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プロツアー「ギルド門侵犯」を心待ちにして
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プロツアー「ギルド門侵犯」を心待ちにして
Rich Hagon / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa
2013年2月11日
(編訳注:以下の文中のリンク先は、基本的に英語記事です)
3日間、一堂に会する数十ヵ国400人のプレイヤーたち。マジック最新のエキスパンション。19ラウンドにおよぶライブ・カバレージ。
プロツアーがやってくる!
スケジュールは白紙にして、ドアには鍵をかけて、家族や友人との予定をキャンセルしたら――画面の前に一緒に座ることができるなら、もっと良いでしょう――、現地時間午前9時(訳注:日本時間午後11時)にプロツアー「ギルド門侵犯」でお会いしましょう。素晴らしき国カナダの都市モントリオールから、生放送でお届けします(放送情報はこちら)。これから数分の間、3日間が素晴らしいものになるように、皆さんに2013年最初のプロツアーのお祭りをご案内する役目が私にあります。新たなメカニズムや新チーム、一新されたスタンダードと大会の構成をすべて網羅します。そして、今回カバレージに導入される、皆さんにきっと気に入ってもらえる特別なものもご用意していますよ。
それでは、どこから始めましょうか?
皆さんの観ているPCモニターやプラズマテレビ、タブレット端末、携帯電話に、長年にわたって数え切れないほどの時間携わり続け、鍛え研ぎ澄まされた熟練のカバレージ班の面々にとっては、プロツアーのライブ・カバレージは慣れ親しんだ仕事です。大会はスイス形式で行われる16ラウンドの後――コンピューターで皆さんと各ラウンドの結果が同じ対戦相手をペアリングします――、日曜日のトップ8による決戦へと続きます。最初の2日間は、各ラウンド2本先取で行われますが、日曜日の勝ち抜き戦では3本先取の長期戦となります。これまで同様混合フォーマットのプロツアーで、今回はスタンダードと『ギルド門侵犯』3パックのドラフトです。
プロツアー・プレイヤー統計
プロツアー「ギルド門侵犯」に備えて、より詳しい数字を知りたいと思いませんか? ポール・ジョーダン/Paul Jordanが、プロツアー「ギルド門侵犯」参加者のプロツアーとグランプリでの試合結果すべてを数値化してまとめています。好きなプレイヤーの生涯戦績を比べたり、2012年最高のプレイヤーが誰なのか確認したり、参加者のなかでも有利な立場にいそうなのは誰なのか予想したりしてみてください。
長年にわたってPCモニターやプラズマテレビ、タブレット端末、携帯電話に釘付けになり、数え切れないほどの時間を経た歴戦の観戦者の皆さまには、以下は慣れ親しんだ内容でしょう。大会はスイス式で行われる16ラウンドの後――コンピューターが各ラウンド時点での勝ち点に応じて対戦相手をペアリングします――、日曜日のトップ8による決戦へと続きます。最初の2日間は、各ラウンド2本先取で行われますが、日曜日のシングルエリミネーションでは3本先取の長期戦となります。これまで同様混合フォーマットのプロツアーで、今回はスタンダードと『ギルド門侵犯』3パックのドラフトです。
ここで最初の変更点を。今大会はドラフトから始まるのです! そう、皆さん金曜日はウェブキャスト中継の開始に遅れる訳にはいかなくなりましたね。『ギルド門侵犯』3パックが開封され卓の8人の手に渡されて広がっていく、予測不能の新環境に飛び込みましょう。数年ぶりに、各ドラフト卓は全出場者から完全にランダムで決められます。今回は、どんなビッグ・ネームがドラフト卓という猛獣の檻の中で相対するのかを見るのに、第6回戦まで待つ必要はありません。最もドラマティックな瞬間のひとつが、プレイヤー・ミーティングの直後にやってきます。全員がその場で、ドラフト卓を囲む相手を知ることになるのです。友人同士が当たり、チームメイト同士が当たり、そして初めてプロツアー予選を勝ち抜いた人が伝説の殿堂顕彰者と当たるでしょう。アラームのセットを忘れずに。これはもう言いましたっけ?
