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2020年の統率者戦にやってくる大きなもの

Gavin Verhey
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2019年10月30日

 

 統率者戦のプレイヤーであることは幸せだ!

 『統率者(2019年版)』はこれまでに発売された『統率者』セット中でも最も成功したセットで、マジックフェストの「コマンド・ゾーン」、これから開催されるコマンドフェスト(リンク先は英語)、そしてこのフォーマットで素晴らしいコンテンツを生み出している大勢のプレイヤーのことを考えれば、統率者戦はどんどん人気を高めていると言えるだろう。

 このフォーマットは長い道のりを歩んできた。

 統率者戦は、シェルドン・メネリー/Sheldon Meneryとその友人という小さなグループがプレイする地点から、2011年には我々が製品化してみるところにまで展開し、多くの人々がマジックを体験する主要なフォーマットになった。

 統率者戦は派生フォーマットの大統一王者だ。過去には、マジックを身内で遊ぶ用のフォーマットというものがいくつも派生し枝分かれしていたものだが、今や多くの人々によって遊ばれているのは統率者戦だ。もちろんそれだけではない――いろいろと新しいものも試されている! それでも、統率者戦はカジュアルで、ちょっとしたマジックを遊ぼうとする人々が、コミュニケーションできる既定の共通言語だ。

 製品デザイナーが統率者戦に焦点を当てたとき、私はこのフォーマット、そのコミュニティからのフィードバックに対して本当に細心の注意を払い、その結果これまで以上に多くのことが可能となった。国や世界を旅して回る中で、私はこのフォーマットについて可能な限り多くの人々と遊び、また話をしようと取り組んできた。(少なくとも1つ以上の統率者戦用デッキが私の荷物に常備されるようになった!)オンラインでもリサーチを数多く行ってきた。私に送られてきたあらゆるツイートを読んできた。そして、それは私だけではない――ウィザーズでは、皆が常に注意を払っている。

 すぐにでも、これらの活動の成果が製品の形で登場するのを見られるだろう。

 2020年は、統率者戦の歴史の中でも最大の年となるだろう。いや、その程度では終わらない! まずは我々が注目したいくつかの重要な学びについて話そう。

1.統率者戦には大きな需要がある

 最初の統率者戦向け製品が発売されたのは2011年だ。それ以来、このフォーマットは信じられないほどの高みにまで成長した。これはマジックの中でも最も人気のあるフォーマットの1つだ。

 しかし、実際のところ製品企画はその人気に追いついていない。我々は1年に1度デッキをリリースするのみだ。もちろん、時々『Commander's Arsenal』や『Commander Anthology』、あるいは『バトルボンド』のようなセットで統率者戦向けのカードを提供している。だが、それだけだ。

 なので、それを変えよう。統率者戦プレイヤーのために作れるものは明らかにもっと多い。もっと製品を。別の製品を。あらゆる統率者戦プレイヤーのためのものを。

 この間発売された「Brawl deck」はこの好例だ。そして、やればわかることだが、たとえブロールをどれだけたくさんプレイしようとも、それでも統率者戦プレイヤーは新カードを望むものなのだ。

 また、新カードという段階だけの話ではない。統率者戦プレイヤーはデッキを見せびらかすのが大好きで、それに関する部分についても我々にできることがあるのは間違いないだろう。

 加えて、古いカードに関して言うならば、まあ……

2.プレイヤーは再録を求めている

 これは単純な話だ。

 このフォーマットは成長している――それも急速に。その成長速度を考慮すれば、統率者デッキの復刻版は必要だ! 再録されていない古いカードだけでなく、最近再録されたものについてもそうだ。

 そのうえ、初めて統率者戦を遊ぼうとする場合、そのデッキでの定番となるカードを手に入れておきたいはずだ。あなたが最近マジックを始めたとして、あなたが持っている緑のランプ呪文だけが、存在する緑ランプ呪文のすべてではない。

 統率者戦用の製品が増えれば、過去のカードを再印刷する機会が増える。それらを適切に提供できるよう、我々はそのための素晴らしい機会を生み出した。

 再録は慎重に扱う必要があるということはわかっているし、それについては過去にも幾度となく話している。すべてを再録することはできないかもしれないが、2020年中に予定されている再録については多くの皆さんに満足してもらえると思う。(来年にRedditなどのウェブ上でこの話が引用されるのを楽しみにしているよ。)

