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プレインズウォーカーのための「ラヴニカへの回帰」案内 その2
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プレインズウォーカーのための「ラヴニカへの回帰」案内 その2
The Magic Creative Team / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2012年9月5日
この記事は「プレインズウォーカーのためのラヴニカへの回帰案内」の第二回となる。第一回ではラヴニカそのものと、セレズニアギルドについて皆に紹介した。今週、我々はイゼットとゴルガリの両ギルドを、そして二週間のうちにアゾリウスとラクドスの両ギルドについて語る予定だ。
?イゼットは狂気すら感じさせる実験者の集団で、鋭く創造性に富んだ知性とがっかりするほど散漫な注意力の複合体と言ってよかろう。 イゼット・ギルド本来の役割は公共事業(下水、給湯、車道整備)に関わる解決案の提供であった。しかしそれとは裏腹に、彼らの実験からはマナの噴出や空間の裂け目、あるいは神秘の扉などがしばしば生み出される。 イゼットはこのところ、彼らのギルドマスターであるニヴ=ミゼットの命を受けて、より危険で実験的な魔法に深く関わるようになっている。 これらの実験の目的は知られていない。
イゼット団を創設したパルンにして指導者であるニヴ=ミゼットは、齢一万五千歳、気分屋で虚栄心が強く、卓絶した知性を持つ旧きドラゴンである。 ニヴ=ミゼットは常にその気まぐれさと自惚れと癇しゃくで知られ、これらの特徴はただ激しくなるばかりである。ニヴ=ミゼットがギルドの運営にいちいち口を挟むことは滅多にない。自分は長期的な計画を練り、細かな仕事は下々にやらせるというのが彼の好むやり方だ。
ニヴ=ミゼットの個人的廷臣を務める下僕達はイズムンディという名で知られている。ニヴ=ミゼットはこの廷臣達を用いて策謀をめぐらせ、またここから外の世界の出来事を随時把握している。イズムンディの構成員のなかでも特に力のあるのがイズマグナスである。構成員は通常5名から7名で、そのうち数人は素性が秘密となっている。 そんなイズマグナスの面々でさえ、ニヴ=ミゼットの最高機密といえる計画や目的までは知る由もない。
《竜英傑ニヴ=ミゼット》 アート:Todd Lockwood |
イゼットの重要地点
火想者の高巣、ニヴィックス
「火想者の高巣」としても知られるニヴィックスはニヴ=ミゼットの住まいでありイゼットの本拠地である。 ニヴィックスは巨大な、ラヴニカで最も高い塔の一つである。各階層にはイゼットの錬金術師や魔道士や賢者が常駐しており、彼らは絶え間なく理論を構築し、実験をし、計算違いの実験結果を部屋の壁に投げつけている。塔の最上階はニヴ=ミゼットの高巣となっている。ニヴィックスで行われる実験はまったく連動していないように見えるが、偉大なるドラゴンはそのすべてをある大きな実験の一部として捉えている。
膨れコイル
膨れコイルは巨大な水車の一群のような姿をしており、何らかの方法でエネルギーを生み出すために使用されていると多くの者がとらえている。実際、それらの車の内部は驚くべきことにミジウム製のコイルが、豊富だが不安定な量のマナを生み出している。膨れコイルは近頃建築された構造物であり、その目的(危険な量のマナを生み出すことの先)は知られていない。
煮沸孔
高圧の金属製パイプラインがより合わさった一続きの地下通路が煮沸孔と呼ばれている。このよじれた迷路はあまりに複雑難解で、実際にその中を案内することができる者は熱に強い蒸気ゴブリンを除いてはわずかである。これらの地下通路を大がかりな(そして極めて危険な)実験を行うために使用したことで、イゼットは過去非難されてきた。
ミジウム鋳造所
ラヴニカで唯一ミジウム合金が精錬されている場所、それがミジウム鋳造所である。ミジウムは多くのイゼットの発明に使用されており、鋳造所は火炎放射器を振り回す獰猛なヴィーアシーノによって警備されている。鋳造所内の熱は他のほとんどの種族にとっては息詰まるものだが、ヴィーアシーノはこの高温多湿の環境を極めて心地よく感じている。
アート:Wesley Burt |
イゼットの役割
化術士