ひとたびドラフト卓に腰を下ろすと、『ギルド門侵犯』にはどんな驚きが詰まっているのでしょう? 『ラヴニカへの回帰』からの教訓が何かあるとしたら、カードの見た目の強さよりもギルドに合わせてドラフトする方が得るものが多い、ということです。ボロスはアグレッシブで、大隊を誘発させるために3体のクリーチャーをレッド・ゾーンへ送ることを目指すのは間違いありません。グルールは湧血を駆使して、怒れる大型アタッカーたちをさらに大きく、さらに憤激させるでしょう。オルゾフが強請で対戦相手のライフを奪うのがそこかしこで起こることも確かです。シミックはその進化メカニズムでパワーとタフネスを高めることでしょう。しかし、ディミーアが何を企んでいるのかは一切お伝えできません。それを口にすることは許されていないのです。
とはいえ、プロツアーというものは(昨年のスタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaやアレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneを見ればわかるように)、慎重さではなく大胆さが勝利を掴むことが多いのです。それなら、マナ基盤を限界まで広げて、3色、4色、いや5色までいく猛者を目にすることになるのでしょうか? 旧ラヴニカ・ブロックにディミーア好きの間で人気があった、ライフ総量には一切目もくれずライブラリーを削るメカニズムを追求するプレイヤーが現れるのでしょうか? ギルドを無視して、緑白の「セレズニア」デッキを作り上げようとするプレイヤーが現れるでしょうか? 2日間にわたる6回戦のドラフト・ラウンドすべてをお伝えするライブ・カバレージでは、ドラフト・テクニックの動画や注目卓のドラフト中継、大人気のドラフトビューワー、そして開発部中枢――カードを作る人たちです――から直接、舞台裏の情報をお届けします。きっと、プロツアー「ギルド門侵犯」は金曜の朝にもの凄いスタートを切るのだと、お分かりいただけたのではないでしょうか。
アレクサンダー・ヘイン、スタニスラフ・ツィフカ |
ひとたびドラフト・ラウンド3回戦が完了すれば、次はスタンダードの番です。このゲームにおける最高のプレイヤーたちが、デッキ構築における新兵器を自在に扱い、成し得ることを目撃するチャンスとなります。プロツアーでは勝利も敗北も当たり前のことで(昨年のスタニスラフ・ツィフカやアレクサンダー・ヘインを見ればわかるように!)、そしてマジックというゲームの大部分はひとりで行うものですが、プロツアーでは事前の特訓がそのまま結果に繋がります。それでは誰が誰と、メイン・イベントに至るまでの数週間を過ごし、スタンダードの世界水準を解明するのに知恵を絞っているのでしょうか?
プロツアー・ツアーを始めるのに、マジックの故郷であるアメリカを差し置くわけにはいきません。マジック最大のプレイ人口を持つこの国の命運は長年にわたって盛衰を繰り返してはいるものの、今現在の軍勢の強さと奥深さについては疑いの余地がありません。アメリカにはモントリオールの覇権を争う3つのスーパーチームがあり、それぞれが独自の個性を持っています。
チーム「Panik」はゲームをネクスト・レベルに押し上げようと努力を重ねる、若手のチームです。彼らが高いレベルの経験を多くしている――シャハール・シェンハー/Shahar Shenharやマット・ナス/Matt Nass、ヤコブ・ウィルソン/Jacob Wilson、クリスチャン・カルカノ/Christian Calcanoなどはみんな、グランプリ優勝者です――こともさることながら、このチームが最高のレベルにあることを証明することも多々あります。もしよろしれば、彼らは明日のスターである、と意識してみてください。(チーム一覧:クリスチャン・カルカノ、デイビット・グレイチャー/David Gleicher、ジェス・ハンプトン/Jesse Hampton、マイケル・ヘトリック/Michael Hetrick、マシアス・ハント/Matthias Hunt、ジャッキー・リー/Jackie Lee、マット・ナス、サム・パーディー/Sam Pardee、アンドレス・プリスト/Andrejs Prist、シャハール・シェンハー、ヤコブ・ウィルソン、ジア・ウー/Jia Wu)
サム・ブラック |
