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ハイブリッド
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ハイブリッド
Steve Sadin / Translated by Mayuko Wakatsuki
2011年4月26日
わかっているとも、君は自分のデッキに勝利への道をもう一つ入れておきたいと望む時があるかもしれない。もし君が金属術デッキで《ファイレクシアの巨大戦車》や感染デッキで《鋼のヘルカイト》といった良質なフィニッシャーを得たならば。だけどもし君が感染クリーチャー6体と非感染クリーチャー7体のデッキを操っているのなら、君はあらゆる手段で抵抗を試みてくる対戦相手を倒すために多くの困難を抱えるだろう。
《荒廃後家蜘蛛》のようなカードは、その素晴らしい防御の腕前で(そして、やろうと思えば攻撃的に使用することもまた可能だ)たいていの緑デッキで良い仕事をしてくれる。だけどもし君が対戦相手に19点のダメージと9個の毒カウンターを与えても、彼らはまだ敗れてはいない。君が対戦相手を《疫病のとげ刺し》で5回つっついても、それは君の《エズーリの大部隊》が対戦相手を痛めつけて死に導くのをちっとも簡単にはしてくれない・・・
しかし、感染は拡大している。そして新たなるファイレクシアは君に、感染クリーチャーと非感染クリーチャーを同じデッキに入れてもよくなるような理由をいくつか提供してくれる。例として全カードギャラリーから《マイコシンスの悪鬼》を見てみよう。
もし君のデッキが対戦相手にどうやっても毒カウンターを与えられないのであれば、《マイコシンスの悪鬼》は完全にただの3マナ2/2だ。ふあぁぁぁ・・・
だけどもし君が感染専用デッキをプレイしているなら、もしくは感染/非感染のハイブリッドデッキを組んでいて、そして君が《疫病のとげ刺し》と5回気持ちが通じたなら、君の《マイコシンスの悪鬼》は7/7になる。もし対戦相手がこれを無視することを選んだなら、彼もしくは彼女は3ターンで致死ダメージに直面する。君が一切、他のダメージ源から与えていなくても。
もし対戦相手が君の巨人と化した悪鬼、たったの3マナで君が唱えたそれを戦闘で倒そうとするなら、彼もしくは彼女は2体かそれ以上のクリーチャーを必要とするだろう。そして対戦相手は君の感染クリーチャーのために道を開け、君に毒殺をさせてくれるだろう。
《マイコシンスの悪鬼》が君の場にいる時、君は対戦相手へと実に困難ないくつかの決断を強いる。そして彼らが選択したどんなものでも結局、それはきっと君にとって良いものとなる。
専念すること
私がミラディン包囲戦/ミラディンの傷跡のリミテッドで感染デッキをプレイしている時、私はいつでも自分のデッキを一流の感染クリーチャー、除去呪文、そして場合によっては非感染の爆弾で良いものがあればそれを一つか二つ、それらだけで満たそうと望む。だけど常にそんなふうにはいかない。
君は今までに、余分のクリーチャーが必要となったが感染持ちクリーチャーが切れていたために《モリオックの肉裂き》を感染デッキへと入れたことはあるだろうか? うん、私はある。私は実質上何の攻撃的応用性もない3/2バニラを喜んでデッキに入れたことなんて一度もない。だけどマナカーブの中に嫌な穴があいたままプレイするよりはましだ。
感染デッキにおいて(そしてさらに言えば、ほとんど全てのデッキにおいて)《モリオックの模造品》は《モリオックの肉裂き》より遥かに素晴らしいものだ。だがそれも意味のある攻撃的応用性は何も持ち合わせていない。やってくるアタッカーと相討ちになるか、もしくは5マナの投資として君に感染持ちクリーチャー、コンバットトリック、除去呪文を掘り出すのを助けてくれるか。それは素晴らしいものではないが役に立つことは確かだし、何らかの二者択一を手にしているということは多くの場合よりよいものである。
私は《最上位のティラナックス》や、同様の非感染ファッティを感染デッキのマナカーブの頂点に置くことに何の問題もない。もし対戦相手が我が伝染性の猛攻撃をどうにかできたとしても、6/5は単体で勝利することのできる十分な脅威、もしくはそれ以上のものになりうる。もし私の対戦相手が時間と精力とカードを用いてそれとやり合うことが避けられないのなら、私は感染クリーチャー達によってより容易に勝利することができる。
《マイコシンスの悪鬼》は、毒デッキにおけるほぼ最上級の非感染クリーチャーとは完全に異なるグループに属する。それは君に《モリオックの肉裂き》(軽くて防御に回すにはまずまずのクリーチャーだ、もし君が苦境にいるのなら)の全ての利点をくれて、そして《最上位のティラナックス》のほとんどの利点をくれる(フィニッシャーとなりえて、そして倒すには頑丈だ)。《最上位のティラナックス》が《マイコシンスの悪鬼》に遅れをとるただ一つの事は、感染デッキにおいて極めて危険な脅威だということだ。もし君が他の何かと上手くやれていなくとも。
