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『イニストラード・リマスター』のメカニズム
2024年12月3日
イニストラードは名状しがたき恐怖の次元です。もし生き延びることができたなら、ましてや脱出できたなら、自身の運の強さに感謝すべきでしょう。いずれにしろ、なんとしても戻りましょう!『イニストラード・リマスター』ではイニストラードの各セットから、人気の切り札や、リミテッドで活躍するカード、そして多彩な恐怖が再登場します。このセットで新たに登場するメカニズムはありませんが、おそらく再登場するメカニズムは皆さんにとって目新しいものでしょう。いや、もしかしたらあなたは、このゴシック・ホラーをインスパイアした次元をかつて訪れたという記憶を閉ざしてしまったのかもしれません。誰がそれを責められるでしょうか?それはともかく、『イニストラード・リマスター』の再録メカニズムを見ていきましょう。
変身する両面カード
恐ろしいものが、別のより恐ろしいものへと変身する。それこそがイニストラードという場所です。今となってはマジックに欠かせないものとなっていますが、変身する両面カードの起源はオリジナルのイニストラード・ブロックまで遡ります。変身する両面カード(TDFC)には2つの面があります。第1面(左に上向きの矢印が記されています)と第2面(右に下向きの矢印が示されています)です。
TDFCを唱えるときは、第1面で唱え、第1面を表向きにして戦場に出します。それ以外のなんらかの手段で、これらのカードを戦場に出すなら、そのカードに「変身させた状態で戦場に出る」と特記されていないかぎり、それは表向きで戦場に出ます。
TDFCがスタック上にある間、およびそれが戦場に表向きで置かれている間、それは第1面の特性のみを持ちます。TDFCの多くはその能力において、いかにしてそのパーマネントがもう一方の面へと変身するかを説明しています。伝統的にイニストラードの狼男は、とあるターンに呪文が一切唱えられなかったなら第1面から第2面へと変身します。しかし、他のパーマネントはもっとさまざまな方法で変身することでしょう。
両面カードが変身しても、それは変身前と同一のパーマネントです。ですから、オーラや装備品、カウンターなどはそれにつけられたままです。それに影響を与えている効果もすべて、影響を与え続けます。注意点として、変身したり戻ったりを繰り返せる能力を持つパーマネントもいますが、いちど変身したらそれきりというクリーチャーもいます。
TDFCの第2面にはマナ・コストは存在しません。ですが、その第2面については、2つのことを知っておく必要があります。1つ目は、変身する両面カードのパーマネントが戦場にあるとき、そのマナ総量は第1面のマナ・コストによって決まるということです。これは、それぞれの面が独自の特性を持つという一般則のただ1つの例外です。2つ目は、第2面にはそのカードの色を定義する色指標がタイプ行に記されているということ。たとえば、《高原の狩りの達人》の場合は赤と緑です。
降霊
TDFCのすべてが戦場で変身するわけではありません。降霊を持つカードがあなたの墓地に置かれたなら、あなたはそれの第2面を、(持っていない)マナ・コストではなく降霊コストを支払うことで唱えることができます。
降霊を持つカードがどんな理由であなたの墓地に置かれたかはここでは問われません。《ランタンを携える者》は充実した生を最後まで全うし、勇敢に死んだのかもしれません。単にあなたが手札から捨てただけかもしれません。どちらにしろ、あなたは自分の墓地から《ランタンの持ち上げ》を唱えることができます。多くの呪文と同様に、《ランタンの持ち上げ》に対応したり、打ち消したりすることは可能です。無事に解決されたなら、それは《ランタンの持ち上げ》として戦場に出ます。このカードは(幾つかの稀なケースを除いて)戦場では変身しません。
降霊を持つカードの第2面は、それが呪文であれパーマネントであれ、「いずこかから墓地に置かれるなら、代わりにこれを追放する」という能力を持っています。したがって、《ランタンの持ち上げ》が打ち消されたなら、それは追放されます。これが戦場から墓地に置かれた時にも同じことが起こるのです。
合体
イニストラードの大患期の真っ只中に導入された合体は、2つの通常サイズの脅威を束ねて、1つの巨大な困難として対戦相手にぶつけることを可能にするものです。