次はチーム「StarCityGames.com」(旧SCG Black)です。ご存知ない方のために説明しますと、「SCG」とは有名な戦略サイトStarCityGamesのことです。アメリカ勢の最前線を張る3チームのうち、SCG Blackは最も経験豊富なグループです。1990年代半ば、競技マジックに最も早く進出したズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshowitzやジョン・フィンケル/Jon Finkelといった偉人に加え、殿堂顕彰者ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifがいます。現在のメンバーでは、2011年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤー、オーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwaldに、プロツアー・アムステルダム2010優勝者ポール・リーツェル/Paul Rietzl、プロツアー「アヴァシンの帰還」ファイナリスト、ゴーデニス・ヴィドゥギリス/Gaudenis Vidugirisを有しています。このチームはリード・デューク/Reid Dukeやマット・コスタ/Matt Costaといった卓越した早熟の才能をもって、さらに完成されたものになっています。そしてその切り札とは? サム・ブラック/Sam Blackです。ここ数年にわたって、サムは自らがこのゲームの歴史上でも最高クラスの戦略的なデッキ構築の頭脳を持つひとりだ、ということを示してきました。それぞれの頭脳が入り混じり、このチームはマジックの歴史すべてを網羅しているのです。過去のスター、今日のスター、そして明日のスターによって。(チーム一覧:サム・ブラック、マット・コスタ、アンドリュー・クネオ/Andrew Cuneo、リード・デューク、ジョン・フィンケル、トム・マーテル/Tom Martell、ズヴィ・モーショヴィッツ、ガブリエル・ナシフ、ポール・リーツェル、ベン・セック/Ben Seck、マット・スパーリング/Matt Sperling、オーウェン・ツァーテンヴァルド、ゴーデニス・ヴィドゥギリス、パトリック・チャピン/Patrick Chapin)
残るはこちらも古豪、チーム「ChannelFireball」です。ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa。ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton。デイヴィッド・オチョア/David Ochoa。マーティン・ジュザ/Martin Juza。ベン・スターク/Ben Stark。エリック・フローリッヒ/Eric Froehlich。中村修平。コンリー・ウッズ/Conley Woods。ブライアン・キブラー/Brian Kibler。そしてジェリー・トンプソン/Gerry Thompson。まさしく、ご覧の通りです。「最善は絶えず改善される」との確固たる信念の下、ジェリー・トンプソンの機知に富んだ才能はChannelFireballの頭脳たちを確かに結びつけています。このチームはカードを扱う才能に関して本当に驚異的なチームで、彼らはここ数年で何度かあったように、プロツアーの支配を見据えているでしょう。今日のスターであることは間違いありません。
ブライアン・キブラー |
アメリカ勢のリーダーたちはここまで。大西洋を越えて、ヨーロッパはどうなっているのでしょう?
オーストリアのトーマス・ホルツィンガー/Thomas Holzingerは、昨年のプロツアー「アヴァシンの帰還」でトップ8に名を連ね、注目を集めました。彼は、かつての世界選手権ファイナリスト、デイビッド・ライトバウアー/David Reitbauerやドイツのプロ・プレイヤー、ベルント・ブレンデムール/Bernd Brendemuhl、そしてとりわけ才能溢れるクラウス・ヨエンズ/Klaus Joensを擁するオーストリア・ドイツ・チームを率いています。スウェーデン(デニス・ラシド/Denniz Rachid、ケニー・オベルグ/Kenny Oberg、エリアス・ワッツフェルト/Elias Watsfeldt、ヨエル・ラーション/Joel Larsson、ベルティル・エルフグレン/Bertil Elfgren)とフィンランド(マックス・ソーブロム/Max Sjoblom、サミ・ヘグクヴィスト/ Sami Haggkvist)といった才能を合わせたスカンジナビア勢も活躍しています。
ここ数年間手を組んでいるイギリス・ノルウェー連合も、プロツアー「ギルド門侵犯」へ向けて勢力を拡大し続けています。ダニエル・ロイド/Daniel Roydeやエドゥアルド・サーガリク/Eduardo Sajgalik、リチャード・ブランド/Richard Blandのように、ノルウェーのアンドレアス・ノルダール/Andreas Nordahlやスヴェイニュング・ビョーネルド/Sveinung Bjornerudと共に調整をした経験のあるプレイヤーたちに加え、さらにふたつの国が入っています。地球上のほぼすべてのグランプリに参加し、まさに世界を股にかけるアンドレアス・ガンツ/Andreas Ganzがスイスから参加。この国際色豊かなチームに、ベルギーのヴィンセント・ルモワーヌ/Vincent Lemoineも加わりました。
