な固さだ。《盲従》はもう少しデッキに強請を刺激する範囲を与えるが、対戦相手が自分を守る能力を拘束するのにも良い仕事をする。全てのクリーチャーがタップ状態で戦場に出ることで、対戦相手のブロッカーは常に戦闘に参加するのが1ターン遅くなるだろう。

最終的な考察

 全体的に、このデベロップ・チーム(私は含まれない)はボロス独特の魅力を伝える素晴らしい仕事をした。(オリジナルのラヴニカ・ブロックの)光輝は扱いづらさとパワー不足の両方で最も成功しなかったメカニズムであったが、それは戦場の命令に対する愛とよく考え抜かれた陣形に対する感謝をはっきりと示していた。今回、機能は形と一致し、大隊は綿密な計画と君の極めて優れた軍隊の思慮深い管理に対して報いてくれる。このセットはその好機を見つけることができれば狡猾な将軍が勝利するために使える、決して分かりやすいとは言えないカードが散らばっているのだ。

 天国だね。

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