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任務説明
2018年9月13日
マジックは選択肢にあふれたゲームだ。
デッキに入れるカードを選ぶ。最初の手札でマリガンするかどうかを選ぶ。土地を出すかどうか、呪文を唱えるかどうかを選ぶ。攻撃やブロックをするかどうか選ぶ。そのすべての果てに勝ち負けが決定するわけだが――そのほとんどは、自身の選択した結果によって決まる。
したがって、選択する機会が多いほど、適切な時に適切なものを利用できる機会が増えるわけだ。
これまでに作られたクリーチャーの中で、最も強力なもののひとつと言えば《瞬唱の魔道士》だろう。(おそらく、これまでに作られたカードの中で、というくくりであっても名前は挙がるだろうね。)
ティアゴ・チャン/Tiago Chanのインビテーショナル・カード(過去のマジックのインビテーショナル・トーナメントでは、優勝者にカードを作る権利が与えられていた)は、『イニストラード』が発売されるや否やうねりを引き起こした。このカードはスタンダードのみならず、マジックでも最も強力なカードを抱えている競争力の高いフォーマット……モダン、レガシー、そしてヴィンテージでも用いられたんだ。これはキューブ・ドラフトでも優先的に確保すべきカードであり、統率者戦における手堅い選択肢でもあり、まさにどんな場面でも活躍できる名選手だろう。
たった2マナで、自分の墓地にあるあらゆるインスタントやソーサリーから選んで使用できる柔軟性が得られる――おまけにクリーチャーまでついてくるんだ。
そしてここ2年間でスタンダードに大きな影響を与えたカードと言えば、この巨大な機械だろう。
これもまた、自分の墓地の呪文を再利用できるもうひとつの青のカードだ。カードを引いてクリーチャーを除去する行為を行い続けるようなコントロール・デッキで、よく見かけられる。
なぜこの2枚の話をしたのかって? ああ、今日は、これらの系列に連なる、しかも本流に連なる新しいカードを紹介できることに興奮しているんだ!
《瞬唱の魔道士》とそれがもたらす選択肢といったものが好きなあなたのために、『ラヴニカのギルド』からプレビュー・カードを紹介しよう。
《任務説明》をご覧あれ。
こいつはすごい。
輝かしいカードだ。2/1のクリーチャーこそ手に入らないが――たしかに《瞬唱の魔道士》の強さは追加でクリーチャーが手に入るところにあるが――ここに書かれている「諜報」という文字は、フレイバーテキストのように無視できるものなんかじゃない。《瞬唱の魔道士》という、過去最高の青いカードの一角と比較しようとするのがそもそも……ああ、まあそういうことだ。
しかし、なぜこれが素晴らしいと言えるのだろうか? いったいどの要素が、呪文を重視した青いデッキに《任務説明》が主体となりうる理由を与えているのだろうか?
詳しく見ていこう。
機会を得る
有り体に言って、「デッキに別の呪文を入れておいて、引いたその呪文をそのまま使えば追加のマナなど支払わずに済むのに、なぜわざわざ墓地の呪文のために追加の2マナを支払わなければならないんだろうか?」と考えるのはもっともだろう。
良い着眼点だ。《任務説明》によって2マナを余分に費やした呪文の効率は大きく下がるだろう。4マナの《本質の散乱》は重い《取り消し》だ。6マナかかった《ヴラスカの侮辱》は全体除去呪文より重くなる。《稲妻》も同様に《発射》そのものになってしまう。
しかしそれでも、この呪文には価値がある。それでも優秀だ。なぜか? この呪文を、望む呪文へと変化させる選択肢があるからだ。
デッキを構築するとき、あなたは自身のデッキの戦略により適合するさまざまなカードを選び抜く。それらを引き、それらを用いられるようにしておきたいから、選択している。《任務説明》によって、単純にそれらをもう一度使う機会を増やせるんだ。
そのうえ、そうしたいと思うときこそ、《任務説明》はおあつらえ向きなんだ。コントロール・デッキが、《本質の散乱》と《否認》の両方を採用しているとしよう。
《本質の散乱》はアグレッシブ・デッキやミッドレンジ・デッキといった、クリーチャーを重視し素早く展開してくるようなデッキに対して素晴らしい呪文だ。逆に、コントロール・デッキに対してはかなり弱い。一般的なコントロール・デッキは、これで打ち消したいようなクリーチャーの枚数が少ないからだ。
《否認》は基本的にその逆となる。クリーチャー重視のデッキに対しては弱いが、非クリーチャー呪文を多用する、コントロールのようなデッキに対して効果的だ。
ゲームが進行するにつれて、《任務説明》は、必要とするどちらかになれる。
《否認》、《本質の散乱》、そして《任務説明》を引いてきたとしよう。これにより、相手のデッキに対してより効果の高いほうの枚数を倍増させることができる。《否認》がもう1枚必要なら、それはすでに手札にあるんだ!
