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マジック:ザ・ギャザリング『ファウンデーションズ』のメカニズム

Matt Tabak
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2024年10月25日

 

 マジック:ザ・ギャザリング『ファウンデーションズ』のメカニズム記事へようこそ!この記事では、最新のマジックに登場する新しいキーワードやメカニズムを一足先に見ていきます。

 では、マジック:ザ・ギャザリング『ファウンデーションズ』の胸躍る再録キーワードとメカニズムについて、いくつか見ていきましょう。戦闘ルールにも変更がありますので、そちらも見てみましょう。(もしもあなたが経験者なら、そこから読み始めると良いでしょう。)それでは始めましょう!

フラッシュバック

 『ファウンデーションズ』では、このゲームの未来へ向けて準備を整えながらも、ファンに人気のキーワード「フラッシュバック」のように、過去からの要素も取り入れています。呪文1つを1回唱える…、それはまあ当然ですよね?ですが2回だったら?そこに価値が生まれるのです。

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熟慮

 あなたの墓地にありフラッシュバックを持つカードを唱えることができます。その場合、それのマナ・コストを支払うのではなくフラッシュバック・コストを支払います。フラッシュバックは、あなたがこの呪文を唱えられるタイミングを変えません。ですからフラッシュバックを持つソーサリーは、やはりあなたのメイン・フェイズ中にしか唱えられません。また、フラッシュバックにより呪文を唱えても、その呪文のマナ総量自体は変わりません。たとえその呪文を唱えるのに代替コストを支払っていたとしても、マナ総量は常にその呪文のマナ・コストに基づくのです。たとえば《熟慮》のマナ総量は、あなたがどのようにこの呪文を唱えたとしても2です。

 あなたは自分の墓地からフラッシュバックを持つカードを、そのカードがどのようにして墓地に送られたかに関わらず唱えることができます。必ずしもあなたの手札から唱えて墓地に置かれている必要はありません。そのカードは手札から捨てられたものでも、切削されたものでも、他の呪文によって墓場に置かれたものでもよいのです。

スレッショルド

 墓地とは、立派に戦ったことの証です。勇気を奮い全力を尽したクリーチャー、混乱のなか叩き壊されたアーティファクト、破壊的な効果をもたらすため放たれたインスタントやソーサリーなどがそこには眠っています。この帰ってきた能力語「スレッショルド」は、あなたの墓地に十分な蓄えがあるとボーナスをもたらすという能力です。

 スレッショルド能力はあなたの墓地にカードが7枚以上あるかどうかを見ます。《墓所の饗宴者》が持っている能力のように、一部のスレッショルド能力は誘発型能力です。《墓所の饗宴者》が攻撃するたびに、この能力はあなたの墓地に7枚以上のカードがあるかどうかを見ます。墓地に7枚以上のカードがある場合、能力は誘発し、スタックの上に置かれます。プレイヤーはこの能力にインスタントや起動型能力で対応することができます。《墓所の饗宴者》の能力を解決する時点で、これは再び、あなたの墓地に7枚以上のカードがあるかどうかを見ます。まだ7枚以上あるなら、この能力は解決され、《墓所の饗宴者》はターン終了時まで+2/+0の修整を受けます。よーしいいぞ!もしも何らかの理由であなたの墓地にあるカードが7枚未満になってしまっていたなら、この能力は解決されず、効果は一切発生しません。おっと、これはまずい。

 スレッショルド能力はすべてが誘発型能力というわけではありません。中には、あなたの墓地に7枚以上のカードがあるかぎり、それらの記述が適用されるというものもあります。これは常在型能力と呼ばれます。本セットにおいてスレッショルド能力を持つのはクリーチャーのみですが、過去のセットではスレッショルド能力を持つインスタントやソーサリーも存在しました。そういった能力は、その呪文の解決時にあなたの墓地に7枚以上のカードがあるなら(その呪文自体は、まだ墓地に送られていないので数えません)、その呪文に追加効果や別の効果を付与することがあります。

果敢

 結局のところ、マジックの数多くのゲームでは戦闘で優位に立つことが重要で、数多くの戦闘が「デカいヤツが強い」という単純なルールで決着がつきます。「果敢」は、あなたのクリーチャーが頭ひとつ抜けて大きくなるための再録キーワードです。