両面カードの恐ろしいアレンジである合体カードは、いわゆる普通の変身を行うことができません。しかし、あなたが合体の組み合わせとなる特定のカード2枚をコントロールしていて、かつそれらのオーナーであるなら、その2つは追放後に一体となって戦場に戻ってきます。『異界月』セットの《騒がしい徒党》は他の合体したパーマネントと同様、2枚のカードで表わされる単一のクリーチャーです。これは対戦相手を攻撃したり、あなたの他のクリーチャーが対戦相手を攻撃するのを助ける能力を持っていたりと、あらゆる点で1体のクリーチャーと同じように振舞います。これは1体のクリーチャーであるため、「クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する」と書かれた呪文1つによってまるごと除去されます。クリーチャー1体を生贄に捧げることを求められたなら、《騒がしい徒党》を生贄に捧げることができます。
違いが出てくるのは、《騒がしい徒党》が戦場を離れた後です。合体したパーマネントが戦場を離れる場合、2枚とも同時に離れ、それぞれが第1面を表向きにします。それが手札に戻る場合には、《夜深の死体あさり》と《墓ネズミ》があなたの手札に戻ってきます。《騒がしい徒党》があなたのライブラリーの特定の位置(一番上、一番下など)に置かれる場合は、この2枚のカードを置く順番はあなたが決めます。
合体カードはその導入の経緯から両面カードに再分類されていますが、変身はできません。私たちは合体のプロセスがスムーズに進むように段階を踏むことにしました。あなたは合体させようとするカードの両方について、それらのオーナーでありそれらをコントロールしていなければなりません。あなたが《夜深の死体あさり》をコントロールしており、対戦相手の《墓ネズミ》のコントロールを得ている場合でも、この2つのクリーチャーは互いに気まずそうに見つめ合うだけでしょう。
トークンであるコピーや、トークンでないコピーについても注意してください。例えば、《墓ネズミ》はそれ自身や、あなたがオーナーでありコントロール下に置いている《夜深の死体あさり》という名前のクリーチャーを追放することは問題なく行えます。ですが、どちらかがトークンであるなら合体はできず、戦場に戻ってくることもありません。
両面カードをプレイする
紹介してきたカードのうち、マジックのカードの裏面を持たないカードについてはいずれも、そのカードが何であるかわからないようにして、デッキに入れる必要があります。多くのプレイヤーは不透明なスリーブを使うところですが、私たちは『イニストラード・リマスター』のプレイ・ブースターに幾つか、空欄の差し替えカードも封入しておきました。これらの差し替えカードの裏面はマジックの裏面となっており、そして空欄にはあなたが自分のデッキに入れた両面カードの名前を記入できます。ライブラリーや手札ではこれらの差し替えカードを使い、そしてそのカードを対戦相手に公開したなら、実際のカード差し替えるのです。
現出
ほとんどの次元において、エルドラージは実存的な脅威ですが、少なくともそれが到達するまでにはしばらくの猶予があります。イニストラードでは、エルドラージは嬉々として(おそらくその感情は喜びだと思うのです)、予定よりも早く、あらゆる場所、あらゆる人物から現出してきます。
現出を持つカードは、通常通りそのマナ・コストを支払って唱えることもできます。おそらくあなたは8マナを出すことができて、特にクリーチャーを生贄に捧げたいとも思っていないのでしょう。それなら別に問題ありません。ですが、《忌まわしい群れの存在》をもう少し早く群がらせたいなら、代わりに現出コストを使って唱えることができます。そのためには、同時にクリーチャー1体を生贄に捧げなければなりませんが、そうすることにより、現出コストからそのクリーチャーのマナ総量分を差し引くことができるのです。生贄に捧げたクリーチャーのマナ総量が4であれば、あなたは《忌まわしい群れの存在》を不特定マナ{2}点分と{G}で唱えることができます。
このコストの減少はマナの色には効果を及ぼしません。したがって、生贄に捧げたクリーチャーのマナ総量がどれだけ高くても、最低1点分の緑マナを必ず支払う必要があります。同様に呪文を唱えるための現出コストは、そのクリーチャーの色やマナ総量には影響しません。《忌まわしい群れの存在》は、たとえあなたがそれ現出コストを支払って唱えていたとしても、無色でそのマナ総量は8なのです。そして最後に、現出を用いても、その呪文を唱えられるタイミングは変わりません。これはクリーチャー・呪文のままなので、通常であればあなたのメイン・フェイズ中にのみ唱えられます。
