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マナ加速? いや、超加速だ!
マナ加速? いや、超加速だ!
Bruce Richard / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa
2015年6月30日
マナって悩ましいものだよね。どれくらいあれば十分なんだろう? 多すぎるってこともあるんだろうか? こういった疑問の答えは使うデッキによるものだけど、僕にもだんだん答えがわかってきたよ。
タイタンや始原体、ドラゴン、そしてエルドラージを見回すと、僕はいつもマナがもっと欲しくなる。コストの軽いカードだって、能力を複数回起動するには多くのマナが必要だ。単純にデッキの土地の枚数を増やすこともできるけれど、それだって限界はあるだろう。僕としては重くて楽しいカードを唱えるのに7ターンも8ターンも待っていられないから、1ターンに置ける土地の方を増やしたい。そして、デッキの土地の枚数が全体の50%を超えるなんて事態は絶対に避けたい。最初の8ターンのドローがすべて土地、とかひどいことになるからね。そこで、マナ加速の出番ってわけさ。
《木霊の手の内》や《不屈の自然》、そして《砕土》といった仲間たちは素晴らしいカードだ。マナ加速の代名詞と言えるね。僕が緑を含むデッキを組むときは、まず欠かせないやつらだよ。それらは8~10マナ域の真打ちを繰り出すための助けになってくれるだろう。でも8マナじゃ足りないこともあるかな。「もっと欲しい」場面もあるはずだ。といっても、カウベルが欲しいわけじゃない。「サタデー・ナイト・ライブ」の話じゃないよ。《集団的航海》も楽しいカードだけど、対戦相手たちのマナ・トラブルまで解決してしまうのはちょっといただけないね。「自分だけ」のものが欲しいって気持ち、わかるかい? アタルカを繰り出しても、彼女を守れるマナがないんじゃ意味がないよね? 君のプレイ・グループが除去を撃ちあうようなものなら、アタルカを守るマナが必要になるはずだ。さあ、小さなお友達にこんにちはしよう。
加速力:スーパーチャージャー搭載
こいつは、エンジンルームにヘミエンジンを搭載したようなマナ加速呪文だ!〈精霊信者の覚醒〉は、一度に複数の土地を戦場へ追加してくれる。それが基本土地であるかどうかに関わらず、何でも出せるんだ! これだけ加速すれば使えるマナも成層圏へと飛び出して、デッキ内のどんなカードでも唱えられるようになるだろう。アタルカを繰り出して、それを守る手段を構える? もちろんできるさ。いっそ、アタルカと同じ「龍王」を他にも並べちゃえばいいじゃないか!? さらに墓地にソーサリーやインスタントが2枚以上あれば、〈精霊信者の覚醒〉の「魔巧」が機能し、出した土地がアンタップされるぞ。
それじゃあこのカードをもっと詳しく見て、実際に何ができるか確かめよう。
平均すると、デッキ内の土地の比率は40%だ。〈精霊信者の覚醒〉をX=5で唱えると、5枚公開した中に2枚は土地が見つかるだろう。でも土地を2枚探し出すのに6マナも支払うかい? 確かに2枚より多く見つかることもあるけれど、逆にそれより少ない場合もある。6マナでは2枚しか見つからない可能性が高く、その土地が欲しいものじゃなかった場合は特に、物足りなさを感じるかもしれないね。
〈精霊信者の覚醒〉の肝は、「魔巧」にある。墓地にソーサリーやインスタントが2枚以上あれば、戦場に出た土地がアンタップされるんだ。つまり、土地を得るのに6マナかかった呪文が、実質4マナになるってわけさ。これなら歓迎だね! しかも出せる土地の種類に制限はない。『テーロス』ブロックの「神殿」を出せば、占術を行えるだけでなく、それがアンタップされる。もちろん他の「タップ状態で戦場に出る」土地も同じだ。ラヴニカの「ショック・ランド」は「デュアル・ランド」同然のものになるし、『タルキール』ブロックの「ライフゲイン・ランド」はさらに良いものになる!《アゾリウスの大法官庁》が出た場合は土地を1枚手札に戻さなきゃいけないけれど、すぐに2マナを生み出せるぞ! これこそが〈精霊信者の覚醒〉の真の力さ!
