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プロツアー『マジック2015』プレビュー
プロツアー『マジック2015』プレビュー
Rich Hagon / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa
2014年7月28日
つまるところ、皆さんがあれこれ理由をつけて納得する必要はないのです。ただそこにマジックがあり、プロツアーがある。この週末の3日間にわたり、ポートランドの地から膨大な量のテキスト・カバレージとビデオ・カバレージが溢れ出てきます。まあ、この週末は皆さんひとり残らず画面の向こうにいらっしゃって数々のカバレージをご覧になっているのが当然でしょうから、私は今年のワールド・マジック・カップでボリビア代表のリーダーが誰になるのかを見守る仕事に戻っても大丈夫ですよね?(私はカルロス・トリーコ/Carlos Torricoだと予想していますよ)。
ダメ? なぜ皆さんが私たちと一緒にプロツアー観戦をすべきなのか、その理由を私の口からどうしても聞きたいって? ふむ、オーケー、いいでしょう。じゃあ1分だけですよ。
JeremyReidJaredWCWMCM15StdGold/PlatinumHOFPT&GPFabrizioTeamCrossraceAllStarInteractAllSundayLSV.
ご満足いただけました? ああこれでもダメとは、皆さんなかなかしぶといですね。
わかりました、ご説明しましょう......
Jeremy―ジェレミー
昨年ダブリンで行われたプロツアー『テーロス』にて優勝を勝ち取ったフランス人プレイヤー、ジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezaniのことです。彼は私がこの記事を書いている今(この後ボストン-ウースターと台北で今シーズン最後のグランプリが控えている現在の時点では)、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースの先頭を走っています。ヨーロッパ開催のグランプリをすべてこの目で見てきた者として申し上げますが――それは2006年から私に与えられた特権なのです――、正直、ジェレミー・デザーニは私が見てきた中でもとりわけ迫力あるプレイヤーのひとりです。彼がマジックをプレイしようと席につけば、それはもはやただのゲームではなく、「意地と意地のぶつかり合い」などにはならず――「戦争」と化すのです。ジュネーブ条約に則り、捕虜を連れ回さない戦争に。いずれも凄まじい知力を持ったプレイヤーたちをデザーニが次々と跡形もなく打ち砕いていく様子は、それだけで目が離せない演目となるでしょう。そして、私の予想通りに彼がポートランドでプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得すれば、私たちは今シーズン中に行われた様々な試合を挙げ、「私たちだけじゃなくて、ほとんどどんなプレイヤーでもデザーニには敵わないんだなあ」と心の中で認めることになるのです。今大会の会場にも、彼以上に手強い「遠征組」はまずいません。まさに怪物ですね。
Reid―リード
リード・デューク/ Reid Dukeのことです。先月のグランプリ・ミラノ2014(リンク先は英語)でデザーニが「これしかない」という成績を収めプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースの先頭に踊り出るまでは(つまり、シーズン中のイベント全体を通して勝ち続けているのです)、デュークが先頭を走っていました。だいぶ昔のことのように思えますが、彼はイスラエルのシャハール・シェンハー/Shahar Shenharが有する世界王者の座にあと一歩のところまで迫ったプレイヤーです。それは2013年、夏の出来事でした(覚えています?)。グランプリ・マイアミ2013での優勝、そしてアトランタで開催されたプロツアー『ニクスへの旅』で果たされた感動的なトップ8初入賞、最近のシーズンでデュークはめざましい躍進を遂げているのです。この週末が終わったとき彼がデザーニを上回っていれば、飽くことなくカードを横向きにし続けた偉大なプレイヤーのひとりに名を連ねること間違いなしでしょう。
Jared―ジャレッド
