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Latest Developments -デベロップ最先端-
第1章:楽しみ(小区分F、J、V.14.k 参照)
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Latest Development
第1章:楽しみ(小区分F、J、V.14.k 参照)
Dave Guskin / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年11月2日
再びお会いしましたね。私は公式のLatest Developmentの一員として、誰もがお気に入りの法律至上主義にして楽しみを愛する1ギルド、アゾリウスとその素晴らしいメカニズム留置について語るためにここに来ました。
《アゾリウスの拘引者》 アート:Wayne Renolds |
私は白青に非常に親しんでいます。私はこのイカした、冷静沈着な色の組み合わせをあらゆるフォーマットでプレイするのが好きです。何をドラフトすべきかわかりませんか? それなら、古典的な白青のドラフトのアーキタイプに則り、飛行クリーチャーと地上防衛手段を組み合わせましょう。スタンダードのイベントが近いのですか? それなら、《スフィンクスの啓示》のような強力なドロー呪文を使った白青コントロール・デッキ、あるいは《聖トラフトの霊》などのオールスターを使ったテンポとコントロールに秀でた白青コントロール・デッキを使ってみてはどうでしょう。友人との気楽なプレイを掘り下げたいとお思いですか? 《滞留者ヴェンセール》や様々な戦場に出たときの能力を悪用する統率者戦デッキを組んでみてはどうでしょう。まさに青天井です!
楽しみ
アゾールの定義書写本第56版要約より抜粋:
......マジックは、我々が注意深く他者の計画を操り、「彼女はこれを持っていますか?」あるいは「私は完全に彼の裏をかきました。私の呪文は解決されます!」などという最高の瞬間を描く時に楽しいのです。これらの瞬間が起こりえない場合、まったく楽しくはないものです。
一般に信じられていることとは逆に、そのゲームの結果が望むものと違ってもマジックのゲームを楽しむことはできます。例えば、プレイヤーが負けた場合、それが他のプレイヤーが勝ちそうなときにタイトロープを渡るためのトップデッキや選択のためであれば、それは両プレイヤーの記憶に残る素晴らしい物語を作ってくれます。
しかしながら、この種の「楽しみ」は少しばかり一方的だということに気付いています。多くの全体除去、打ち消し呪文、それに呪禁クリーチャーがなければ、必殺の睨み2を敵の目の前に突きつけることはできないのです。「これじゃ何もできないじゃないか!」 彼らは言うでしょうし、それはまさにその通りです。
特に白と青のカードが組み合わさったときに、なぜこんなことが起こるのでしょうか。そしてゲーム・デザイナーである私たちは、白青が存在できて対戦相手として楽しめる、より健全で楽しい枠組みを提供するためにどうしたらいいのでしょうか?
勝利へのプレイ
マジックにおける最も自然な動機は、ゲームに勝つ方向に向いています。これは結局の所、マジックというゲームにおける公然たる目標3です! では、人々はどうやってマジックのゲームに勝利するのでしょうか?
「20点の攻撃!」 あなたはそう叫びます。そして、私がゆっくりと首を振るのを見て驚くのです。
《中略》 アート:Clint Cearley |
20点のダメージを、通常はクリーチャーで、与えるのはマジックにおけるもっとも一般的なゲームの終わり方ですが、それがほとんどの戦略においてもっとも重要な側面だとは言えません。勝ち方には様々な形があるのです。
- アグロ――素早く戦力を揃え、相手がこちらを止めるより早く押し切る。
- ミッドレンジ――クリーチャーを並べ、相手のクリーチャーに対処して戦場を支配する。
- アグロ・コントロール――クリーチャーを並べ、ゲームに勝ちきるまでそれを守り抜く。
- コントロール――相手のクリーチャーを止め、それから強烈なクリーチャーで打ち倒す。
これらの戦略を見ていくと、すべてに共通しているテーマがあることに気付くでしょう。それは、「対戦相手から選択肢を奪う」ということです。対戦相手があなたを止められなければ、本質的には勝ちが確定したようなものです。対戦相手があなたに何か手を出せるなら、その確定はすっとかき消えてしまいます。ですから、勝つための最善の方法は、対戦相手を金魚にしてしまうことだ、ということになります。
プレイヤーは勝つためにプレイしているのですから、そしてゲームにおいて「選択肢を奪」われるという楽しくない局面に向かわせる戦略的圧力があるわけですから、私たちデベロッパーやデザイナーはプレイヤーがお互いに有意義な方法で手を出せて、そしてそれが勝利への戦略の一部になるようにするため尽力するのです。
相互干渉はプレイヤー同士による楽しい対戦ゲームの中核を成しますが、そのバランスを取るのは困難です。相互干渉要素が多すぎれば、プレイヤーは時間をかけて自陣を構築しても対戦相手に蹴散らされるだけなので構築できると感じないでしょう。逆に少なすぎれば、両ソリティア4をしているような感じになってしまいます。このバランスを見付けることは、私たちがマジックをデザインする上で尽力している、まさに芸術のようなものなのです。