国境を越えて組んでいないグループのひとつは、イタリアの調整チームです。イタリアのマジックは間違いなく上り調子で、サミュエル・エストラティ/Samuele Estrattiがスターであることは揺るがないものの――彼は初めてモダンが採用されたプロツアー・フィラデルフィア2011を勝ち取りました――、アレッサンドロ・ポルタロ/Alessandro Portaroやマルコ・カミルッツィ/Marco Cammilluzzi、チーロ・ボナヴェントゥーラ/Ciro Bonaventuraなど、懸命に彼を追いかける才能あるプレイヤーたちが多くいます。すべてのヨーロッパ・チームの中にあって、モントリオールでイタリア勢が他を凌駕するのを見ても、私は驚かないでしょう。このチームには素晴らしいプレイヤーたちがいるのです。
何年か時代をさかのぼれば、皆さんはきっと声をひそめて日本のスーパーチームについて尋ね、最新、最高のデッキ・デザインについて、彼らがプロツアーに何を持ち込んでくるだろうか尋ねたことでしょう。今ではそうなることはありません。ただしそれは、マジックの強さに関して日本勢が苦戦を強いられている、ということを意味している訳ではないのです。ChannelFireballの一員である中村修平が私に言ったように、2006年度世界王者三原槙仁と、現在プレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースの先頭に立つ渡辺雄也は一緒に調整をしていないかもしれませんが、スタンダードで何のデッキを使うか、意見交換はしているかもしれません。常に孤高の存在である八十岡翔太は、いつも何か仰天するようなことを思いつくのに、チームに関わる必要がないようです。信じられない、という皆さんは、昨年シアトルで行われたマジック・プレイヤー選手権で彼が見せた圧倒的な支配をご覧になってください。渡辺に関して言うならば、三原からの教えがあるかないかは別として、彼は今シーズン信じられないようなプレイを見せています。この現在君臨しているプレイヤー・オブ・ザ・イヤーは、今をもっても首位につけていて、大きなリードを握っているのです。それはつまり――驚くことに!――ちょうど彼が初めてプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を勝ち取った2009年にそうだったように、この地球上で誰よりもマジックが上手い、ということなのです。
渡辺 雄也 |
私にとって長年にわたりマジックを取材することの大きな喜びのひとつが、素晴らしい日本人プレイヤーたちや彼らの美しく魅力的な国や文化であることが、だんだんとわかってきました。モントリオールで日本人プレイヤーたちがこれまでにも増して結果を出しても、驚かないでください。なぜか? 長年マジックのプロとして活躍した石田格氏の逝去が記憶に新しく、その追悼の想いが今回のプロツアーを彼に花を添える場としてふさわしいものにし、日本のマジック・コミュニティの中にはいつも以上に真剣に取り組むものがあるかもしれないからです。日曜日の決戦を勝ち抜いた者の口から「石田さんに捧げます」と聞こえても、私はまったく驚かないでしょう。故人のご冥福をお祈りいたします。
「オーケー」と、皆さんそう口にするでしょう。「ここで紹介されたチームがみんな強いのはわかったよ。じゃあ、国境も世代もマジックの歴史も越えて、興味を引くようなキャラクターと物語を兼ね備えたダーク・ホース的なグループはどうなの?」と。それなら、あるグループをご紹介しましょう。そのグループの化学反応がうまくいけば、今回のプロツアーに圧倒的な影響を与えることができ、モントリオールにおけるアレクサンダー・ヘイン的存在が私たちの前に姿を表すかもしれません。(当然のことですが、モントリオール出身のアレクサンダー・ヘインとは勘違いしないでください。彼は、ええと、アレクサンダー・ヘインは、モントリオール出身なのです)。
このチームは誰よりもプロツアー経験のある男、フランスのラファエル・レヴィ/Raphael Levyによって注目の的となりました。彼は同胞でありグランプリ・ビルバオでトップ8に入ったばかりの新鋭ルイ・デルトゥール/Louis Deltourに誘われて加入しました。それから、最近のグランプリ・リヨン優勝者ジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezani、そして、殿堂顕彰者として皆さんの記憶に残るあのオリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruelも所属しています。さらにチェコ共和国からふたりのプレイヤーが続きます。まず前回のプロツアー覇者、スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifka。昨年シアトルで行われたプロツアー「ラヴニカへの回帰」で成したように彼がバスケットにすべての卵を放り込むのは見られそうにありませんが、ツィフカはモントリオールで再び、様々なプレイヤーたちの中で成功するために必要なスキルをすべて見せてくれるでしょう。私はとりわけ、試合中のルーカス・ヤクロフスキー/Lukas Jaklovskyを見たいと思っています。世界選手権2010トップ8フィニッシュ、つい先月のグランプリ・ビルバオのファイナリスト。私は、最注目でないプレイヤーのなかにこそ、プロツアーで輝く選手がいるのではないかと睨んでいます。彼はまぎれもなく怪物なのです。チェコ・チームのお隣は、国別対抗チーム戦で世界選手権を制したスロバキア共和国出身の二人組、イワン・フロック/Ivan Flochとロベルト・ユルコビッチ/Robert Jurkovichです。このチームには大西洋を渡って反対側のメンバーがいます。アメリカ出身のメリッサ・デトラ/Melissa DeToraです。「Play the Game, See the World」を体現するメリッサが、きたる日曜日、この素晴らしいチームを足がかりとして伝説に残るような結果を掴むかもしれません。
そしてもちろん、ホーム・チームがあります。プロツアー「アヴァシンの帰還」はカナダのマジック界に強烈な宣伝効果を挙げましたが、それはより核心的な何かを公に見せる結果となりました――才能あるプレイヤーたちがカナダのマジックを次のレベルに押し上げようと決意して組んだ草の根組織です。今回は地元の英雄ヘインが同胞であるダグ・ポッター/Doug Potter、パスカル・メイナード/Pascal Maynard、ジョン・スターン/Jon Stern、マーク・アンダーソン/Marc Anderson、そして長年にわたって北の英雄であるリッチ・ホーエン/Rich Hoaenに加わりました。さらに、この調整チームには国際的な影響が加わり、カナダ勢の枠を越えたプレイヤーがいます。コスタリカから4度の国別代表を経験しているミゲル・ガティカ/Miguel Gatica。それから台湾出身の二人組、ホアン・ハオシャン/Hao-Shan Huangとクオ・ツーチン/Tzu-Ching Kuo。ご存知のように、台湾はワールド・マジック・カップの王者に君臨しています。その結果は少なからずクオ・ツーチンの見事なまでの支配のおかげで、彼は優れたプレイヤーであることに加えて、最もナイス・ガイなひとりなのです。
カナダ勢はプロツアーのトロフィーを母国の地に残すために、天に身を任せるようなことはしていません。この記事を書いている頃、ルーカス・シオ/Lucas Siowやマクシム・グリン/Maksym Gryn、ジェイミー・ネイラー/Jamie Naylorのようなプレイヤーたちに計画された大量のギルド門侵犯・ドラフトにより、トロントへのカードの大量流出が起きているでしょう。皆さん憶えているかもしれませんが、彼らは昨年後半のグランプリ・サンノゼのファイナリストです。カナダからタイトルを持ち帰りたいなら、勝ち取らなければならないのです。
純然たる己のインスピレーションと過酷な練習でプロツアーを勝ち取ろうとするすべてのチーム、すべての哀れな魂たちが立ち向かう難題とは、至高のプレイヤーたちが制限のないデッキ構築という領域に手をかけるときに起こる、絶えず地殻変動のごとく(言葉にするのも簡単でないほどに)揺れ動くスタンダード環境を把握しなければならないことです。ただ私たちが見える範囲内には、思わせぶりにしておきながら手がかりがない、ということではありません。ウェブで今回のセットのレビューを見れば、ビッグ・ネームたちが強力な新しい戦略の基礎を見つけるのに血眼になっている『ギルド門侵犯』のカードが、すぐにわかるでしょう。昔から、来るべき何かを感じとることは、不可能を可能にするようなことです。さながら、調整チームの面々は迫り来るコラムの締め切りから身を隠し、読者全員が「来週のプロツアーを勝ち抜く私のデッキリスト」を読みたいと思っているところに「ブロック構築の歴史の中で、私が好きなマナコストが奇数のアーティファクト、ベスト75~51位」を読ませるようなことなのです。結局、私には皆さんに手がかりをお教えすることはできません、と言うより、今朝受信トレイに追加されたものを見つけて、私も喜んだのです。あるプラチナレベルのプロから来たものだ、とだけ言っておきましょう。
「ところで、調整について。ギルド門侵犯はデッキ制作者にとってクールなものです。ついに出揃ったマナ基盤により(残りの5ギルドで10個の2色土地が揃い)、見たところ新しい戦略やデッキは無数にあります。プロツアーのメタゲームを読み、フィールドのメタゲームに合ったデッキを組めれば、モントリオールではいつもより大きいリターンがあるのではないか、と私は思っています」
見たところ新しい戦略やデッキは無数にあり? すごく面白そうですね!