3.プレイヤーは統率者戦を通して学びを得る

 これは私にとって数年前には予想もしていなかったことだ。しかし、事実だ。我々が観測しているすべての内容を統合すると、多くのプレイヤーが統率者戦からマジックを始めている(あるいは非常に早い段階で統率者戦も遊ぶようになる)ようだ。

 このフォーマットは、その複雑な相互作用、大量のメカニズム、意識し続けなければならない山ほどのカードという側面があった。そのため、長い間、我々はこのフォーマットを、新規プレイヤーにとっては不快な存在であると考えていた。例えば、バンドを持つカードだってプレイできるのだ! つまり、我々は新規プレイヤーに対しては基本的にほかのフォーマットへ向かわせようとしていたのだ。

 しかしながら結局、実際のところ、そんなことはなかったんだ。友達がやっているマジックを始めたい。なので当然、友達がやっているものなら何にでも手を出す、ということになる。「一緒に遊びたいって? いいね――まず3か月ぐらいやってみて、フェイジングを理解したら一緒にやろうよ」と言われたとしても、あきらめる人はあまりいないようだ。

 統率者戦は幸いなことに、多人数戦のカジュアルなゲームであるため、その複雑さにもかかわらずさまざまな点でティーチングに向いている。ベテランはゲームを通して不慣れなプレイヤーを助け、助言を伝えられるし、初心者はゲームを理解するためにゲーム内のすべてを理解しなくてもよい。

 実際にはマジックを始める手段となっているのに、その流れに逆らって統率者戦から始めさせないようにするのではなく、その流れに沿えるよういくつかの段階を用意し、統率者戦をプレイヤーにとって魅力的な入口にしようと我々は取り組むことにした。(詳しくはこの記事を読み続けてくれ!)

 2020年は統率者戦の歴史の中でも最大の年になるだろう――そして我々が用意した製品ラインナップは、その中でも大きな要素となる。

 これらすべての変化について話すために、「Game Knights」の配信でジミー・ウォン/Jimmy Wongとジョシュ・リー・クワイ/Josh Lee Kwaiを相手に語った。その動画をすでに見ているかもしれないが、そうでない場合は見てみてくれ!(編訳注:英語動画となります。)

 文章として確認したいのであれば、ああ、簡単に紹介しよう。

 まずはじめは、新しい工夫を加えた、なじみあるものだ。

イコリア統率者デッキ

 構築済みの『統率者』デッキシリーズを我々は毎年発表している。そこに変わりはない――それどころか、来年は通常よりも早くそれらを入手できるだろう!

 しかも、これまでより多い71枚の新カードを、4つではなく5つのデッキでお送りする。

 それはいつか? ああ、『統率者(2020年版)』については、新たなことに挑戦している。統率者デッキを『イコリア:巨獣の棲処』とともに発売するんだ。『イコリア:巨獣の棲処』が発売される2020年4月24日に一緒に発売開始となるだけでなく、4月17~19日に行われる『イコリア:巨獣の棲処』プレリリース・イベントにおいて(もちろんカジュアルに)体験することも可能だ!

 統率者デッキの新カードは、すべてイコリア次元を由来としている。(再録カードはその限りではない。)これは登場したばかりの危険なモンスター世界をさらに深く掘り下げる手法だ! その強さは過去数年に提供されたカードと同等で、レガシー、ヴィンテージ、そしてもちろん統率者戦といった、エターナル環境でのみ使用できるという点もそのままだ。これらのカードはスタンダードを念頭に置いて作成されてはいないという特徴があり、またその区別をしやすくするために独自のエキスパンション・シンボルを持つ。

 もうひとつはっきりさせておこう。これら71枚の新カードが通常のブースターパックから出てくることもない。つまり、『イコリア:巨獣の棲処』というカードセットの一部というわけではない。あくまで、統率者デッキのために作られたものだ!

 『統率者(2020年版)』の再録枠には『イコリア:巨獣の棲処』のカードもいくつかあるが、その数はほんのわずかだ。それらは主に、いくつかのテーマを機能させるためにある。(例えば、『カラデシュ』で同等のことを行った場合を考えてみてくれ。エネルギーを利用する統率者デッキがあるとすれば、そのデッキには『カラデシュ』に収録されているエネルギー・カードがいくつか必要になるだろう。)

 これらのデッキは楽しくプレイできるもので、昔の『統率者』デッキを思い起こさせるものだ。そしてこれはイコリアではプレインズウォーカーデッキの代わりとして登場する。(とはいえ、プレインズウォーカーデッキではない。)これらのデッキについて略号で会話したいなら、それは「C20」だ。