マッドネス
すべてのカードが捨てられたがっているわけではないものの、一応やり方はあるとだけ言っておきましょう。マッドネスは、あなたがカード1枚を捨てたときにカード1枚を唱えることができる能力です
あなたがマッドネスを持つカードを捨てる場合、それを墓地に置く代わりに追放します。これにより誘発型能力が誘発します。その能力が解決されると、あなたはその追放されたカードをマッドネス・コストで唱えることを選んでも構いません。そうしたなら、しめたものです!その呪文はスタックに置かれます。他の呪文と同様、この呪文に対応することは可能です。あなたがそのカードを唱えないなら、それは墓地に置かれます。マッドネスの能力は、その呪文を後から唱える機会を与えるものではありません。
注意点として、あなたは何よりもまず、そのカードを捨てる理由を探す必要があります。カードを捨てたいからただ捨てる、ということはできないのです。それはコストを支払うためであってもいいし、呪文や能力の効果がそうするように指示したからでも構いません。あなたがターンを終えるときに手札が多すぎたから捨てる、というのでも良いのです。理由がどのようなものであれ、あなたはカードを捨てたことに代わりはありませんので、「カードを捨てる」ことは満たされることになります。
増呪
イニストラードはしばしば、人生が激変するような選択を迫られる次元です。しかし、選択する必要がないとしたらどうでしょう?どちらの結果も得られるとしたら?もう少しだけ話しましょう。
《敵意借用》
増呪は一部のモードを持つカードに見られる能力で、追加のコストを支払うことで追加のモードを選べるようにする、というものです。モード1つは、追加コストを支払う必要なく、必ず選ぶことができます。増呪のあるカードがモードを3つ持っている場合、あなたは増呪コストを1回支払うことで2つのモードを、2回支払うことで3つのモードすべてを選ぶことができます。増呪コストを何回支払ったとしても、その呪文のマナ総量は変わりません。たとえば、《敵意借用》のマナ総量は常に1です。そのコストを{R}で支払おうとも、不特定マナ{3}点分と{R}で支払おうともです。
フラッシュバック
1度唱えるだけでも優れている呪文なら、2度唱えればそりゃあもう最高ですよね?フラッシュバックはカードに、それがもう一度輝くチャンスを与えます。
《大笑いの写し身》
フラッシュバックはあなたの墓地からカードを唱えることを可能にする能力です。その呪文があらかじめ唱えられている必要はありません。たとえば、切削されたことや捨てられたことが理由でそこにあるのでも構わないのです。フラッシュバックによって唱える場合、通常のマナ・コストの代わりにフラッシュバック・コストを支払います。たとえあなたがその呪文をフラッシュバックを使って唱えていたとしても、その呪文のマナ総量は常に、そのマナ・コストに基づきます。たとえば、《大笑いの写し身》のマナ総量は常に3です。
フラッシュバックを使用して呪文を唱えたなら、その呪文が解決されるのであれ、打ち消されるのであれ、あるいは解決しようとしたが失敗したのであれ、スタックを離れるなら追放されます。これはフラッシュバックなのです。記憶を思い出すのではありません。
調査
腹を割って話しましょう。ここでは薄気味悪いことが、そこかしこで起こっています。…少しばかり調査することぐらいはごく自然なこと。あるいは"超"自然なことなのかもしれません。
あなたが調査を行うように指示された場合、あなたは手掛かり・トークン1つを生成します。手掛かり・トークンは、「{2}, このトークンを生け贄に捧げる:カード1枚を引く。」を持つ無色のアーティファクトです。“調査”はより多くを学ぶための近道です。より多くを学ぶ前に、アーティファクトをいくつか入手することでしょう、それらは他の用途でも役に立つはずです。
手掛かり・トークン
血・トークン
カードを引かせてくれる楽しげなアーティファクト・トークンといえば、身近で流れているように思える血の川はどうでしょう?確かに不気味ではありますが、だれだってカードを引くのは大好きですよね!