ジャレッド・ベッチャー/Jared Boettcherのことです(発音としては「ベッチャ」に近いのですが、私はぜひ彼とベン・ユー/Ben Yuとのフィーチャー・マッチが実現して欲しいと切に望んでいます。その理由は明白ですね)。プレイヤー・オブ・ザ・イヤー争いがほぼ確実にデザーニとデュークの一騎討ちになっている一方、ルーキー・オブ・ザ・イヤー争いの方は「誰が勝つかわからない」ほどの接戦になっています。ですが正直なところ、ベッチャーがかなり有力な候補と言えるでしょう。彼は現時点ですでに翌シーズンのプロ・プレイヤーズ・クラブ「プラチナ」レベルを確定させています。ルーキー・オブ・ザ・イヤーのタイトルはまだ確実なものになっていないとはいえ、想定されるライバル5人のうち4人にとって、ベッチャーを捕らえ来週の水曜日にクリスマスを迎える準備ができるようになるには、なんとしても「プロツアー優勝」をもぎ取らなければならないのです。ベッチャーがこのままルーキー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを獲得することになるのでしょうか? もちろんですとも。(訳注:2人の名前を組み合わせると「Yu/Boettcher≒You betcha=もちろんだよ」となります)
WC―世界選手権
ウォーター・クローゼット/Water Closetの略語、つまりトイレのことですね。大会中は(それ以外でも――人生の教訓として)常に、トイレの場所を知っておくと良いですよ。それからWCは、世界選手権/World Championshipの略でもあります。プロツアーの歴史上でもそうお目にかかれない圧巻のパフォーマンスを見せた、プロツアー『ニクスへの旅』優勝者、パトリック・チャピン/Patrick Chapin。彼は心の底から勝ちたいと思っているある大会への出場権を得るために、アトランタでのプロツアーを必死に戦い抜きました。その大会こそが、12月の「ワールズ・ウィーク」に刻まれる伝説のひとつ、世界選手権なのです。
世界選手権では総勢24名のプレイヤーたちが対峙し、様々なフォーマットで覇を競います。厳密に言えば、今の時点で出場が決まっているのは6人だけです。
- 世界選手権2013王者、シャハール・シェンハー
- ワールド・マジック・カップ2013優勝チームのキャプテン、ラファエル・レヴィ/Raphael Levy
- 2013年度「Magic Online」王者、ラース・ダム/Lars Dam
- プロツアー『テーロス』優勝者、ジェレミー・デザーニ
- プロツアー『神々の軍勢』優勝者、ショーン・マクラーレン/Shaun McLaren
- プロツアー『ニクスへの旅』優勝者、パトリック・チャピン
ここまでで新たにふたりの強敵を迎え、目をみはるばかりのプレイヤーが揃っています。幸いなことに、私たちは世界選手権の出場枠についてより良いアイデアを思いつきました。皆さんはこれから、5つの地域それぞれにおけるトップ・プレイヤーたちに加えて、ルーキー・オブ・ザ・イヤーやプロツアー『マジック2015』優勝者の名前を、世界選手権出場者として目にすることになります。そして残りの枠はプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースの上位者で埋められます。この大会では、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーが、殿堂顕彰者たちが、そしてプロツアー・チャンピオンたちがしのぎを削る様子を、カメラが映しだしてくれるのです。
WMC―ワールド・マジック・カップ
WCにMの1文字を加えると、「ワールズ・ウィーク」もうひとつの大会になります。72を数える国々が、2日間にわたる激戦、深い友情、胸高鳴るドラマ、そして栄冠を求めて、それぞれ4人ひと組のチームをフランス、ニースの地へ送り込みます。ワールド・マジック・カップ予選はまだこれからですが、72カ国それぞれのチーム・リーダーはこの日曜日までにはすべて決まるでしょう。以下に、とりわけ熱いワールド・マジック・カップ出場争いをいくつか挙げます。
- ベルギー代表――マリーン・リバート/Marijn Lybeartが家で成り行きを見守っていることでしょう。果たしてグランプリ優勝経験者であるアレクサンドル・ダラス/Alexandre Darrasやグランプリ・トップ8入賞経験を持つヨハン・フェルフルスト/Johan Verhulstは、リバートを捕らえることができるでしょうか。
- ブラジル代表――ウィリー・エデル/Willy Edelがかなりのリードを得ていますが、彼も知っているはずです。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaが今大会でトップ16入り以上の成績を収めるのは十分にあり得ることであると。