そうだ。もし状況がそれを望むのであればゲームの序盤にやり取りのできる、たった3マナのクリーチャー。だがひとたび君の感染持ち達と何度か上手くやったなら、それは恐るべき脅威となる。とんでもないことだが、もし君のデッキがうまく機能しなくとも《マイコシンスの悪鬼》は十分に君を救い出してくれるかもしれない。それはあまりにも速く、あまりにも大きくなることができるから。
想像してみよう、2ターン目に《疫病のとげ刺し》、3ターン目に《嚢胞抱え》、4ターン目に《マイコシンスの悪鬼》。君の対戦相手が何体かのまずまずのブロッカーや除去呪文で君の感染持ちクリーチャー達による最初の猛攻撃を止めたとしても、君の《マイコシンスの悪鬼》は、やり合うにはとても厄介になっているだろう。
私はほとんどどんな非感染クリーチャーも感染特化デッキに望んで入れないだろうが、《マイコシンスの悪鬼》を感染デッキに入れたくならないとは想像できないね。
他のデッキにおける《マイコシンスの悪鬼》
もし君が非感染緑デッキをプレイしているのなら、普通は《腐敗狼》と《荒廃後家蜘蛛》を攻撃的に使うことはしないだろう。彼らはそれでもとても良い仕事をしてくれる。君が対戦において恐竜に続けてまた恐竜を唱え、対戦相手を粉々になるまで殴りつける所へと快適に到達するのを助けてくれる。
もし、君が実のところ感染で勝とうとしているのではないと対戦相手が感じているなら、彼もしくは彼女は何の問題もなくパワー2の感染クリーチャーに一度か二度は殴られてくれるだろう。ひとたび君が対戦相手に4個の毒カウンターを与えることに成功したなら、君は着実に対戦相手を《伝染病の留め金》で死に向かって削る(24マナ分起動すれば、ゲームは終了だ)。もしくは対戦相手に噛みつくための《腐敗狼》だけを残して、君の全てのクリーチャーを対戦相手のそれと交換してしまってもいい。もしくは良質な装備品を君の《荒廃後家蜘蛛》につけて、除去するか死ぬかの絶対的な恐るべき脅威を対戦相手に向けて作り出してもいい。だけどそれは、君が本当に毒によって対戦相手を死に追いやろうとするのとは全くもって似てはいない。ゲームの序盤に何発かそうしていたとしても。
しかしながら、もし君が《マイコシンスの悪鬼》を持っているなら、ゲーム序盤に君の感染持ちクリーチャーが与えたそれら2発の打撃は君に6/6クリーチャーを残してくれる。痛っ!! だけど《マイコシンスの悪鬼》は新たなるファイレクシアの、多少の感染をサブテーマにしたデッキでよく働く唯一のカード、というだけではない。そんなわけはない。
《シェオルドレッドの刈り取るもの》は注目すべき頑丈さを持つ防御的クリーチャーだ。それは容易に4/4達に睨みをきかせ、大体において君が築こうとしているもののどんな足元をも固める。ひとたび君が5マナを費やして《シェオルドレッドの刈り取るもの》を唱えたなら、君は続いてチームへと加わるファッティ達で気持ちよく攻撃することができるだろう。
もし君が他の大型クリーチャーで攻撃している中、足元を固めるためという理由で《シェオルドレッドの刈り取るもの》に攻撃へと参加させなくても、数度ブロックすることができたなら。もしくは君が《シェオルドレッドの刈り取るもの》で攻撃を行いブロックされるのを見たなら、君は対戦相手にいくつかの毒カウンターを負わせるだろう。君が非感染デッキをプレイしている時、今はまだこれら毒カウンターは意味をなさないかもしれない。だけどもし君の傍らに《マイコシンスの悪鬼》がいたなら、対戦相手は急いで答えを探す必要にかられる。もしくは君が毎ターン先へ先へと進むのを座り込んで見守る。
そしてもし君が《シェオルドレッドの刈り取るもの》に装備品の一つでも与えてやったなら、殺すのが困難でかつ致命的な、攻撃的な脅威を君は手にするだろう。
《囁く死霊》は非感染デッキで手にするには素晴らしいもう一枚のカードだ。もし君がそれを対戦相手を毒殺するために使うと考えていなくても、それは君の《マイコシンスの悪鬼》をパワーアップしてくれるし、同時に対戦相手の手札を摘み取ってくれる。もし君が《囁く死霊》を《変異原性の成長》でパワーアップさせたなら、一撃で3枚のカードだ。もし君が既に《囁く死霊》で対戦相手に一度でも攻撃を通していたなら、《変異原性の成長》でそれをパンプさせて対戦相手の手札を4枚も落とすことができる。そしてもし君が5ターン目に対戦相手の手札を4枚も落としたなら、物事はきっと君にとってとても良好に進むだろう。
よりよい恩恵を得よう
多くの異なる方向から対戦相手にプレッシャーを与えることができるというのは、君の強みとなる。新たなるファイレクシアが我々に提供してくれるいくつかの新たな手段のおかげで。
まあ、君はいざ新たなるファイレクシアが颯爽と登場しても完全にハイブリッドの感染/非感染デッキに狙いをつけるのをまだ望まないかもしれない。だけど君は感染デッキ中の非感染クリーチャーで、またその逆で何か良いことを起こせるようになるだろう。
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