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2011年12月制限禁止リストの更新について
2011年12月制限禁止リストの更新について
Erik Lauer / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru.
2011年12月20日
2011年12月20日の制限禁止告知に関連した記事です。
モダン
《罰する火》[CMD] 禁止
《野生のナカティル》[ALA] 禁止
マジック世界選手権の結果を受けて、DCIは今後もメタゲームの中心に来るデッキが3ターン目(あるいはそれ以前)にゲームを決めてしまうようなことがないようにするという方針を守ることを決めました。これは、新しい禁止カードのどちらとも関係しない話です。
もう一つの方針として、多様性のあるフォーマットを保つというものがあります。アグロ・デッキやコントロール・デッキ、コンボ・デッキが存在できていたのはいいことですが、完全に多様性があるとは言えません。特に、アグロ・デッキの大多数は「ズー」デッキです。私たちは、なぜ他のアグロ・デッキがプレイされていないのかに焦点を当て、そして分析の結果2枚のカードを禁止することに決定しました。
《罰する火》[CMD]
《罰する火》[CMD]は、《燃え柳の木立ち》[FUT]と組み合わせると何回も使用可能な3マナ2点火力になります。この組み合わせはよく使われており、タフネス2以下のクリーチャーを主軸としたクリーチャー・デッキを壊滅させています。その一方で、この組み合わせによって、3マナで1点のライフを削るという、非常にゆっくりとした、しかし確実な勝利手段にもなっています。タフネス2の「ロード」に頼った部族デッキはほとんど見受けられません。それは、この強大な障壁が存在しているからです。
《野生のナカティル》[ALA]
《野生のナカティル》[ALA]は、ただ非常に効率よく攻撃したりブロックしたりできるだけのクリーチャーであり、その種のカードを禁止するのは非常にまれなことです。私たちはモダンのイベントと、以前のエクステンデッドのイベントを確認し、アグロ・デッキに多様性があるのはなぜなのか、逆にズーに支配されているのはなぜなのかについて調べました。プロツアー・オースティン2009は、ズーを使っていたブライアン・キブラーが優勝しており、ほとんどのアグロ・デッキはズー系でした。翌年のプロツアー・アムステルダム2010の優勝者は白ウィニーを使ったポール・リーツェルで、このときはアグロ・デッキにも様々なものが存在しました。ブラッド・ネルソンとブライアン・キブラーは《包囲の搭、ドラン》デッキ、ポール・リーツェルとカイ・ブッディは白ウィニー、マリーン・リバートはマーフォーク・デッキでした。フォーマットは違いますが、ブライアンのメイン・デッキに入っていて使うことができなかったのは《稲妻のらせん》2枚だけです。土地は大きな変化をもたらしましたし、オースティンのマナ・ベースを見ると《野生のナカティル》[ALA]は非常に信頼できる3/3クリーチャーで、アムステルダムではそれほどでもなかったということになります。
私たちは、解禁すべきカードを探しました。しかし、アムステルダムのデッキで使われていたものに限らず、他の強力なカードもモダンには存在しています。たとえば、マリーンは《霊気の薬瓶》[DST]を使えませんでしたが、モダンには存在しています。《霊気の薬瓶》[DST]はレガシーのマーフォークでそうであるように、強力なカードだと考えられています。問題は、他のデッキがどれだけシナジーを凝らして有利を得ようとしても、《野生のナカティル》[ALA]には及ばないということなのです。たとえば、《包囲の搭、ドラン》[LRW]デッキは《ツリーフォークの先触れ》[LRW]を使って《包囲の搭、ドラン》[LRW]を探します。探し出してしまえば、《ツリーフォークの先触れ》[LRW]は事実上{G}で3/3に早変わりです。一方、ショック・ランドがあれば、《野生のナカティル》[ALA]はそれだけで3/3で、相手が《包囲の搭、ドラン》[LRW]を倒したことによって弱体化するようなこともありません。努力すれば、《闘争の学び手》[ROE]は3/3の先制攻撃クリーチャーになりますが、《野生のナカティル》[ALA]と比べるとその努力の大きさは惨憺たるものです。《野生のナカティル》[ALA]は優秀すぎて多くのクリーチャーデッキの可能性を否定してきました。そこで、多様性という観点から、DCIは《野生のナカティル》[ALA]を禁止します。
モダンには現在6535種類のカード、29種類の禁止カードがあります。月単位で見たらあまりに多くのカードが禁止されていることになりますが、今後もこのペースで禁止されていくということではありません。このフォーマットは、私たちが最初に望んだ速度、そして最初に望んだメタゲームの多様性に近づきつつあります。
《野生のナカティル》[ALA]を禁止することの理由には、将来のマジックのセットの開発というものがあります。
モダンの前に、セットの入れ替わりのないフォーマットの禁止リストを新しく作ったのは、レガシー(当時は「タイプI.5」)でした。レガシーはヴィンテージと同じリストを使っていましたが、独自の禁止リストを使うことにしました。その枚数は62枚、全プール数は6449種類でした。現在のモダンに比べて総枚数はわずかに少なく、禁止枚数は倍近くあります。禁止カードのほとんどは、大型の競技イベントというものが意識される前のカードでした。そうでないものも、レガシーの禁止リストを作るよりも古いカードです。現在、禁止カードに追加されるのは非常に少ない枚数に限られています。年に1枚から2枚といったところでしょう。その理由は、開発部がフォーマットを理解しているからです。禁止になりそうなカードはそもそも印刷に回されません。マジックは複雑であり、中には見逃されて最終的に禁止する必要が出てくるカードもあります。とはいえ、その割合は年に1〜2枚にまで減っています。今年は、《精神的つまづき》[NPH]がレガシーで禁止されましたが、ヴィンテージでは禁止されたカードはなく、《嘘か真か》[CMD]は制限解除されました。
モダン範囲には、デベロップがフォーマットを理解していれば印刷に回らなかったであろうカードが含まれています。《微光地》[SOM]がミラディンの傷跡で登場したとき、開発部は《雲上の座》[MRD]と組み合わせると強いということを知っていました。デベロップはこのコンボはレガシーでは使っていいと考えました――が、まさか近いうちにそのコンボが席巻するモダン・フォーマットができるとは思いませんでした。
《野生のナカティル》[ALA]の作られた時点で、デベロッパーはレガシーで強く、エクステンデッドでは、使える土地が入れ替わるに従って強くなったり弱くなったりするということを認識していました。ただし、当時まだ存在していない、入れ替わりの存在しないモダンというフォーマットについては考慮していませんでした。ただ攻撃したりブロックしたりすることしかできないクリーチャーを禁止することは非常に奇妙なことに思えます。その理由は、戦闘に参加するクリーチャーが強すぎるから、ではありません。強すぎるからというだけの理由で禁止しているのではないのです。これは、アグロ・デッキがどうあるべきかと言う開発部の判断に基づくもので、様々なクリーチャーの強さを比較したことによるものです。デザイナーが1マナ5/5のクリーチャーを作ったとしても、デベロッパーはそれを強すぎると見抜いて印刷に回さないでしょう。《超起源》[TSP]のようなカードだと、何が起こるかを理解しきれない可能性はあります。
私たちはモダンというフォーマットに非常に期待しているとともに、来るべきプロツアー予選シーズンを楽しみにしています。
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