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ご挨拶と強請を!
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ご挨拶と強請を!
Gavin Verhey / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2013年1月4日
ここ、DailyMTG.comではガヴィン特集が行われています!
ええ、その通り。ギルド門侵犯のプレビューである今週は、それに加えて隠されたテーマがあります:ガヴィンの記事が二つあります! 私のいつものReConstructedだけでなく、Latest Developmentsも担当します! 今週はまるで《火炎舌のカヴー》のように明らかに一粒で二度美味しいわけです。
「なんでこんな奴が今週のLatest Developmentsを書くんだ?」と思うかもしれません。ええ、これは私が「這い寄るガヴィン」と呼ぶ小さなデザイン・コンセプトのせいだと考えています。
...しかし、あなたが這い寄るガヴィンというアイデアに賛成しない場合、別の良い理由があります。私はギルド門侵犯のデベロップ・チームに参加していました! ギルド門侵犯のプレビュー・シーズンはデベロップ・チームのメンバーがあなたにお届けします。今週は新人デベロッパーの私が始めて、続いてブランド・マネージャーのマーク・パーヴィス/Mark Purvisが来週、そして最終週にはデイブ・ハンフリー/Dave Humpherysです。(デイブは特集記事も同じく担当しています。)
チームの紹介はデイブ・ハンフリーにやってもらうとして、とりあえず私はあなたとこのセットのデベロップの経験を共有したいと思います、注目するのは強請です! では見てみましょう。
ガヴィン侵犯
開発部に入って以来、私の一番の望みはセットに配属されることでした。私の願いが叶えられたのは最近のことでした。私が開発部に入ったのと共に、ラヴニカへの回帰はフューチャー・フューチャー・リーグに入り、そしてちょうど数週間後に私は「Line」(ギルド門侵犯)のデベロップ・チームに配属されました。直ちに取り組み、多くのカードを作り、皆にどれぐらい仕事ができるか見せる時でした、そうでしょう?
...実のところ、私が主にしたかったことはデベロップについて多くのことを学ぶ、ということだったのです。
開発部に入る誰ものように、私は多くの興奮と熱意を持っていました。私は全てがどのように働くか正確に知っていると思っていました。私はそれを知るのに十分なMaking MagicとLatest Developmentsを読みました、そうでしょう?
結局、セットのデベロップはあなたの予想よりもずっと難しいことでした。
ちょうどあなたが多くの量のサッカーの知識を持てば、サッカーのコーチが言うような正しいプレイが簡単に分かるように、同じように多くの量のマジックとゲームデザインの知識を持てば、セットのデベロップする方法を知っているはずです。その上、あなたはセットのデベロップに必要な道具を精神的な道具箱に全て持っていて、それらをいつどのようにきちんと使うことが重要かを知っています。釘を打つのにのこぎりは選びませんよね?
全てを説明するのではなく、この例を提供しているワンシーンを設定してみましょう。
《夜翼の呼び声》 アート: Adam Paquette |
あなたは初めてのギルド門侵犯の会議のために小会議室へ向かっています。あなたを含めて全部で6人います。この6人はこれから何千人もがプレイしようとするセットに最大のインパクトを持たせようとしています。このセットのリード・デベロッパー、デイブ・ハンフリーは座り、そして皆の手にはプリントアウトされたデザインから引き継いだカード全てとセットについての書類があります。あなたはそれに目を通して興奮し始めます...もうすぐ。
最初に、今はセットの目標と詳細について話す時です。デイブは全てをカバーしています。このセットに入っているメカニズムは何か? そのメカニズムへの我々の目標は何か? 多色のカードはこのセットに何枚あるのか? それは正しい数か?
ようやくこの会議は落ち着きました。デザインを改めることを求められていたオルゾフのメカニズムを除いて、皆はセットの基礎に夢中になっていました。しかし、それはここで解決される問題ではありませんでした。あなたの指がカードファイルの端を跳ね飛ばし、引っかいている様子は当たりくじを持っているようでした。あなたは十分我慢しました。最初にするべき仕事は何でしょうか? 必殺カード? 新しいカードを作ること? 我々が求める構築で使えるレアについて話すこと?
あなたが次に聞いたことは全く予想していないものでした。
デイブはセットを確認し、そしてそのカードが「コンセプト」を確定してもいいと感じるかを判断する時だと説明しました。すなわちフレーバー・チームとアーティストにそのカードの作業を始められると伝えることです。
デイブはそれぞれのセットにはコンセプトを確定する時期が2回あると詳しく述べました。第一波はデベロップの開始時、第二波はそれより後になります。フレーバー・チーム、さらにはアーティストに十分な作業時間を与えるために、この第一波でいくらかのカードのコンセプトが確定されなければなりません。会議の残りの目標は、どのカードに形や機能の劇的な変化がないと思われ、従ってコンセプトを確定できるか決定することです。
《幽霊議員オブゼダート》 アート:Svetlin Velinov |
これのどこがデベロップに関係あるのかと思ってませんか? これはフレーバー・チームの問題なんじゃないのかって?