 さて、来年の販売ラインナップは構築済みの『統率者』デッキだけではない! それについて伝えよう……

『Zendikar Rising』統率者デッキ

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 これまで、我々は常に「伝統的な」『統率者』デッキというものを作ってきた。大きな箱、特大サイズのカード、そして4つや5つのそれら同士での対戦を意識した「小世界環境」、といった感じだ。

 しかし『Zendikar Rising』では、新たなタイプの『統率者』デッキを導入する。

 統率者戦のプレイヤーであることは幸せだ――ということは、年中どの時期であってもそのはずだ。従来の構築済みデッキが発売されてから6か月後に統率者戦を始めたくなったなら、その新しいものを確認してみよう。

 『Zendikar Rising』では2つのデッキを送り出す。これらは統率者戦への素晴らしい導入であり、(デッキごとに3枚の)新カードと再録カードによって構成されている。そして統率者戦を思いっきり楽しめるようになっているんだ。新カードはゼンディカー次元をテーマとしていて、再録カードはその限りではない、という点もイコリア統率者デッキと同様だ。

 定番カードを必要としている統率者戦初心者にとっても、再録や新カード目当てのベテランにとっても、これらのデッキは目を引くものになるだろう。略号は「ZNC」となり、プレインズウォーカーデッキの代わりとなる。これらは「Brawl deck」と似たパッケージを用いて、『Zendikar Rising』と同日に発売される。

 これらのセットをプレインズウォーカーデッキの代わりに販売するのはなぜだろうか? さて、先ほど多くのプレイヤーにとって最初にマジックを始めるフォーマットの1つが統率者戦であるという話をした――これは店頭で手に入るもので、参入にぴったりだ。

 もちろんプレインズウォーカーデッキも入門に適している。例えば、『基本セット2021』でも引き続き展開する。そこからマジックを始めたいプレイヤーのために、店頭へと送り込まれる。しかし多くの場合、プレイヤーは友人がプレイしているものに参加したいと考える――カジュアルでリラックスできる統率者戦というマルチプレイヤー・ゲームの性質は、参入するのにとても良い環境だ。統率者デッキを購入すれば、すぐにコミュニティへと参加できる。魅力的な統率者戦コミュニティにだ!

 さて、これらは構築済みデッキの話だ。ほかに何か新しいものは?

 新たな製品についてお伝えしよう!

『Commander Collection』(統率者コレクション):緑

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 2020年の後半に登場するのが、ウィザーズプレイネットワーク加盟店でのみ扱われる統率者戦プレイヤー向けの製品、『Commander Collection』(統率者コレクション)だ!

 これらは、色をテーマとしていて、8枚の再録カードを収録した製品となっている。最初は緑を選んだ――緑はランプと巨大クリーチャーの色であり、統率者戦をプレイするなら嬉しいものがすべて詰まっている色だ!

 これらにはすべて新アートが用意されている。私が特に気に入っているのは、伝説の人気キャラクターが登場している点だ。例えば次のアートを見てほしい。

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 このカードでは(どんな呪文かは想像してみてくれ)、《放浪の吟遊詩人、イーサーン》が呪文を行使している。ほかにもさまざまなキャラクターが登場する……それら伝説の人物とともに行うゲームはかなり楽しいものになるだろうね。

 もうひとつ見てもらおう。

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 これは神河のクリーチャーだ(ヒント:元々は神河のクリーチャーではなかった)。その形状をよく見てみれば、《迷える探求者、梓》の髪飾りとの関連に気づけるかもしれない。

 緑のプレイヤーなら、この商品を手に入れたいと思うだろう。

 どこで手に入れられるのだろうか? ああ、これには2つのバージョンがある。通常版と、プレミアム版だ。

 8枚のカードが収録された通常版は、すべてのウィザーズプレイネットワーク加盟店で手に入る。プレミアム加盟店であれば、8枚すべてがフォイルのきらきらしたプレミアム版も手に入るぞ!

 これらの製品は、通常版が欲しいプレイヤーとフォイル版が欲しいプレイヤー全員のためにある。今のところは、この2つのアートについてじっくり吟味してみてくれ。考察で盛り上がろう! これの略号は「CC1」だ。(1とついてるので、今後の展望は明るいんじゃないかな?)

