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『ダスクモーン:戦慄の館』の伝説たち

Emily Teng
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2024年9月19日

 

 ダスクモーンの世界にあえて飛び込んだことがある者はおそらく、この館の住民に遭遇していることだろう――冷酷な生存者から、多元宇宙の薄暗いヴェールを通り抜けて訪れた怪物まで、様々な住民に。『ダスクモーン:戦慄の館』を探索するにあたって、生きた悪夢やアンデッドの混合体、そしてわずかに残る希望の光との対峙に備えよう。

 『ダスクモーン:戦慄の館』各種製品は現在予約受付中だ。プレイ・ブースター、コレクター・ブースター、統率者デッキなどはすべてお近くのゲーム店Amazonなどのオンライン小売店、マジック:ザ・ギャザリングの製品を扱う販売店にて入手できる。

 『ダスクモーン:戦慄の館』のストーリーは、ナシの救出に焦点を当てたメインストーリーと、館のその他部分を紹介するサイドストーリーとしてすべて公開されている。それらのストーリーはこのサイト上で読むか、The Magic Story Podcastで聞くことができる(英語のみ)。どれを選ぶかによらず、ダスクモーンへの最初の一歩は慎重に踏み出すことだ。なぜなら、そこから出られなくなるかもしれないから。

 ダスクモーンの書庫から、この次元のさまざまな伝説に関する情報が送信されてきた。残留する呪いをすべて(あるいは少なくとも、ほとんど)除去した後、この真新しい次元で起こっていることを知ってもらうために、そのデータをここに集めた。


『ダスクモーン:戦慄の館』の伝説たち

けだものの友、トビー

 トビーは他人と一緒にいると落ち着かなかった。彼はいつも、安全な生存者キャンプの外に引かれていると感じていた。明らかに危険であるにもかかわらず、いつもひとりで抜け出そうとしていた。ある日、ついに彼は誰にも気づかれずにこっそり抜け出してさまよい続け、やがてその呼び声の源を見つけた――それは一体のけだものだった。トビーは生まれて初めて、ここにいてもいいと感じた。奇妙で言葉を喋らないこの生き物たちの中で、彼は他の人間に囲まれていた時よりも安らぎを感じた。彼は元の生存者グループには戻らず、けだものたちの中で暮らすことを選んだ。トビーはけだものたちを本能的に理解しており、彼らが切望するあらゆる愛情と気遣いを与えている。けだものたちはそれに応え、比類なき警戒心と激しさで彼を守っている。

精神刮ぎ

 精神刮ぎは剃刀族の恐怖そのものだ。ヴァルガヴォスの神格化以前から存在していた恐怖ではなく、館そのものの内部から生まれ出た最初のナイトメアである。犠牲者をただ貪り食う他のナイトメアとは異なり、精神刮ぎの狩猟戦術はもっと陰険だ。犠牲者にしがみつくとこれは逃げる機会を一切与えず、対象の記憶をひとつずつ切り取っていく。そして標のように輝く、すべてを包み込む恐怖だけが残るのだ。精神刮ぎから身を守る唯一の方法は、光霊を傍に置くことである。これによって記憶が切り取られるのを防ぐことができるが、既に失われた記憶を復元することはできない。

恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス

 デーモンのヴァルガヴォスは残酷で巨大であり、恐怖を切望してやまない。彼は遥か昔にこの次元のデーモンが棲む領域から、これまで来たことのない定命の領域に召喚された。そして貪欲に、可能な限り多くを貪り食おうとした――だが貪欲すぎた。召喚者たちは自分たちが呼び出したものがいかなる存在であるかをすぐに悟り、ヴァルガヴォスを追放しようとした。彼は追放に抵抗できるほどの力を持っていたものの、領域間の障壁を無理やり通り抜けたために弱体化してしまった。召喚者たちは、召喚を行った家の構造にヴァルガヴォスを拘束し、地下室の下に埋めることでかろうじて彼を無力化した。そしてこのデーモンが逃げ出さないように警戒を続けることを誓った。だが時が経ち、最初の召喚者たちが全員亡くなると、その家は他の所有者たちの手に渡った。その間ずっと、ヴァルガヴォスは誰かがやって来て束縛を解いてくれるのを待っていた――苦しむ、何も知らないマリーナ・ヴェンドレルのような誰かが。