相互干渉禁止命令
先日、構築モダン・フォーマットで行われたプロツアー「ラヴニカへの回帰」で優勝したスタニスラフ・ツィフカの白青「セカンド・ブレックファースト(サニー・サイド・アップ)」デッキから、私たちは相互干渉についての知見を得ました。ツィフカは可能な限り金魚ゾーン5にいようとする、極めて強力なコンボ・デッキを見付けて組み上げました。彼の対戦相手は手札破壊やその他の妨害手段で彼と相互干渉することができたなら、彼の強力なコンボはより悪い成績となっていたことでしょう。しかしながら、メタゲームの流れから、彼は相互干渉を避ける道に置かれたのです。墓地対策、《出産の殻》対策としての《墓掘りの檻》の隆盛は、彼のキャントリップつきアーティファクトには影響を及ぼさず、そしてジャンドが《大渦の脈動》から《突然の衰微》に移行したことで彼の《神聖の力線》は手札破壊への完全な対策でした。彼らの言葉を借りれば、他のものはもう歴史6になっていました。
特にモダンのような広いフォーマットで一点突破するようなコンボ・デッキがあるのは楽しいことです――ですが、そのコンボ・デッキが流行し、相互干渉のないゲームが増えてマジックの性質を変えてしまうとなれば、それは楽しいことではありません。ゲーム1つで見たときの楽しさと同じように、構築のメタゲームとして見たときの楽しさにも物事が滞り、あまりに長い間に渡っての「正解」が存在するようなものにならないよう、あるレベルでの変化が必要なのです。新セットにおける白青の問題は、ミクロ的な視点でのこの問題です。時折強力なデッキがあり得るようにしたいとは思っていますが、否定的な意味で楽しいゲーム・プレイで環境を支配するようなデッキはあってはならないのです。
(幸いにして、ツィフカのセカンド・ブレックファーストのようなコンボは相手に知られていないからこそ真価を発揮できるものです。手段さえわかっていれば、《安らかなる眠り》や《虚空の力線》といった、非常に強力な方法で対策できるカードが存在します7)
([検閲済み]容疑で)留置8
そして、留置メカニズムに至りました。白青、特にアゾリウスは、歴史的に見て「対戦相手に何もさせない」ということに非常に重きを置いています。白のカードはテーマ上も軽減したり防護したり規定を定めたりすることに親しんでいて、青のカードは呪文を止めたり(打ち消し呪文)出来事を巻き戻したり(バウンス)する――何ボーナンザもの楽しみに値します!9 アゾリウスの留置をデベロップしていたとき、私たちは相互干渉をなくすことなく楽しい瞬間の興奮を守ろうとしていました。
デベロップが留置メカニズムについて持っていた大きな危惧は、低いレアリティに置く(つまりリミテッドに多く存在するようにする)ことで繰り返しの多い、相互干渉のないゲームを作ってしまうのではないかということでした。プレイテストにおいて、パーマネント1個を留置するのは非常に楽しく、それが重要なターンの重要なクリーチャー相手であれば、あるいは奥義10を出そうとしているプレインズウォーカー相手であればなおさらのことだということがわかったのです。それはまさに楽しい物語と興奮する瞬間を作り出す相互干渉に他ならなかったのです。しかしながら、相手の全てのパーマネントが毎ターン留置されるというような状況は、楽しくありませんでした。
(ええ、留置するプレイヤーがアゾリウスの許さないようなにやけ顔で騒ぎ立てていても、それは望ましくありません)
エリック・ラウアー/Erik Lauer率いるデベロップ・チームは、コモンの留置呪文の存在がイカした瞬間を充分な頻度で作り出すことと、対戦相手に息継ぎをしてゲーム・プランを立て直す機会を与えることを見付けました。
ラヴニカへの回帰に入っている留置つきコモンは、リミテッドではそれぞれこんな働きをするでしょう。
《アゾリウスの拘引者》は留置持ちの優秀な攻撃クリーチャーですが、戦略的に難しい問題を伴っています。留置を気にせずにすぐにプレイして相手に圧力をかけていくのか、それとも後で強力なクリーチャーに対処できるよう、手札に保っておくのかです。こういった、ゲームの勝敗が左右されることがありえるような選択が、白青の魔道士が好むものなのです。
《謹慎命令》は「ほとんどタダの」キャントリップからの恩恵と言えますが、自分の戦場を改善してくれることはありません。
《イスペリアの空見張り》は回避クリーチャーと留置の完璧な混淆ですが、その効果を踏まえても6マナという非常に重いコストを払うかどうかという選択が必要になります。
アンコモンやそれ以上のレアリティになると、対戦相手を締め付けることが想像できるような非常に強力なものが入っています。ドラフトでの私のお気に入りのプレイは、《フェアリーの騙し屋》や《劇的な救出》11で《アゾリウスの大司法官》を再利用するというものですが、こういったことが起こるのはあまりあることではないからこそリミテッドでの流れにおいて楽しいものになるのです。対戦相手のクリーチャーを毎ターン無力化するという夢を見てもらいたいと思っていますが、それがそうそう起こってもらっても困るのです!