デイブは超能力者のように、(その反面、あなたは彼がそうじゃないと全く信じていない)説明を続けました。クリーチャーが飛行を持っている、もしくは巨人として、もしくは姑息なスパイとして、もしくはいくつでも他の細かい部分よりも大きくイメージできる事柄があれば、そのカードはコンセプトを守ることが求められている、と。もしクリーチャーのイラストが飛行を持っているように描かれたなら、あなたはデベロップの段階でそれから飛行を取り除くことはできず、さもなくば《Whippoorwill》のような宇宙的悲劇を迎えることになるでしょう。
それが意味するのは例えば、あなたがディミーアにとても多くのリミテッド向けの飛行クリーチャーを見つけ、それらが全てが既に飛行をコンセプトとして確定していたなら、ついてないですね。その時点での飛行クリーチャーを弱くする選択肢は一つです。飛行を取り去ることはできず、パワーとタフネスはイラストに一致する必要があります。残された道はマナ・コストをより高くしていくしかありません。下手にコンセプトを確定させると、リミテッド・フォーマットを永久に滅茶苦茶にすることもありえます。
加えて、マジックは最近フレーバーをカードに溶け込ませてとても成功しました。フレーバーあふれるカードを保存してクリエイティブ・チームに十分な時間を与えることはデベロップの義務です。
週末までにセットの大体半分のコンセプトを確定できるとしなければなりません。今週の会議の残り時間のほとんどは何かのカードが強すぎるかどうかを決めることには費やされないでしょうが、しかしそれらのカードは一般的な形を保つ可能性が高くなります。それはしばらくあなたの頭の周りを包むであろう挑戦です。
デベロップへようこそ。
《宝庫のスラル》 アート:Mark Zug |
開発部の外部にはコンセプトの設定について実際に考える人はまずいませんが(開発部に入る前に練習する人はもっといません)しかしそれは極めて重要なデベロップの仕事です。そしてそれはビルに入る前には実際に全く考慮しなかったデベロッパーとしての固有の働きの例の一つに過ぎません。他のなにもかもと同じく、練習することではるかに良くなりますが、一年前にはほとんどなじみのない概念でした。
確かに、いくつかの会議は必殺のカードやデザインされた新しいカードやリミテッドで弱いコモンのタフネスを3にするか4にするかの議論であふれています。しかし、他の多くはコンセプトの設定や、リミテッド向けのカードへの指示や、どの主流でないアーキタイプを生き残らせるかの分析で満ちています。それらは私にとってギルド門侵犯のデベロップを通して学んだ多くの事柄でした。そしてその中の大きな範囲の一つはどうやって5つのメカニズムを組み合わせるかを学べたことでした。
チェーンソーが唸りをあげる
全てが完璧に行く場合、デザインからデベロップにはデベロッパーがマジックのセットを組み上げるのに必要な全てが含まれています。エリック・ラウアー/Erik Lauerはよく「デザイナーはペイントブラシを使い、素晴らしい内容のセットに住んでいる注意深いアーティストだ。一方でデベロッパーはチェーンソーを使って物事を左右に切り分ける。」と言います。理想の世界では、デベロッパーはただデザインからの引継ぎを微調整して、いくつかの穴を埋めて、そしてそれを良しとします。
しかしながら我々は常に理想の世界に住んでいるわけではありません。まず第一に、アイスクリームのような味がする野菜は未だにありません。第二に、デザインから引き継いだもの全てが作業を終わっているではありません。実際それらのうちかなりがデベロッパーのチェーンソーによって切り落とされます。普通、切り落とすのはカードだけですが、時には同じようにメカニズムも切り落とされます。
このセットを引き継いだ時、5つのメカニズムのうち4つは良い形になっているように見えました。一緒にそれらを見て行きましょう。
進化はイーサン・フライシャー/Ethan Fleischerがグレート・デザイナー・サーチ2(リンク先は英語)で考え出したものに微調整を施したものです。このメカニズムは素晴らしく、そしてシミックの要素をとても良く捉えていました。
