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『バトルボンド』のメカニズム

Matt Tabak
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2018年5月21日

 

 プレインズウォーカーの皆さん、グッド・ニュースです! マジックのセットでは大抵、生死を懸けた戦いが繰り広げられます。次元の侵略。太古の悪。広がる虐殺……あまりに過酷ですよね。ここでちょっとひと休みしましょう。ケイレム次元の「武勇の場」は、世界中の(そして人々は知らないことでしょうが、世界の外からも)魔道士が集まり大観衆の前で技を競い合う競技会場です。ここでの戦いは戦闘というよりもスポーツであり、競技者たちにはショーマンシップが求められます。中でも大人気なのが2対2のタッグ戦なので、『バトルボンド』は双頭巨人戦向けに作られました。チームメイトとともにお祭りに備えましょう。

#仲良しグループと

 楽しさは共有すれば何倍にもなります。その点で双頭巨人戦は最高のフォーマットのひとつでしょう。このフォーマットを知らない方のために、簡単な概要をご紹介します。

 双頭巨人戦ではチームメイトと横並びで席につき、対面には対戦相手となる2人組が座ります。各プレイヤーともそれぞれのデッキが必要ですが、ライフは30点をチームで共有します。チーム内のどちらかがライフを得たり失ったりすると、チームのライフが変動するのです。

 ゲームを始めるにあたり、全員がカードを7枚引きます。それから先攻のチームがマリガンの判断を行います。マリガンの判断時を含め、チーム内でいつでも手札を見せ合うことができます。双頭巨人戦は多人数戦フォーマットなので、1回目のマリガンでは7枚引き直すことができます。2回目以降は6枚、5枚と減っていきます。先攻のチームは最初のターンのドロー・ステップを飛ばします。

 ターンの進行はチーム単位で行われます。ドロー・ステップではチームメンバーそれぞれがカードを1枚引きます。メイン・フェイズ中はそれぞれが土地を1枚プレイできます。呪文を唱えたり能力を起動したりといった行動は、好きな順番で行うことができます。攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーの指定もふたりで行います。ただし、リソースは共有されません。あなたがプレイした土地はあなたのものであり、チームメイトがプレイしたクリーチャーはチームメイトのものです。こっちの土地は私の。この土地は君の。土地はプレイヤーそれぞれのものなのです。さて、次へいきましょう。

「あなた」と「あなたのチーム」について伝えるためのタイムアウト

 「あなた」と表記されている場合、それが指すのはあなたであり、あなたのチームメイトは指しません。ですが今回、「あなたのチーム」という新たな用語が登場します。「あなたのチーム」を参照するカードは、あなたやあなたのチームメイトを参照します。チーム戦でないゲームでは、「あなたのチーム」は単に「あなた」自身を意味します。「チームメイト」とは、ゲームの開始時にあなたのチームにいるプレイヤーのことです。「後で裏切るつもりだが一時的に手を組んでいる相手」ではありません。例えば、通常の統率者戦では、あなたのチームメイトはいません。

タイムアウト終了

 攻撃の際は、あなたとあなたのチームメイトで攻撃クリーチャーを決めます。それぞれの攻撃クリーチャーについて、対戦相手や相手のプレインズウォーカーの中から誰を攻撃するか選択します。対戦相手のクリーチャーは、チームに攻撃してくるクリーチャーをブロックできます。クリーチャーの攻撃先がどちらのプレイヤーでもプレインズウォーカーでも、ブロックするのに問題はありません。

 あとは基本的に、私たちが愛するマジックと同じです。チームメイトと相談して戦いを進められるのが、双頭巨人戦の魅力です。相手チームの裏をかいて戦略で上回り、勝利を掴みましょう。勝利の喜びもひとしおですよ。それでは、今回のメカニズムをご紹介します。

~との共闘

 『バトルボンド』のブースターパックからは、武勇の場で最も名高き2人組が現れます。予期せぬ方向からの攻撃と咆哮。この記事における絶対王者と言えるでしょう……《空想小僧、ピール》と《空想の友人、トゥーシー》!

