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『タルキール:龍嵐録』の伝説たち

Lauren Bond, DK Billins
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2025年4月2日

 

 『タルキール:龍嵐録』はタルキール次元への栄光ある帰還であり、恐るべき龍たち、勇敢なる氏族が大活躍する多元宇宙規模の物語です。そして最後には……いえ、それはMagic Story -未踏世界の物語-にてご自身で読むか、The Magic Story Podcast(英語)でお聞きください。

 このセットに登場する伝説のクリーチャーたちに馴染んで頂くために、我らが最高のタルキール専門家たちがこの「『タルキール:龍嵐録』の伝説たち」を作成しました。皆さんの次なる統率者たちの背景設定です。また、この次元の完全な案内書として「プレインズウォーカーのための『タルキール:龍嵐録』案内」その1その2もご用意してあります。

 『タルキール:龍嵐録』は目を見張るようなボーダーレス・カード、美麗なドラゴンスケイル・フォイルなどを収録して4月11日に発売されます。このセットはお近くのゲームストアAmazonなどのオンライン小売店、その他マジック:ザ・ギャザリングの製品を扱う販売店で今すぐ予約注文が可能です。


龍へと昇る者、サルカン
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龍へと昇る者、サルカン
(通常版)
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龍へと昇る者、サルカン
(ショーケース版)
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龍へと昇る者、サルカン
(「幽霊火」版 | フォイル仕様)
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龍へと昇る者、サルカン
(「幽霊火」版 | ハロー・フォイル仕様)

 サルカンと故郷タルキールとは複雑な関係にある。彼は存在することのなかった異なる時間軸から来た者であり、龍王たちとその群れの隆盛は、様々な意味で彼の行動が原因となっている。サルカンはタルキールに帰還してファイレクシアの侵略と戦い、龍の力を用いて敵の攻撃を食い止めた。だが侵略の余波で灯が失われて彼は著しく弱体化し、その後龍王たちは敗北した。そのためサルカンは、多元宇宙における自身の真の居場所について疑問を抱くようになった。

 サルカンは龍こそがこの次元の正当な支配者であると信じ、タルキールの龍たちにかつての栄光を取り戻すことを目指している。同じ目的を持つテイガムが彼に近づき、力を取り戻すと約束した。両者は龍たちの権威を取り戻し、簒奪者である人間を追い払うために結束した。

アブザン

アブザンの夜明け、フェロザー
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アブザンの夜明け、フェロザー
(ボーダーレス版)
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不動なるフェロザー
(ボーダーレス版)

 トランスジェンダーの女性で、かつてのカン・レイハンの子孫であるフェロザーは、ドロモカの群れの中でもひときわ手強い戦士だった。ある時彼女は突然の陥没現象によって部隊からはぐれ、気が付くととある地下要塞の中にいた。その近くには、今なお立つ一本の族樹があった。錯乱した祖先の霊魂が彼女に群がり、正義を求めるそれらの叫びが彼女の中に反響した。そのこだまはフェロザーが部隊に戻ってからも長く続いた。フェロザーは何度もその廃墟に引き寄せられ、そこで霊魂たちが語るアブザンの過去や、龍王が支配していなかった時代の話へと密かに耳を傾けた。

 彼女はこの知識を、ドロモカの群れの中でも信頼する者たちと静かな囁きとして共有した。ファイレクシアの侵略においてフェロザーは自身の部隊を救うため、必死の思いでこれら祖先たちに保護を求め、その結果侵略者たちをある程度追い払うことに成功した。だが死霊術の使用は禁じられていたために彼女は裏切り者の烙印を押され、とある地下洞窟へと逃げ延びた。そこではドロモカに対する反乱勢力が拡大しつつあった。

 アブザンの霊魂によって勇気を与えられた英雄的指導者として、フェロザーは龍王との戦いに不可欠の存在となった。そして龍王が打倒されるとアブザンのザンハール家を再編し、生まれ変わった氏族のカンに選ばれた。フェロザーはアブザンの各家へと忠誠心と献身を喚起し、またその率直な物言いは他氏族にも気に入られ、アブザンの貿易力の強化に繋がった。彼女は守れる約束だけを交わすと知られているが、その正直さが裏目に出ることもある。不当な扱いを受けた際には黙っておらず、あるいは剣を抜くこともためらわないからだ。