大隊はショーン・メイン/Shawn Mainのグレート・デザイナー・サーチ2のメカニズム「暴行/assault」そのままです。そしてやはりこれもプレイして素晴らしいものでした(余談ですが、このセットからグレート・デザイナー・サーチ2のマジックへの影響を実際に感じ始められます)。致命的な大軍で襲いかかることこそボロスです。
湧血は元々プレイテスト時に「奇襲/ambush」と呼ばれていて、呪文のスロットを圧迫することなく多くのクリーチャーをプレイするという赤緑のメカニズムに我々が求めていることをやってくれます。さらにそれは攻撃を促して、実にグルール的です。
暗号は元々プレイテスト時に「エンコード/encode」と呼ばれていたもので、デザインのかなり遅くからデヴァインの初期に加えられましたが、我々はこれをとても気に入っています。これは強力でとてもディミーアらしさを感じさせます。我々は土地がめくれるまでライブラリーを削り続ける以前の「研磨/grind」のメカニズムの要素を持つカードをセットに残しましたが、それをキーワード化しませんでした。このメカニズムに我々がどのようにして到達したかについての間違いなく面白い話がありますが、それはまた別の機会にお話しましょう。
代わりに、強請がどのようにしてこうなったかについて焦点を当てたいと思います。
しかし、私はこの記事の最初の方でオルゾフのメカニズムが正しく作用していないことを言っていたと思います。私はそれが何であるかを伝えることはできないか、マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterに遠くから手裏剣を投げられるでしょう(あまり知られていない事実:マーク・ローズウォーターは実際にロザンヌ(アメリカのTVドラマ)の全てのエピソードに関与していますが、彼を見つけられないのはその忍者の素質によるものです)が、それは代わりのものを必要としているのです。
デベロップの開始時点でメカニズム全体がセットから欠けていることは稀で、我々は直ちにそれに取り掛かる小チームを召集しました。その方法は? デザイン・チームとデベロップ・チームの誰でも選択肢を提示できるようにし、その後の数日間の議論とプレイテストを経て、一つに決めるのです。
我々がこのメカニズムに期待しているのは何でしょうか? その成功を確かなものにするためにこのメカニズムに求められた3つの鍵となる要素があります。
1. 「それにはオルゾフらしさが求められている」 お気づきかもしれませんが、このセットの他のメカニズムの後ろで動いているテーマは、その色の組み合わせらしさだけでなく、ギルドらしさも同様に感じられます。我々は何か顕著なオルゾフらしさを求めていました。
2. 「それにはマナ消費が求められている」 つまり、余分なマナを費やして何かの効果を得るというメカニズムです。我々はプレイテストの初期にこのセットには余分な土地の使い道が少々不足していることにいち早く気付きました。いくつかの理由でそれらはセットにもう十分でしたが、特に余分な土地のもたらす作用とプレイする土地の数の選択の興味深い決定ができるので重大です。
3. 「それは攻撃に関するものではない」 他のメカニズムのうち3つは攻撃を促すもので、従って我々は更なる攻撃に報いるメカニズムは求めていません。何か防御的に使えるものがいいでしょう。
いくつかのメカニズムを試してみた後、最終的に我々は強請に決定しました。それはあなたが今日見たものをほぼ正確に乗り越えて行きました。
これは3つの要素にうまく当てはまっています。1回につき1点のライフを吸い取る能力は非常にオルゾフとそのテーマを感じさせ、攻撃的に使えてその上防御的にも使えて、興味深い決定を促すちょっとしたマナの使い道でもあります。
対戦相手のライフを吸い取るのは通常白がやることではないので、これを白単色に使えるかどうか少し議論がありましたが、結局は選択できるものとはいえ黒マナシンボルがテキスト欄に入っているので、白単色のカードであっても充分オルゾフらしいということに決定しました。
ショーン・メインの初期の強請のデザインからの唯一の変更として、デベロップ後期のいくつかの統率者戦での反響に基づいて多人数戦でより強力にしました。どうして「対象の対戦相手」ではなく「各対戦相手」に変更したのでしょう? ライフを対戦相手全てから吸い取ってたくさんライフを得られたならば嬉しいからです!
