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究極のシンクタンク
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究極のシンクタンク
Noel deCordova
2011年1月20日
ようこそ、おかえり、この研究所に! いつも通り、ボクは、少なくとも狂っててイカレれてオカシくて、じゃなきゃただばかばかしいマジックのコンボを心のままに描いてやるんだ。ボクはみんなが言っているようにコントロールなんかしちゃいない。そいつはヒョッコリやってきて、書け書けとうるさくて、ボクは喜んでやむを得ず従うのさ。クリックしたくなるようなポップアップ広告と一緒だよ。
みんなが知っている通り(知らなきゃ知ってよ)、ミラディン包囲戦は少しずつそのヴェールを脱ぎつつあるんだ。ビジュアル・スポイラーには一日5?6枚ずつカードが追加されていってる、はず。凄いだろ! ボクはミラディンの傷跡の大ファンだったし、その最初の拡張セットは前評判に負けないものっぽい。生体武器! 喊声! 見るだけでおよそ117秒の昏睡を引き起こす《荒廃鋼の巨像》のような攻撃的な馬鹿カード! 1枚だけ見ただけでイカしたサイクルだとわかる、頂点サイクルもある。
ボクはマジックのカレンダーでこの時期が大好きだ。プレビューを読んで新セットに関する知識のカケラが心に埋め込まれるのはみんな楽しみだ。完成したビジュアル・スポイラー(ミラディン包囲戦ならあと2週間だね)はすばらしい知識のプールになる。
ここで知識についてわざわざ取り上げてるのは、ボクのプレビュー・カードの準備でもある。前回「今まで見た中で一番狂ってる」とか「もしミラディン包囲戦が気狂い村なら、ボクのカードは村長さ」と予告した奴。実際、ボクが今までプレビューしてきたカードはどれもとびっきりの壊れたカードだったからね(《集団意識》、《練達の変成者》、《時の篩》......)。
《知識槽》について、公開もしないで話しても意味がないよね。じゃあお待ちかね、大公開だ!
このプレビュー・カードに相応しい、小説のように長いFAQが準備されているんだ。
- 対戦相手が所有しているものも含み、知識槽で追放されている他のどのカードを唱えることもできる。知識槽の戦場に出たときの能力で追放されたカードも、他の誘発型能力によって追放されたカードも唱えることができる。
- プレイヤーが手札から唱えたカードは、呪文や能力によって打ち消されない呪文であっても、追放されたなら解決されない。
- もとの呪文が追放されなかった(《知識槽》の2つめの誘発型能力の解決前に他の呪文や能力によって打ち消されたなど)場合、能力の残りの部分は何もしない。そのプレイヤーは、追放されているカードを唱えることはできない。
- 《知識槽》に土地でないカードが追放されていなくても、もとの呪文は追放される。
- 追放されたカードのキッカー・コストなどの追加のコストを支払うことができる。
- カードに《カルドーサの再誕》のような強制の追加コストがある場合、その呪文を唱えるときには支払わなければならない。
- カードのタイプによるタイミングの制約は無視される。例えば、追放されたクリーチャー・カードをこの方法で唱えることができる。《脊髄支配》の「脊髄支配は戦闘中にしか唱えられない。」のような他の制約は無視できない。
- マナ・コストを支払わずに唱えたカードのマナ・コストにXが含まれる場合、その値として0を選ばなければならない。
- 元の呪文を唱えることによって誘発する他の能力(《引き裂かれし永劫、エムラクール》など)は誘発し、スタックに置かれる。
- 複数の《知識槽》が戦場にある場合、どのカードがどれによって追放されているかの記憶が必要である。プレイヤーが呪文を手札から唱えるたび:
- 全ての《知識槽》が同一のプレイヤーにコントロールされている場合、そのプレイヤーが誘発型能力をスタックに置く順番を決める。最後にスタックに置かれたものが最初に解決される。
- 複数のプレイヤーがそれぞれ1個以上の《知識槽》をコントロールしている場合、アクティブ・プレイヤーが自分の誘発型能力を好きな順番でスタックに置き、それから他のプレイヤーがターン順で同様に行なう。最後にスタックに置かれたものが最初に解決される。
- 最初に解決される誘発型能力がもとの呪文を追放し、その呪文を唱えたプレイヤーはその誘発型能力を生成した《知識槽》が追放した土地でないカードを1枚唱えても良い。他の《知識槽》の能力は、解決時にもとの呪文が既に追放されているので、何もしない。
さあ、じゃあ泳ごうか。知識の中を。ハッハー!