そしてもちろん、この種の選択を可能とするものは、とりわけ長期戦において素晴らしい。墓地に大量のカードがある状態で《任務説明》を引いたのであれば、それは墓地から欲しいカードを引いたも同然だ!
《任務説明》は、墓地から最も必要な効果を与えてくれる。その力を得るためなら、2マナは安い買い物だ。
ここまで、諜報の部分については何も言及していない。それについては次で解説しよう!
諜報の成果
ここまで、このカード自体が選択肢を広げてくれるという説明を行ってきた。が、さらに選択肢を提供できると言ったらどう思うだろうか?
ディミーア(青黒)の新しいキーワード能力である諜報は、要するに欲しいカードを得るための能力と言える。《任務説明》はメインとなる効果に加えて諜報があることで、必要なカードだけを得るためにライブラリーを掘り進めることも可能だ。
《瞬唱の魔道士》のようなカードが強い理由の1つは、トータルで見ればカードを得ている点だ。1枚のカードを使って、パーマネントであるクリーチャーと呪文の両方を獲得している。カード・アドバンテージ(訳注1)という観点から言えば、もともと1枚を2枚にする結果は約束されているわけだ。
(訳注1:カード・アドバンテージ/パーマネントや手札のカード枚数における優位)
ああ、諜報は疑似的にカード・アドバンテージを獲得できる。引きたくないカードを墓地に置くことができれば――そうだな、例えば長期戦になったときに土地はもういらないだろう――それはカードを引くのと同じぐらい有効だろう。そして必要ではないカード2枚に別れを告げるのは……まあ、デッキを2枚分掘り進んでいるのだから、2枚引いた時とそれほど大きく違わないんじゃないかな。これが疑似的なカード・アドバンテージだ。実際にはカードを引いていないが、結果は似ている。
アート:Mathias Kollros |
《瞬唱の魔道士》の地味な強さは、必要なら2ターン目のブロッカーとしてそのまま出せるところにもある。ああ、《任務説明》もまた、その効用は全く別ではあるものの、必要なら2ターン目に使用可能だ。
土地が心もとなかったり、特定のカードがどうしても必要なときは、いつでも《任務説明》をそのまま唱えてデッキを掘り進め、必要なカードを探せる。理想的な使い方なのかって? 確かにそうではない――しかし困っているときにも確実に役立ってくれる。
さらには、この能力がカード全体を通してどのように働くかだ。
《任務説明》は、諜報を終える前にインスタントやソーサリーを選ぶわけではない。つまり、必要なカードがライブラリーの上2枚にあったとすれば、諜報でそれを墓地に送り、そのまま唱えられるということだ! 《瞬唱の魔道士》のようなカードが抱えていた顕著な問題の1つに、墓地に適切なカードが無ければ望む結果を得られない、というものがある。《任務説明》は諜報によって、本当に必要だったものを見つけ出す可能性を高めているんだ。
《任務説明》の諜報は、行いたい任務を遂行する助けになる。
「このメッセージは10秒後、自動的に消滅する」
《任務説明》は青のコントロールや呪文重視のデッキ構築において、新たに興味深い趣向を加えてくれる。私はスタンダードでこれが用いられることを期待しているし――もっと広いカードプールを持つフォーマットでも可能性はあるんじゃないかな。これを使うなら、デッキにもっとさまざまな呪文を入れておきたいと思うはずだ。長期戦になれば、検討できる選択肢がさらに増えることになるのだからね!
スタンダードで新しいデッキを構築するなら、《任務説明》を試してみてくれ。私もいろいろとデッキを考えて2枚入れるところから始めてみたんだが……すぐに3枚や4枚になったよ。
いやあ、選択肢は素晴らしいものじゃないかな?
ここまでの『ラヴニカのギルド』プレビューは楽しんでもらえたはずだ! このセットに関われて嬉しかったし、ラヴニカに再訪することは私にとって大きな意味を持っている。私が真剣にマジックに取り組み始めたのは初代ラヴニカの時期で、私がウィザーズで仕事をした最初のセットが『ラヴニカへの回帰』なんだ。新たなものを生み出すために、私がここまでに培ってきたすべてのデザイン経験を生かした――ああ、本当に全力を尽くしたよ。
何か考えや感想はあるかな? 聞かせてほしい! TwitterやTumblrでメッセージを送ってくれてもいいし、BeyondBasicsMagic@Gmail.comにメールしてくれてもいいよ。(編訳注:英語でお願いします。)
ラヴニカ街区の散策を楽しんでくれ。また会おう!
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)
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