- カナダ代表――アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne、ジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilson、ジョン・スターン/Jon Stern、サム・ターマラトナム/Sam Tharmaratnam。誰もが凄まじい強さを秘めており、プロツアー『神々の軍勢』を制したショーン・マクラーレンが持つ席を奪う可能性があります。
- ドイツ代表――モダンの達人、パトリック・ディックマン/Patrick Dickmannがリードしており、そこへグランプリ・バルセロナ2014を制したクリスチャン・サイボルト/Christian Seiboldが続きます。それから、3位にいるのは――カイ・ブッディ/Kai Budde。なんてこったい。
- ハンガリー代表――「タマーシュ」がチームを率いることになるでしょう。さて、タマーシュ・グリード/Tamas Gliedかタマーシュ・ナジ/Tamas Nagyか? どちらが率いることになっても、昨年のワールド・マジック・カップ決勝でフランスに《ラクドスの復活》トップデッキを受けた雪辱を果たしに行くことでしょう。
- イタリア代表――プロツアー・フィラデルフィア2011優勝者、サミュエル・エストラティ/Samuele Estrattiと、プロツアー『ニクスへの旅』の「King of the Hill」に君臨したアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciが直接対決の様相を呈しています。
- 日本代表――ええそうですとも......渡辺、山本、中村、三原、市川、八十岡、行弘、齋藤。日本にはまだ、とんでもない激戦が残っているのです。
- オランダ代表――殿堂顕彰者、カミエル・コーネリセン/Kamiel Cornelissenのすぐ後ろを、こちらも殿堂顕彰者、フランク・カーステン/Frank Karstenが追います。
- シンガポール代表――こちらもかなりの接戦。カバレージ常連のシム・チャップマン/Sim, Chapmanをケルヴィン・チュウ/Kelvin Chewがわずかに上回っています。
- スロバキア共和国代表――ヨーロッパのグランプリ界隈で大御所とされているマテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkajと、世界選手権2010での優勝を含め6度も代表チーム入りを果たしているイワン・フロック/Ivan Flochの対決。カバレージ班として見逃せない熱さです。
- スペイン代表――闘牛士を務め、マントを振るうのはハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez。群れを成して迫る若き猛牛たちを寄せ付けないよう、奮闘しています。(どうしても知りたいならお教えしましょう。猛牛は9頭いますよ)。
- スウェーデン代表――ヨエル・ラーション/Joel Larssonが一歩リードしていますが、デニス・ラシド/Denniz Rachidやオーレ・ラーデ/Olle Radeが最後に伸びを見せる可能性を考えると、決して安心はできません。
そして、皆さん気になっているかもしれませんが、リード・デュークはきっと今年のワールド・マジック・カップでアメリカ代表のキャプテンを務めることになるでしょう。プロツアー・トップ8を経験しているというだけでも、続く者たちをうまく助けることができるはずです。とはいえ、その続く者たちには殿堂顕彰者2名、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー2名、プロツアー優勝者2名、そしてプロツアー・トップ8入賞経験者が24名いますけどね。
M15―『基本セット2015』
正式には、『基本セット2015』ですね。基本セットには極めて純粋なカードが収録されており、プレイヤーたちは決して立ち位置を見失うことがありません。《予言》は手札がちょうど1枚多くなるようにカードをもたらしてくれますし、《夜の子》は何を受けても死亡しますが、それまではライフを稼いでくれます。またカードを読めるなら、ドラフトでプレインズウォーカーを引き当てたのにそれを流すなんてことをする人はいないでしょう。知恵を持たない緑の大型クリーチャーたちは、他のどんな環境よりも大きく、獣的です。数々の除去呪文は「殺すぞ、絶対殺すぞ」と口を揃え、「木曜日でなければ」「サイドボードにエンチャントがなければ」などとは言いません。皆さんが基本セットに収録されたクールなカードに触れれば、呆れるほどの強さを感じることでしょう。なぜなら何が起こるのかを余すところなく理解できるのですから――あなたのアップキープの間にタイムスタンプが3つあります、なんて言われるのと違ってね。