ちょっと先走り過ぎじゃないかと思われるかもしれないけれど、「魔巧」を達成するのは難しいことじゃない。〈精霊信者の覚醒〉を運用するデッキなら他のマナ加速呪文も採用しているだろうから、〈精霊信者の覚醒〉が輝ける瞬間はあるはずだ。そういったマナ加速をするソーサリーはもちろん、他にも対戦相手のクリーチャーを除去したりこちらのクリーチャーを守ったりする呪文を使って普通に戦っているうちに、特に苦労することなく墓地にソーサリーやインスタントが2枚落ちているはずさ。
問題点
〈精霊信者の覚醒〉をよく見ると、このカードにはふたつの「弱み」があることがわかる。
まずこのカードは、ゲーム序盤のマナ加速には向かない。3マナや4マナ程度では〈精霊信者の覚醒〉を唱えたくならないんだ。X=3以下で唱えても、きっと1枚しか土地を伸ばせないことが多いだろう。これではせっかくの力が無駄になるね。また、ゲーム序盤ではたぶん「魔巧」の恩恵も受けられないだろう。それじゃダメだ。他にもっと良い選択肢がたくさんあるはずだ。
もうひとつの弱みは、効果のほどがわからないことだ。一体いくつ土地が出せるんだろう? 確率から予想することはできるけれど、まったく土地が公開されず有用なカードがライブラリーの一番下に持っていかれてしまうことだってあるはずだ。それから、一体どの土地が公開されるんだろう?《平地》が必要なときもあるし、《ケッシグの狼の地》が欲しい場面もあるだろう。でも〈精霊信者の覚醒〉は必ずしも欲しい土地を持ってくるとは限らないんだ。そこで君に必要なのは、ライブラリー・トップをいじる手段を得ることだ。ライブラリーの一番上にどんな土地があるのか知っていれば、そして(X=5だとして)上から5枚の中に何枚土地があるのか知っていれば、〈精霊信者の覚醒〉はとんでもない力を発揮するんだ! 公開された5枚がすべて土地だったら、飛び上がって喜んでしまいそうだね!
手を差し伸べよう
さて、〈精霊信者の覚醒〉が抱える弱みを抑えてそのとんでもない力を発揮させるためには、ライブラリーの一番上を知る手段が必要になる。そういうときにうってつけなのは《師範の占い独楽》だけど、ライブラリーの上の方を確認できるカードなら何でも十分に役立つだろう。手に入る土地を把握し、〈精霊信者の覚醒〉を効果的に使えるかどうか確かめることができるはずだ。もちろん、ライブラリーの上から何枚かを操作できる手段があれば金賞ものだね。ライブラリーの上に土地を積み上げれば、〈精霊信者の覚醒〉が土地の大量展開を実現し、もう対戦相手の手に負えないことになるだろう。
《偵察行》 アート:Stephanie Law |
そこで活躍するのが、《偵察行》だ。《偵察行》を唱えれば、ライブラリーの上に〈精霊信者の覚醒〉で出せるだけの土地を用意することができる。すべてのマナを注ぎ込めば、土地の枚数がほぼ倍になるんだ。土地が6枚ある状態で《偵察行》を唱えたら、ライブラリーの上から5枚を土地にしてやろう。それから〈精霊信者の覚醒〉をX=5で放てば、公開された5枚の土地がすべてタップ状態で戦場に出るぞ。そのときには《偵察行》が墓地にあるため、すでに「魔巧」で土地をアンタップする条件は半分満たされている。こうなると、ゲーム序盤に唱えた《不屈の自然》がもっと輝くよね?「魔巧」によって、〈精霊信者の覚醒〉のコストが実質1マナになるんだ! アンタップした5マナを使って、他の呪文も唱えられるだろう。そして次のターンを迎えたら、ほぼ2倍に膨れ上がったマナで好きなカードを使ってやろう!
