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翻訳記事その他
ケンリス家の肖像
2019年9月12日
私たちはアーティストのライアン・パンコースト/Ryan Pancoastから、ケンリス一家の豪華な肖像画を受け取りました。そして主席アート・ディレクターのシンシア・シェパード/Cynthia Sheppardが『エルドレインの王権』小説「The Wildered Quest」の著者ケイト・エリオット/Kate Elliottに会い、エルドレインの王室のひとつをどのように生み出したのかを聞きました。
アート:Ryan Pancoast |
シンシア・シェパード:マジックで働くことについて私が大好きなことのひとつは、共同の創造的プロセスの行ったり来たりする性質です。あなたは私達の世界とそのキャラクターを元に、新しい物語「The Wildered Quest」を作り上げました。私はそこから『エルドレインの王権』に収録されているリンデン女王のデザインと絵を担当したアーティストのライアン・パンコーストとともに、あなたの物語のメインキャラクターで「王家の肖像」に命を吹き込みました。とても喜ばしい仕事でした。
ライアンの絵を初めて見た時、どんな思いが心によぎりましたか?
ケイト・エリオット:弾けるくらいの喜びです。
この絵は、愛に満ちて強い絆を(もちろん、厳粛な責任感と君主の高い地位も)持つ一家の本質をとらえています。揃った家族を物語で描写するというのは、作家としての私にとって大いに重要です。彼らが全員いつでも仲が良い、対立や口論がないという意味ではありません。それは人生の一部なのですから。ですが私は、(時には危ういですが通常は健全な)家族関係が物語ドラマの一部、実のところ中心であるような物語を書きたかったのです。
孤児や、家族と重要な繋がりのないキャラクターを書く理由も大いにあります。多くの場合、物語を進める中でそういった関係を考慮する必要がないキャラクターを書く方が簡単です。
ですが多くの人々は親戚関係と交友関係のネットワークの中に生きています。そのため私は、物語の中で家族の助力や妨害やその両方に影響されたり、対応しなければならないキャラクターを描くという挑戦を楽しんでいます。ありふれた家族関係が生み出す結果、利益、そして困難に対処することから生まれ出るものが、力強い物語の最も興味深い要素の一つとなりうるのです。
また、ケンリス王、リンデン、ウィル、ローアンの絵はすでにありますが、私はとりわけエリックとヘイゼルの姿を見てぞくぞくしました。ライアンは2人を私のイメージ通りに描いてくれました。
シンシア:ケンリス一家の年少の2人、エリックとヘイゼルに会うのはこれが初めてですね。2人のスピンオフがあるとしたら、どんな類の不運もしくはトラブルに巻き込まれると思いますか?
ケイト:エリックはまだとても幼く、新しい経験を怖がる類の子供です。上の2人はこの子を可愛がっていますが、少し甘やかされていることは残念ですが認めるでしょう。とはいえ十代になったなら、予想もしない才能や熱烈な興味や魔法の技術を見出して、一心にそれを追求してくれるだろうと感じています。
一方でヘイゼルは究極のトラブルメーカーです。大声で付きまとって、厄介事に出入りしようとして、忠実な友人の一団をあらゆる類の向こう見ずないたずらに関わらせて突き落とすのです。お城の濠で泳ぐとか(禁止されています)、危険な知識の本が図書室のどこに隠されているかを見つけ出すとか、締めつけ尾根の僻境に片足を踏み入れるとかでしょうか。片足だけです。両足ではありません。本当です。
シンシア:ケイトさん、この世界を舞台にした物語を描いた経験について是非聞かせてください。ファンタジー小説を多く生み出してきた作家として、エルドレインという舞台に最も興味やインスピレーションを与えたものは何でしょうか?
ケイト:たまたまですが、私はすでに長編ファンタジーシリーズ「Crown of Stars」のために中世初期ヨーロッパについてかなりの調査を行っていました。大学では、イギリスにおけるローマ帝国時代後期とその後にとても興味を持ちました。一般的に、このころにアーサー王の神話が生まれたとされています。そのため、エルドレインのアーサー王的要素は、馴染みのある大好きな世界に戻ってきたように感じました。物語で使用した詳細のいくつかで、その知識を活用しました。ですが一番の参考資料は、明らかに、新次元を担当する素晴らしいクリエイティブ・チームによってまとめられた包括的な(そして豪華なアートが満載の)ワールドガイドでした。
また、有名なおとぎ話の要素を、私が期待した通りの奇想天外な風味でひねることができたというのも素晴らしいものでした。時に、そういったひねりは大筋の中で重要な要素、またある時には、言うなればイースターエッグとして落とし込まれた楽しい小ネタです。全部見つけてください!
シンシア:世界構成チームの首席クリエイティブとしての初期の課題は、アーサー王伝説と古典的なおとぎ話、この2つのメインテーマの適切なバランスを見つけることでした。カードセットはゲームプレイ個々の表現としておとぎ話の方に大きく寄っていたため、最終的にはジンジャーブレッドマンよりも、基盤として騎士や宮廷をずっと重視することになりました。物語内では、これら2つのテーマのバランスをどのように調整しましたか?
ケイト:ひとつひとつの工程の本質は、おとぎ話という足場にしっかりとかけられています。つまり、明言はされていなくとも、多くの読者は暗黙のうちにその姿を認識するようになります。一方で外観、つまり設定と見た目のうち最も具体的な要素は、アーサー王伝説に寄る傾向があります。ですので、ある意味、アーサー王伝説の中におとぎ話の要素が入れ子になっていて、見えないながらもそれを骨子として感じられるのではないでしょうか。私の仕事が正しくなされているなら、両方とも物語を支えるために必要です。
シンシア:典型的なおとぎ話やアーサー王伝説の中で、ケンリス一家個々のメンバーの執筆に影響を与えたものはありますか?
ケイト:あります。ですがそれを答えてしまうと重要な種明かしになってしまう可能性がありますので、ここで具体的なことは言えません。ネタバレ無しで読むのが好きな人はたくさんいますからね。
シンシア:カードゲームのキャラクターたちは通常、各々のイラストで独立して描かれています。そのためあなたの物語の中で会話している様子や、互いの関わり合いを想像することは楽しいものでした。ケンリス一家の子供四人の執筆に影響を与えた実際の兄弟姉妹はいますか?
ケイト:明確にこの兄弟姉妹だ、というのはいません。私は四人兄妹の一人です(末っ子です。けれども全くもって甘やかされてはいませんでした)。私自身にも双子を含む三人の子供がいます。父親は五人兄弟で、子供達は従兄弟と年齢が近く、私が成長を見守ってきました。そのため、私は兄弟姉妹・従兄弟がどう関わり合うかについて、自身の経験と観察を利用しました。それは素晴らしい原動力で、執筆する上で私のお気に入りのひとつです。ところで、「ボーラス年代記」と同じく双子の関わる物語になるというのは偶然でした。本当ですよ、信じてください。嘘じゃないですから。
(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)
『エルドレインの王権』のケンリス一家の物語は、電子書籍「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」で読むことができます(英語のみ)。
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