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翻訳記事その他
『イニストラード:真夜中の狩り』の伝説たち 新規編
2021年9月16日
今年の収穫祭はワイルドだ! 祝祭にはとてもたくさんの新顔がやって来ている――いくらかの紹介をしよう。
輝かしい聖戦士、エーデリン
エーデリンは卓絶した戦術家であり、戦場においてはとても手強い兵力だ。大患期の間、聖戦士部隊の指揮官として彼女が選ばれたことは驚くに値しない。だがエムラクールとの戦いを始めるに際し、彼女は家族を残して行かねばならなかった。その混乱に乗じて、ある吸血鬼の一家が数人の街人を誘拐した――その中にはエーデリンの弟もいた。
エムラクールが封じられると、すぐにエーデリンは吸血鬼たちに対する個人的な聖戦を開始した。彼女は必死に弟の消息を案じているが、遭遇した吸血鬼をひとり残らず殺害することにいくらかの安堵を覚えている。
溺神の信奉者、リーア
『波の奥底の迷える神々が、眠りから目を覚まそうとしている。』
リーアは古の海と嵐の神を崇拝する教団の、邪悪で強大な高司祭だ。数十年前に流城家のルノが秘密裏に設立したこの教団には、これまでリーア以上に熱心な司祭はいなかった。地表は恐怖に満ちており、人類が生きる場所ではないと彼は教えている。彼いわく、その神々が帰還したなら海は地表を手に入れ、相応しい者は海底の楽園に招かれるであろうと。こういった主張の裏付けは今のところ存在していない。
墓甲羅、ゴーレックス
ネファリアにおけるグール呼びの第一人者、ジャダーにはひとつの悩み事があった。モークラットの沼地から死体を引き上げきれず、手押し車では足りなくなってしまったのだ。屍術であらゆる問題を解決してきたジャダーは沼地を漁り、やがて巨大な亀の死骸を発見した。少しの魔法でそれを更に巨大化させ、そして多大な魔法を用いてそれを蘇らせるとそれは完璧な荷役獣となった――荷車と馬の両方を兼ねるのだ。この生物はゴーレックスという名を与えられ、今やジャダーの主要輸送手段となっている。
バイパーの牙、サリス
ドーンハルトの集会が再建された際、長のカティルダは若き弟子サリスと対立した。力ある垣魔女のサリスは、イニストラードを修復するにはグリン・ダヌーの力だけでは足りないと信じていた。彼女は追加の神々を崇拝したいという欲求を見せたが、他の魔女たちの忠誠は揺るがなかった。サリスは集会を追放されたのか、それとも自ら去ったのかは、尋ねる相手によって異なってくる。
サリスは自分の集会を立ち上げると決心した。毒と復讐を司る、忘れられた蛇の神を奉じるものだ。彼女はドーンハルトの収穫祭の儀式を妨害しようとしているのか、それとも静かに企みを続けるのかはまだわからない。
収穫の祝賀者、クルビス
イニストラードのツリーフォークは本質的に、幽霊に憑依された樹木である。収穫祭を復活させるにあたって、ドーンハルトの集会は専門家の意見を伺うのが重要だと感じた。彼女らは最初の収穫祭の君主その人のものとされる、忘れられた霊を呼び寄せると、それを一本の古い樹木に融合させた。不幸にも、クルビスは収穫祭を手伝いたいという定命の願いと、生命力を求め吸い取りたいというツリーフォークとしての本能に引き裂かれている。
ヴォルダーレンの末裔、フロリアン
フロリアン・ヴォルダーレンはひとつの先見の明を持つ吸血鬼である。血を求めて人間を襲撃するのに飽きたフロリアンは、人間たちが自発的にそれを差し出すなら遥かに物事は簡単になるのではと思い至った。魅了魔術の達人である彼はその仮説を試そうと、大患期からの復興のさなかにある小さな町ひとつをそっくり支配した。そして彼は町民それぞれに、週に一度血を差し出すよう丁寧に願った――彼らを殺すには至らないが、フロリアンと仲間たちを支えるに十分な量を。名を上げるため、フロリアンは始祖であるオリヴィアにこの大きな躍進をぜひとも報せたがっている。
ドーンハルトの主導者、カティルダ
ドーンハルトの集会の現指導者がカティルダである。意志の強い魔女で、イニストラードの昼夜のバランスを修復することに注力している。カティルダはケッシグの街アヴァブルックの治療師兼教師だったが、数年前にその街が破壊されると(町の廃墟は現在、ホロウヘンジと呼ばれている)、彼女はウルヴェンワルドの森へと引きこもった。そしてナッターノールズと呼ばれる岩がちの洞窟地帯で、古の垣魔術を修める隠者と魔女たちに出会った。
彼女たちはすぐに、古の森の神グリン・ダヌーの名のもとにドーンハルトの集会を再建することを決めた。そして二年後、カティルダはその長となった。
星の大魔導師、ヴァドリック
ネファリアのヴァドリックは大いに尊敬される星術師である。月の動きに関する彼の研究はイニストラードの人々に大いなる利益をもたらしてきた。月に対する理解を深めることは、人狼に対する守りを高めることを意味する。ヴァドリックの専門は空の星だが、彼は同時にアマチュアの芸術家でもある。彼の手描きの星図はこの次元の至る所で、旅人の持ち物の中に入っている。ヴァドリックは快適な自宅で星図を書く方を好むが、古い友人のジェンリクを思って野外へ足を伸ばしている。
年経た枝指
年経た枝指
とってもこわい
言うこと聞かない子をみてる
なまけていたら
おそってくるよ
お手伝いしてないのは誰だ?
