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ドロモカの命令
ドロモカの命令
Jacob Van Lunen / Tr. Masashi Koyama / TSV Yusuke Yoshikawa
2015年3月10日
ようこそ、DailyMTG.comの『タルキール龍紀伝』プレビュー第2週へ! 今日ご覧に入れるのは、今まで刷られた呪文の中でも、僕が大好きな1枚だ。マジックは僕たちに選択肢を持てることで楽しみがあるゲームで、今日のプレビューカードが作り出せるプレイのパワフルさにいささかも不足はない。
選択肢というのはマジックをプレイするにあたって大事なものだ。僕がこの教訓を得たのははるか昔のことで、初めて《火 // 氷》を見た時のことだ。もちろん、このカードはどちらの面も良いものではあったけど、そのどちらも構築で使うのに特に強い印象があったわけではなかったんだ。地元の店舗の先輩プレイヤーが言うには、カードが示してくれる選択肢によって、カードの強さが決まる、ということだった。どちらか片面一方のみを強化したカードよりもこのカードは強力だろう。というのも、このカードは適切な状況なら必ず何かしらやってくれるからだ。
《セレズニアの魔除け》は『ラヴニカへの回帰』で僕が大好きなカードの1枚だ。ピンチの時にはクリーチャーを生み出してくれるし、価値ある強化呪文として働くこともあれば、テーブルの反対側にいる最高のクリーチャーを仕留めてくれることもある。《セレズニアの魔除け》のどの選択肢も単体では構築で使うのには不十分だけど、広い範囲の選択肢を与えてくれたことで、スタンダードにおいて重要なものになったんだ。
アート:James Ryman |
《謎めいた命令》はこれまで刷られた中で最も強力な4マナ呪文の1枚だ。複数の強力な選択肢の中から2つを選べることで、《謎めいた命令》はいつだって避けられない死から救ってくれたり、レースを有利なように逆転してくれたり、うまみのある2対1交換を取ってくれたものだ。
さあ想像してみよう。《セレズニアの魔除け》と《謎めいた命令》が恋に落ちて子供を産んだところを。《ドロモカの命令》をご覧あれ!
この呪文はこれだけでゲームに勝つ可能性を秘めている。たった2マナで2つの有用な選択肢を選ぶことができる。有用な選択肢というのが結果的に弱いものになると考える人もいるかもしれないけど、僕たちが手に入れたのは4つのとても適切な能力で、そのどれもが正しい場面でプレイすれば1枚のカードに匹敵するんだ。
これが《ドロモカの命令》についての命題だ。話題に上っている2対1交換(1枚のカードを対戦相手のカード2枚と取引することだ)というのは実際の盤面に影響を与える。マジックにおいて2マナで2対1交換を取るというのは実に珍しく、それは強力だからこそできるものだ。《Hymn to Tourach》のようなカードが広大なカードプールのレガシーで見られるのは、2マナで対戦相手のカードを取り去ってしまえる能力だからだ。スタンダードやモダンのようなフォーマットでは、《ドロモカの命令》はひょっとすると、対戦相手がすでにマナを支払った2枚のカードに対処できるのだから、ずっと強力かもしれないね。
それでは、《ドロモカの命令》のそれぞれの有用なモードについて見て、どうやってカードに繋がるのか話そうじゃないか。
選択肢を理解しよう
最初の選択肢はこのターンにインスタントやソーサリーが与えるダメージを軽減するというものだ。最も分かりやすい使い方は、《稲妻の一撃》や《かき立てる炎》といった火力呪文からクリーチャーを守る能力だけど、同時に注目してほしいのは巨大な《火口の爪》を実質的に打ち消し、敗北を回避するために使うことができる、ということだ。
2つ目の選択肢は、ぱっと見るといちばん弱々しそうだけど、実はこのカードで最も重要なテキストになるかもしれない。「プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはエンチャントを1つ生け贄に捧げる。」というのは《大歓楽の幻霊》や《払拭の光》、《エレボスの鞭》、そして《破滅喚起の巨人》といったカードを対処できる、とても強力な除去呪文になる。ここ最近のスタンダード環境でのパワーレベルの観点から考えると、エンチャントを破壊することは、クリーチャーを破壊することと同じようなものだろう。モダンでは、このモードのおかげで、緑白を使うプレイヤーたちは《欠片の双子》コンボ戦略相手に、マナカーブから外れる《クァーサルの群れ魔道士》の必要なしに、もっと相手に応じたゲームプランを練ることができるようになるだろう。そしてさらに注目すべきことは、《ドロモカの命令》は対戦相手にエンチャントを生け贄に捧げさせることで、《鍛冶の神、パーフォロス》のようなカードに対処できるんだ。このカードは神の殺人者として試され、認められている。
3番目のモードは、最も一貫して有効な選択肢だ。ほとんどの場合、この呪文の他のモードについてくるささやかなおまけとしてこれを軽く投げることになるだろう。僕らの仲間がパンプアップして対戦相手の《クルフィックスの狩猟者》を殺すのは2マナとしてはかなりお得だ。加えて、このモードのおかげで対戦相手がタップアウトしている時に僕らの《先頭に立つもの、アナフェンザ》や《萎れ葉のしもべ》で《包囲サイ》をなぎ倒すことや、《タルモゴイフ》同士の戦いに勝つことができるんだ!
