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急速混成

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急速混成

Dave Humpherys / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年2月1日


 皆さんはこの間のギルド門侵犯のプレリリースで、ギルドパックを使った変化したバージョンのシールドデッキ戦を試す機会があったと思います。世界中でどれだけ楽しんでいたかについての全てのツイートや投稿を読んで、私は満足しています。

 多くの皆さんは今からギルド門侵犯入りの構築について考えるでしょうし、もうすでに考えた人もいるでしょう。ギルド門侵犯はメタゲームに劇的な転換をもたらします。ラヴニカへの回帰が世に出た時、基本セットとイニストラード・ブロックだけなら比較的色の組み合わせがバランス良くなるよう考慮されている世界でした。ミラディンの傷跡の「傷跡ランド」は、友好色と敵対色の均衡をいずれ成立させる、あるいは《聖トラフトの霊》《高原の狩りの達人》《ファルケンラスの貴種》などが存在する中で限りなく均衡に近づけるために消えていきました。ラヴニカへの回帰は、スタンダードには新たなローテーションを、そしてフォーマットに存在する多くの基本的な効果には《至高の評決》のような新たな変化を与えました。それは速やかに色のペアに不均衡を引き起こしました。5つの色ペアでは欠けているものがあるにもかかわらず、非常に活発に動き始めたのです。


高原の狩りの達人》 アート:Chris Rahn

 ギルド門侵犯の登場する状況はそれとはかなり違っています。世界はこの何ヶ月かで、ラヴニカへの回帰の各ギルドの、よく調整されたデッキを作り上げてきました。2色のデッキに関する限りでは赤黒ゾンビ、青白フラッシュ、白緑人間が最も突出して見えました。また、3色デッキも結構な数存在していました。予想の通り、これらの中で最も多いのはラヴニカへの回帰のギルドを二つ含んでいるものででした。呪禁・オーラとコントロールの両方のバント(青白緑)が多くありました。特に環境の初期に、赤青白には様々な形のコントロールがありました。最初の方には、多くの黒白緑リアニメイトと多様なミッドレンジのジャンド(黒赤緑)もありました。

 私達が開発部で最初にギルド門侵犯入りの構築を始めた時、私たち自身が似たような状況にあることを発見しました。私達のメタゲームは正確に同じではありませんでしたが、特に大まかな流れはかなり似ていました。ギルド門侵犯のファイルの中の新しいエキサイティングな金色のカードの束を見たことで、私達の挑戦は彼らを入れるべきデッキは何か考え始めることになりました。これらの新しいデッキはどのようなものになるでしょうか? どこから始まるでしょうか? 特にこれらが3つの敵対色のペアから来る場合、スタンダードで多く見かけるのはとても久しぶりです。赤白のデッキに最後に滅茶苦茶にやられたのはいつですか? 青緑は? もしくは白黒は? ブロック構築ならともかく、スタンダードではないかもしれません。いよいよ対等なマナベースと共に、対等な立場に置かれる時が来ました。

 私は十分なマナベースがどれだけ重要なのか、いくら主張してもしたりません。タイラー・リトル/Tyler Lytle(グランプリ・サンアントニオ)とジョン・ボールディング/Jon Bolding(グランプリ・チャールストン)が立て続けにグランプリを勝った赤黒のリストを見てみましょう。これらのデッキのメインデッキには、ラヴニカへの回帰のカードが8枚入っています。そのカードが何か思い出しましたか?

 4枚の《血の墓所》と4枚の《ラクドスのギルド門》。これで全部です。《戦慄掘り》や《ラクドスの復活》、《ラクドスの哄笑者》のような多くのエキサイティングなラヴニカへの回帰のラクドスのカードがプレイされていますが、このブロックで作り出されたマナベース自身が競技マジックに多大な影響を及ぼしたのです。

3色目はいらない

 そして今、もう5つのギルドの門とショックランドが手に入りました。しかしまず、どのようにしてこれら全ての自由にできるエキサイティングなショックランドと共に2色をプレイするのでしょうか? 私はより成功した2色のペアの1つに注目しましたが、私達はさらに欲望が増殖するのを見てきました。3色は速やかに4色になり、一度そこまで来てしまえば、5色にしない理由はありません。結局のところ、《彩色の灯籠》が必要とされました。イベントの最上位卓で人々が《空虚への扉》をノックしているところを見ました。Walking the Planesの最新のエピソード(リンク先は英語)も欲望について語っています。.