全族党に連なる者、ベトー
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全族党に連なる者、ベトー
(ショーケース版)
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全族党に連なる者、ベトー
(ボーダーレス版)
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先祖の声、ベトー
(ボーダーレス版)

 ベトーが召喚された際、迷いさまようアブザンの霊たちがその存在に融合した。この霊たちとともにベトーはアブザンの過去と現在、そしてアブザンの独立とその歴史に再び繋がるという願いの顕現となった。ベトーは自らを指す際に「我々」を用いており、アブザンの祖先たちが融合した意識を代表し、死者と生者を繋ぐ役割を果たしている。ベトーはまた、族樹の守護者と祖先の召喚者たちを監督する。アブザン氏族のすべての家族がベトーを自分たちの一員とみなしており、多くの者が導きをベトーに求める。ベトーはアブザンが集団としての利益に沿うように導きつつ、各自が独立心を維持するよう努めている。ベトーは傍観者的で干渉を好まず、裁きと賞賛の両方を少しずつ与える。所持する膨大な記憶と情報をもとに、ベトーはアブザン氏族が直面する問題の意図や解決策、結果を素早く読み解く。

不撓の系統、アナフェンザ
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不撓の系統、アナフェンザ
(ボーダーレス版)

 アナフェンザはドロモカの統治下で生まれ育ち、群れの中でも龍以外の者たちを心から気にかけていた。自分たちは龍王たちにとってほぼ使い捨ての存在であると知った彼女は、同胞の防衛と生存を確かなものにすることを自らの責務とした。そして長らく失われていた族樹を発見し、古代アブザンの精霊魔術の秘義を学んだ。その実践が明るみに出て彼女は処刑されたが、強大な力をもつ祖霊となって帰還した。死してなおアナフェンザは忠実な守護者であり続け、ファイレクシアの侵略の間はこの次元と同胞を守り、龍王たちへの反乱では後裔たちと共に戦った。現在、彼女は新生アブザンを見守り、最も敬われる祖先のひとりとして今なお危急の際に頼りにされている。

ハムザ
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『アルケミー:タルキール』より|アート:Svetlin Velinov

 ハムザはクルーマー、つまり他氏族からの養子としてフェンザーラ家に迎えられたロクソドンの戦士だ。彼はその生来の力で要塞の衛兵として名を上げたが、その指導力からヤサンの一員に任命された。これはカンから独立して活動するアブザン戦士の精鋭集団である。彼はファイレクシアの侵略後におけるアブザン反乱軍の指揮官として大いに尊敬され、ドロモカの敗北後にはすぐにヤサンの指導者に任命された。だが、そして特にフェンザーラ家にとっては残念なことに、ハムザは家族評議会への参加を拒んでヤサンに残り続けた。彼は慣例にとらわれない人物として知られ、その地位を利用して社会的影響力を向上させるよりも、自身が守る民と共にあることを好んでいる。

ジェスカイ

ジェスカイの道師、ナーセット
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ジェスカイの道師、ナーセット
(ボーダーレス版)
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ジェスカイの道師、ナーセット
(「幽霊火」版 | フォイル仕様)
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ジェスカイの道師、ナーセット
(「幽霊火」版 | ハロー・フォイル仕様)

 ファイレクシアからの侵略のさなか、ナーセットは故郷タルキールを守るために帰還した。そしてファイレクシアの打倒と灯の喪失の後は、旅を続けて龍王たちに消されたタルキールの歴史の真実を明らかにすると決意した。彼女は次元の隅々にまで足を伸ばし、龍王たちによる粛清を免れていた記録文書を発見し、隠れて生き延びるティムールの囁く者やアブザンの祖先の呼び手たちと話し、オジュタイが秘匿していた真の歴史の全体像を作り上げていった。知識と真実に飢え、オジュタイの群れからの追放者たちが彼女のもとに集まった。ナーセットはこの次元の人々の幸福を気にかけた――龍王たちの支配のもとではタルキールの真の統一はないのだ。

