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グランド・マナ・ツアー
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グランド・マナ・ツアー
Doug Beyer
2011年5月25日
マジックにおいて、土地--場所であり、環境であり、地形である--は、根本的なマナの源だ。地形のタイプはそれらが生み出すマナの色を決める。私はドアから歩き出してこのマナ生成を少しお見せしたいと思った。だけどウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の我がデスクから見ることができるのは、小さな中庭とコンクリートの駐車場だけだ。私が思うに、このあたりで生み出されるのは汚水のような灰色のマナだけだろう。
幸運にも太平洋岸北西部、とりわけシアトルは目もくらむような多様性に溢れる自然環境の故郷だ。ゆえに私はマナ風味の任務に赴くことを決めた。マナウィークに敬意を表して、私は「一日で」五つ全ての基本土地タイプを訪れようと考えた。
ある素敵な春の日、私は会社を休んで車に乗り込み、グランド・マナ・ツアーへと出発した。そして私が実際にこれらの場所に行ったと証明するために写真を撮った。
髪の毛がすみません。
重要なものから順番に。私は島を確保しなければいけなかった。シアトルはピュージェット湾、太平洋と繋がる海水の塊に面していて、そして湾はいくつかの島を抱いている。いくらかの青マナを求めるには完璧な場所だ。私はフェリーの停泊所へと車を走らせ、巨大なカーフェリーの一つに乗り込んだ。
私はシアトルに住んで10年以上になるが、それでもフェリーに乗るというのは魅力的なことだ。自動車デッキに停めた車の中にただ座ってうたた寝をしたりiPodで音楽を聴いたり、その他何かをしている人々もいるが、私は決してそんな事はしない。船内をぶらつき、あちこち眺めてまわる。私は水に囲まれた動く部屋にいるような感覚に夢中になった。
私は陸塊をじっと見て、どの島がどれかを見分けようとした。奇妙なものだった。見晴らしの良い船のデッキから見たところ、島は島のようには見えなかった。基本地形カードのようには見えなかった。少なくとも、車で上陸することができて自前のフェリーの停泊所を持つほど大きいものが島と言えるだろうか。それらはただ・・・ああ、island/島ではなくてisを取ってland/土地のように思えた。十分遠くからでもその全てを視界に入れることはできなかった。四方を海に囲まれた、椰子の木の生えた砂浜という古典的な光景はなかった。もしかしたらこのland/土地から3万フィート離れた所にはisland/島があるのかもしれないが、ここからではただ陸塊のようにしか見えなかった。
フェリーが遠くの発着場に接岸する前でさえ、明らかに私は既に島の上にいた。人工的な動く島、そして私の周囲全てには青のマナがあった。何故この島と青のマナが精神と関連付けられているのだろう? 水は心を穏やかにし、熟考させてくれる?塔で孤独にふける魔術師のしかつめらしさのように、水は周囲を取り巻いて島を孤立させる? もしかしたらそのせいだろうか、フェリーでの旅は私にこんなにも瞑想にふけらせてくれた。
いずれにせよ、私は疑いようもなく目的の「島」を得た。
フェリーは目的地に到着した。ピュージェット湾中央のベインブリッジ島だ。実際に一つの島であることは脇に置いて、これは他の土地タイプにチェックを入れる良い機会だということを私は知っていた。
車に乗ったままフェリーから降りて、我がGPSはとても苛立っていた。
「指示されたルートを走って下さい。車を水から出して下さい!」
私は手つかずの自然を見つけることができないかと自然保護区を訪れた。未開地の只中、単独での任務であるにもかかわらず、私は秩序や人との繋がりといったものを強く感じた。すぐに私はこれに出くわした。