 私達は人々がこのブロックにおいて欲張りでありたいということを知っていましたし、そしてそれを受け入れたいと思っていました。私達はウォーカー・マックマード/Walker MacMurdo(グランプリ・オークランド)や小北 雄史(グランプリ・名古屋)のような基本土地の入っていないデッキでグランプリを優勝したという記録があるのを分かっていましたが、特にギルドを再び導入したこのセットでは、それらのギルドに対して忠実である理由を求めていました。私達は直接欲望を罰するよりも、色を少なくすることのメリットを内蔵することによってそれを行おうと考えました。全ての人に、より様々なデッキを選択できるようにするのです。私達は《不毛の大地》や《発展の代価》を作ろうとはしませんでした。あなたが《幽霊街》の埃を払い始めても責めたりはしませんが、私達は他の革新的な物事を代わりに求めていました。

 では、私達が提供したかった別の選択肢とは何なのでしょうか?

 メカニズム的な話をすれば、無色マナを出す土地がこの目標を助けることができます。幸運なことに、私達は既に素敵な土地のサイクルの種をイニストラード・ブロックに蒔いていました。《ケッシグの狼の地》や《ムーアランドの憑依地》のようなカードのことです。そのような無色マナを出す土地をデッキに入れると、とりわけ多くの攻撃的なデッキにとって追加の色をタッチすることが難しくなります。しかしこの新セットで、この目標に向かって私達は何ができるでしょうか?

 私が先ほど例に出した赤黒デッキにヒントがあります。これらのデッキが2色土地をとても必要とした理由の一つは《ゲラルフの伝書使》です。色の濃いカードには大きな報酬がありますが、一方で他のカードに手を広げるのが難しかったり、痛みを伴ったりします。ギルド門侵犯に関して言えば、私はセット内のこのようなカードを強く推すことが有望だと思いました。どういうカードかと言われると、まず第一にギルドの指導者です。私は象徴的なカードが推されるのを期待していましたし、ギルドの指導者よりもふさわしい方法がこのセットにあるでしょうか?

 特に点数でみたマナ・コストが低い場合、各ギルドの指導者がそのギルドの色のシンボル2つを必要とすることは色を増やそうとしないデッキに利益をもたらします。多くのエスパーデッキに《幽霊議員オブゼダート》が、バントには《首席議長ゼガーナ》が、そしてナヤには《オレリアの憤怒》が入れられるに違いないでしょう。しかしこれらのマナ拘束はそのカードのギルドのみをプレイすることに、より多くの利益をもたらすでしょう。そしてやはり、より攻撃的な構築をしているデッキにおいては顕著になるでしょう。

 私達が見つけた2色デッキを促進する最後の一箇所は、複数の混成マナを特色とするカードです。実に面白いことに、《夜帷の死霊》は実際にあなたに超欲張りなデッキをプレイさせようと思わせるカードです。結局のところ、あなたは相手の土地を盗んでいなくても相手のカードをプレイしたいと思うでしょう。ここで私は、相手のカードを盗むのが好きだということを再び宣言しておきます。これは繰り返すテーマになるでしょう。私はこのカードが大好きです。

 このカードを印刷するのに苦労したことは気にしないでください。初期のバージョンのこのカードは私の2002年のインビテーショナル・カード(リンク先は英語)で見つけることができます。確かに、私が提出したこのカードはいくつかの物事と組み合わせて無限が発生しますが、それはデザインの仕事で、デベロップの仕事ではないんです、みなさん! しかしながら、私はそのトーナメントで何度か手痛い敗北を喫し、代わりにジェンス・ソーレン/Jens Thorenの《真面目な身代わり》が作られました。しかし、ウィザーズに侵入し、そして新たにこのカードを作り出すという私の試練の旅がこうして始まったのでした。私は部外者にはシミックのふりをして、ディミーアを持ち上げました。しかしながら、この新しいカードは見た目を変えたので、 彼らには感づかれないでしょう。この試練は僅か10年で達成されました。さらに、彼らに万が一捕まった時のために予備として《氾濫の始源体》を作りました。というわけで、インビテーショナル・カードを作り上げる方法は他にもあったのです。ムハハハ! ジョークですよ、ウィザーズさん!

 本当のところ、上記のカードはどちらもこのセットで私が作ったものではありません。ですが、これはこれでいい話ができたと思います......。

 本題に戻りましょうか......。

 先ほども言ったように、私は《夜帷の死霊》の新たな2色デッキと新たな単色デッキの励みになる動きと色拘束が本当に好きです。私はこれに触発され、この方程式に沿ったカードを推す別のチャンスを探すようになりました。

 《ボロスの反攻者》は私が作ったカードと言えるのは、私が手柄にできるからで(誰かが《怨馬》を作ったとしても)、そして私が加えた新しい起動型能力は私をくすぐりました。ある時「どうしてこいつに先制攻撃をつけたいと思うんだ? こいつのパワーなら必要ない」というコメントを受け取った後、私はこのカードをもっと好きになりました。必要ないでしょうか? あなたの対戦相手がこれを殺したいなら、追加のクリーチャーでブロックしなければならず、そうしなければあなたは先制攻撃で一体かそれ以上のクリーチャーを取り除けるでしょう。もし対戦相手が十分な数でブロックしてきたならば、あなたはただこれに先制攻撃をつけないだけで相手は大ダメージを受けることになります。これは素敵なジレンマを相手に捧げるように見えます。私はこれがどのようにプレイされるかをとても見てみたいです。私はこれが過去のセットのカードと組み合わせて様々なクリーチャー・コンボを構成するところが好きです......。

 余談ですが、これもお勧めです。


先端生物学者》と《原初のうねり》、《無限反射
ダスクマントルの予見者》と《記憶の熟達者、ジェイス
ヴィズコーパのギルド魔道士》と《極上の血

 もっとあるかもしれませんよ?