 ナーセットは古代の記録庫で「嵐の絆の儀式」を発見した。当初は潜在的に危険なこの魔法を使うことに躊躇したものの、これは自分たちが前進する唯一の道であると他氏族の反乱指導者たちから説得された。そして龍王たちの打倒後、ナーセットはジェスカイの道師に任命された。その思慮深さと思いやりによって、彼女はジェスカイの目標である調和を氏族全体に広めている。時折、ナーセットは氏族への義務と知識への果てない欲求との間で引き裂かれることもある。だが今のところは知識の追求を我慢し、タルキールをよりよい未来へ導くことを決意している。

道の体現者、シィコ
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道の体現者、シィコ
(通常版)
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道の体現者、シィコ
(ショーケース版)
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道の体現者、シィコ
(ボーダーレス版)
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一心同体、シィコとナーセット
(ボーダーレス版)

 龍王の支配下による停滞にうんざりした僧や民間人たちがいた。彼らは行動したいと、調和したタルキールを築きたいと願った。そしてオジュタイの群れから追放された彼らの情熱によってシィコは姿を成した。シィコはジェスカイの道の体現者である。他者の目的、信念、行動を理解し、氏族を思想的調和へと導く最善の方法を求めている。行動をよしとするシィコはジェスカイの領土を常に見渡し、公平にかつ偏らず、贔屓をしないことを心がけている。彼女は観察し、導きを提供し、決断や行動が必要とされたならすぐに介入する。シィコはジェスカイの僧たちへと高い、あるいは実現不可能な規範を課し、彼らを正したり戒めたりすることを躊躇しない。精神の調和へと彼らを導くためにはそれが必要だと考えているためだ。

好機を逃さぬ達人、テイガム
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好機を逃さぬ達人、テイガム
(ボーダーレス版)

 テイガムはオジュタイの最も忠実な信徒のひとりであり、龍こそがこの次元の正当な支配者であると考えている。龍王たちが打倒されるまで、彼は反逆者や追放者たちと戦った。そして追放されるか新たなジェスカイの意志に屈するかの選択を突きつけられ、彼は後者を選択した。ジェスカイの信頼を再び獲得し、自身の忠誠をナーセットに確信させた後、テイガムは僧院の貴重な指導者となった。だが各氏族を転覆させて龍による支配を取り戻す方法を見つけるため、彼は密かに行動している。サルカン・ヴォルがタルキールに帰還したことを彼は好機と見た。ふたりは少なくとも今は同調し、カンの凋落のような流れを再び起こすべく取り組んでいる。

三学の修得者、エルシャ
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三学の修得者、エルシャ
(ボーダーレス版)

 オジュタイのもとでは、エルシャの才能は認められなかった――彼女の熱意と行動への欲求は教師たちとの終わりのない衝突を引き起こしていた。憤慨と不満を抱えた彼女は反乱者たちが提供する情熱と目的へとたやすく引き寄せられ、彼らとともにオジュタイを転覆させるべく戦った。改革された氏族においてもエルシャは一か所に決して長くは留まらず、三つの主要な僧院を巡って過ごしている。ジェスカイの三流派すべての達人として、彼女は他者を訓練し、調和と道の意味を真に理解するために新たな視点を探し求めるよう生徒たちを勇気づけることに時間を費やしている。

ラム
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『アルケミー:タルキール』より|アート:Irina Nordsol

 ラムはあらゆる物事を見てきた――カンの凋落による世界の変化、龍王オジュタイの統治、ファイレクシアの侵略、シィコの誕生、ナーセットの道師への任命。かつては特に大志などを持たない若き僧だったラムは、質素な生活を送りながら英雄の物語を語ってジェスカイの仲間や年長者たちを楽しませることに喜びを見出した。コーリ山の僧や民間人が集まり、何十年にも及ぶ教導と歴史保存への感謝を捧げられた時、初めてラムは自分が名高く敬愛される師になったのだと気付いた。現在のラムは若々しい活力を失うことなく、若年の僧とその教師たちに戦闘技術やその背後にある歴史を教え続けている。

ショウ・カイ
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『アルケミー:タルキール』より|アート:Jake Murray