逃げ足速い生存主義者、ノリン

 自分がここにいるのはおかしい、ノリンは誰が相手でも真っ先にそう告げる人物である。ドミナリアの時間的危機の時代に生きていた彼は時の裂け目に巻き込まれ、体感として少なくとも三日間ほどさまよった。彼はついに未来のドミナリアへの道を見つけたが、開いた扉を通り抜けて辿り着いた先は……ダスクモーンだった。ノリンの最終的な目標は、ここから脱出して故郷に帰る道を見つけることである。今のところは、鋭い自衛本能と危険に対する強い嗅覚で彼は生き延びている。

三度呼ばれ、アルタナク

 アルタナクは人間と昆虫の融合体である。館の拡大の初期に、ヴァルガヴォスが自身の力を増大させる実験として作り出したのだ。アルタナクという名前はその作成中に発せられた音に由来しており、それはヴァルガヴォスを殺すための呪文を唱えようとしたものだったと考える生存者もいる。そのため、アルタナクの名前の音節を出発点としてその呪文を再現しようとする者が沢山いる。だが問題は、アルタナクがその名前の音に苦しめられということ――名前を聞くと、ヴァルガヴォスの手で経験した苦痛を思い出すのである。残酷な運命の悪戯から、アルタナクはダスクモーンのどの存在よりも聴覚が鋭く、囁き声で名前を言われても聞き取ることができる。その名前を口にした生存者はしばしば、自らの起源についての痛ましい記憶を必死に抑えようとするアルタナクに狩り立てられて殺される。

救助のけだもの、コーナ

 友好的で信頼でき、非常に賢いコーナはけだものの中でも特異な存在であり、個々の生存者との特別な繋がりを持たない。むしろ、コーナはできるだけ多くの生存者グループの間で時間を割くことを好むのだ。彼女は生存者よりも自由に館の中を移動できるため、複数のグループ間で伝言や物資を運ぶのを手伝い、各グループが生き残るために必要なリソースを入手できる可能性を高める。コーナの仮面は、彼女が選んだ生存者グループの一員が所有していた貴重なおもちゃから作られており、コーナ自身と彼女の保護下にある他の全員への合図として機能している。

猛打者、タイヴァー

 カルドハイム次元、スケムファーの王子であるタイヴァーは献身的で自慢好きだ。栄光と、自身の物語が古の英雄譚と並んで語り継がれることを夢見ている。ファイレクシアの侵略後に灯を失ったにもかかわらず、彼はその夢の栄光に向かって順調に突き進んでいる。タイヴァーは心優しき英雄であり、古き良き喧嘩をこよなく愛している。そのような資質を持つため、魁渡は彼を館への任務へと誘った。タイヴァーが提供するのは、チームメンバーのその他の強みを補うために必要な力だ。

見捨てられた人形、アラベラ

 磁器でできたアラベラの外見は偽りだ。その裏には、生存者に対する深い憎しみと燃えるような復讐心が隠されている。初めて動き出した時、彼女は他のほとんどのおもちゃとは異なり、血に飢えてはいなかった。それどころか、ただちに持ち主へと愛情を抱いた。だがアラベラの持ち主は恐怖し、彼女の身体を粉砕してボイラービルジの炉に落とすことで破壊を試みたのである。アラベラは破壊を免れたが、ひどく損傷してしまった。彼女はすぐに自分がひとりではないことに気付いた――ボイラービルジには他にもおもちゃや人形が溢れており、皆怯えた持ち主によって同じように傷つけられ、かつて愛していた者への復讐に飢えているのだった。アラベラの指揮のもと、彼らは今や捕食者の群れのように館の廊下を歩き回り、遭遇した生存者を容赦なく切り刻んでは殺害している。

ヴァルガヴォスの執事長、ヴィクター

 ヴァルガヴォスの教団の指導者は、すべてを貪る父の初子としても知られている。その厳格で父親じみた雰囲気の裏には、ぞっとするような空虚と完全な自己の欠如が隠れている。彼は門閾の儀式を三十回以上も受けており、この数は館の記憶にある誰よりも多い。ヴィクターであった男が今なお存在しているのか、それとも完全に自意識を消し去られ、ヴァルガヴォスの命令を実行するだけの心なき抜け殻に成り果ててしまったのかはわかっていない。彼はすべてを貪る父と直接の意志疎通を行い、ヴァルガヴォスの囁きを教団に対する指示へと解釈する唯一の人物である。また、ヴァルガヴォスの住処があるビロウへの入り口の場所を知る唯一の人物でもある。