(アン)リミテッド・パワー
強請は最初かなり控えめに見えます。基本的に1点のライフはマジックにおいて大きくありません。人々はフェッチランドをためらわずに起動し、そして我々はラヴニカの2色土地をアンタップ状態で出すのが当たり前な世界に住んでいます。しかしながら、強請は予想よりもはるかに強力であることを我々は発見しました。かなり頻繁にあなたは余分のマナを取っておくでしょうし、ライフは本当に早く増えていきます。
リミテッドでは、強請は急速に内部のプレイヤーのお気に入りのメカニズムになりました。それはうまくプレイすることができて、マナ・カーブに沿って呪文をプレイする時と強請のために待つべき時を識別できるプレイヤーに利益をもたらしました。常に強請するべきか否かがはっきりしているわけではありません。強請は、ゆっくりとあなたを火力呪文の射程圏外に安定させることもできますし、場合によっては対戦相手の最後の数点のライフを削り取ることもできるのです。
強請が真に輝き始めるのは複数枚出たときです。あなたが2体の強請持ちクリーチャーをコントロールしているなら、突然あなたの全ての呪文は対戦相手から2点のライフを吸い取ることができます! この時点で強請の圧力は対戦相手の実際の問題になり始めます。これはビートダウンにもコントロールにも平等に素晴らしい活躍をします。
私が強請を気に入っているところは、ちょうどオルゾフのわずかな税金のようで、それを誰も事件のように感じないことです。
ちょうど1点のライフをあちらからこちらへ、誰もそれがあなたの金庫に直接入ることに気付きません。それから1ターン、あなたは対戦相手にライフを尋ねます...そして対戦相手は自身のライフのメモに目を落として、なぜか12にまで落ちていたライフを見て、そしてあなたのパワー3の飛行クリーチャーがたった4回攻撃するだけで勝利に手が届くことに気付くと自信たっぷりの笑顔を崩すのです。
アート:Chris Rahn |
何回かのプレイテスト後、我々は強請がリミテッドでは完璧だと分かりました。一方で構築では、それが確かに上手く機能するようにすることが必要でした。
構築向けの素敵な強請
リミテッドのプレイでは、あなたは大抵、対戦相手を強請する余分なマナのための時間か柔軟性を持ち、例えカードを強請できなくてもとにかく適度にプレイできました。構築は大きく違う種類の生き物です。
構築では、全てのマナは重要なものです。ほとんどのデッキがマナ・カーブにそって最適化され毎ターンマナは全てタップされ、強請する機会はわずかしか与えられません。2マナ2/2強請がリミテッドで素晴らしいのは、2/2のサイズ自身が例え強請できなくても優良だからで、構築では到底欲しくなりません。その上さらに、1ライフは構築ではより重要ではなく、構築ではリミテッドのような「ぎりぎりのゲーム」は多くないのです。
我々が分かったのは、強請がリミテッドに非常に重きを置いている一方で、構築でメカニズムを得るために、いくつか非常に利益のあるカードを作る必要があるということでした。
幸運にも、我々は利益のあるカードを作ることができました。
もし強請カードが全て強請コストをただにできたらどうしますか? そしてその過程ですばやくマナを加速して何か狂った呪文を唱えられたらどうしますか? 5ターン目に10マナに到達するというのはどれぐらいの強さに聞こえますか?
ええ、開発部では我々の想像力は現実のものになる傾向があります。《墓所の怪異》をご覧ください!
このセットには他にもいくつかエキサイティングな強請を持ったレアがあります。現在スタンダードの頂点にあるカードへの回答の助けとなるエンチャントも含まれています。あなたはきっとギルド門侵犯カードイメージギャラリーに引き返して、それが追加されているか見てみたくなるでしょう!
神秘的でオルゾフ的
新しいセットは多くの謎をもたらし、そしてそれぞれの新しいメカニズムはそれらのうちの一つです。強請がこれからのスタンダードでどんな役割を演じるかははっきりとは分かりませんが、《墓所の怪異》がその一部になっても不思議ではないでしょう。リミテッドのプレイの進行に関しては、この記事で話したリミテッド向けの強請について多くを知っていますが、しかし私の言葉を鵜呑みにしないで下さい。来たるプレリリースで試して、自分自身でその力を見てください!
もしこの記事を気に入ったり、気に入らなかったり、強請を楽しんだり、《墓所の怪異》が走り回るマジックについて考えたり、単に何か一般的な意見があれば、それを聞くのが大好きです! お気軽にメールしてください、私はあなたのどんな意見も読みます。また私はフォーラムの書き込みも読みますし、ツイッターでも私を捕まえられます。
もしこれからもっと私を Latest Developmentsで見てみたいと思ってくれたら、私の編集者(ツイッターの@Trickmtg)に知らせてください。もしあなたが楽しんでくれたら、私は喜んで戻って時々記事を書くでしょう。
次週、マイク・パーヴィスがあなたにお目にかかりとても身近で彼の心にとって大切な(そしてそれに対峙してプレイしなければならない人にとっても少し身近で大切な)カードについて話をするでしょう。そしてまたいつものように ReConstructedでお会いしましょう!
Gavin / @GavinVerhey
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