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翻訳記事その他
怒り、審判、神話
2020年4月3日
とある種類の呪文について言えることがある。あらゆるプレイヤーは、その種の呪文を欲するという経験をいつかはするのだ。その呪文は、あと1ターンの生き延びる機会を与えてくれる。その呪文な、対戦相手の計画をうまく妨害する。その呪文は、流れを変え、勝利をつかむために敗北の淵から舞い戻る機会を与えてくれる。そう、そんな呪文だ。
そんな誰もが必要とする呪文とは……除去だ。とはいえ、クリーチャーを1体だけ破壊するような普通の呪文じゃない。クリーチャー、アーティファクト、エンチャント、そしてプレインズウォーカー(や土地)を除去する方法がどれも同じというわけでもない。誰もが望むこの除去は非常に強力かつ伝統的なもので、そういった効果について総括して話し合うため、元々はこう呼ばれている。ラス効果だ。(訳注:《神の怒り》の英語名が「Wrath of God」(ラス・オブ・ゴッド)であるところから)
それはこのゲームが生まれたとき、すでに《神の怒り》を含んでいたところから始まった。そしてマジックの歴史が続くにつれ、さまざまなセットでさまざまな特徴を与えられながら、さまざまな色で何十枚も繰り返し登場し続けてきた。それは「数セットに1枚、何らかのラス・カードが用意されている」状況から、マジックの新しいセットが出るたびに――時には複数の種類が――何らかの形で登場するほどの定番カードにまで成長している。
今スタンダードで使用可能なものだけでも、《戦争の犠牲》、《一斉検挙》、《轟音のクラリオン》、《採取 // 最終》、《ケイヤの怒り》、《虐殺少女》、《煤の儀式》、《空の粉砕》、《一騎打ち》、《陽光の輝き》、《嵐の怒り》、《死の味》、それと《時の一掃》と山ほどある――さらにこれらはクリーチャーを見るものだけで、複数枚を除去できるすべてのカードを網羅しているわけではない。そしてこのおおむね取りそろえたリストの中から、少なくとも7種類のカードがスタンダードの最高のデッキで普段からプレイされており、サイドボードやほかのデッキを見ていけばさらにいろいろなものが使用されている。
統率者戦、パイオニア、モダンのようなフォーマットまで考慮すれば、戦場を一掃したいプレイヤーにそうする手段と価値を提供する選択肢は、もっと出てくる。(多すぎて、ここで詳しく紹介するのはとても無理だ。)
そして、そこに新たに『イコリア:巨獣の棲処』が加わる。これが《スナップダックスの神話》、勝利を――あるいは確実な破滅を――もたらすものだ。
クリーチャー、神話、伝説
スナップダックスは生き残った人々が何度も何度もそれを語るほどの大破壊を振りまいてきた――今もなお振りまいている――途方もなく強大なクリーチャーだ。歴史の中で語り継がれてきたその神話の内容は膨大な量にのぼるが、実際の《スナップダックスの神話》で何ができるかについて隠されているテキストはない。
スタンダードにおいては、戦場に残せるカードの選択肢が増える代わりに、アーティファクトの破壊を可能とする《一騎打ち》に近いカードとして見ることもできる。「ジェスカイ・ファイアーズ」のような爆発的なデッキに対してはあまり効果がないように感じるかもしれないが、《エンバレスの宝剣》が使われる前に「赤単アグロ」をやり込められるのはかなり良さそうだ。しかしどんなに良い状況でも、{2}{W}{W}というそのままのコストでは、対戦相手と互角以上になる選択を確実に行うための最適なタイミングを判断するのは難しいだろう。
そう、かなり難しい。公然の秘密である呪文のコストを考慮し、このカードの可能性を最大限に引き出さない限りは。これをマルドゥとして{B}{R}{W}{W}で唱えた場合、結果は《一騎打ち》とはまるで異なる。すべてのプレイヤーのための選択をあなたが行えるのだ。《創案の火》は呪文のマナ・コストを支払わずにプレイするため、黒と赤のマナも当然使われないので、「ファイアーズ」デッキでそうすることはできないし、「アゾリウス・コントロール」や「バント・ランプ」がデッキにそのまま入れて《空の粉砕》以外の選択肢を簡単に得られるということもない。《スナップダックスの神話》は赤白黒にしっかり寄せたデッキを要求するため、スタンダードでどんな居場所を得るかは今のところ定かではない――従来のメタゲームを攻略するためにこれを用いるデッキを構築できるであろう、という期待はあるね。
『イコリア:巨獣の棲処』の紹介がなされていく日々、それは競技プレイヤーにとっての冒険の旅と言えるだろう。しかし、《スナップダックスの神話》のパワーをすぐに感じられ、すんなり投入できることが明白なデッキが存在するフォーマットがある。統率者戦だ。
統率者戦用のデッキは、色を増やすほど使用可能なカードの選択肢が増える。各色で最高のカードを利用できるので、似たような効果を持つカードからどれを選択するかが悩ましい場合もあるだろう。結局のところ、デッキのプレイ方針とそれが必要とする最適な回答に応じて、《神の怒り》、《毒の濁流》、あるいは《冒涜の行動》といった中から選ぶことになるわけだ。《スナップダックスの神話》は、赤白黒のカードを使用可能なデッキにおける個性的な選択肢として際立っている。
各対戦相手がどれを残すかをこちらが選択できるならば、単に戦場を一掃しておそらく優位になるという程度ではなく、能動的に自分が有利になる状況を作り出せるという利点が発生する。さらに良いことに、《スナップダックスの神話》で選ばなかったものは生け贄に捧げる上、これは対象を取らないため、プレイヤーが全体除去を拒絶するための大抵の手段を受け付けない。《希望の天使アヴァシン》や《苦行主義》のような「味方を守る」カードは、《スナップダックスの神話》による大量虐殺を押しとどめることができないのだ。
対称性をぶっ壊す
とはいえ、圧倒する手段が必要ならすべて《スナップダックスの神話》に任せよう、というわけではない。結局のところ、マジックのいくつかのカードには実質「ゲームに勝つ」と書いてあるものがあるが、これはそこまでではない。
いったん盤面が落ち着けば、確実に勝つ手段はほかにもある。優位を得るためのより明快な道のりを選べるわけだ。上記の選択肢はどれもスタンダードで使用できる。その範囲を超えてこのカードの活用範囲を広げることこそ、《死に微笑むもの、アリーシャ》や《エドガー・マルコフ》のような統率者を使う強みなのだ。
《スナップダックスの神話》の可能性を最大限に引き出す計画を立てているのであれば、その結末は、将来語り継がれるゲームのストーリーとしてあなたという怪物が登場するというものになるのだろう。MTGアリーナでは4月16日(アメリカ太平洋時間)から、そして行きつけのお店では4月17日から、『イコリア:巨獣の棲処』であなた好みの怪物を生み出せるぞ。
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)
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