ひとたび最初のドラフト・ラウンド3回戦を乗り越えると、それから1日目の終わりまで新スタンダード5ラウンドと対峙することになります。土曜日に進出するには12ポイント以上が必要で、それは記録にして4-4以上に相当します。2日目、再び『ギルド門侵犯』3パックのドラフトが行われ、その後もう一度スタンダードに移り、「スーパーサンデー」の顔ぶれを決める5ラウンドが舞台中央で行われるのです。
もちろん、ベスト・デッキとして知られたものがない状態では、憶測が飛び交います。そして、その中で自慢したくとも、「ファンタジー・プロツアー」で皆さんが友人たちより良い結果で終えなければ「ほらな、言ったじゃん」と言いふらすことはできません。皆さんはいつも通り、プレインズウォーカーや大型、中型、小型のクリーチャー、ソーサリー、インスタント、エンチャント、アーティファクト、それと基本でない土地を含む、これぞと思う組み合わせを選びます。しかし今回は考えるべきことがひとつ増えました。
私たちは、皆さんが『ギルド門侵犯』で最も成功するカードが何だと考えているのか知りたいので、「ファンタジー・プロツアー」には新カードの枠があります。《正義の勇者ギデオン》が大会を支配するだろうとお考えの場合は、彼をプレインズウォーカーの枠とギルド門侵犯の枠の両方に入れて、ダブル・アップを狙うことができるのです。その代わり、間違えれば手痛いペナルティを受けることでしょう。同点の場合に使うタイブレーカーとして、皆さんは大会で活躍すると思う渡辺雄也プロ・プレイヤーを選ぶ必要があります。いつものように、ブライアン・デヴィッド=マーシャル/Brian David-Marshallと私は、(私の)運と(彼の)技術の黄金の組み合わせを使って、プロツアー前夜、皆さんに最後のヒントをお届けする予定です。それまでは皆さんの考えをまとめ、そしてFacebookに行ってリストを埋めてきてください。
皆さんのご期待通り、スタンダードの向かう方向がどこであれ、DailyMTG.comは文章を通して、「CoverItLive」や動画を通して、それをお伝えします。スタンダード・ラウンド10回戦すべての放送のなかで、皆さんは多くの試合を私たちと一緒に観ることになるでしょう。マーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffe、ブライアン・デヴィッド=マーシャル、ザック・ヒル/Zac Hill、ラシャド・ミラー/Rashad Miller、ティム・ウィロビー/Tim Willoughby、そして私リッチ・ハーゴン/Rich Hagonと共に。いつものように、報道デスクは全力で皆さんに最新の更新情報や逸話、インタビュー、スコアなどを、ビデオ・ウォールいっぱいになるほどのスタンダード・デック・テクニックと共にお届けします。世界観や舞台裏の裏話がお好きな方々のために、プロツアー「ギルド門侵犯」では、最近の「Inside R&D(開発部内部)」の映像もお披露目する予定です。最新エキスパンションの到来が、コンセプト、デザイン、デベロップ、アート、そしてフレーバーの点で語られ、皆さんに開発者たちの生の声をお届けするものとなっています。
そろそろ時間のようです。というのも、今部屋には7人が座っていて、全員が私に向かって『ギルド門侵犯』のパックを振っていて、つまるところ急がないと、私の席は空になったピザの箱に奪われ――私は細く、見た目にも良く、スマートになってしまうでしょう。このような友人を持って私は......