《ヴォルダーレンの投血士》//《血コウモリの召喚士》
血・トークンはあなたの手札を最適化するのに有用なだけでなく、それ以上の可能性を秘めています。血・トークンは、「{1},{T}, カード1枚を捨てる, このトークンを生け贄に捧げる:カード1枚を引く。」を持つ無色のアーティファクトです。そうすることであまり使えないカードを、もっと使えそうなものに交換できるのです。さらに、マッドネスを持つカードを捨てることができれば、一石二鳥です。《血コウモリの召喚士》が示すように、血・トークンはいつも生贄に使うものとは限りません。
不死
イニストラードの住人の中には、どこか他の場所へ行くことを死ぬほど望んでいる者もいます。そして、そうでない者もいます。
《若き狼》
不死を持つクリーチャーが死亡したとき(矛盾してますよね、わかってますよ)、それの上に+1/+1カウンターが1個も置かれていないなら、それに+1/+1カウンター1個を置いて、オーナーのコントロール下で戦場に戻します。そのクリーチャーの上に少なくとも1個の+1/+1カウンターが置かれているなら、不死は誘発せず、それはオーナーの墓地にそのままとどまります。もちろん、不死によって与えられる+1/+1カウンターを取り除くやり方を見つけられたなら、不死を再び誘発させることができます。何度も、何度でも。
ではここで、ルールの相互作用の例を思いついたので紹介します:とあるパーマネントの上に+1/+1カウンター1個と、-1/-1カウンター1個の両方が置かれてい場合、それらは両方とも取り除かれます。その二種類のカウンターが両方ともたくさん置かれていたなら、二種類のカウンターは同数が相殺される形で取り除かれ、いずれか多い方のカウンターだけが残ります。
奇跡
私たちは今回、『アヴァシンの帰還』から再録された奇跡のキーワードを持つカード数枚とともに、イニストラードのまだ幸せだった時代を再訪します。
《魂の再鍛》
そのターンの1枚目に引くカードが奇跡を持つカードであったなら、あなたはすぐさまそれを公開することができます。引いたそのカードを公開する前に、自分の手札にある他のカードと混ぜてしまわないように気を付けてください。このようにして公開したなら、あなたはそれを本来のマナ・コストで唱えるのではなく、その奇跡コストで唱えることができます。これを唱えるのは誘発型能力の解決中なので、これを唱えられるかについて、カード・タイプによるタイミングの制限は受けません。あなたが対戦相手のターン中に引いた1枚目のカードがソーサリーであった場合、あなたはそれを公開し、それをその奇跡コストで唱えることができるのです。
また、その瞬間に奇跡が必要ないのなら、あなたは引いたカードを公開しないことも選択できます。冷静にこれを行なったなら、誰にも気付かれはしないでしょう。他の場合と同じように、呪文のマナ総量は常に、その呪文のために支払ったマナではなく、その呪文のマナ・コストに基づきます。
結魂
さらに再録される2枚のカードが結魂のキーワードを持っています。イニストラードのように恐ろしい次元では、真に必要なのは友人であるというケースも時々あります。
結魂は、とあるクリーチャーを、あなたがコントロールしていてまだ組になっていないクリーチャーと組にして、利益を共有できるようにする能力です。結魂を持つクリーチャーが戦場に出たとき、あなたはそれを、自分がコントロールしていて組になっていないクリーチャー1体と組にすることができます。あなたがコントロールしていてこれでないクリーチャーが戦場に出たとき、結魂を持っていてまだ組になっていないクリーチャーがいるなら、そのたびにそれら2体のクリーチャーを組にすることができます。組になっても、それらは個別の2体のクリーチャーのままです。
組になったクリーチャーは、どちらかが戦場を離れたり、クリーチャーであることを止めたり、他のプレイヤーがどちらかのコントロールを得たりするまで、組であり続けます。組になったクリーチャーは、利益を共有しますが、それ以外の繋がりはありません。それらのクリーチャーは互いに独立して攻撃およびブロックを行ない、呪文や能力、その他の対象となるときにも別々に対象となります。
『イニストラード・リマスター』にかぶりつく
『イニストラード・リマスター』のメカニズムを辿るこの旅路、皆さまに楽しんで頂けたなら幸いです。他にも数枚のカードにしか登場しないメカニズムがありますが、ここまで紹介したものを知っていれば、2025年1月24日にリリースされる『イニストラード・リマスター』を楽しむには充分でしょう。今すぐ、このセットの全容を「コレクションする」の記事で確認し、『イニストラード・リマスター』のプレイ・ブースターとコレクター・ブースターをお近くの店舗やAmazon、その他マジック製品を取り扱う場所でプレオーダーしましょう。
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