化術士達はミジウムとエレメンタルから秘術的道具を鋳造する。彼らは新たな合金、エネルギー、魔法印について実験している。化術士達は互いに激しく競争し合い、しばしば猛烈なライバル意識や幼稚な喧嘩をもたらす。
爆風追い
化術士達によって発案された秘術的道具を操り統制する魔道士、それが爆風追いである。これらの道具は常に物理的な装置やアーティファクトというわけではない。時折爆風追い達は、宙に浮かびエレメンタル動力で互いの軌道を巡る宝珠、音を立てるエネルギーの円盤、溶岩が煮えたぎる水流といったものを操作する。
随員
イゼットの爆風追いと化術士は40人までの随員を従えることが許されている。そのほとんどは集中力と組織化能力からヴィダルケンで構成されている。一人の随員の義務は通常、記録と情報収集(しばしば危険な状況下で)、希少な物品や材料の取得(通常は危険な状況下で)、もしくは実験の完成(常に危険な状況下で)となっている。
アート:Dan Scott |
奇魔
奇魔は二つの相反する種類のエレメンタル(例えば火と氷、煙と雷、蒸気と石)を合体させるという、イゼットのさらに別の実験の産物である。イゼットの魔道士達はこの矛盾する結合から、より安定して制御が容易なエレメンタルを創造できないかと期待したが、勿論、イゼットの実験の真の姿を表すように、実際の実験結果は厳密に正反対のものとなった。奇魔は彼らの構成元の要素のエレメンタルよりもより荒々しく、より気まぐれでさえある。しかしながら、奇魔は有力な警備用クリーチャーや戦闘用使い魔となることができる。
アート:Christopher Moeller |
中枢の座
ニヴ=ミゼットは情報を彼のギルド構成員達に区分して与えている。彼の脳内では様々な実験、研究計画、エレメンタルの探究が組み合わさって守られており、彼のみがそれら全ての相互作用を理解している。彼は一つの系統立った実験結果を受け取ると、それが無秩序な手順であっても、彼は次に見たところ無関係の題目についての一連の新たな実験を命令する。ニヴ=ミゼットは全ての調合とエレメンタル研究の結果を知らせるよう要求している。それが一見失敗した実験であろうとも、ニヴ=ミゼットの大計画の鍵となる要素であると後に証明される可能性があるために。
ほとんどの者は彼を風変わりな、知識に取りつかれた老ドラゴンだとみなしている。だがニヴ=ミゼットは密かに、彼が中枢の座と呼ぶ散発的だが雄大な超越計画を進めている。中枢の座の目的を――それどころか、その存在自体を――看破することは困難である。そのための実験は全くの広範囲に及びまた数は膨大で、ほとんどの観察者にとっては何らかのパターンを推測することは不可能であろう。だが火想者にとって、これら全ての研究の流れは彼を当惑させている難解な謎の答えに近づかせてくれるものである。
アート:Dan Scott |
他のギルドに対するイゼットの態度
アゾリウス:「アゾリウスはあらゆる法を自由に創造するが、自由そのものを知らぬ」
ボロス:「我が些細な爆発で都市の一区画をまっさらに、もしくは現実や時空間に穴をあけようとする度にボロスが現れては楽しみを台無しにしてしまう」
ディミーア:「わかっておる、ディミーアの姿が見えぬ時ほど、あやつらは我らを見ておるのだと」
ゴルガリ:「あやつらは死のように底がない。一匹の蟻を追いかけて巣を見つけたとしよう、だがその巣は地下に広がる住処の最小の表れに過ぎないのだ」
グルール:「礼を言おうぞ、グルールがあるからこそ我らはもはや実験室を破壊してくれるような自然災害を待たなくともよいのだからな。あやつらを防ぐべく入念な防護を施すか、そうでなければあやつらは我らが創造しようと望む全てを破壊しつくすであろう」
オルゾフ:「進歩とは危険を伴うものだ。だがオルゾフと賭けをするならば、コイン以上のものを賭けることになろうぞ」
ラクドス:「この無分別な暴動狂どもは避けよ。ラクドスは、おぬしの身体の一部のみが招かれる饗宴のようなものだ」
セレズニア:「セレズニアの狂信者達は犬と共に走り回り、過去の虚構を崇拝しておる。未来の驚異を受け入れれば、あやつらはより賢くなれるであろうに」
シミック:「シミックの独創性は称賛に値しよう、だがその創造物には魂と情熱が欠けておるな。あやつらは生命をいじくり回すふりをしながら、その発明へと真の生命を吹き込むという発想に欠けておるよ」