 果敢は、あなたがクリーチャーでない呪文を唱えるたびに、その能力を持つクリーチャーがターン終了時まで+1/+1の修整を受けるという誘発型能力です。あなたが唱える呪文がどんなものであっても、クリーチャーでなければ果敢は誘発します。土地は呪文ではないので、土地をプレイしても果敢は誘発しないことに注意してください。クリーチャーであり他のタイプも持つ呪文(アーティファクト・クリーチャーなど)を唱えた場合もそれがクリーチャー・呪文であることに変わりはないので、やはり果敢の能力は誘発しません。それでも果敢能力があることで、インスタント・呪文は戦闘の場面でひときわ強力な奇襲になりうるわけです。

強襲

 まだ日の浅いプレイヤーがよくする問いのひとつに「いつ攻撃すべきなのか」というものがあります。「強襲」能力を持つクリーチャーが、この問いに答えてくれます:攻撃は、できるときにしよう。覚えておいてほしいのが、対戦相手にブロックの機会が訪れなければ、相手のミスを誘えないということです。

 たしかに、攻撃を控えてよかった場面もたまにあります。とはいえ、マジックはおおむね積極的に攻勢に出た方が報われるゲームです。強襲能力は、あなたがこのターンになんらかの攻撃を行なったかどうかを見ます。その攻撃の間に何が起こったかどうかは考慮しません。あなたのクリーチャーがそのままいくらかのダメージを対戦相手に与えたり、ブロックするために送り出された可哀想なザコどもを打ち負かすのが理想です。とはいえ、攻撃が思い通りに行かず、攻撃クリーチャーが生き残れなかったとしても、強襲能力はあなたが攻撃したものとみなします。

 『ファウンデーションズ』のセットでは、強襲能力のほとんどは《焦がし切りのゴブリン》が持っているような誘発型能力です。あなたの終了ステップの開始時に、このターンにあなたが攻撃していた場合、この能力は誘発します。このターンにあなたが攻撃していなかった場合、この能力は誘発しません。とてもシンプルですね。

プレインズウォーカー

 強大で機知に富んだ、マジックを象徴する存在。プレインズウォーカーは次元を股に掛ける物語の花形です。もしもあなたが、彼らのような素晴らしい味方を初めて目にするということであれば、ここでちょっと紹介しておきましょう。

 プレインズウォーカーは、土地以外のカードと同じように、呪文として唱えられます。各プレインズウォーカー・カードの右下には数字があります。それが忠誠度です。プレインズウォーカーは、あなたがそのプレインズウォーカーを呪文として唱えようと、あるいは他の何らかの方法で戦場に出そうと、その数値に等しい個数の忠誠カウンターが置かれた状態で戦場に出ます。プレインズウォーカーがあなたの側にいるためには、忠誠カウンターが必要です。プレインズウォーカーの上に忠誠カウンターがない場合、それは墓地に置かれます。

 プレインズウォーカーは、あなたの側に立って忠誠を示すだけではありません。それぞれが、いくつかの忠誠度能力を持っています。大抵は3つですが、それ以上の数を持つものもわずかに存在ます。あなたは自分のターン中、特にあなたのメイン・フェイズ中、あなたがソーサリーやクリーチャーを唱えられる時と同じタイミングで、これらの能力の1つを起動できます。忠誠度能力を起動するには、プレインズウォーカーに忠誠カウンターを加えるか、その上から忠誠カウンターを取り除きます。能力が忠誠カウンターを取り除くことを要求する場合、そのプレインズウォーカーの上にすべてのコストを支払えるだけの忠誠カウンターがなければならず、なければその能力を起動できません。

 たとえば、魁渡は3個の忠誠カウンターが置かれた状態で戦場に出ます。その時点ではまだ、魁渡の最後の忠誠度能力を起動することはできません。なぜならその能力を起動するには、魁渡の上から忠誠カウンターを9個取り除く必要があるからです。魁渡の1つ目の忠誠度能力を起動するには、彼の上に忠誠カウンター1個を置きます。あなたの各ターンにつき、起動できる忠誠度能力はいずれか1つであることを忘れないでください。ルール上は、自分のターンに忠誠度能力を必ずしも起動する必要はありません。しかし大抵の場合、あなたのプレインズウォーカーが長持ちするように、少なくとも忠誠カウンターを増やす能力は起動したいと思うでしょう。