新しいデッキ

 それでこれらの新しいデッキはどのような形になるでしょうか? ええ、細部はあなたが自分で考え出さないといけませんが、これまでに見てきたものに基づいて、それぞれの2色デッキに新しいチャンスが見えていることでしょう。私は赤単デッキが力を保つかどうかは疑わしいと思っています。恐らく黒単、もしくはそれに近いデッキは《墓所の怪異》からの《グリセルブランド》を確立でき、もしかすると他の《》を愛するカード、《もぎとり》と《闇の領域のリリアナ》を活用できるかもしれません。

 グルールに関しては、新たなプレインズウォーカー、《ドムリ・ラーデ》を侮ってはいけません。ボロスは、ええ、あなたが既に興奮していることが伝わってきます。多くの手段があります。誰が完成させるかそのうち分かるでしょう。シミック? 多くのカードを引いて大きなクリーチャーをプレイできるでしょう。どうやって超攻撃的なデッキと超コントロール的なデッキに対してバランスを取りますか? そのデッキ自体は早いですか?遅いですか? オルゾフ? 私達が《未練ある魂》の恐怖の中に暮らしているのをあなたは分かっています。どの道アグロ・オルゾフの時間でしょう? 幸運を祈ります、《幽霊議員オブゼダート》の周りには《修復の天使》の群れが浮かんでいます。最後にディミーア:あなたは《ディミーアの黒幕ラザーヴ》の指揮の下、ダスクマントルのクリーチャーの一団を活かすためのアグロとコントロールの適切な合成を見つけることができますか? 対戦相手を忘却の彼方へ削り落とせますか?

 そして今勢いのあるデッキについて言えば、ナヤがエキサイティングに見えます。大量のランプと、多くのX呪文、多くの攻撃フェイズ。「ごきげんよう《戦導者オレリア》!」 エスパーはすでに良い働きをしており、そして今多くのコントロール手段と、より良いマナ、そしてフィニッシャーを得ました。赤青緑がどんなものか誰かご存知ですか? 確かに《ベラドンナの暗殺者》と《イゼットの静電術師》のコンボだけではないでしょうけど? 白赤黒はもし攻撃的な3色デッキがあるならば恐らくこれでしょう。黒青緑:私に教えてください。

 私達はあなたが考え付くものを見るのが楽しみです! これが大きな変化の時であると信じています!

 読んで下さったあなたに格別の感謝を込めて。

 デイブ・ハンフリー


夜帷の死霊》 アート: Min Yum

Pauperの禁止についての釈明コーナー

エリック・ラウアー/Erik Lauer

 このPauperフォーマットには、打ち消し呪文以外には《巣穴からの総出》と《ぶどう弾》への回答はそれほどありません。DCIはこれらの回答が多様性のある競技的なメタゲームを支えるのに十分かどうかを確かめるために待っていました。統計上の話をすると、それらは駄目でした。ストームにとって最悪のマッチアップは豊富な打ち消しを備えた《秘密を掘り下げる者》デッキです。2番目と3番目に悪いのはそれぞれ他のストームと感染デッキです。他のほとんどのデッキには充分な回答が入っておらず、それらを展開するためのターンも多くありません。実際、一般的な攻撃的デッキの主な選択肢は相手より早くダメージレースを制することです。《巣穴からの総出》は《ぶどう弾》よりはいくらか多くの回答がありますが、それに対して間に合う回答を持っているデッキは僅かです。DCIはこれらのカードを Pauperで禁止することを決定しましたが、この形のデッキは依然レガシーで競争力を持っています。《時間の亀裂》を使ったいくらか形の違うストームデッキは依然としてPauperで競争力のある選択肢かもしれません。

 感染デッキは違った状況をもたらします。デッキがクリーチャーで攻撃することで勝つものなので、多くのデッキがそれとやり取りをすることができました。しかしながら早い、特に3ターン目かそれよりも早く勝ってしまうのは多くのデッキにとって圧倒的になり得ます。実質的に《激励》は0マナなのに、その追加ダメージは毒カウンターの勝利のために必要な点数の40%に等しいのです。さらに感染プレイヤーはタップアウトした時でも、感染クリーチャーをダメージ除去から守ることができます。これは他のデッキが感染デッキに対して有効にやり取りをすることを著しく難しくします。より多様なメタゲームを守るために、DCIは《激励》を禁止しました。

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