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ミルクとクッキー・Matt Cavotta
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ミルクとクッキー・Matt Cavotta
Richard Whitters / Translated by Mayuko Wakatsuki
2011年2月16日
「ミルクとクッキー」バージョン2.0へようこそ! 公式連載コラムSavor the FlavorがまだTaste the Magicだった頃、著者Matt Cavotta(彼自身もマジックのアーティストである)は時折マジックのアーティストの誰か一人と座って仲良くおしゃべりをしていた。それは彼が「ミルクとクッキー」(リンク先は英語)と呼んでいた不定期連載記事になっていた。
私はこれを少しだけ新しくしようと思うが、まず私自身のことから始めよう。
私の名はRichard Whitters、マジック:ザ・ギャザリングの主任コンセプトアーティストだ。つまり私は孤独な男で......何故なら私はまた、ただ一人のこの会社所属コンセプトアーティストだから。もちろん、新たな舞台が地平線に顔を出したなら、私は他の有能なコンセプトアーティスト達を国中から、時には世界中から3-4週間手伝ってもらうために徴集している(それを我々は愛情を込めて「コンセプト推進期間」と呼んでいる)。
私はまたいくつかのコンベンションへと旅に出る。San Diego Comic-Con、New York Comic Con(訳注:どちらもアメリカで毎年開かれている漫画やポップカルチャーの大型コンベンション)、そしてGen Con(訳注:アメリカ・インディアナポリスで開催されている各種電源不要ゲームのイベント)。私の仕事はアーティストの画帳を吟味し、(できれば役に立つ)意見を与え、マジックやD&Dに相応しいと考えられるアーティストを探す。このうちで私がこよなく愛するのは、誰かに「オーケー、仕事をお願いするよ!」と言う時だ。
これらの仕事に付け加えて、私は今や6週ごとにSavor for Flavorに乱入することになったので、ミルクとクッキーを用意して座って待とうと思う。昔からのマジックのアーティストと、もちろん新しい人材も。
どうか皆、楽しんでくれますように!
私はこの「ミルクとクッキー」の新シリーズを、オリジナルのアイデアを思いついたその男と共に始めようと決めていた。Matt Cavottaその人と。
噂ではおもちゃの開発から経歴を始めたと聞いたのですが?
実際には、私はおもちゃの利用から始めたね。3歳か4歳になって落書きの世界へ移るまで、それはもっぱら私の得意分野だった。12歳かそこらだったと思うけれど、ロックスターになるという夢が十分にくじかれて、私はおもちゃと落書きの世界へと舞い戻った。
おもちゃのデザインは決してフルタイムの仕事になることはなくて、ただの投機のようなものだった。瓶で稲妻を捕まえるようなものだった。私は駄作の一団と少しの小さなヒットを生み出した(よちよち歩きの子供向けの豪華なおもちゃのスポーツ用品やハロウィン用コスチューム、それと現在開発中につきまだ話せない新しいなんとかかんとか)。
《ボス・カヴー》 アート:Matt Cavotta 落書きについてはここでは新しいことじゃないよね。私は数えたところ172枚のマジックのカードイラストを描いているから。
Mattはまた過去にコンセプトワークについてよく手助けしてくれた。彼はその素晴らしい作品とよじれた性格とが完璧に混ざり合っている。
お母さんもアーティストであったそうですが、大きな影響を受けたのではないでしょうか?
影響はあったね。いつでもそこかしこにアートがあったし、「そのくだらないお絵描きで時間を無駄にするのはやめなさい! 成功するわけないんだから! 数学をやりなさい、そして[よりつまらなくてよりもうかる仕事を何か入れてね]になりなさい!」なんて事は決して言われなかったから。
ああ、そして母は私の高校の美術教師で、その上私は彼女と同じ大学へ進んだ。
イラストやファンタジー・アートに興味を持ったきっかけは何ですか?
よくある話だよ兄弟、D&Dだ。自分のキャラクターのイラストを描いて......他の皆のキャラクターのイラストも描いた。D&Dは、絵を描くこととゲームが一つになった最初の経験だった。「俺のチョコレートからピーナッツバター味の持っていけよ!」「いや、お前が......」私が何を言いたいかわかるだろう。素晴らしいもの+素晴らしいもの=色鉛筆で素敵に表現された、漆黒のプレートアーマーを身にまとったノームの戦士だ。
《特務魔道士ヤヤ・バラード》 アート:Matt Cavotta
ファンタジーアーティストとしてはどのくらいお仕事を?
私が実際に「仕事」を始めたのは1993年、大学4年生の頃からだ。いくつかの小さな出版社にモンスターを描いてどうにかお金を貰っていたよ。それらは無名のまま埋もれている。私もそんな暗黒時代の恥ずかしい作品を表に出そうとは思わない。
《包囲マストドン》 アート:Matt Cavotta
私はMattの「恥ずかしい」作品をどうにか見つけようなんて思っちゃいない。ゆえに彼はそれを隠すために素晴らしい仕事をし続けてくれるにちがいない。
芸術的な面で影響を受けた人は?
80年代前半のD&Dで堅固なアートを描いていたJeff Deeが全ての始まりだったね。彼のスタイルから影響を受けたとは言えないかもしれないけれど、「こんなふうに描きたい!」って思った最初のアートだったって事は間違いないよ。
アヌビス アート:Jeff Dee 長い間ずっと、私はとても多くの素晴らしい多くのアーティストから影響を受けてきた。もし君が私の頭に銃を突きつけたなら、その偉大な名は「Richard Whitters」に帰着すると言わざるを得ないな。君が銃を私の頭に付きつけた時、私に何を期待するかな?