 プレインズウォーカーは大変強力な存在です。対戦相手がプレインズウォーカーを操っているのだとしたら、普通、あなたはそのことを望まないはずです。幸いなことに、あなたと敵対するプレインズウォーカーを戦場から追い払うには幾つかの手段があります。プレインズウォーカーにダメージが与えられた場合、その点数に等しい数の忠誠カウンターがそこから取り除かれます。呪文や能力の中には、プレインズウォーカーを指定してダメージを与えると書かれているものがあります。また、「1つを対象とする」と書かれているものはプレインズウォーカーを対象にすることができます。

 他にも、プレインズウォーカーと戦うには……そう、戦闘です。通常、あなたは自分のクリーチャーを対戦相手にただ差し向けます。やっちまえ、といった具合に。プレインズウォーカーがいる場合、やり方が少々変わります。あなたの対戦相手がプレインズウォーカーをコントロールしているなら、あなたの攻撃クリーチャーはそれぞれ、あなたの対戦相手を攻撃することも、そのプレインズウォーカーを攻撃することもできます。両方ともやっちまえ、ですね。通常通りに、防御プレイヤーは自分のクリーチャーでブロックするか否か、どのようにブロックするかを決定します。プレインズウォーカーを攻撃しているクリーチャーのうち、ブロックされていないものは、そのプレインズウォーカーに戦闘ダメージを与えます。

 なお、プレインズウォーカーの中には、先に登場した我らが魁渡のように、忠誠度能力でない能力を持っている者がいます。それらの能力は、他のカードに書かれているときとまったく同じように機能します。魁渡の誘発型能力は、あなたの攻撃クリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えたなら誘発し、魁渡が戦場により長くいられるようにします。ただし、このことには注意してください。あなたがコントロールしているクリーチャーが、プレインズウォーカーに戦闘ダメージを与えても、その能力は誘発しません。

 最後に、プレインズウォーカーの中には魁渡のように、あなたに紋章を与えるものがあります。紋章はプレインズウォーカーの忠誠のしるしであり、あなたと思いを1つにするものです。それは統率領域にある、無色のオブジェクトです。紋章は戦場にあるわけではありませんし、アーティファクトやエンチャントどころか、パーマネントですらありません。紋章は、一度あなたが手に入れたなら、もう触れることはできません。それはゲーム終了時まで持続する能力を持っています。魁渡の紋章は、プレイヤーが呪文を唱えるかぎり、あなたの戦場を忍者で溢れ返させてくれます。


 

ダメージ割り振り順の撤廃

 いまこちらを読み進めてる経験者の皆さん、ようこそ。私たちは『ファウンデーションズ』を機に、戦闘の一部を効率的に整備することにしました。とはいえ、あなたが、マジック:ザ・ギャザリング『ファウンデーションズ』ビギナー・ボックスで戦闘について学んでいるなら、この変更は変更というほどではありません。

 では何を変えたかというと、ダメージ割り振り順という概念を撤廃したのです。

 ダメージ割り振り順とは何でしょうか?ダメージ割り振り順とは、攻撃クリーチャーが1体以上のクリーチャーによってブロックされたときに必ず用いられた概念です(何らかの手段により1体のクリーチャーが複数の攻撃クリーチャーをブロックする時にも用いられていましたが、通常は1体のクリーチャーでそのようなことはできません。したがって以下の例では、1体の攻撃クリーチャーを複数のクリーチャーでブロックする、より一般的な状況について説明します。)

 なぜ、このようにするでしょうか?ダメージ割り振り順は、それ以前のシステムを模倣するために導入されました。それ以前は戦闘ダメージはスタックに送られ、プレイヤーはそれをオブジェクトとして対応することができたのです。この処理は『基本セット2010』時のルール変更の余波を和らげるために成立した側面が少なからずあるのですが、時代に上手く適応してきたとは言いがたいものでした。あまり直感的ではなく、若干ですがルールの負担を増やす原因となっており、これを無くすことによってルールの穴を突いて利益を二重取りできてしまうような機会が減り、興味深い意思決定を行なう機会が増えます。私たちは、何年も前にスタック上にダメージを置くのを廃止したときと共通している数多くの理由から、ダメージ割り振り順を撤廃することにしました。ダメージ割り振り順は、1体の攻撃クリーチャーが複数のブロック・クリーチャーに対するとき(あるいはその逆)の状況でのみ現れるため、あまり注目されることはありませんでした。