 ショウ・カイは仲間たちから多くのあだ名で呼ばれているが、そのほとんどは彼女の皮肉めいた言い返しや混乱させるような格闘の型に由来している。ショウ・カイはあらゆる僧院の間を頻繁に行き来し、常に教師たちを困惑させている。そしてジェスカイが提供するほぼあらゆる技を自然と習得しているものの、自らに落ち着きを見出せずにいる。自身の欲求が常に変化しているため、戦闘の型として何か適しているのかに確信が持てないのだ。自分だけの道を探すのが良いと師のエルシャに励まされ、やがてショウ・カイは未知のものを習得することに刺激と着想を見出した。鉤爪のように攻撃する魔法、そして魔法のように動く鉤爪での攻撃で彼女は敵を、そして自分自身を驚かせることを楽しんでいる。

スゥルタイ

牙の番人、コーティス
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牙の番人、コーティス
(通常版)
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牙の番人、コーティス
(ボーダーレス版)
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シブシグの勇者、コーティス
(ボーダーレス版)

 かつてコーティスはキシュラ村に住む一介の農民であり、戦士や指導者になるつもりなど決して持ち合わせていなかった。だがある時、シルムガルの手下たちがわずかな収穫を奪いにやって来た。このままでは村の多くの人々が飢えてしまうことになる。その強欲と思慮の欠如に激怒したコーティスは武装した民間人の抵抗勢力を結集し、シルムガルの手下たちを追い払った。キシュラ村は独立を宣言したものの、長くは続かなかった。シルムガルの群れから援軍がやって来るとコーティスや村人たちは密林へと逃げ込み、まばらに活動していた反乱軍と合流した。

 後にコーティスはファイレクシアの侵略中に殺された。抵抗勢力を率いるためにまだ彼が必要であると反乱軍は信じ、屍術の儀式を用いてコーティスを蘇生させた。彼はスゥルタイにおいて崇敬を集める最初の不死者のひとり、シブシグとなった。蘇生はもはや罰ではなく、貴ばれる名誉とされた。シルムガルの打倒後、コーティスは新たなスゥルタイの指導者である牙の番人に任命された。その正義感と、全氏族員の繁栄を確かなものとしたいという願望は、シルムガルの堕落や浪費とは理想的な対照をなした。コーティスはこの第二の人生を滅多に手にできない貴重な機会とみなしてわずかな時間も無駄にしないよう、自身の目標と理想を粘り強く追求している。コーティスはスゥルタイの上流階級における政治闘争や無駄な口論に対しては寛容ではなく、現実的な視点で問題に取り組むことを好んでいる。

高徳の調停者、テヴァル
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高徳の調停者、テヴァル
(通常版)
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高徳の調停者、テヴァル
(ショーケース版)
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高徳の調停者、テヴァル
(ボーダーレス版)
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釣り合った天秤、テヴァル
(ボーダーレス版)

 テヴァルは新たなスゥルタイが求める公平性、権威の抑制、そして環境との繋がりの確約を体現している。改革されたスゥルタイは、氏族の指導者たちが数千年前にラクシャーサと交わした契約を拒んだ。テヴァルの第一の役割はスゥルタイを率いることではなく、氏族内の調停を行い、牙の番人や他の指導者の権力へと目を配り、均衡を保つ力として働くことである。テヴァルは実際的で、残酷なほどに正直である。彼女は他者の弱点を見つけて知ろうとし、相手を自身の利益のために操作したり、個人を改善に導いたりもする。テヴァルにとって、生きているものはすべて相互に結びついたひとつの循環に属している――何かひとつを傷つけたなら、より大きな全体に影響が及ぶ。結果、彼女は搾取や無駄を見つけたならすぐさま根絶する。テヴァルは個人間の対立や闘争をほとんど気にかけない。従って、彼女は多数のために少数を犠牲にすることを滅多に躊躇しない。

ぬかるみの執政、シディシ
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ぬかるみの執政、シディシ
(ボーダーレス版)