闇の中の研究者、ナシ

 神河次元出身のナシは反抗的な十代の鼠人であり、亡くなったプレインズウォーカー、タミヨウの養子でもある。彼は母親の遺志を受け継ぐため、領界路を用いて次元から次元へと放浪しながら、多元宇宙を旅して物語を集めている。ナシは母親の死について悩み、怒り、そして悲しんでいる――その悲しみは、ファイレクシア化される以前のタミヨウが魔法的に記録された巻物を持ち歩いているという事実によって深まるばかりだ。現在のナシは他の家族とは距離を置いているが、勢団との関わりを通して故郷との繋がりを保っている。彼らはナシの旅について尋ねるが、家族については何も尋ねない。それはまさにナシが今望んでいることなのだ。ナシは今でも魁渡を兄のような存在だと思っているが、放浪者に対しては複雑な感情を抱いている。母の死に対して憤らずにはいられないためだ。

群れの巣人

 とあるエルフの斥候がホーントウッドを旅していた時、誤って屍蜂の巣を乱してしまった。屍蜂は皮膚をかじってその中へと潜り、筋肉組織に巣を作り、餌を食べながら生きた巣として宿主を維持する肉食の蜂である。そのエルフは逃げようとしたが手遅れだった――屍蜂は既に彼の身体に潜り込んでいたのである。痛みから逃れようと自暴自棄になったそのエルフは、一番近くにいた木人の手を掴んだ。変身すれば屍蜂の影響を受けないと考えたのだ。しかし、変身しても感覚は失われなかった。蜂はまだ身体の中にいる。現在、群れの巣人として知られる木人は館の中を歩き回り、屍蜂の群れが巣を作るための他の生存者を探している。それにより、絶え間ない蜂の横行から一時ではあるが解放されるのだ。

陽気な風船師

 陽気な風船師は、自分自身をひとりの芸術家とみなしている。犠牲者の顔を傷つけることなく頭皮を剥ぎ取り、殺害の記念品として永遠に残る風船を作るために必要な時間と手間をかける。そんなことが芸術家以外にできるだろうか(あるいは、やろうと思うだろうか)? 剃刀迷路の比類なき雰囲気を高めるために風船を配置するという真の芸術性を理解する者が他にいるだろうか? 彼はかつて、とある生存者グループを一気に全滅させようとした際、減少しつつある者たちが必ず見つけるであろう場所に、これまでの犠牲者の頭でできた風船を置いた。これによって死が迫る期待を高めてやったのである。彼がこれまでに作り上げた、最高の作品だ。

落とし子狩り、リップ

 寡黙で孤独なリップは単独行動を好み、怪物の頭を殴り倒している時が一番幸せだという熟練の怪物狩人である。ほとんどすべての生存者グループに、ほぼ確実な死をリップによって救われたという者や、リップが怪物の群れを一掃し、食料や物資を補充して新たに確保した安全地帯に偶然出くわしたという者が少なくともひとりはいる。かつてリップは、館の怪物を殺害することに専念する生存者の小集団であるドアブレードの一員だった。だが友情が深まるにつれて本能が鈍り、狩人としての能力が低下していることに気付いてドアブレードを離れた。彼女は生存者たちの間でしばしば「館の救世主」と呼ばれている。だが自分自身がその呼び名を知ったなら非常にきまり悪く、居心地悪く感じることだろう。

マリーナ・ヴェンドレル

 ヴェンドレル家の最後の生き残りであるマリーナ・ヴェンドレルは、歪んだ非現実の泡の中で生きている。彼女が行く所で館は変化し、現在の恐ろしい環境ではなく普通の世界しか見えないようになっているのだ。恥ずかしがりで本好きで真面目なマリーナは、館の廊下を歩き回ったり、図書室の古い書物を読んだり、花の咲く野原を散歩したりして日々を過ごしている。マリーナの存在は館の怪物を撃退し、彼女が部屋を出た後もその効果はしばらく残る――通常は、他の生存者が息を整えて短い休憩を取るのに十分な時間だ。マリーナはヴァルガヴォスを倒すことができる唯一の人物だと信じる者もいるが、誰も彼女に館の本当の姿を見せようとはしない。マリーナを不安にさせたなら、館底種の群れが彼女の居場所に集まり、館の本当の姿を彼女が知らないままでいられるように付近にいる他の全員を殺してしまうためだ。唯一の希望は、いつか彼女が自力で正気を取り戻し、デーモンと決着をつけることである。