 これまでは、攻撃クリーチャーが複数のクリーチャーによってブロックされた場合、攻撃側のプレイヤーが、ブロック側のクリーチャーの順番を、望むように決めていました。戦闘ダメージ・ステップにおいて攻撃クリーチャーは、自分をブロックしているクリーチャーに対し戦闘ダメージを割り振るには、それより順番が前のすべてのクリーチャーに致死ダメージを割り振っていなければなりません。ダメージの割り振りはブロック・クリーチャーが宣言された直後、戦闘ダメージが割り振られて適用される前に起こります。

 たとえば、私が5/5のクリーチャーで攻撃し、あなたが3/3と4/4のクリーチャーでブロックしたなら、私はあなたのクリーチャーがブロックする順番を、どちらを前にするか考えることになります。3/3のクリーチャーが先にブロックするとしましょう。私は本当にそのクリーチャーを始末したいのです。あなたは自分の2体のクリーチャーのうち1体を救うことができる呪文、たとえば《巨大化》を1つ持っています。ブロックする順番が決まった後、3/3のクリーチャーが先になったので、あなたはその3/3のクリーチャーに《巨大化》を唱えます。戦闘ダメージ・ステップにおいて、私が4/4のクリーチャーになんとか戦闘ダメージを割り振るには、今や6/6になった3/3のクリーチャーに少なくとも6点のダメージを割り振らなければなりません。ですが、私が割り振れるダメージは5点のみです。一言で言うと、私のクリーチャーは破滅を迎えます。

 ではここでルールを変更しましょう。ダメージ割り振り順のルールは、もう存在しません。戦闘において、とあるクリーチャーが複数の敵に対峙する場合、そのクリーチャーの戦闘ダメージは、戦闘ダメージ・ステップの間に、そのクリーチャーのコントローラーが望むように割り振り、適用されます。あなた以外のプレイヤーは、何が起こるのか知るよしもありません。

 新しいルールのもとで、先ほどの例を改めてみてみましょう。私の5/5の攻撃クリーチャーがあなたの3/3と4/4のクリーチャーにブロックされました。ここで、ブロック・クリーチャー指定ステップです。ブロック・クリーチャーを宣言した後が、戦闘ダメージが与えられる前に手を打つための最後の機会になります。主導権が私からあなたに移ります。あなたの手札には《巨大化》があります。あなたはまだ、クリーチャーのどちらかを選んで救うことができるのです。あなたは3/3のクリーチャーの方を救いたいと考えたことにしましょう。おそらく私がそのクリーチャーを除去したいのと同じ理由です。そこで、あなたはそのクリーチャーを6/6に強化します。かくして私たちは戦闘ダメージを適用する番になります。私は今や自分のクリーチャーの5点のダメージを望むように割り振ります。大方の場合、私ができる残された最善の行動は、あなたの4/4のクリーチャーを除去することでしょう。ですが、なにか私に考えがあって……6/6に3点のダメージ、4/4に2点のダメージを与えるかもしれません。それもまた可能なのです。

 「2体でブロック」あるいは「すべてのクリーチャーでブロック」という能力は多くの戦闘において防御プレイヤーに大きな力を与えていますが、この変更によりパワーバランスの幾分かは攻撃プレイヤーに戻るのです。上の例で示したとおり、防御側が何もできないわけではなく、《巨大化》などの戦闘における技は、変わらず価値があります。「戦闘から自由に抜け出せるカード」ではなくなったというだけです。そして何よりこの変更は、複雑で、過去にやや縛られがちだった一部のルールを、シンプルかつ合理的にしてくれるのです。ダメージ割り振り順はすべてのゲームで問題になるというわけではありませんでしたが、私たちはそのルールなしで一年以上プレイしており、そしてその結果に満足しています。皆さんにもきっと受け入れてもらえると思っています。


 マジック:ザ・ギャザリング『ファウンデーション』はマジックの輝かしい歴史に思いを馳せるとともに、光り輝く未来へ導くためのセットです。ぜひともプレビュー全体に目を通して、お気に入りのカードを新しく見つけてみてください。マジック:ザ・ギャザリング『ファウンデーションズ』は2024年11月15日発売です。このセットは現在、お近くのゲーム店Amazon、その他マジックを取り扱う場所で予約受付中です。

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