最終的に、デベロップは喜んで留置を(適正な量や頻度において)承認し、アゾリウスはついにその特徴にふさわしい楽しいメカニズムを手に入れたのです。
(留置に関するちょっとしたメモ――約1ヶ月前に職場で行われたミーティングにおける、ラヴニカへの回帰のプレリリースに関する妄想。私は、リミテッドでアゾリウスをプレイするときにできるちょっとしたゲームをツイートしました。ルールは単純です。対戦相手のパーマネントを留置したとき、対戦相手にその犯した違反が何であるか伝えるのです。「ここを通行して良いのはパワー7以下のエレメンタルだけです。そのエレメンタル・トークンを留置します」といったように。)
講座休止
皆さんが私と同じようにこの新しいアゾリウスの顔を楽しんでいただけたら嬉しいです! 一目見ただけだと楽しくなさそうに見えるメカニズムでも実際には使えるようにできることがある、という点で、留置の教訓は有用なものです。鍵になるのは、何が楽しくないのか、どうすれば改善できるのかを理解するということです。
ラヴニカへの回帰を楽しんでください。そして、留置に充分な楽しみがあることを確認してください!
1. 「楽しみを愛する」あるいは「参加者の側にある喜びと幸福に向かう傾向を目標の1つとする活動の喜び」は、公式アゾリウス・ハンドブックの第1項から第142項が守られる限りギルドの会員証において認められ、奨励されている。(戻る)
2. 死の睨みは一般にゴルゴン、バジリスク、コカトリスに分類される存在によって用いられるとされるが、さらなる調査によって目を保有し感覚鋭敏な存在であれば「死ねば良いのに」というより低位の睨みを持つことが判明している。(戻る)
3. 公然たる目標がこの節の重点であるが、他の目標についても以下の関連文書において議論されている。参考文献 j、[検閲済み]、x.iii.7b 参照。(戻る)
4. 両ソリティアはラヴニカの一般的市民に人気の娯楽であるが、かつて非常に生産性を落としたことから、評議会内での使用は承認されていない。(評議会所作に関する写本、小見出しC-q.iii参照)(戻る)
5. 「金魚ゾーン」は実際の物理的な領域ではない。超物理的挙動に関する小委員会の定めた規定に従う、相互干渉の存在しない比喩的空間である。(戻る)
6. ここで言う歴史は、この文書に関する責任を持つ小委員会、文書検閲委員会の承認したものを指す。(戻る)
7. 通常、このカッコそのものが脚注になるが、この管理文書の構造には自由度が存在するi(戻る)
8. この脚注は崇高なる審判者の権限において検閲された。(戻る)
9. 軽量と標準化に関する小委員会によってとりまとめられた楽しみの標準単位はミリカーニバルであり、ボーナンザとの変換式は複雑である(ラクドス騒乱の生存者に関する研究を参照のこと。多くの場合、楽しみ1カーニバルは致死量に値する)。(戻る)
10. ラヴニカ以外の世界の存在はただの噂であると判断すべきであり、法律上の議論において考慮すべきではない(対比:外次元に関する研究とあなたii イゼット団編)(戻る)
11. 何が「救出」に値するのかについて、評議会は意見の一致を見ていないということに注意すること。従って、これは(ギルドパクト以降の)守備的魔法協定に基づき、打ち消し呪文から守られるべきである。(戻る)
i. 管理文書における自由度は、正式に指名された司法係員によって3重に承認されたときにのみ有効である(イスペリアの命令、第1項XII.42より)(戻る)
ii. 基本政策の執行者は、イゼット団の禁止技術や禁止予定技術の近傍に強い事前注意を行うべきである。特に外次元のエネルギーに関するものについては厳重にそうすること。(拘引者の写本第6章「他のギルドについて」)(戻る)
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