 シディシは常に、他者全員よりも自身の利益と幸福が第一だった。シルムガル配下の不死者の宰相として、彼女は自分の権力と地位を確保しようと努めてきた。だがファイレクシアの侵攻がタルキールにも到来し、その後シルムガルの群れ内の反乱が山場を迎えると、彼女が蓄えた力は衰えて権威が失われつつあるのは明白となった。反乱軍によるカルシ宮殿の襲撃の後、シディシは重傷を負ったものの周囲の沼地へと逃げ延びた。現在の彼女はグルマグ沼の闇に潜み、強大なラクシャーサと交渉し、失った権威を取り戻すための策略を練っている。

マルドゥ

雷の布告、ズルゴ
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雷の布告、ズルゴ
(通常版)
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雷の布告、ズルゴ
(ボーダーレス版)
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嵐裂きのズルゴ
(ボーダーレス版)

 かつて鐘突きのズルゴと呼ばれたこのオークの戦士は、コラガンの群れの中における運命と地位を受け入れていた。それは攻撃の合図となる鐘を鳴らす役割だった。その場所からは、他の者たちがコラガンの怒りを満たすためだけに生き、死ぬ様子を見ることができた。ファイレクシア人が到来するとコラガンの群れは侵略軍に襲いかかったが、それは無謀でまとまりのない大群だった。ズルゴは偶然にも龍王オジュタイと遭遇し、それは不本意かつ一時的な同盟に繋がった。二者は協力してファイレクシア人を追い払うことに同意した。

 オジュタイから、ズルゴは協調した取り組みの価値を知った。彼はまとまりのないコラガンの戦士たちを統一された軍隊へと変え、そうして彼らはファイレクシアからの攻撃を生き延びた。終わりのない戦いの先に意味を求め、群れの人々が繁栄するための別の道を切望したズルゴだったが、龍にもそうでない者にも多くの犠牲が出たことで彼の内に反乱の炎が点った。コラガンが打倒された今、嵐裂きのズルゴはカンとしてマルドゥを率いるとともに、タルキールでも最も恐ろしく組織化された軍勢を指揮している。幾つもの戦いと損失によって鍛えられたズルゴの第一の目的は、マルドゥの未来を確固たるものにすることだ。マルドゥやその脆い平和にとって有害と思えるものはすべて、実力行使で対処される――迅速かつ暴力的に。とはいえ彼は新たな発想を進んで検討し、かつてのように対立するのではなく龍や他氏族と足並みを揃え、氏族の長寿と繁栄を確かなものにするつもりである。

嵐の中心、ネリーヴ
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嵐の中心、ネリーヴ
(通常版)
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嵐の中心、ネリーヴ
(ショーケース版)
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嵐の中心、ネリーヴ
(ボーダーレス版)
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火花散らせる先駆、ネリーヴ
(ボーダーレス版)

 コラガンは大地を焼き払い、人々は多くの犠牲を強いられていた。群れの中に共同社会と呼ばれるものは存在しなかった。ネリーヴを召喚したことでマルドゥ氏族は集団としての再生を目指し、絶え間ない戦いの追求ではなく団結と意志の強さに力を見出した。ネリーヴの主要な役割は、マルドゥの司令官として陣頭を指揮し、氏族を戦いやステップ中の新たな場所へ導くというものだ。彼は熱意を持って獰猛に戦いへと飛び込むが、それが部隊の生存を意味するのであれば撤退も辞さない。ネリーヴは一瞬の熱と情熱に容易くとらわれ、すべての選択肢を検討する前に急いで行動に移る。とはいえ全体の幸福は彼にとって非常に重要である。ネリーヴは苦戦する人々を助け、既に優れている人々をさらなる高みへと導く。ネリーヴはマルドゥの人々と密接に協力し、しばしば彼らの日常生活へと積極的に関わる。空を偵察していない時は宿営地の周辺でその姿を見ることができる。

光砕く者、テルサ
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光砕く者、テルサ
(通常版)
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光砕く者、テルサ
(ボーダーレス版)

 ズルゴの従妹であるテルサは、嵐唱者としての熟練の技術を用いてコラガンと戦うためにマルドゥ軍の兵士たちの中に潜り込んだ。コラガン自身が放った、その衝撃で何百人もの命を奪ったであろう圧倒的な雷撃を彼女が跳ね返したというのは有名な話である。その功績により彼女は新たなカンから称号を授けられ、また若き戦士たちを試す稲妻の試練の儀式を創設した。テルサの最大の願いはマルドゥ氏族が平和の時代を築くことであり、そこに至るにはマルドゥの強みが必要であるというのが彼女の最大の信念である。

