2023年4月13日

 

　多元宇宙は学んでいる。ファイレクシアの猛攻をしのぐ、ましてや戦線を維持するには協力が唯一の方法であると。これらのチームワークはどれだけありえないような同盟であっても強力な力を発揮できることを証明しているのだ！

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《デジェルとハゾレト》

　襲い来る侵略の警告により、アモンケットの生存者たちはファイレクシア人に気づかれないように身を隠したが、結局は無駄なことだった。しかしながら、《ニコル・ボーラス》の次元破壊を生き延びた人々はタフであり機知に富んでいた。自分たちのすべきことを知るや否や、守護神ハゾレトとその忠実な副官デジェルを中心として物騒な作戦で反撃に出た。

　驚くべきことに、彼らがナクタムンに到着した時には、《スカラベの神》と《蝗の神》がすでに侵略者と交戦していた。虫の神たちの不死の軍団がファイレクシア人たちを引きつけている間に、ハゾレトは炎の槍でファイレクシア人の血管のぎらつく油に点火した。彼らが苦痛にもがき苦しむ中、デジェルは精鋭の戦士の集団を率い、ファイレクシア人たちを引き裂き、永遠に消えることを確認した。その後、表情のない虫の神々は無言で砂漠の奥地へと旅立っていった。

《ドラーナとリンヴァーラ》

　ゼンディカーへの侵攻の最中、まったくの偶然により吸血鬼の血の長であるドラーナと天使リンヴァーラは同じ空で戦うことになった。戦闘中の偶然の出会いにより、驚くべきことが分かった。つまり、血の長の魔法と天使の力はお互いに驚くほどお互いを補完しあい、ふたりが力を合わせれば各個よりも大きな損害を与えることができた。戦い合っているうちに互いの憎悪と嫌悪は、互いの力と技に対する一種の尊敬や感謝へと変化していった。

《バラルとカーリ・ゼヴ》

　かつての領事府員であるバラルが収容されていた監獄がファイレクシアの攻撃によって被害を受けた時、彼はすぐさま逃げ出した。自由になった喜びもつかの間、彼はファイレクシアの徒党と対面したのだ。

　悪名高い空賊の船長、カーリ・ゼヴがタイミングよく介入していなければ、彼は死んでいたことだろう。カーリ・ゼヴが自分が助けたのが誰なのかを正確に把握すると、彼女はバラルに選択肢をふたつ与えた。すなわち、彼女の戦いに協力するか、船外に投げ出されるか、だ。

　当面の間、ふたりは同盟を結んでいるが、カーリは一等航海士であるラガバンにバラルが裏切る兆候がないか監視するよう命じた。二人が生き残れば、再び敵味方になることは承知している。

《ヤーグルとムルタニ》

　悪魔のごとき蛙の精霊であるヤーグルは、最初にファイレクシア人たちが彼に向かって突進するのを見て、喜びにあふれた。「こんなにもたくさんの食べ物が、全部食べられたがっている」と。しかし、彼は気づいていなかったのだ。食べれば食べるほど彼は危険なウイルス性のぎらつく油にさらされるということを。しかし、それに気づいたものがいた。マローの魔術師ムルタニの娘、アーボーグの精霊ムルドローサだ。

　ヤーグルが陥っている危機を察知した彼女は父に助力を乞うた。ムルドローサはなんとか彼を説得し、ムルタニは彼の力と既にあるファイレクシアについての知識を使ってぎらつく油への耐性を高め、自身をヤーグルへと結合した。ムルタニは当初は渋々であったが、ヤーグルのあくなき食欲に感銘を受け、アーボーグがもたらした奇策に改めて感謝することになった。

《インガとエシカ》

　１年前、神であるエシカは《世界樹》の精髄を盗んだファイレクシアの侵略者の攻撃からかろうじて生還した。そして時は今に至り、その盗まれた精髄によって成長したファイレクシアの侵略樹が星界を突き破りカルドハイムに侵入してきた。