 さて、ここまで盛りだくさんの内容をお伝えしたが、まだ終わりじゃない。

 実は、これまでで最もエキサイティングな統率者製品についての発表があるんだ。予定は来年の第4四半期なので、まだ先の話ではある。そして私がこの製品について思いついてから、発売するまでに約6年かかることになるんだ。『Unstable』がマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterの愛児であるように、これは私の愛児だ。みんなにも気に入ってもらえると思う。

 だからようやくこれについて伝えられることが嬉しいよ……それは『Commander Legends』(統率者レジェンド)だ。

『Commander Legends』(統率者レジェンズ)

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 統率者戦プレイヤーのための大型エキスパンションだ。統率者戦でドラフトが楽しめる。デッキの統率者にできる新たな伝説のクリーチャーが70枚以上収録されるぞ。

 これはすごいものなんだ。

 私は常にドラフト統率者戦をやりたいと思っていたが、それを実現するにはさまざまなややこしい要素が立ちはだかる。幸運にも、多くの作業を経て、その固い殻を『Commander Legends』で破壊することができた。席について、その場で統率者戦デッキを構築してプレイできるのは本当に魅力的だよ! それだけにとどまらず、次に組みたい統率者戦デッキについての大きなインスピレーションを得られるんだ!

 『Commander Legends』には1パックに20枚のカードが含まれており、1パックにつき1枚のフォイル・カードと2枚の伝説のクリーチャーが必ず封入されている! 発売に近づいたらどのようにドラフトするかなどを詳しく説明する予定だが、まずは心配しないでほしい。きちんと遊べるように仕上がっている。まさに、統率者戦デッキをドラフトしたと感じられることだろう。

 これらのカードはマジックの多元宇宙世界から時間と場所を問わずに登場し、レガシー、ヴィンテージ、そして統率者戦のようなエターナル・フォーマットで使用可能だ。通常の1セット分よりもカードの種類が多く、再録要望の高い統率者用カードや新カードなどが含まれる。人気の次元やキャラクターが大量に再登場する――それだけじゃなく、新たなものもね!

 通常、1年後のセットについて何か紹介することはない。しかし70種類以上の新しい伝説のクリーチャーだ……よし、味見ぐらいは大丈夫だろう。これをどうぞ。

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 昔からのプレイヤーであれば、これについてある程度推測できるかもしれない。そうじゃなくても大丈夫。「Command Zone」の配信でポロッとこぼした発言を拾えばいい。上に挙げた動画(英語)で確かめてみてくれ!

 次のはもう少し難易度が高いかもしれないが、前に見たことがあるはずのキャラクターだ。

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 これの正体暴きはヴォーソスの皆さんに任せよう。私はRedditサイトのスレッドで話題にされるのを見るのが好きなんだ。(そうそう、これの略号は「CMR」だ。)

 『Commander Legends』を手に入れられるのはまだしばらく先ではあるものの、私と同じく期待に盛り上がってくれれば幸いだ。過去数年間、統率者戦とドラフトを組み合わせることを考えているかどうかについて誰かが私に尋ねるたびに、これがすでに開発中であることを知りつつも笑ってごまかすしかなかった。しかしもう少しでやってくるんだ!

 これは私が取り組んだ中でも最も刺激的なセットの1つだ。

 もう少し付け加えよう。

『Commander Legends Commander Decks』(統率者レジェンズ統率者デッキ)

 最後に、『Commander Legends』では同時に統率者デッキも2つ登場する!

 そうするに至った理念は『Zendikar Rising』でのものとほぼ同等だ――しかしながら、デッキの内容自体はかなり異なる。それぞれにブースター・パックには入っていない3種類の新カードが含まれていて、残りは再録カードとなっている。これの略号は「CMC」だ。

 というわけで、『Commander Legends』から遊び始めたがデッキを持っていない、という場合はそれらの構築済みから遊び始められるぞ!

統率者プレイヤーであることは幸せだ

 私がそう言うときは、本当にそう思っている。

 我々は統率者戦プレイヤーのために大量の仕事を行ってきた――そして2020年に、いよいよすべてを披露できるのだ。製品、イベント、そして統率者戦を遊ぶ機会について、2020年以降に我々が提供したいことはとても多い……すべてを明かすのが待ちきれないよ。

 というわけで、フィードバックはこれ以上に重要なものとなる。今回紹介した製品についてどう思うだろうか? まだ我々が手を付けていない要素があるだろうか? ぜひ聞かせてほしい! みんなの意見がこのフォーマットの未来を形作る一助となるんだ。

 TwitterやTumblr、Instagramで送られてきたご意見はいつでも拝読するよ。あるいは昔ながらの手法である電子メールなら、Beyondbasicsmagic@gmail.comまでどうぞ。

 来年は統率者戦の歴史の中でも最高の年になる!

――ガヴィンより。

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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