放浪する救い手

 放浪者は神河の皇であり、その名は最も親しい仲間にさえも明かされていない。彼女はファイレクシア侵略の余波で灯を失い、以前よりもずっとゆっくりと旅をする機会を得た。そのため助言者である軽脚に統治を任せ、改めて故郷の次元を見て回っている。かつて灯が不安定であった名残で、他の誰にもない感覚で次元エネルギーを感知することができる。ナシが行方不明になったと聞いた時、彼女は罪悪感と義務感からその救出に向かうと決意した。

すべてを疑う者、ジモーン

 ストリクスヘイヴン、クアンドリクス大学の大学院生であるジモーンは天才的な理論魔術師にして才能溢れる数学者であり、魔法物理学への比類なき理解を誇っている。ヴォルザーニの推論に精通しているため、非プレインズウォーカーとしては誰も敵わないほどに多元宇宙の構造を理解している。ファイレクシアの侵略後、ジモーンは研究の焦点を様々な次元の科学の解明へと移した。彼女はとある独立した研究調査のためにラヴニカに滞在していたところをナシの救出任務に参加した。至る所に現れる奇妙な扉という興味深い現象についてさらに研究し、論文のデータを集めるためだ。

厭世的案内者、ウィンター

 辛辣で冷笑的で皮肉屋のウィンターは、館の壁の中に閉じ込められてから十年以上になる。その間ずっと、自分の知性だけを頼って生き延びてきた。彼の最優先事項は自分自身の生存である。他者の生命であっても、それが自分の生死を分けるのであれば躊躇することなく危険にさらす。ウィンターは苦労して得た館の知識を喜んで誰にでも提供するが、そのためには代価が必要だ。命も忠誠心もすべて売買可能であり、最終的に自分の利益になる限り、ウィンターは誰とでも(何とでも)取引をするつもりである。この無節操さが原因で彼は過去に複数の生存者グループから追い出され、自力で生き延びなければならなくなった。辛口で皮肉的なユーモアのセンスが彼の意図を隠し、味方になりそうな相手を都合のよい距離に保っている。

希望の光、ニコ

 テーロス生まれのニコは冒険家で元プレインズウォーカー、敵を魔法のガラスの破片に捕える能力を持っている。かつて無敗の運動選手になるという予言を受けていたが、その運命から逃れて自らの道を切り開くためにテーロスからカルドハイムへと渡った。元プレインズウォーカーの中でもニコは、灯を喪失したことを最も葛藤している人物である。そして次元間の移動のために突如領界路に頼らざるを得なくなったことで、誰よりも制約を感じている。

殺人人形、マーヴィン

 血に飢えた気まぐれな瞬間に、とある剃刀族が死んだ腹話術師の人形を拾い上げ、それを用いて生存者を脅かそうとした。だがその時、人形は動き出して剃刀族はひどい驚きを味わった――人形に眠っていた生命の種が、その剃刀族の無意識の助力で目覚めたのである。目覚めた腹話術師が最初にしたことは、振り返って剃刀族のマチェーテを掴み、その剃刀族をバラバラに切り刻むことだった。マーヴィンは、生物の身体の一部を自身の内に取り込むことで、その生物の性格や技術を吸収することができる。この能力が最も顕著に表れているのが歯だ――剃刀族、生存者、狂信者などから一本ずつ集められた歯が揃っている。マーヴィンは、命を吹き込んでくれた剃刀族から取った最初の歯に特別な愛着を持っている。その最終的な目標は、かのヴァルガヴォスを含む館内のすべての存在を「味わう」ことだ。

悪夢滅ぼし、魁渡

 熟達の忍者であり、放浪者の生涯の仲間である魁渡は、いかなる犠牲を払おうとも愛する者たちを守ることに専心している。ナシが失踪する以前、魁渡は彼にとって兄のような存在だった。そのため魁渡はナシの追跡に全力を注いでいる。魁渡はファイレクシアの侵略後も灯を保っている数少ないプレインズウォーカーのひとりであるため、仲間との関係は複雑だ。