最後のモードは、このカードを「とても良い」の世界から「完全にイカれてる」へと打ち上げるものだ。さて、少なくとも《ドロモカの命令》が提示しているのは2マナで、インスタントタイミングの《弱者狩り》だ。しばしば、対戦相手のクリーチャーのどれかより優れたクリーチャーをコントロールしていることだろう。言いかえれば、緑白をプレイしていれば、いつだってファッティをコントロールしているものだ。格闘の能力があれば、対戦相手のクリーチャーのどれかを殺しながら、エンチャントを生け贄に捧げさせるといったことが頻繁に起こることだろう。スタンダードでは《血の暴君、シディシ》と《エレボスの鞭》を1枚でサクっと対処することで皆を驚かせることだろう。モダンでは《貴族の教主》の能力が誘発するのに合わせて仲間をパンプアップして効率的な除去として使いながらエンチャントを殺したり、《稲妻》を打ち消したりできそうだね。
命令実行中
よし、このカードがすごいってことは明らかだけど、どんなデッキに入れればいいんだろうか?
まずはスタンダードで、明らかにこのカードの居場所である、アブザンから見ていこう。
3 《森》 1 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《ラノワールの荒原》 2 《コイロスの洞窟》 4 《静寂の神殿》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《ラクシャーサの死与え》 3 《荒野の後継者》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(21)- |
4 《思考囲い》 3 《胆汁病》 2 《アブザンの魔除け》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 4 《ドロモカの命令》 -呪文(15)- |
《ドロモカの命令》は、比類ない多様性を持った効率的な除去の選択肢として、このデッキを全てのマッチアップでより強いものにしてくれると言ってもいいくらいだ。
《ドロモカの命令》はスタンダードだけの動力源じゃない。このカードはモダンの緑白戦略にとって完璧な補強であるように見える。
3 《森》 1 《平地》 1 《沼》 2 《寺院の庭》 1 《草むした墓》 1 《神無き祭殿》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《新緑の地下墓地》 3 《剃刀境の茂み》 3 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 4 《復活の声》 2 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《台所の嫌がらせ屋》 2 《ロクソドンの強打者》 4 《萎れ葉のしもべ》 1 《包囲サイ》 -クリーチャー(25)- |
4 《流刑への道》 4 《未練ある魂》 4 《ドロモカの命令》 -呪文(12)- |
先月のプロツアー『運命再編』で見られたのは、緑白デッキがミッドレンジやアグロ戦略だらけのフィールドを勝ち抜いているところだった。緑白デッキはチーム「Face to Face」や「ChannelFireball」に支持され、《欠片の双子》デッキの類との試合のために黒をタッチすることを必要としていた。今、《ドロモカの命令》がこのデッキに与えてくれるのは、図らずも不揃いな利点を数多く搭載する、力強い除去の選択肢だ。そしてまた、+1/+1カウンターが《台所の嫌がらせ屋》の頑強をリセットしてくれることも見逃せないね。
まったく疑う余地がなく、《ドロモカの命令》は来たる何年もの間、構築シーンで確固たる地位を築くことだろう。頻繁に対戦相手のパーマネント2枚をたった1枚のカードと2マナで対処する《ドロモカの命令》は、多才なインスタント呪文の新たな基準を設定することになる。《ドロモカの命令》のようなエキサイティングな新カードたちを初めてプレイできる機会、お近くのプレリリースを逃さないようにしよう! ほとんどの店舗はもう事前受付を受け入れていて、そんなに多くの余裕は無いからね。
知は力なり、だ!
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