白のマナが私の周りを流れていた。奇妙ではないだろうか、文明や共同社会の相互依存といったものに最も関係した土地タイプがこんなにも荒れ果てているように思えるとは? そしてさらに、私は住居と農業のしるしを見つけた。ここはグレートプレーンズ(訳注:北米大陸中西部の肥沃な大平原)ではないが、それは間違いなく小さな牧草地だった。我が平地としての資格を十分に満たすほどに広々として、また損なわれていなかった。
何故平地と白のマナが秩序と善に関係しているのだろう? 十分な陽光は、冬に養われたシアトルの不健康さを間違いなく打ち壊す。平地の環境は当然、太陽へと開かれている。そしてもしかしたら、白のマナと秩序との関係は草原の平坦な広がりの中にある調和の美や規則正しさから来ているのかもしれない。あらゆる葉身は違う形をしている。それでも彼らは一様のパターンで、どこまでも広がる土地の中を成長してゆく。ちょうど共同社会の中の個人のように。
私にはまだ未発見の生物群系が3つあり、そして時間は既に午後だった。ゆえに私は先へと進んだ。私は薄暗い森林地帯を見つけたが、話を先に進めてはいけない。青々と茂る群葉と春の芽吹きに取り巻かれていたにもかかわらず、私は緑のマナの流れを感じなかった。いや、太陽は空高くにあるというのに、私は日陰の肌寒さを感じていた。新鮮な空気はよどんで腐敗した臭いへと変わった。
冷たく、日の当らない池の水面を藻類が繁茂していた。木々は池を覆うように斜めに傾いて、静かな水面を空から隠していた。溜まった汚泥は羽虫と分解者である菌類の生態系を支えていた。
そして、あー、かわいらしい雁の一家が我がカメラのファインダーへと泳いできた。どう思う? 私はここで沼の雰囲気を伝えようとしているというのに! 黒魔術! 死と腐敗! はぁ(溜息)
オーケー、そこは我々がしばしば沼のカードに描く、腐敗して枯れた陰気な場所ではない。その日は我々が長い間過ごしてきた、ひたすらとても美しい春の日で、あらゆるものが若々しく栄えていた。私がこれらの写真に見事な野生の花が入らないよう、どのくらい苦心したかなんてわからないだろう。だけど、私はこの嚢状葉植物の大きな塊を見つけた。食虫植物だ! おぞましいじゃないか、どうだ? 彼らは痩せた土、例えばこんな沼に育つ。それゆえに彼らは生きるために動物質の肉を食らう必要がある。
ところで、「swamp」でググることはあまり得をしない、少なくともこの地域においては。この単語はただとてもネガティブなのだ。プロのヒントをあげよう、「protected wetlands/保護された湿地帯」で検索するように。これならば探し求めているものを見つけることができる。浅くよどんだ水たまりのある、日陰になった低地帯。人間が排水し、覆い隠してしまったらしい生物群系。とにかく、いくつか検索条件を改良して私は探していたものを見つけた。どうだ、基本土地・沼だ!
何故、死と腐敗の色が沼と関係しているのかを理解するのは難しいことではない。暗く生気のない森はファンタジーの物語でしばしば中心となるものだ。特に、あれやこれを得るためならどんなことでもするような、野心のある冷酷なウィザードの住処として。霧雨降る秋か冬以外の時期にそういった種類の原型的な沼、要するに保護された湿地帯を見つけるのはより困難な場合がある。
次は最も簡単に見つけられる基本土地タイプだ。私は既に盛大に織りなされた植物と動物に囲まれていたので、GPSの代わりに本能に従った。そして木々の中の小道を進み、探していたものを見つけた。
太平洋北西岸はその青々とした常緑樹の森で知られており、この地に何千年にもわたって生物群系を築いてきた。シアトル近隣に残っている原生林はわずかしかないが、街には古の森のエメラルド色の輝きを保持し、取り戻そうと努力している自然愛好家がうじゃうじゃいる。緑のマナ、森、成長、豊穣、生きているクリーチャーたち......それらは全て本来調和しているものだ。私はこの格別な森で訪問者さえ目にした。ナールの一種だろうか? 無害に見えるが、それはおそらく強大なパワー/タフネスへとパンプすることができる低コストクリーチャーなのだろう。
私にはまだ踏破すべき土地タイプがもう一つあった。山だ。これは困難なものになりそうだった。太陽は私から遠ざかりつつあったが、日没までに実際に訪れることのできそうな、街に十分近い山は何もなかった。
