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居住の建築
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居住の建築
Tom LaPille / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年10月5日
マジック開発部内の最も理解しにくい違いの一つに、デザインとデベロップの間の違いがある。ここで働き始めてから数年経った時点でも、理解できていたかどうか自信が持てない。どちらの役割もカードを作ることと環境を調整することを含んでいる。もし君が2年前に私にこの違いについて要点を言えと言ったなら、私は巧く説明できていたかどうか分からない。しかしながら、いくつかのセットのリード・デベロッパーを経験した後で、それがどう作用するのかを理解すると思う。今なら、私はデザインの仕事はカードがどのように作用するべきかのビジョンを考え出し、それを実際の働きにできるだけ近づけることで、デベロップの仕事は、デザイン・チームのアイデアがクールであることを確認し、その後それを具現化させることだと言うだろう。
優れたデザインは、それが求めている様々な色や色の組み合わせを使う戦略について表現している。これらの戦略は「完全に自然で、そしてマジックのカードから順当に発生するもの」から「マジックがかつて到達したことのない、ワイルドで新しいもの」までの数直線の上のどこかに置くことができる。
最初の種類の戦略で実行することは、単純な事柄になる傾向がある。例えば、マジック2013の赤白デッキで意図された戦略はトークンを並べてクリーチャー全体を強化する能力を使うことだ。《隊長の号令》と《オドリックの十字軍》は白単の戦略をサポートするためにすでにセットに入っており、そして《クレンコの命令》は赤単のゴブリン戦略をサポートするためにすでに存在しているので、従ってそこに《ラッパの一吹き》を入れてデッキを仕上げるのはかなり簡単なことだ。これの一部は定められた戦略が我々が以前にまだ作ったことのない効果に依存せず、また一部はそのようなデッキがどのように動くべきかについて我々が強く理解しているからだ。
他方の戦略を実行することはより複雑になる。我々が戦略を生み出すのに必要な種類のカードをまだ作ったことがない場合、我々は答えがどのようなものか分からず、そして以前に見つける必要もなかった。これは我々にいくつかの調査が必要であることを意味している。リミテッド環境で新しい戦略を生み出さなければいけない場合、事態は特に厄介なことになる。新しい作用をシールドやドラフトで作ることは、それをカジュアル構築で起こるようにするよりも困難なことだ。
お気づきの通り、居住はこの手のメカニズムと戦略における完璧な一例だ。我々は以前にもトークン戦略を持っていたが、この素晴らしい方法ではなかった。通常のトークン戦略では、普通のカードが君がトークンであってもそうでなくても多くのクリーチャーを持っている鍵となっていた。居住では君がたった1体のトークンを出しているだけでよく、そしてこれは物事を見る新しい方法だ。さらに、数を増やすのではなくサイズの大きなトークンを持つことを奨励している。もちろん多くのトークンを求めるカードは依然として作用するが、君がサイやワームを居住させられる場合、そちらの方が目玉となる。
ありがたいことに、我々は助けるために使えるモデルを持っている。私は君達に伝えるべきことをデベロップの達人エリック・ラウアー/Erik Lauerから学んだ。それは彼が居住をどのように見ていたか、そして私がこれらの問題を今どのように見ているかだ。
我々が新たなメカニズムを使って全く新しく奇妙な戦略をセットに入れて、そして我々はそれがリミテッドで機能することを求めていると仮定してみよう。我々は戦略をサポートするカードをいくつかの分類に分けることができる。
《トロスターニの裁き》 アート:Christopher Moeller |
その戦略と関係なく極めて強いカード
最初の分類は、君が我々がサポートしようとしていることをしていようがいまいが、手に入れてプレイしたいカードだ。《大軍のワーム》と《議事会の招集》はこれの完璧な一例だ。
《大軍のワーム》は単純明快な爆弾カードで、君がシールドやドラフトでこいつをパックから出したら、そのすごさゆえに基本的にはプレイしようとするだろう。《議事会の招集》は極めて強力というわけではないが、しかしこれはコストとサイズの比率がとてもよいので、白緑のトークンの多いシールドデッキでのプレイでプッシュされるだろう。もし誰かが《大軍のワーム》を開いて《議事会の招集》が回ってきたなら、その人はその後のドラフトで手当たり次第に居住をもったカードを取る可能性がとても高く、そしてその後、そのプレイヤーは新しい戦略で戦うことになる。