アベンジャーズ覚醒
〈精霊信者の覚醒〉には他にも、一度に土地を複数枚置ける、という利点がある。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と合わせて《山》を置けば、驚くほどのダメージを叩き出すぞ。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が戦場にある状態で《偵察行》を唱え、《山》を5枚持ってきたら、その後に起こることを悟った対戦相手はきっと悪夢にうなされるだろうね。複数の土地が一度に戦場に出たら、能力もその数だけ誘発するんだ。
《ゼンディカーの報復者》 アート:Zoltan Boros & Gabor Szikszai |
僕としては特に、他に複雑な準備がいらない「上陸」を活かしたい。《冒険者の装具》を装備したクリーチャーは突然巨大になるし、「上陸」1回あたりたった3枚と怖くなさそうな《面晶体のカニ》も、複数の土地が一度に出れば恐ろしいデッキ削りマシーンと化すだろう。《エメリアの天使》は仲間を大量に連れてきて、1ターンにして盤面を埋め尽くす飛行軍団を作り上げてくれる。《堕ちたる者、オブ・ニクシリス》は自身のサイズを一気に上げ、同時に対戦相手に甚大な苦痛をもたらすはずだ。僕は確信しているよ。ゴルガリの魔道士たちなら、〈精霊信者の覚醒〉を何度も唱え、対戦相手に直接手を触れずして仕留めることができるだろうと!
でも今回は、《ゼンディカーの報復者》が一番の注目株かな。
16 《森》 4 《カルニの庭》 4 《巨森、オラン=リーフ》 -土地(24)- 4 《水蓮のコブラ》 4 《放牧の林鹿》 4 《マナの座、オムナス》 4 《クローサの拳カマール》 4 《ゼンディカーの報復者》 -クリーチャー(20)- |
4 《偵察行》 4 《木霊の手の内》 4 《職工の悲しみ》 4 〈精霊信者の覚醒〉 -呪文(16)- |
《ゼンディカーの報復者》を繰り出すのに必要なマナを用意するもよし、「上陸」能力をいくつも誘発させて植物を大きくするもよし。〈精霊信者の覚醒〉によって、《ゼンディカーの報復者》はさらに輝きを増すだろう。《水蓮のコブラ》と使えばマナの総量が増えて、まさに「覚醒」するほどのターンを送れるはずだ。《放牧の林鹿》はライフを支えてくれて、これは爆発的なスタートを切ってくるデッキと当たったときに助かる。《マナの座、オムナス》は、いわば保険だね。必要なマナが揃うほど十分に土地が集まったら、1ターンで使い切れないマナを貯めておける集積所として使うんだ。それから戦線が横に広がって植物・トークンではゲームを決められないときに、途方も無い大きさの《マナの座、オムナス》が道をこじ開ける手段になってくれるだろう。
貯め込んだマナの使い道には、《クローサの拳カマール》がある。《クローサの拳カマール》は、〈精霊信者の覚醒〉で集めた土地をすべて1/1のクリーチャーにしてくれる。そしてさらにマナを注ぎ込めば、クリーチャーすべてにパワーとタフネスの強化とトランプルを与えることができるんだ。マナがたっぷりとあれば、その能力を何度も起動して、植物・トークンやその他のクリーチャーを手に負えないほど巨大にできるぞ。攻撃するのが《マナの座、オムナス》1体だとしても、そこへトランプルを付与することで想像を絶する脅威になるはずだ。
《職工の悲しみ》は、ゲーム序盤の厄介なアーティファクトやエンチャントを除去し、その後も墓地で「魔巧」達成に一役買ってくれる。「魔巧」によって土地がアンタップすれば〈精霊信者の覚醒〉自体のコストはかなり軽くなるから、続けて他の脅威を繰り出すこともできるね。たとえその場で脅威を出せなくても、対戦相手に次のターンへの恐怖を感じさせることはできるだろう。
〈精霊信者の覚醒〉 アート:Chris Rahn |
僕のプレビュー記事ではよくあることだけど、このデッキリストはまだ最適なものとは言えず、むしろみんなに考えることを楽しんでもらえるようなアイデアを紹介するものとなっている。〈精霊信者の覚醒〉は、ここじゃ書き切れないほど多くの使い方があるカードだ。もしかしたら君たちの中には、《地下牢の管理人、グレンゾ》と一緒に使いたいって思っている人がいるかもね! 大量の土地で《地下牢の管理人、グレンゾ》を強化し、ライブラリーの一番下からクリーチャーを展開しまくろう!
カジュアル・マジックの世界には、重いけれどド派手な呪文がいっぱいある。規格外でとんでもないものばかりだ。テーブルを囲むプレイヤー全員が両手を上げて「信じられない」と声をあげたら、頑張ったかいがあるよね。〈精霊信者の覚醒〉はきっと、その手助けをしてくれるはずさ。
ブルース・リチャード/Bruce Richard (@manaburned mtgseriousfun@gmail.com)
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