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 これらは新能力の「[他のカード名]との共闘」を持っています。この能力は2つの意味を持ちます。1つ目は、互いに相手を助けに来ること。片方が戦場に出たとき、対象のプレイヤーはライブラリーからもう片方を探して公開し、自分の手札に加え、その後切り直すことができるのです。(注釈文ではテキストを簡潔にするため効果が概要で書かれていますが、通常通りライブラリーを探し、その後切り直してください。)

 2つ目は、「~との共闘」でペアになっているカードは2枚一緒に統率者として使用できます。これは元になった能力である『統率者(2016年版)』の「共闘」と大部分は同じです。統率者戦でない場合は、この部分に意味はありません。共闘との違いは、共闘が他に共闘を持つクリーチャーならどれでも一緒に統率者として使用できるのに対して、「~との共闘」ではペアになっている2枚でしか使用できないという点です。例えば《空想の友人、トゥーシー》と《激情の薬瓶砕き》を共闘させることはできないのです。『バトルボンド』に登場する「~との共闘」持ちの中には、伝説のクリーチャーでないものもあることにご注意ください。伝説のクリーチャーでなければ、統率者として使用できません。

助力

 武勇の場ではあなたひとりでやらなければいけないことはそう多くありませんが、呪文を唱えることはそれに該当します。そしてその常識を覆すのが、新たな「助力」能力です。《参集》をご覧ください。

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 助力を持つ呪文を唱える際に、あなたは他のプレイヤーを1人選びます。選ぶのは(積極的に助けてくれる)チームメイトでも(助けてくれるよう仕向けた)対戦相手でも大丈夫です。選ばれたプレイヤーは、その呪文の総コストのうち不特定マナの部分を好きなだけ支払ってあなたを助けることができます。ただし色マナの部分の支払いは助けられません。《参集》の場合、{U}はあなたが支払わなければいけませんが、{2}は他のプレイヤーが代わりに支払うことができるのです。

 支払いを助けてもらうプレイヤーの選択は、助力を持つカードを公開して、対象などの必要な選択をすべて行った後に行います。そのため、他のプレイヤーは何に対してコストを支払うのかがわかります。選択したプレイヤーがコストの支払いを拒否した場合、あなたは自分でコストを支払って呪文を唱えることも、あるいはその呪文を唱えるのをやめて巻き戻すことも選択できます。

支援

 「チームワークが夢を叶えてくれる」とよく言われます。叶えたい夢が敵を打ち負かすことであるなら、チームを強化することがその近道でしょう。『ゲートウォッチの誓い』で登場した「支援」は、クリーチャーへ+1/+1カウンターを与えます。同じく『ゲートウォッチの誓い』から再録されるこちらの猛禽をご覧ください。

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 支援のルールは変わっていません。支援の後に書かれた数字は、対象に取れるクリーチャーの数の上限です。それらのクリーチャーそれぞれに+1/+1カウンターを与えます。クリーチャーが支援能力を持つ場合、そのクリーチャー自身を対象に取ることはできません。ソーサリーやインスタントによって支援を行う場合、どのクリーチャーも対象に取れます。対象の数は書かれた数字より少なくても構いません。ただし、チームメイトのクリーチャーのことをお忘れなく!

味方か敵か

 新たなカード・サイクルを駆使して、友を近くに、そして敵はもっと近くに置いておきましょう。あなたは各プレイヤーにつき、2つの効果から選んで決めます。緑の《ピールの気紛れ》をご覧ください。

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 「味方か敵か」呪文の解決時に、あなたはまず自身を含めて各プレイヤーにつき味方か敵かを選びます。大抵の場合、あなたとあなたのチームメイトで味方を、対戦相手で敵を選ぶことになると思いますが、どちらを選ぶかは自由です。チームメイトに誰がリーダーなのかを知らしめたいときや、最寄りの理髪店がすべて閉まっていたときは、そいつらを敵だと選択するのも良いでしょう。きっと胸がすくことでしょう。

 味方か敵かを選んだら、すべての味方が同時に効果を処理します。その直後にすべての敵が同時に効果を処理します。これらすべてが、呪文の解決時に行われます。その間に呪文を唱えたり能力を起動したりといった行動はできません。効果に選択肢がある場合、味方内(あるいは敵内、両方の場合もあります)でターン順に選択を行います。

 例えば《ピールの気紛れ》の解決時、各味方はターン順に自分のライブラリーから土地1枚を探します。それらの土地はその後同時に公開されます。そのため、事前に他の味方が何を探したかを知ることはできません。その後、各敵はターン順に自分がコントロールしているアーティファクト1つかエンチャント1つを選びます。こちらは、自分より先に選択を終えた敵が選んだものを知ることができますね。その後、それらのアーティファクトやエンチャントがすべて同時に生け贄に捧げられます。

 なお味方か敵かの選択が適用されるのは、そのとき解決された呪文のみです。のちに別の「味方か敵か」呪文を唱えた場合、再び各プレイヤーにつき味方か敵かを選択し直します。

試合開始!

 静まり返った観衆たち。彼らの視線は競技場入り口の暗闇へ注がれます。作戦は決まった。呪文の準備もばっちりだ。あなたはチームメイトへ視線を送ります。過酷なトレーニング、焦がれるほどの大望、代わりに失ったもの……すべては、この瞬間のため。入場曲が流れるなり爆発する歓声。さあ、ショータイムの始まりです。

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