もうひとつだけ、皆さんにお伝えします。本当に......うまくお伝えできないのですが......。ええと。このように言わせてください。カバレージ・チームはみんな、皆さんが私たちと同じくらいマジックを楽しんでくださっている、ということが何よりも好きなのです。そして、皆さんの視聴経験をどうやったら向上させられるか、ということについて皆さんからお話を聞くのが何より楽しみなのです。皆さんがプロツアー「ギルド門侵犯」を視聴されるなら、プロツアー・カバレージをきわめて......便利なものにする新しい何かがある、と言って差し支えないでしょう。そこまで深い意味はありませんよ。
それはさておき、皆さんにはプロツアーという大きなショーの前に友人たちや近所の人たちと『ギルド門侵犯』でたくさん遊んでほしい、と私は思っています。私は週末のプレリリースでなんとか5つのギルドで遊びました。私の心はアゾリウスにあり、『ギルド門侵犯』でギルドを選ぶなら、努めて冷静にボロスを選びますが、「取引の教会」が人を惹きつけてやまないことに疑いの余地はありません。オルゾフは1回につき1度強請を誘発させて罰を与えるので、モントリオールでの素晴らしい3日間にはオルゾフの死と税金が溢れるのではないか、と私は予想しています。
どんなデッキでも、どんなギルドでも、そしてどんなプレイヤーでも、プロツアー「ギルド門侵犯」は現地時間午前9時(日本時間午後11時)に始まり、皆さんの画面に映し出されます。皆さんにお会いするのが待ちきれません!
最後に付け加えておきます。「Walking the Planes」の素晴らしい面々が、プロツアー「ギルド門侵犯」のトレイラーをまとめました。皆さんの大会への期待を高める一助となればと思います。
下記リンクから動画をご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=FO-RQZW632o
プロツアー「ギルド門侵犯」とマジック・オンライン
プロツアーを視聴しながらマジック・オンラインを遊ぶことで、『ギルド門侵犯』の楽しさ倍増! 『ギルド門侵犯』リリース・イベントが現在行われており、金曜日には"Top8"シールドや64人ドラフトが始まります。さらに、今週末にはスタンダードのスポットライト・トーナメントがあり、プロツアーでお披露目された最新のスタンダード・デッキを試すチャンスが来ます。これらのプレミアイベントは参加費が安いのに通常のイベントと賞品が同じです。以下でイベントの詳細をご確認ください。
スタンダード・スポットライト・トーナメント
開催時間:2/16(土)AM 1:00、2/17(日)AM 1:00、2/19(月)AM 3:00(日本時間)
開催場所: 「Scheduled Event room」
参加費: 5チケット
プロダクト: スタンダード構築のデッキが必要です。
参加人数: 最小33人、最大768人
イベント内容: 参加者数に応じた回戦数のスイス式ラウンド。"Top8"はさらにシングルエリミネーションの3回戦となります。
順位 | 賞品 | QP |
1位 | ギルド門侵犯 ブースターパック 33個 | 6 |
2位 | ギルド門侵犯 ブースターパック 24個 | 5 |
3-4位 | ギルド門侵犯 ブースターパック 15個 | 4 |
5-8位 | ギルド門侵犯 ブースターパック 6個 | 3 |
9-16位 | ギルド門侵犯 ブースターパック 3個 | 0 |
マジック・オンラインでは、2/15(金)から2/20(水)のダウンタイムまで2プレイヤー・スタンダード・ゴールド・キューも開催されます。プロツアーで観たばかりの新しいスタンダードのデッキを持ち込みたいけど、そんなに時間がとれない? そんなあなたには、2人構築が最適です!
2プレイヤー・スタンダード・ゴールド・キュー
開催時間:2/15(金)から2/20(水)のダウンタイムまで。2人そろい次第、順次開催
開催場所: 「Constructed Queues room」
参加費: 10チケット
プロダクト: スタンダード構築のデッキが必要です。
参加人数: 2人
イベント内容: シングルエリミネーション1回戦です。
賞品: 最終順位に基づいて配布されます。
順位 | 賞品 |
1位 | ギルド門侵犯 ブースターパック 5個 |
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