私は州立公園へと向かった。ワシントン州のランドマークを眺めることができると知っていたからだ。公園の広く開けた浜と快晴の日の無限に続くような視界があってさえ、私はあの特別なランドマークがカメラにはっきりと捕らえられないであろうほど遠いことを知っていた。
レーニア山は巨大な、標高14,441フィートに達する、合衆国本土において地形学上最も目立つ火山だ。シアトルから50マイルほどしか離れておらず、ゆえにここの住人たちはレーニア山をただ「山」とだけ呼んでいる。「わお、今日はいい天気だ。一日中山が見えることに賭けてもいいよ」というふうに。レーニア山は活火山であり、それはありふれた今この時にも噴火するかもしれないということを意味している。火山灰の塊と溶岩ののたうつ波を周囲の盆地へと激しく吐き出すかもしれない(シアトルは溶岩流の通り道からは比較的安全であると考えられているが、レーニア山周辺の低地にあるいくつかの街は、もし爆発の時が来たならそれほど幸運ではないかもしれない)。
快晴の日というアドバンテージを得て、私はしばしば恥ずかしがって身を隠すレーニア山の山頂を写真におさめた。その日の残りの間ずっと、様々な角度から。
この距離では、私は巨大な火山との間にマナの繋がりを形成できたとは考えなかった。そして正直に言うが、穏やかで青白く霞んだその山容は、我々がたびたび土地カードに描いてきたような、赤熱して荒れ狂う山といった類の姿ではなかった。レーニア山は夏でも雪が残っており、山頂は年中寒さの中にある。その心臓には融けた岩石の猛威があることは確かだが、私のようなほとんどのシアトルっ子にとっては、「山」は都市生活の見事な背景でしかない。私はこの探求においてこの基本土地タイプと正しい繋がりを持てたかどうか確信していない。ただ間違いなく、私はこの日の遠出で山を文字通りに訪れることはできなかった。
それでも、四つの探索カウンターがしっかりと置かれた良い探索だった。私は街へと戻り、今一度自分自身をコンクリートとガラスと鋼の生物群系で包み込んだ。{W}{U}{B}{R}{G}のフルセットにほんの少し及ばないだけのマナを手に入れたにもかかわらず、私はまだ満たされないものを感じていた。私は赤マナの次にベストな物、カフェインで自身を焚きつけた。
もしかしたらいつか、私は一日で五つの全ての基本土地タイプを全て巡る真の旅をするだろう。とはいえこの旅のおかげで、私は土地と5色のマナの繋がりについてより理解することができた気がした。間違いなく、デスクチェアーを飛び出して自然へと飛び込む良い言い訳だった。Tシャツの着替え5回は言うまでもなく。
キオラの紹介
キオラ・アツアは来たるDuels of the Planeswalkers 2012 にて君たちが対面することになるプレインズウォーカーのキャラクターだ。ニッサ・レヴェインのように、キオラはカードでの登場より先にDuels of the Planeswalkersにて敵としてデビューする。ここに彼女の背景設定をいくらか述べる。
キオラ・アツアは深淵の力を支配するマーフォークのプレインズウォーカーである。キオラは海の巨大なクリーチャーを崇拝している。クラーケン、リバイアサン、その他暗き深みの生息者。何故なら彼女にとってそれらは、最も不変の力でさえ耐えることができるという証拠だからだ。時、水、捕食、そして暗闇。キオラは青と緑に列するプレインズウォーカーである。彼女は穏やかで思慮深く見えるが、彼女の夢は想像を遥かに超えた異様なものである。
キオラ・アツア イラストレーション:Scott M. Fischer |
Duels 2012でのキオラの登場は、彼女がすぐにカード化されることを意味するものではない。もしくは全くもって意味するものではない。我々はDuelsにおけるプレインズウォーカーのキャラクターを、広大な範囲に及ぶ多元宇宙からその強烈な魅力をちらりと顔見せしてくれているだけのものとみなしている。何人かは近い将来、物語の中で役割を演じることになるかもしれないが、他はそうではないかもしれない。キオラについては、時が教えてくれるだろう。
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