『基本セット2015』は基本セットの伝統にふさわしい新作ですが、その一方で、多くのカードの挙動を正確に知るのは私たち人間だけです。基本セットがその中身を広げ、「僕にできるのはこれくらいだよ」と言うかどうかは、プロたちの手に委ねられているのです。今大会は2日間とも、『基本セット2015』ドラフト3回戦から始まります。私もこのドラフト環境に飛び込むのが待ちきれません。ライブ・カバレージが始まり次第、私たちはふたりのプレイヤーに注目してドラフトの様子をお伝えします。その瞬間に、『基本セット2015』ならではの楽しさがその場に刻まれるのです。
Std―スタンダード
これは何の略語かと言うと......いや、やめましょう。スタンダード/Standardの略です。ええ、わかっています。私たちはお互いに正直であるべきで、誰もが現在のスタンダードに、ええと、高い「信心」を持っているわけではないということを認めなければなりません。どのフライデー・ナイト・マジックに行っても最前線はお決まりのデッキ、という状況で遊ぶプレイヤーの多くが、テーブルに持ち込まれる60枚のデッキが大きく変わることを切に望んでいるのです。ここだけの話、この後の見込みは正直なんとも言えません。環境を停滞させている力は強力で――プロたちはここまでほぼ1年にわたり「黒単信心」と「青単信心」を使い続けてきました。そして『マジック2015』にも、プロツアーという重大な試練の場でデッキを変えさせるほどの影響は必ずしもありません。しかしながら、その中でもなんとかしてメタゲームに変化を与えたプレイヤーには、必ずや大きな見返りがくるでしょう。いつものように、ブライアン・デヴィッド=マーシャル/Brian David-Marshallが3日間を通してチームを引き連れ、ベスト・デッキの数々を皆さんにお届けします。
Gold/Platinum―ゴールドとプラチナ
移り変わるものごとすべてに絶えず注意を向け続ける、というのは簡単なことではありませんが、それに挑戦することはできるはずです。大々的に知らされるトロフィーのゆくえやマネー・フィニッシュとは別に、この週末に「ゴールド」レベル(35ポイント)や「プラチナ」レベル(45ポイント)に達するプレイヤーたちはその人生が大きく変わるのです。一例を挙げますと、そもそもプロツアーの舞台に立つのは本当に難しいことです。そして「ゴールド」レベルの大きな特典のひとつとして、翌シーズンのプロツアーすべての権利を得られるというものがあります。ええ、もうメイン・イベントの舞台に戻るため膨大な参加人数を集めるプロツアー予選に行かなくて済むのです。他にもグランプリでの不戦勝に加えて、プロツアーに参加するたび500ドルの参加褒賞(訳注:プロツアー『タルキール覇王譚』から500米ドルの参加褒賞に替わり、ゴールド・レベルのプロプレイヤーにはシーズンの各プロツアーで航空券費用が支払われます。詳しくはこちらの記事をご覧ください)、ワールド・マジック・カップ予選への参加資格、それから「うん、今年はちょっと届かなかったけれど、来年また、いや今後は毎年必ず君に会いたいよ」と言いたくなるような様々な特典が受けられます。
一方「プラチナ」レベルは、真のエリートが仕事として励む地位です。グランプリの不戦勝は3つ。シーズン中すべてのプロツアーの参加権。グランプリでのスリープ・イン・スペシャル・サービス。250ドルのグランプリ参加褒賞。各プロツアーでの航空券と宿泊場所の無料手配。1,000ドルのワールド・マジック・カップ参加褒賞。3,000ドルのプロツアー参加褒賞。「プラチナ」レベルに到達すれば単純計算で約20,000ドルの保証を受けることができ、さらにこの数字には賞金が一切含まれていないのです。今大会では、土曜日の午後(訳注:日本時間では日曜日の午前中)に「プラチナ」レベルをかけた試合がいくつも現れることでしょう。そしてそれらの試合はきっと素晴らしいものになるはずです。
HOF―殿堂顕彰