?ゴルガリ団は生と死という相反する価値を融合させたギルドであり、腐敗の進むラヴニカの地域に成長をもたらし、また成長の見られる場所に腐敗をもたらしている。ゴルガリのエルフやゾンビ、昆虫、アンデッドと植物の混種などは、成長を続ける巨大で食欲旺盛な1体の生物のようで、生息可能な場所を見つけては次元全体に拡散しつつある。ゴルガリはラヴニカにとって必要なサービスを提供している。彼らはこの文明に打ち棄てられた死体を処理するのだが、不思議なことに忘れられ困窮した人々には食物を与えている。彼らは食物連鎖の末端に存在する腐食動物・分解生物なのだが、捕食者として頂点に立たんとしている。
《ゴルガリのギルド門》 アート:Eytan Zana |
ゴルガリ・ギルドは集合体というよりむしろひとつの生物として組織されている。 ゴルガリにはギルドの方向性と成長度を定める細胞核、あるいは神経中枢のようなものがあり、栄養素を集めて有用な素材へと変換する組織や異物を拒否し外敵から身を守る防衛機能、そして生存し繁殖し征服する本能がある。
ゴルガリの現ギルドマスターはジャラド・フォド・サーヴォ、死して蘇ったアンデッドの屍術師である。生前、ジャラドはエルフの射手にしてゴルガリ団の練達の狩人、そして野心的なサヴラ(故人)の弟であった。ジャラドは屍術を学んでおり、デーモン・ラクドスから息子を救うために命を投げ出した後、リッチとして蘇ることができた。ジャラドは今や肉食甲虫の群れやその他の肉食小動物達を指揮し、昆虫やその他の分解者の行動を操ることができる。彼は様々な成り上がり者による幾度もの暗殺の試みから、屍術の能力をもって挑戦者の力を吸収することで生き延びてきた。
《ゴルガリの死者の王、ジャラド》 アート:Eric Deschamps |
ジャラドはシリアと呼ばれる、シャーマンとならず者からなる評議会を支配している。シリアは顧問議会と諜報機関の両方の役割を果たしている。ただし彼らが公に会合を持ったり一堂に会することはほとんどない。彼らはジャラドの昆虫の下僕と同様に、ゴルガリの外縁が何をしているかを知らせるため、また指示を伝える伝令としてジャラドの感覚器官のように機能している。シリアに属する一個人は他と比べて高い地位にいると考えられなくもないが、その序列についてギルドマスター以外に知る者はいない。
ゴルガリ・ギルドは他のギルドでは見られないほど頻繁に指導者が変わっている。 このギルドは連環の継続を重要視し、暗殺が政治的な闘争における有効な手段であると理解している。そして生者であることが支配するために必要な条件ではないことを知っている。
闇のエルフ、デヴカリン
デヴカリンは思慮深く、魅力的で、しばしば野心的なエルフの一種族であり、彼らはゴルガリで大きな力を持つ一団となっている。ゴルガリの全派閥の中でも、デヴカリンはゴルガリの縄張りの拡大を最も急いでいる。他のほとんどのギルドはラヴニカにおいて最も重要なものを気にかけておらず、そしてゴルガリの手に入る土地が多ければ多いほどよいと感じている。デヴカリンのエルフ達はマトカとして知られる高司祭に統治されている。時折それは数世紀の長さにも及ぶ。前マトカはジャラドの姉サヴラであった。現在のマトカはズデニアという名の厳格な、黒髪の若い女性でありその両手と両腕は昆虫と蜘蛛をイメージした刺青で覆われている。
アート:Vincent Proce |
死者の列、ロッテス
ロッテスはアンデッド、屍術師、菌類繋ぎ、そして眠らぬ死者と連携するその他構成員からなるゴルガリの非正規派閥である。ゴルガリのアンデッドのほとんどは屍術魔法によって維持される、精神を持たない菌類の構成物だが、ロッテスの中には多少の知性を持つアンデッドと、加えて派閥を代弁する少々高位の屍術師が所属する。通常、ロッテスは再生と拡大というゴルガリの不断の施策のための労働力を、もしくはジャラドやシャーマンの個人的な目的のための武器を務める。ロッテスの中でも知性を持つ者達はギルド内で使い古され、過小評価されていると感じており、その数は目に見えるよりもずっと多い。ロッテスの現在の指導者はラティスラーフという名の、腕はいいがうぬぼれの強い人間の屍術師であり、彼はアンデッドの従者とともにラヴニカの街路を練り歩くことを楽しんでいる。
街路の群れ、連環の番人
街路の群れはゴルガリの労働力を担い、腐敗を加速し新たな生命を芽吹かせる果てしない反復をもって、生命の連環を動かす助けとなる。この派閥は屍回収者、低階級の街路シャーマン、腐敗農場主、穴トロール、様々なエレメンタルと菌類の怪物、そしてクロール(昆虫に似た種)のほとんどが含まれる。ラヴニカの各地域の人々は街路の群れの各支部に頼り、各支部はその土地の群れの長に率いられている。