ティムール

龍爪のエシュキ
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龍爪のエシュキ
(通常版)
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龍爪のエシュキ
(ボーダーレス版)
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ティムールの咆哮、エシュキ
(ボーダーレス版)

 エシュキはアタルカの群れの中でも有能な狩人であり、一流の格闘家でもあった。長年に渡って彼女は龍王の要求に渋々従い、その傍らの龍たちのために狩りをしていた。だがある時彼女の猟団がアタルカの群れの一体に襲われてなすがままにされ、エシュキは我慢の限界に達した。彼女は他の生存者たちと共に山中へと逃げ込み、そこで二度囁く者アルニウルと出会った。そして彼女はティムールの秘められた歴史である「書かれざる現在」を教えられた。

 エシュキと仲間たちはアタルカの群れから逃れながら秘密裏に活動し、大地との失われた繋がりを取り戻したいと願う者たちを探した。ファイレクシアの侵略の間は、まばらなアタルカの軍勢を率いて侵略軍と戦った。やがて彼女は同じ軍勢を龍王に向け、ティムールの勝利を確かなものとした。また戦いでスーラクを破ったことで彼女は龍爪の称号を与えられ、かつてのアタルカの戦士たちの尊敬を得た。そしてその確固たる統率力をもって、囁く者や精霊たちの期待にも応えた。エシュキは共同体との同調を保ち、妻と狩猟犬とともにティムールの様々な家族集団の間を旅しては、彼らの日々の勝利と課題についての理解を深めることに多くの時間を費やしている。

終わらぬ歌、ウレニ
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終わらぬ歌、ウレニ
(通常版)
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終わらぬ歌、ウレニ
(ショーケース版)
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終わらぬ歌、ウレニ
(ボーダーレス版)
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書かれざる者、ウレニ
(ボーダーレス版)

 アタルカの支配下にあっても、大地の精霊たちが沈黙することはなかった。その声を聞き、龍の群れに焼き払われた大地を癒す者たち――囁く者を彼らは選んだ。その害を正し、大地との繋がりを再構築するために、ウレニはティムールによって生まれ出でた。ウレニは賢明で、精霊たちとの深い結びつきを持ち、囁く者たちの近くで生き、彼らと密接に協力しながらティムールに助言と指導を与えている。

 ティムールとその土地をウレニは獰猛に守っており、侵入者や氏族に危害を加えると思われるものがあれば躊躇なく追い払う。ウレニの信頼を得ることは難しく、また裏切りは決して許されない。その信頼を裏切った者には実力行使が待ち構えている。運が良ければウレニの庇護を失ってティムールの土地から追放される。ウレニは氏族の日常生活と領土の安寧を深く気にかけており、共同体内の些細な不和や生態系の小さな乱れにも頻繁に時間をかけて対応する。

神出鬼没の狩人、スーラク
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神出鬼没の狩人、スーラク
(ボーダーレス版)

 スーラクはアタルカの「狩猟の統率者」という役割に自信を持っていた。それは祖先たちが偉大なる龍王と交わした、生き延びることを許される代わりに群れを養うという合意によるものだった。彼は人間たちの反乱に抵抗してアタルカの側につき、ファイレクシアの侵略の間は戦士たちを率いて龍王の権威を維持しようとした。やがてスーラクはエシュキと対決したが、彼女の技能には敵わなかった。スーラクは敗北を認め、多くの狩人が雪の中に彼だけを置き去りにしてエシュキの権威へと鞍替えした。以来ティムールでその姿を見た者はいないが、吠え猛る風だけを道連れとする謎めいた毛皮の男がいるという噂が他氏族から聞こえてきている。


 『タルキール:龍嵐録』は4月11日に発売されます。プレイ・ブースター、コレクター・ブースター、統率者デッキ、Bundleなどはお近くのゲームストアAmazonなどのオンライン小売店、その他マジック:ザ・ギャザリングの製品を扱う販売店で今すぐ予約注文が可能です。

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