『ダスクモーン:戦慄の館 統率者デッキ』の伝説たち

覆いを貫く者、アミナトゥ

 運命、運勢、予言、宿命。これらはすべて若く強大なアミナトゥが予見し、手に取り、遊んできたものだ。アミナトゥの灯は幼い頃に点火し、彼女は故郷を離れて多元宇宙を旅した。それはすべて、運命を変える力を用いてただそうしたかったからに過ぎない。子供であるにもかかわらず、アミナトゥの力は彼女に一生分の知識と、次に起こる出来事を知っていることによる穏やかな物腰を与えた。アミナトゥは次元を越えて感じる混乱と変化を追い、運命を変える蛾を他の人々に送り、彼らの運命に影響を与える。

堕落した記憶、キアン

 ストリクスヘイヴン、クアンドリクス大学の元学部長キアン。ジモーンが最後に見た彼女は、ファイレクシアの侵略者たちの手にかかって死んだ。ではキアンはどうしてここに、ダスクモーンにいるのだろうか? それともこれはキアンの記憶が、館の超常的能力によって形を与えられただけなのだろうか? だがそうだとしたら、なぜこの記憶はこんなにも間違っているように思えるのだろうか? この偽者が教授であるはずがないとジモーンはわかっていたが、本当のキアンがどんな人だったかを思い出そうとすればするほど、自分がよく知るキアンはこの歪んで残酷な人物とは程遠いという確信が薄れていくのだった。

軋む巣、引き裂き口

 引き裂き口と呼ばれる木人は、ひとりの人物からではなく、とある儀式円の参加者たち全員から作られた。彼らは木人への変身による望ましくない副作用を最小限に抑えるために、元の呪文に手を加えたのである。その結果、参加者たちの肉体から木が生え、それらがより合わさって、儀式の参加者たちを枝と生物からなる単一の存在へと結び付けた。やがてそれは、館の影響で生きた肉を渇望するようになったカラスの群れを引き寄せた。引き裂き口の身体に縛られた人間を食べることで木人とカラスの群れとの間に精神的な絆が生まれ、互いは切っても切れない関係となった。

鍵の主
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鍵の主

 鍵の主は館底種の一体であり、館の扉を操る特殊な力を保持している――隣接する部屋だけでなく、繋がっていない部屋の境界としても扉を使用できるのだ。その能力は他の生物がくぐる扉にも適用することができる。他の館底種が獲物を追跡するのを助けたり、生存者を部屋また部屋の脱出不可能な無限ループに閉じ込めたりするのだ。鍵の主は実際には館に住んでいるのではなく、部屋の間の境界にのみ存在する知覚不能の空間に住んでいると考える者もいる。そして扉をくぐるたびに、鍵の主の注意を引く危険があるのだと。

苦痛の王

 苦痛の王は元生存者にして、新たな痛覚の発見に身を捧げた最初の剃刀族である。遠い昔、彼は増大を続ける苦痛を求めて一体の館底種を捕まえ、その精髄を抽出して自分自身に注入した。純粋な恐怖を自身に注入することで、誰も感じたことのない苦痛を得られると期待したのである。だがそれによって彼の精神は身体からもぎ取られ、館に並ぶスクリーンへと投げつけられた。スクリーンの一枚にはとある生存者の苦痛に満ちた死が映し出されていた。それを見つめる苦痛の王は、痛みと苦悶の一瞬一瞬をまるで初めて経験するかのように感じると気付いた。その瞬間から彼は喜んで定命の肉体を捨て、館のスクリーンの中だけを住処とし、見つけることのできる拷問のあらゆる瞬間を観察しては味わっている。剃刀迷路のどこかに、彼の身体が隠されている部屋がある。もしそれを見つけて破壊することができれば、苦痛の王は死を迎えるだろうと多くの生存者が信じている。苦痛の王自身はこの噂を積極的に広めている。より多くの生存者が喜んで剃刀迷路に入ることを意味するためだ――そこでは、剃刀族の群れが切望しながら待ち構えている。


 君は館について多くを学び、館も君について多くを学んだ。9月27日に発売されるセット『ダスクモーン:戦慄の館』には更に多くの発見がある。プレイ・ブースター、コレクター・ブースター、統率者デッキなどはお近くのゲーム店Amazonなどのオンライン小売店、その他マジック:ザ・ギャザリングの製品を扱う販売店にて予約注文できる。

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