殿堂顕彰/Hall of Fameの略語です。プロツアーの歴史家ブライアン・デヴィッド=マーシャルは、ポートランドの地でかなり忙しい時を過ごすことになるでしょう。それでも、マジック・プロツアー殿堂の投票結果を皆さんにお伝えする、という仕事ほど彼を喜ばせるものはないのです。マジック界の偉人と貢献者で組織された選抜委員会が投票を終え、殿堂顕彰を受けた歴史に名高い伝説たちと肩を並べるのがいったい誰になるのか、皆さんはその答えを知ることになります。待つ時間もあとわずか、金曜日のランチタイム・ショーとして(訳注:日本時間では土曜日の早朝)お伝えします。
PT&GP―プロツアーとグランプリ
この週末に発表されるのは、殿堂顕彰者だけではありません。時間や場所に関わらず、プロツアーの出場権を獲得するということは皆さんの多くが嬉しく思うことでしょう。そこで私たちは皆さんの2015年の予定を埋めるべく、土曜日のランチタイム(訳注:日本時間では日曜日の早朝)を使う予定です。2015年に行われるすべてのプロツアーについてその日程や開催場所をご案内し、皆さんの地域にやって来るグランプリにつきましてもその概要をお伝えします。皆さんが参加したくなるイベントの数は――数えきれないほどになるでしょう。
Fabrizio―ファブリツィオ
ファブリツィオ・アンテーリ/Fabrizio Anteri。この人柄の良いベネズエラ人プレイヤーは、現在ロンドンに居を構え、(今大会で想定外の異常が起きない限り)「ワールズ・ウィーク」にはイングランド代表を率いてワールド・マジック・カップに出場するであろう男です。他の年を人材の強さと厚さの両面から公平な視点で眺めた上で、今シーズンはこれまで見てきた中でも最高のひとつであると私は心から信じています。その要因の一部はアメリカのプラチナ・プロたちの大活躍によるものであり、私がこの記事を書いている間も彼らの多くはまだプレイヤー・オブ・ザ・イヤーについての議論の中心にいます。一方、ヨーロッパを主戦場にするアンテーリもまた、今シーズン絶大な活躍を見せる1年を過ごしてきたと言えるでしょう。グランプリ・ワルシャワ2014(リンク先は英語)に続けてグランプリ・マンチェスター2014(リンク先は英語)を制し、彼は史上7人目のグランプリ連覇を果たしたのです。皆さんは他の6人の名前をどれだけご存知でしょうか?
カイ・ブッディ。津村健志。ラファエル・レヴィ。齋藤友晴。渡辺雄也。オーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwald。
殿堂顕彰者3名に加え、いつか必ずその座につくことを待望する3名です。アンテーリの話に戻りますが、彼のやるべきことリストに書かれた次の項目は「プロツアー・トップ8初入賞」です。ベネズエラの人々がワールド・マジック・カップに向けてフランス国旗の赤と白と青に染まる前に。
Team―チーム
私たちがこうしてお話をしている間にも、様々なチームが(そして「スーパー・チーム」が)慌ただしくポートランドに向けた準備を行っています。そして同時に、マジックの生まれ故郷であるここウィザーズ社が有するチームも、今シーズンの有終の美を飾るべく陣容を整えています。テキスト・チームからは、ジョシュ・ベネット/Josh Bennett、アダム・スティボロスキー/Adam Styborski、ジェイコブ・ヴァン・ルーネン/Jacob Van Lunen、マイク・ローゼンバーグ/Mike Rosenberg、ブレイク・ラスムセン/Blake Rasmussen、そしてネイト・プライス/Nate Priceといった面々の考察をご覧いただきます。それから、プロツアー黎明期の頃からその勝負を記録してきたクレイグ・ギブソン/Craig Gibsonもこれまで通り参加し、会場内で起こるすべてのことにシャッターを切っていくと思われます。ネイサン(ネイサン・ホルト/Nathan Holt)とショーン(ショーン・コーンハウザー/Shawn Kornhauser)は、当日のライブ・カバレージと離れた場所で忙しい時を過ごすことでしょう。彼らはまた別のプロツアーに向けた「Walking the Planes」特別編の撮影に従事するのです。そして、ビデオ・カバレージの方は――皆さんのご期待通り、3日間にわたり35時間以上の生放送をお届けしますよ――、マーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffe、ブライアン・デヴィッド=マーシャル、ラシャド・ミラー/Rashad Miller、ザック・ヒル/Zac Hill、ティム・ウィロビー/Tim Willoughby、ランディ・ビューラー/Randy Buehler、そして私――皆さんをご案内します――リッチ・ハーゴン/Rich Hagonのチームがお送りします。(訳注:日本語の「ニコニコ生放送」放送予定と出演者はこちらの記事をご覧ください。)