マジックのカードアートを描いてどのくらいになりますか?
1994年からマジックのカードを描いている。もちろん、それらは私が思いつきで楽しむために作り上げたり、Inquest誌(訳注:2007年までアメリカで発行されていたカードゲーム関連雑誌。マジックを多く扱っていた)のお間抜けカードデザインコンテストに投稿した偽物でしかない。最初の本物のマジックの絵は1998年に描いた、メルカディアン・マスクスの《地下格納庫》だ。
《地下格納庫》 アート:Matt Cavotta
マジックに「押し入る」のは大変でしたか?
ああ。今はもっと大変だと思う。アートを提出し、一連のアートディレクター達と話して、Dana Knutsonがオハイオから来た未熟な世間知らずの写真を撮ることにするまで2年かかった。その時点で私のアートは良いものではなかった。Danaに信用してもらうためにはいくつかの約束を示さなければならなかったが、そのための小さなヒントは無様な評点の間におずおずと隠されていた。彼がそうしてくれたことを喜ばしく思う、何故ならその後に全ては変わったから。
《刻まれた巫女》 アート:Matt Cavotta
事実、私も言うがそれは今も大変なことだ。我々の新たなアーティストのほとんどはD&D向けに控えめなサイズの内部向けアートを描くところから始めている(ゆえに彼等は、泳げるようになるためにプールの最深部に飛び込まなくてはいけないような、多大なプレッシャーから爆発してしまうことはない)。だけど一度誰かを採用したなら、長い時間彼等に固執する傾向はあるね。
マジックのために描いたもので、最もお気に入りの作品は何ですか?
「お気に入り」を決めろと! 私の創造物全ての中からたった一つを選べと。選ばれなかった残りはすごく悲しむだろう......もしくはもっと悪いことに、猛烈に気分を害するだろうね。
《知覚食らい》 アート:Matt Cavotta
了解、では私が決めさせてもらおう。私はMattの担当した全てのマジックのカードを知っている。私のお気に入りをピックアップして、更にこの記事のいたるところに散りばめておこう。もし私が逃したMattの作品がお気に入りという人がインターネットの世界にいたなら、フォーラムにカード名を投稿してくれるかな。彼もきっと喜ぶからさ!
貴方はまた2005年から2007年まで、連載記事Taste the Magicをその始まりから執筆していましたよね。どんなことを最も楽しんで書いていましたか?
当時、マジックにはトーナメントレポートやリミテッドの点数表、スタンダードのメタゲーム、その他様々な事についてのアイデアを交換するためのフォーラムしか存在しなかった。本質的に、ヴォーソス達には上げるべき声が与えられていなかった。私はそれができる一人だという事を一番楽しんでいた。マジックに、カードをプレイする時には何の関係もないクールな物事だってとても沢山ある。私はそれら全ての旗を高らかに掲げたことを誇りに思っているよ。
《溜め込むドラゴン》 アート:Matt Cavotta
貴方は全く異なった立場からマジックの仕事を始めたところですが、新しいポジションについて少しでいいので教えて頂けますか?
去る7月、私はここでシニア・クリエイティブ・アートディレクターとしての新たな仕事を始めた。それが意味するのは、マジックのビジュアル的同一性を仕切るのが私の責務だということだ。その表現の全てにおいて。ゲームそのものから包装、ウェブデザイン、広告イベント、その他全てだ。アートディレクターのJeremy Jarvisもまたマジックのためのアートを依頼し、その作風を整えるために注意深く作業を進めている。マジックの全ての事について、畏敬の念に満ちるほどに極悪なプロットを手に持って広めようとしている2人の血迷った人間が今ここにいるという訳だ。
《炎まといの天使》 アート:Matt Cavotta
またすぐに貴方のアートをカードで見ることができますか、それとも新しい立場の仕事で忙しいでしょうか?
現時点で私は疲労困憊だ。けれど私は永遠に労力をかけるつもりはない。基本セット2012はマスクス以来、いくらか年をとった私の新たなアートが収録されていない初のセットになる予定だ。
私としては、できる限りMattに一緒に落書きをさせるつもりだ。あんなすばらしい腕を遊ばせておくなんて許さないからね!
ロックンロールの経歴は? コンサートで再び貴方に会えますか?
ああ、あれは90年代前半のことだった。私のこの上なく幸せなロックンロールの夢の日々。1992年のある日だった、私は美術学校を飛び出して、私のバンドとともにツアーへと出発した。幸運にも私はその日正式に学校を辞めたわけではなくて、何故ならそれはちょうど同じ日に、我々の才能ある表看板の歌い手が彼自身の退学を決めたから。ああ、それは貸切バスやデリカテッセンのトレイ、そして親衛隊、そんなものがある未来は私のものではないというサインだった。その代わりに絵の具の魅惑的な香り、ゲーム仲間、そしてゴブリンの戦士達を手に入れた。素晴らしい時間、とても素晴らしい時間を。
《アッシェンムーアの抉り出し》 アート:Matt Cavotta
私はMattの音楽を直接聞いたことはないが、それは「EnyaみたいなGWAR的サウンド」だという話を聞いたことがある。思うにポッドキャストをしないのは喜ばしいことなんじゃないかと。(訳注:Enyaはアイルランドの女性ミュージシャン、GWARはファンタジー的衣装と特殊メイクに身を包んだアメリカのヘビーメタルバンド)
さて、以上でこのインタビューは終了だ、皆、そして楽しんでくれたかな! 次回また会おう。
(編訳注:アーカイブ内の記事は英語です)
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