このタイプのカードで重要なのは、新しくてクールなことよりも勝利によって動機付けられる人々が勝利を目指す中で、クールで新しいことを楽しむことになるだろうということだ。君が純粋なカードパワーで値をつけた十分な数のカードを含めることで、我々は新しいメカニズムをとても気難しいプレイヤーさえ実際に経験させることができるのだ。
単体でも優秀でその戦略と組み合わせると非常に強いカード
次の分類のカードは君が特別な動機が無くても進んでプレイするだろう。ここの分類に爆弾カードは無いが、しかしそれらが挙げる条件を満たしていれば爆弾に近づくことができるカードだ。二つ例を挙げると《狩猟者の協定》と《トロスターニの裁き》などだ。
私は多くのリミテッドで3/3が2体出てくるか、インスタント速度の除去呪文になら進んで6マナを払うし、マナ加速やそれを引いてくる助けになるドローがあればなおさらだ。6マナで3/3と8/8が出るなら有頂天でマナを払い、またやはり除去呪文に4/4がついてきたら幸せになるだろう。このどちらのカードも初期状態でもそれなりのコスト比率を提供してくれるが、しかしこれらが計画どおりにプレイされるなら、大きな潜在的利点を提供してくれる。
このタイプのカードで重要なのは、戦略を進んでドラフトするのに必須のコモンを含んでいることだ。これらはそれ自体が強力で、そしてデッキが正しい方向に進めばとても強力になるので、これらは取るのにリスクを感じないものだ。十分にこれらがある場合、プレイヤーは《大軍のワーム》のようなものをパックから開けなくても多くのリスクを犯さずに居住デッキを完成させることができる。
単体では弱いがその戦略と組み合わせると強いカード
これらのカードは戦略の外ではほとんどプレイしようと考えないが、しかし戦略の中では私はこれらを求める。《ドルイドの講話》と《根生まれの防衛》はそのような2枚のカードだ。
《濃霧》効果が好きなプレイヤーはいるが、そうしたカードはリミテッドでは強力でないものだ。《根生まれの防衛》はそれなりのトリックだが、3マナは私が戦闘フェイズを攪乱させるために好んで払うカードよりも多い。しかしながら、どちらにせよこれらのカードが私に2/2、あるいはそれより大きなボーナスを残してくれるなら、私は興奮するだろうし、間違いなく私はそれをプレイすることを検討するだろう。
これらのカードのリミテッドの働きで重要なのはそれらが餌のようなものを提供するので、観察力の鋭いプレイヤーのデッキに入ることができる点だ。もし居住に対してだけ良いカードがあるなら、居住をしようとするプレイヤーだけがそれをドラフトしようとするだろう。卓に唯一の居住プレイヤーが君であるなら遅い順目で強いカードをかき集め、他の皆には最悪だが君にとっては素晴らしいことになる。それが分かれば、君は《議事会の招集》に他の皆より少し高い点数をつけることができ、またそうすることの見返りを感じて安心できるだろう。
単体では弱いがその戦略と組み合わせるとそれなりのカード
最後に、我々は戦略と組み合わせても著しく強いわけではないカードを作った。この説明に当てはまると私が考える二つの例は《封鎖作戦》と《天空の目》だ。
私は居住しなければ弱いカードのために本当にトークンが必要ならば進んで《封鎖作戦》をプレイするし、また本当に何か大きいトークンを居住したいなら《天空の目》を進んでプレイするだろう。しかしながら、どちらのカードも私を興奮させてはくれない。3マナは私が払いたい2/2警戒のコストよりも重く、そして《議事会の招集》と違って《天空の目》は他に居住するトークンが見つけられない場合かなり弱い。シナジーからのボーナスはこれらのカードを私が進んで受け入れられるレベルまで高めてくれるが、しかし毎回のドローは完璧ではなく、そしてこれらのカードは私にかなり低いインパクトを与える悪いドローだ。
強力でないにも関わらず、これらのカードはドラフトの全体の経験でかなり重要だ。もしテーブル内のプレイヤーのうちとても多くが居住をドラフトしようとしていたら、彼らは恐らく強い居住カードに殺到するだろう。もし我々が強くなり得るカードだけを収録した場合、居住のカードは十分な数が行き渡らないだろう。何かがうまくいかなかった場合にも、この分類のカードはそれを救うために舞い降りることができる。これらは誰かのデッキを素晴らしいものにできないが、しかしそれらは少なくとも、プレイヤーがその戦術へと移動した時に希望するような経験の形をもたらしてくれる。
《封鎖作戦》 アート:James Ryman |
居住のような新しいメカニズムをきれいに作用させるには、明らかな爆弾から最弱のトークン製造機まで全ての種類のカードが必要だった。我々の願いはいつでも君が居住デッキをドラフトしようとしたなら、《大軍のワーム》を叩きつけていても、もしくは《封鎖作戦》で羊のように本体の1ダメージを軽減していても、君は少なくともコピーするためのトークンと、それをコピーするものを持っている。
ではまた、近いうちにお会いしましょう。
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