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敵意ある宿屋と忍び寄る旅館

Reggie Valk
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2021年9月7日

 

 やあみんな! 私はレジー・ヴァルク/Reggie Valk、マジックのデザイナーだ。 『イニストラード:真夜中の狩り』は私の関わった最初のセットのうちの1つなので、私にとって大切なものだ。このプレビュー・カードの話はセット・リードのイアン・デューク/Ian Dukeがこのプロジェクトを引き継ぎ「Golf」というコードネームがつけられた少し後から始まる。チームはちょうどこのセットのレアをレビューして新しいデザインがほしい場所を見つけ出したところだった。そのスロットの1つは両面カードで、幽霊屋敷になるかもしれない可能性がとても高い土地だった。

回転

 《ウェストヴェイルの修道院》は『イニストラードを覆う影』の中で私が好きなカードの1枚だ。私はこのカードの物語の伝え方が大好きで、そして小さなクリーチャーやトークンから巨大なデーモンを作り出すというのが素晴らしかった。私はデッキの中で同じ役割をすることができて、しかし新しい物語を伝えるカードを考え出したかった。最初に考えついたのはそれ自体が邪悪な存在である幽霊屋敷を表現したものだった。このカードが変身するまでクリーチャーが「行方不明」になり、そして本当の恐怖が明らかになる。生きている屋敷だ! 私は興奮してこのアイデアの第一案を走り書きした。

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 そして私の汚い字が読めない人のために:

9.〈見晴らしのいいホテル/Overlook Hotel〉
[カード名]は飢餓カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。
{T}: {C}を加える。
{1},{T},クリーチャー1体を生け贄に捧げる:[カード名]から飢餓カウンター1個を取り除く。[カード名]の上に飢餓カウンターがないなら、[カード名]を変身させその後アンタップする。

//

〈貪欲な高台荘/Overlook, the Ravenous〉
4/3
アーティファクト・クリーチャー ― ホラー・構築物
威迫、絆魂
クリーチャー1体を生け贄に捧げる:[カード名]の上に+1/+1カウンター1個を置く。

 

 私はこのデザインの全ての面に感激したわけではないが、それでもこれをチームに売り込もうと決めていて、そしてこれはいくらか調整されてファイルに入れられた。ほろ苦い変更の1つは、このクリーチャーに飛行を含む新しい能力がついたために、イアンが私の意図した「生きている屋敷」のホラー・構築物から黒のデーモンに変更したことだった。私が気に入った別の変更は、いろいろな意味で言葉鍛冶であり、プレイテスト名を更新する過程にあったマーク・ゴットリーブ/Mark Gottliebのおかげだ。私の提出した名前はほんの少しだけ鼻につくものだったので、彼は語呂合わせを使ってそれぞれの半分に〈離れた旅館/Remote Hostel〉と〈敵対者、殺し大口/Goremaw, the Hostile〉という新しい名前をつけた。

RegV:本来の意図はこのクリーチャーがホラー・構築物になって屋敷が命を持つことだ。もしこれが飛行を失うことが求められているなら、それに戻したい。

ID:「これが屋敷に取り憑いているものだ」か「屋敷自体が怪物だ!」のどっちがいいかはダグに任せよう。

 数か月後、ほぼ全てのカードにアートのコンセプトが書かれて私は諦めていたが、そこからとんでもないことが起こった。プレイデザイン・チームが『イニストラード:真夜中の狩り』のカードのテストをはじめ、そして〈離れた旅館/Remote Hostel〉の裏面の能力一式をまた変更が必要であるという決定を下した。これはつまり〈殺し大口〉が飛行を失うということだ! このカードにアートのコンセプトが書かれるまであと1週間を切ったところで物事が完璧に揃い、クリエイティブのメンバーはデーモンではなくホラー・構築物で行くことにした。しかし結局、私の頭の中のこのアイデアはその過剰な宣伝に叶うものだったのか? それは自分の目で確かめてみてくれ!

//
カードをクリックで別の面を表示
 

 このアートは私が望んだ以上のもので、hostel/hostileの語呂合わせもゴットリーブがクリエイティブに送ったアリウープを決めてまた戻ってきた。《敵意ある宿屋》はデッキに入れやすいサクリ台と、 最終的には《忍び寄る旅館》の形で除去耐性のあるフィニッシャーをデッキにもたらしてくれる。このフェイジングはそのデザイン空間を掘り下げ続けるために後から追加された。《霊異種》の追放する能力のような除去回避になるが、変身する両面カードでも機能する。

 それではぜひ、このカードや他の『イニストラード:真夜中の狩り』のカードのプレイを楽しんでほしい!

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