年経た枝指
まだいるよ
うろの中にはぜったいいるよ
のぞいちゃいけない
叫んだら
みーんなお前を忘れちゃうから
――子供たちの掛け合い歌
年経た枝指についての興味深い真実、それは、君の真後ろにいるということだ。
大スライム、スローグルク
モークラットの沼の深みに、一体の怪物が潜んでいる。ああ、数体の怪物が潜んでいるが、大スライムの名を与えられるほど恐ろしいものは一体だけだ。スローグルクは沼の水全体に自らの一部を撒き散らし、わずかな知覚手段としている。勇敢な船(通常は密輸人のものだ)が丁度良い場所まで来ると、スローグルクは襲いかかる。それは船の下に身体の一部を凝集させて水から持ち上げ、粉々に砕くのだ。船外に投げ出された船乗りは、「安全に」スローグルクの無数の大口に向かうことになる。
敬虔な新米、デニック / 敬虔な心霊、デニック
かつてベツォルド家は、ガヴォニーでも最も影響力を持つ一家だった。最後の家長ウォレン・ベツォルドにはひとつの秘密があった。彼にはデニックという名の私生児がいたのだ。
デニックはベツォルド家から離されて育ったが、父との結びつきを持つことはできていた。子供の頃から、デニックは人々を守る聖戦士になりたいと熱心に願っていた。それを知り、ウォレンはデニックの誕生日に精巧なひとつの盾を贈った。まさにその翌日、大患期が始まり、ベツォルド家の名は跡形もなく拭い去られた。
人々を守りたいというデニックの願いは死後も続き、彼は霊として世界に居残っている。彼はガヴォニーの街路に出没し、盾を掲げ、無辜の者を守ろうとしている。
ルーデヴィックの傲慢、オーラグ
屍錬金術師のルーデヴィックは病に侵されていた。「最後の作品」を創造することに取りつかれ、彼は研究室に戻った。ルーデヴィックは肉と金属、そして四つの異なる脳を、イニストラードでおよそ見たこともないひとつの身体(エルドラージがいたことを思えば、とても印象的だ)へと組み合わせた。その創造物に「オーラグ」と名付け、ルーデヴィックは装置を起動してその生物に生命の息吹を与えた。
狂ったように笑いながら、ルーデヴィックは命令した。外の世界へ出て、傷つけ、殺し、破壊せよと。「どうして?」そう尋ねたオーラグの声は流暢で無邪気だった。ルーデヴィックは失望した。優しい生物を作ったのではなかった。直す手段をルーデヴィックが見つけるまで、オーラグは研究室の地下に閉じ込められた。幽閉の身であったが、オーラグは孤独ではなかった。すぐに自由にしてくれると約束する、謎めいた人物が訪問していたのだ。
腐敗の大鉈、ウィルヘルト
生前のウィルヘルトは、並外れた容姿で知られるごく普通の木こりだった。その容貌に見合う虚栄心の強さを持つ彼は、自分と同じほどに美しい者にのみ忠誠を捧げると宣言した。だが満足のいく相手はいなかった――グール呼びのギサを目にするまでは。
それは一目惚れだった。ウィルヘルトはその場で心を捧げると誓ったが、ギサはすぐに退屈して立ち去ってしまった。初めての失恋に打ちひしがれ、取り乱したウィルヘルトは不運な伐採事故で命を落とした。その晩に月が昇ると、ウィルヘルトもまた立ち上がった――その願いの力で、グールとして蘇ったのだ。
死して更に一心不乱となり、ウィルヘルトはギサの愛を手に入れるために旅立った。彼は廃墟と化したスレイベンでギサを見つけたが、彼女は新たな死者の軍勢に夢中でウィルヘルトには目もくれなかった。だがウィルヘルトは思った、ギサが軍隊を欲しがっているなら、僕があげよう! 彼は今やイニストラードの町を幾つも襲い、その足跡に死者の軍勢を作り上げている。未来の婚礼の贈り物にするのだ。十分な大虐殺はきっとギサも気に入るだろう。ギサは彼の名をウィルハムという名の、しつこい男の類だと思っている。