　この堕落した樹の侵入はエシカを混乱させ、星界の感覚を失わせるに至り、航行することができなくなった。これは致命的だった。というのもファイレクシア人との戦いに巻き込まれた他の神々は彼女の《星界の霊薬》に力を借り堕落から身を防いでいたからだ。

　エシカの解決策は、彼女を助けれくれるであろうと信頼している一人の定命に手を借りることだった。すなわち、領界路探しの一族の指導者《ルーン目のインガ》だ。彼女の特別な予見の能力により、インガは星界の中の《エシカの戦車》の安全な道筋を描き、神を彼女が最も必要とされる場所に送り届ける。

《エラントとジアーダ》

　ジアーダが聖なる光の波に変身すると、彼女はニューカペナの天使たちの覚醒を促した。数週間後、アトラクサの軍勢がニューカペナの街を制圧すべく脅かすと、レジスタンスの戦士たちは背水の策を立てた。すなわち、高街を倒壊させ、アトラクサを潰してしまうという作戦だ。

　計画の要となったのが路上芸術家のエラントであり、摩天楼を破壊するための爆薬の設置を任されていた。彼女は、今や完全な天使となったジアーダに見守られていることを知らない。この計画が成功すれば、ニューカペナの復活した天使たちが多元宇宙の戦いの流れを変えるチャンスを手にすることができる。

　ジアーダはエラントに自身の存在を感知されることはなかったが、常に彼女とともにあった。彼女の光素カートリッジに特別な力を与え、最悪の被害から守っていた。そして、高街が倒壊した時、彼女の姉妹の一人がエラントを転落死から救うようにしたのはジアーダだった。

《コグラとイダーロ》

　怒り狂った巨大猿と棘を背負った巨大亀が合わさると何ができる？串刺しになった巨大なファイレクシア人だ！コグラは夢中になって活発に作戦を実行していたが、イダーロがファイレクシア人用の穴開け器として使われていたと自覚していたかどうかは定かではない。だが少なくとも、時たま戦っている最中に大きな衝撃があったことには気づいていた。幸運なことに、彼が獰猛にファイレクシア人を嚙み殺す邪魔にはならなかったのだが。

《ガルタとマーブレン》

　イクサランを侵略するファイレクシア人を待ち伏せするために太陽帝国に召喚された古の恐竜、ガルタは残るファイレクシア人の集団の中で暴れまわった。機を見て、マーブレン・フェインは軍団員にエルダー・恐竜の後を追うよう命じた。なんとかガルタの大暴れから逃れ生き延びたファイレクシア人は、悪辣な吸血鬼の征服者たちに襲われることになった。死傷者は多数に上ったが、ガルタが生み出した混乱に乗じて、マーブレンは侵略者たちに深刻な損害を与えることができた。

《ランクルとトーブラン》

　トーブランとランクルの永遠の友情と絆は、トーブランがランクルを《改宗獣》から救った時に始まった。それはトーブランがある計画と彼の任務を打ち明けると、より一層深まった。そしてランクルは、果敢にもファイレクシア人を全滅させるための計画に必要なトーブランの魔法の願いの指輪を奪ったのだ。

　悲惨なことに、この悲運な友情はランクルが気高く自らを犠牲にすることで終わりを告げた。願いの指輪に残された最後の願いを使って、ファイレクシア人を巨大な裂け目の中へとおびき寄せ、永遠の眠りにつかせたのだ。トーブランは、死んでしまった友人を一生悼むことだろう。

《碑出告と開璃》

　精霊龍の中で最も冷静で現実的な開璃は、神河が生き残るためには望ましくない場所からもたらされるものであっても、あらゆる助けが必要であることを理解していた。それが精霊界に幽閉されている、とある悪魔であったとしても。

　碑出告は彼の牢獄を破った者が、他でもないかつて自身が殺した龍の生まれ変わりその者だと知って驚いた。開璃の助力の要求を面白がり、大暴れできるいい機会だと喜んだ碑出告は、龍とともに戦うことを承諾した。