Crossrace―クロスレース
実際にこんな言葉はないかもしれません。しかし土曜日の午後(訳注:日本時間では日曜日の午前中)に起こることすべてが、このひと言に集約されているのです。プレイヤーAはワールド・マジック・カップのキャプテンの座を得るために25位以内に入賞することが必要で、それに対するプレイヤーBは50位以内で「ゴールド」レベルに届きます。プレイヤーCは各地域に割り当てられた世界選手権の席を狙っていますが、そこに決勝まで残ればプレイヤー・オブ・ザ・イヤー獲得が見えるプレイヤーDが立ちはだかります。初めてのプロツアー参戦となったプレイヤーEは、ホノルルで開催されるプロツアー『タルキール覇王譚』への権利を得るために25位以内に入賞したいところ。対するプレイヤーFはトップ8入賞で「プラチナ」レベルです。こういった試合の数々は単にシーズンの変わり目となるだけでなく、「人生の変わり目」となります。私たちは毎ラウンド、これら「クロスレース」の中から4つの試合を皆さんにお届けします。
All-Star―オールスター
私たちは、プレイヤーたちが身命をかけた戦いに挑む時間帯以外にも、観て楽しいコンテンツを豊富なものにしたいと考えています。今大会では、これまでにない『マジック2015』のレビューをお届けするために、オールスターを集めました。この最新セットの中身がいったいどうなっているのかについてより深く知りたい方は、金曜日と土曜日、2回のランチタイム・ショー(訳注:日本時間ではそれぞれ土曜日と日曜日の早朝)に行われるこの企画は必ずご覧になるべきです。プレイヤー・オブ・ザ・イヤーやプロツアー・チャンピオンによる最新セットのレビュー、これは見逃せませんよ。
Interact―交流の場
プロツアー『ニクスへの旅』で、私たちは視聴者の皆さんから送られてきた膨大な数のツイートにスポットライトを当てることができました。お気に入りの選手を応援する声や今どこで観戦しているかなど、ラウンドが進むたびにホットな話題についての皆さんのご意見が積み重なっていきました。今大会では2日目のはじめに、皆さんにご参加いただける特別なドラフト企画をご用意する予定です。「CoveritLive」にできる範囲で皆さんを議論にご招待しますので、土曜日の朝(訳注:日本時間では日曜日の深夜)の放送をお見逃しなく。
All Sunday―すべては日曜日に
今となっては言うまでもないことかもしれませんが、今シーズン最後の日に起こることはすべて見逃さないように、今一度心に留めておくといいでしょう。準々決勝の4試合が次々と映し出され、日曜日の決戦がターンを重ねていく中で、皆さんも誰かを選んで応援せずにはいられなくなるはずです。それこそが、マジックを構成する様々な要素の中でもとりわけ大切な部分なのです......
LSV―ルイス・スコット=ヴァーガス
そう、永遠に続く「あちらを立てればこちらが立たず」の難題です。皆さんはルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasが大好きですし、私たちもルイス・スコット=ヴァーガスが大好きです。彼の活躍を誰もが見たいと思っているけれど――活躍しすぎても困る! 彼がプロツアー・トップ8入賞を決めたという知らせは、彼にとって素晴らしいニュースです。ですが、トップ8入賞を逃したという知らせは、「皆さんにとって」素晴らしいニュースになるのです。なぜなら、そうなれば日曜日にコメンタリー・ブースやニュースデスクで彼に会えるのですから。もしかしたら、それが「どちらも得する」シナリオなのかもしれませんね。いずれにしても、週末はルイスに期待しましょう。
はい、1分。私にご用意できた時間はこれだけです。ごめんなさい。
とはいえ真面目な話をしますと、皆さんが長年にわたりカバレージを見てくださっているなら、この週末が驚くべきものになると感じているところでしょう。今回が初めてなら、プロツアーが行われるたびに時間をそこへ費やしてきた何百、何千という仲間たちに加わる上で、最高の週末を選びましたね。プロツアー観戦は本当に強烈な旅になります。私たちもその経験を皆さんと共有するのが待ちきれません。それでは、金曜日にお会いしましょう!
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