ネファリアの捜索者、エロイーズ
エロイーズは探偵、それも極めて素晴らしい探偵だ……何もなければ。彼女は地方の町で人々を襲う放浪の霊を調査するために雇われた――簡単な仕事だと思われた。長年の経験から点の手がかりをひとつの線へと結びつける、だが今回、その点は線にはならなかった。すぐに、その幽霊はエロイーズの依頼主に関する情報を持っていると判明した。この事件を解決するには、抜け出せない穴にはまるしかない――カルト教団、幽霊、忘れ去られた秘密でいっぱいの穴に。そこで信頼すべきは生者だろうか、それとも死者だろうか。
秋の君主、レノール
『彼女は祭りの享楽が絶え間なく続くように魔女の儀式に希望を注いでいるのである。』
古の収穫祭には多くの伝統が存在し、その中に「収穫祭の君主」の任命がある。ドーンハルトの集会の魔女たちが、祝祭の執行役として外部の者を選ぶのだ。魔女とイニストラードの一般人との間に関係を築くのがその役割である。そして最も重要なこととして、真に優れた君主は魔女の儀式に更なる力を注ぎ、その成功に大きく貢献する。
今季の君主を選ぶに際し、レノールは有望な候補者として抜擢された。彼女は祝祭や人々との交わりを愛すると知られており、レノールが提供する催しは豊富な食事や飲み物、やや極端すぎる飾りつけですぐにそうだと分かる。昼夜のバランスを修復するためにこの祝祭が重要であると十分理解している彼女は、その雰囲気を湿ったものには決してさせない。彼女の熱心な働きは魔女と人々の両方に希望を吹き込み、その希望は闇夜の中で全員を勇気づけるのだ。
シガルダ教の使者、カイラー
「天使が狂気に屈した時も、シガルダは力強く立ち続けた。彼女は希望の証だ。」
大患期にエムラクールが現れた際、シガルダはその虜にならなかった唯一の大天使であり、唯一生き残った大天使となった。アヴァシンが消え、人々は希望と庇護をシガルダに求めはじめた。アヴァシン教の司祭カイラーは、シガルダの言葉を最初に多くの人々にもたらした者のひとりである。アヴァシンと同じように、シガルダも人々を守ってくれるのだ。少なからず彼の奮闘のおかげで、シガルダの祝福はイニストラードの人々を守っている。
陽気な拷問吏、リンディ
リンディは呪いに長けた強大な魔女であり、年齢は数百歳にもなる。若い頃のある時、自惚れから彼女は人混みの中で偶然ぶつかった旅の魔道士に呪いをかけようと試みた。実のところ街を通りがかった強大なプレインズウォーカーであるその魔道士は、呪いを送り主へと跳ね返した。
時が過ぎ、リンディは自分が歳をとらないことに気が付いた。同時に、自分が様々な厄介事の宿主と化しているということも――不運、身体のどこかの不意の痛み、時に蜘蛛を吐き出す、その他ありとあらゆるもの。それは呪いの中の呪いだった。数年間を苦しんだ後、リンディは魔法を用いて自らの様々な病を一時的に他者へと与えられるとわかった。若い頃ほど無謀ではなくなったとはいえ、リンディは自分の呪いを人々に負わせることに大きな喜びを感じている。近頃、彼女は「このとても長い人生の中で一番うざい人物」と表現する一人の男を標的にしている。
おわりに
たくさんの人々に会った! けど私は逃げさせてもらおう。あの年経た枝指……っぽいものが……パンチボウルの隣からこの十分間ずっと私を見つめている。だから斧か何かで殺される前に退散だ。見覚えのある者たちについてもっと知りたいならば、明日掲載の「再来編」をチェックしていただきたい。パーティーを楽しんでくれ!
(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)
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