　開璃は今もなお先の転生体が死んだときの記憶を鮮明に持ち続けており、当面は同じ陣営につく碑出告だが、不要になればすぐに機に乗じて再び彼を監禁するつもりだ。

《腹音鳴らしとフブルスプ》

　ラヴニカへの侵攻が始まった時、ホムンクルスのフブルスプが最初取った行動は逃走だった……そして、なぜかまさに侵攻の最前線で、ファイレクシア化したゴルガリの大群と対面することになった。

　幸運なことに、彼は近くでファイレクシア人を殴り倒していた《腹音鳴らし》に助けられた。サイクロプスの盛んな闘志に触発されて、フブルスプはとどまり支援することを決めた。何であれ脅威が近づくたびに怯えて泣きわめき、腹音鳴らしは耳に届く小さな声が叫んでいる者が何であれ、そちらを向いて叩き潰すことで報いた。このふたりはあらゆる角度からの攻撃をカバーすることができ、ラヴニカの防衛において、誰にも止められないふたり組になる。

《ジモーンとダイナ》

　ジモーンとダイナは以前から友人ではあったが大学間のプロジェクトで協力したことはなかった……今この時までは。絶体絶命のプレッシャーの中で、お互いの魔法をかけ合わせ、クアンドリクスの数学とウィザーブルームの生物学が交わることで、これまでに見たことがない分野の垣根を超えた新しい魔法が生まれることに喜びを見出した。ジモーンが数学的定理を駆使しダイナの植物成育を促進することで、ふたりが別々である場合と比べて指数関数的に大量の損害を与えることができるようになった。

《サリアとギトラグの怪物》

　《ギトラグの怪物》にとって人生は素晴らしいものだった。カルト信者たちが食糧を運んできたり、食糧になったりした。すべてが美味であり満ち足りていた。奇妙な機械が湖にやってくるまでは。機械は酷い味がして、自分を傷つけようとした。

　動き出す時が来たことを知り、ギトラグの怪物は自らの体を持ち上げ水の外に出ると、まっすぐスレイベンへと向かい、そこでファイレクシア人に圧倒されそうになっていた聖戦士部隊最後の生き残りであるサリアを見つけた。ギトラグの怪物は、食糧を運んでくる新たな人間である可能性を見出し、彼女を囲む包囲網を打ち破り彼女を救った。

　そして、それは立ったまま待ち、サリアは理解した。つまり、自分に乗れという提案だったのだ。彼女はその通りにし、その背中から壊滅的な打撃を与え、舌で掴んだ敵を粉砕する。サリアはギトラグの怪物が自分をどこに連れていくかを制御しておらず、安定した侵略者の供給が尽きた場合、彼女自身が次の食事になるかもしれないと警戒し続けている。

《クロクサとクノロス》

　テーロスへの侵略が完全なる完成化に近づくと、侵攻樹の枝は死の国にまでに突き刺さった。ファイレクシア人の軍団はその中を進軍し、触れたもの全てを完成化していった……《死の飢えのタイタン、クロクサ》に遭遇するまでは。ファイレクシア人を徹底的に食らいつくし、痕跡すら残さなかった。ぎらつく油でさえもだ。これを見たエイスリオスはクロクサの鎖を切り、死の国の中で解放した。このタイタンが定命の者が住まう世界に逃げ出さないよう、エイスリオスはクノロスに管理を命じた。クノロスは仮釈放されたクロクサをエイスリオスが望む道に沿って誘導する。ファイレクシア人に最大限の被害を与え、それ以外のものへの被害を最小化するように。

《ズルゴとオジュタイ》

　生きている間ドラゴンに苦悩させられ続けたズルゴだったが、タルキールを守るならば龍とそうでないものたちが互いに協力し助け合わなければ生き残ることができないということを最初に理解した者だった。苦渋とプライドを飲み込み、最も理性的に話を聞いてくれそうな一匹の龍王へ接近した。オジュタイだ。侵略者によってドラゴンの数が減少する中、オジュタイはそれに同意した。

　龍王と軽蔑されたのけ者の協力は模範となり、すぐに他の者たちが追従し、龍と彼らの末裔の前例のない協力関係となった。

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