ゴルガリ団を率いるのは困難である。ギルド内では小派閥がまるで心なきアメーバのように、止まることなく絶えず成長し続けている。そしてそれぞれが自身の目的を持ち、抑制することはほとんどは不可能である。ジャラドはこの次元の遺棄された地域を再開発してギルドにより大きな力をもたらすことによって、彼の地位を維持してきた。彼は力に飢えたデヴカリンのエルフや腐敗したロッテスのアンデッドが、いずれは自身を押しのけるであろうことを知っている。だがそれまでは、彼はラヴニカの地を保全するために働く。ゴルガリと彼自身の家族のために。
《コロズダのギルド魔道士》 アート:Ryan Pancoast |
ゴルガリの重要地点
腐敗の迷路、コロズダ
ゴルガリの新たな本拠地であるコロズダは、巨大な円形の迷路(草木が生い茂り菌類に覆われた遺跡)に囲まれたアーチ型の大聖堂である。 コロズダはギルドマスターであるジャラド・フォド・サーヴォの隠れ家であり、彼はここでシリアとの会合を不定期に開いている。 ここでは群れを成す害獣や巨大昆虫、ゾンビなどが巡回を行っている。
石載り
アーチ状のとても古いトンネルが地底街のゴルガリ支配地域を貫いて、ねばつく粘体と菌類と蜘蛛の巣で厚く覆われた、曲がりくねった石の通行路を成している。石載りにはゴルゴンによる石化した犠牲者の身体が列を成している、また場所によっては、通行路は建築学的にそれらの犠牲者達そのもので形成されている。
死橋
死橋、ゴルガリが支配する地域の中央は教会一つを飲みこむほどに巨大な陥没孔である。死橋は陥没孔にかかる橋そのもので、蔓と菌類、骨木によって強化された石のアーチが支える巨大なプラットフォームである。死橋という名はその陰惨な由来から来ている。近隣地区を激しい火事が燃やし尽くした後、その陥没孔は手頃で平穏な死体遺棄場所となった。ゴルガリはその陥没孔を生体原料の貯蔵庫として組み入れ、ついにはギルドが実質的にその地域の担当となった。
アート:Cliff Childs |
大腐敗農場、ザーニケヴ
ラヴニカのある地域が荒廃すると、ゴルガリが掃除をし、分解を加速し、資源を吸収し、再び発芽させ、養い、そしてついにはその復活した区域を自分達の縄張りであると主張する。ザーニケヴはそういった地域をいくつか取り込んだ一つの、とりわけ広大なゴルガリの再開発地域である。苔や粘体に覆われた建築の廃墟からなり、多くの腐食生物種が棲みかとしている。
屍流しの弁
ラヴニカ地底街、悪臭に満ちたトンネルと小部屋はまた、ゴルガリの死体取引のための輸送路となっている。弁は菌類の薄膜からなり、特定の下水道を閉じている。これらの弁はゴルガリの命令によって開閉し、死体や他の交通を、材木が水流を流れるように浮かべて通す。
アート:Chase Stone |
他のギルドに対する態度
アゾリウス:「アゾリウスにとって我々は表に出てこない存在、腹の虫であり悪臭だ。それでも我々は彼らの権力の土台となっている」
オルゾフ:「オルゾフは卑しい幽霊だ。我々を土へと迎える連環から逃れ出ようと追い求めている。長く続くのは、腐敗をも超越しようという力を得ようとする彼らの傲慢だけだ」
ディミーア:「ディミーアは我々と地下を共有し、我々の秘密を掘り出そうとしている。彼らは自分達こそが地底街を支配していると信じているが、彼らが統べるのは財産と地位を気にかける者達だけだ」
イゼット:「イゼットが社会を発展させる手段はひどいものだ。彼らは連環を無視し破壊する。だが彼らは我々のように都市を維持し、有用な魔術を提供し構造の下の構造を支えている存在だ」
ラクドス:「ラクドスは死が身近なものだと理解している、だが連環を速め、くだらない最期を追い求めている。あのデーモンが破壊したものへと、我々は再び命を与えよう」
グルール:「グルールはこの都市の中で、荒々しき自然に生きる仲間だ。だが彼らには動き続ける偉大な連環への理解が欠けている」
ボロス:「ボロスは我々が決して理解することのない言葉を話す。彼らの闘争への献身はその言葉と標語にまで表れ、我々を混乱させ妨害している」
セレズニア:「セレズニアは我々と同様に自然へと敬意を払おうと励んでいる、そして彼らの生命体系への献身は感心に値する。だが彼らは盲目的に死を怖れ、ありのままの死の前では役立たずだ」
シミック:「シミックはどんな蟲にでもわかるような、真実の縁を削ることに世代を費やしてきた」
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