狂気の祖先
昔、ボクが《嵐の目》こそが1枚に詰められる狂気の頂点だと思っていたころ。もちろん複数のカードを組み合わせれば無茶苦茶な盤面を作ることは出来るけど、《嵐の目》は1枚でそれが出来たんだ(実際、その奇妙な局面に魅せられて、ボクは即座に《嵐の目》を組み上げたのさ。そんなことする奴はそういなかったと思うけどね)。
それから、1年半前、ボクは基本セット2010の《集団意識》のプレビューを仰せつかった。またもボクの心は激しく泣き叫んだよ。またもや1枚で奇妙な状況を作り上げられるようなカードが来たんだって。ただただインスタントとソーサリーと、ハハッ、狂気を加えていくだけさ。
こんなことを言うなんて自分でも信じられないんだけど、《知識槽》は、《嵐の目》と《集団意識》の子供に違いない。コストや不確実性をちょっと忘れれば――このカードは、今までになかったようなことをしてくれる可能性があるんだ。
さて、それじゃこのカードをしっかりじっくり見ていこう。槽の浅瀬の方をゆっくり歩いて行こう、今のところはね。
浅瀬
まず、《知識槽》のコストは{6}だ。特段軽いってわけじゃないけれど、まあそんなもんだろう。第3ターンに《パラジウムのマイア》でも出ていれば、第4ターンにこれを出せる可能性もあるんだ。
追放されたカードはそのうちにプレイできる。それは次の能力を見れば判るよ。
一応言っておくと、《知識槽》は君だけのものじゃない。どのプレイヤーが呪文を唱えても、そのプレイヤーが一番魅力的なカードを槽から取り出して唱えるんだ。そして、本来唱えられた呪文は将来使われる日のために槽の中に放り込まれるってわけ。
2人戦では、《知識槽》は合計6枚のカードを最初に選択肢に持つわけだ。じゃあ、5人戦なら? おめでとう、15枚だ!
《知識槽》は(凄い奴らをタダで唱えられるという)派手な使い方の影に、隠れた一面としてゲーム全体をひっくり返すというものがあるんだ。普通は、プレイヤーはデッキを組んで、自分の呪文を邪魔されずに唱えたいと思うものだよね。この2つめの能力の2つめの文章にフタをしてみよう。
あごが外れるだろ。手札から唱えた呪文が、ゲームの残りの期間ずっと消えていくんだ。......ま、ちょっとだけ。他の呪文を《知識槽》から選んで唱えるまでの間だけ、ね。
すべてが落ち着いてみると、《知識槽》は君が唱えた呪文を追放されたカードのうち1枚に変異させちゃうってことになる。まだ理解できてない人は(難しいカードだからね!)、FAQを読み返してくるといい。いやマジで。
水......じゃなくて知識の上を渡る
さてどうやって《知識槽》を活かしたデッキが組めるかな? ボクの半分は、《集団意識》のときと同じアドバイスを送りたがってる。つまり、「まずはデッキに入れてみろ」だよ。ライフ総量じゃなく正気度総量で勝負するなら、勝つのはとても簡単だろうね。
このカードの秘密を解き明かす、秘密の調査が進められているんだ。
ライブラリーの一番上を操作する各種の方法。《腹黒い夢》なら君のデッキを効率的に組み替えられる。《ディミーアの策謀》はその逆に、相手のライブラリーの一番上を操作できるんだ。もっと行きたければ《偵察行》。《知識槽》には「土地でない」と書いてあるので、溜まっている相手のカードをただ使うことだってできるよ。実際、昔ながらの《分かち合う運命》デッキ型の小粋なデッキだってできるだろう。《知識槽》4枚とライブラリー操作の山を入れればいいんだ。で、例えば《破門》でクリーチャーを飛ばした後で《知識槽》。除去したクリーチャーはライブラリーの上にあるわけだからさ。
これのもう一つのバリエーションには、《夜明けの集会》や《ゴブリン徴募兵》(《ドワーフ徴募兵》でもいいよ)のようなクリーチャーを基礎にしたものもあるね。自分が出したくて相手が出したくないようなクリーチャーを探しておくんだ。例えば、《ゴブリン徴募兵》で言えば、《思慮無き者》。実際、部族戦略はこいつと相性が良いよ。相手が《蟲惑的な吸血鬼》1体だけ出していても何も怖くはないけど、大量の吸血鬼を入れてある自分が出せれば、《知識槽》から生まれてきた嫌な連中のコントロールを奪えちゃう。
《蟲惑的な吸血鬼》と言えば、相手が何かヤバいものを出してくる危険性があるから、何かのコントロールを得させてくれるものはどれもいいカードだ。ボクは、マイナーなカード《無神経な抑圧者》が好きなんだけど。
さあ、これが《ゴブリン槽》デッキだ。《知識槽》を出来るだけ速く出して、軽いゴブリンを唱えて貰うものを貰っちゃおうって魂胆さ。
22 《山》 -土地(22)- 4 《宝石の手の焼却者》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの先達》 2 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリン徴募兵》 4 《モグの戦争司令官》 2 《思慮無き者》 2 《包囲攻撃の司令官》 -クリーチャー(26)- |
4 《ドラゴンの餌》 4 《知識槽》 4 《煮えたぎる歌》 -呪文(12)- |
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深淵
ここまでは《知識槽》でデッキを組んでみるという計画だったんだけど、ま、そんな必要はなかったかなと思ってるんだ。弄ってみれば弄ってみるほどに、《知識槽》は究極の「世界に迷惑を掛ける」カードで、今から紹介するデッキはまさにそのためのデッキさ。
五里霧中の気分で初めてこのカードのFAQを読んだとき、最後の項目には3つの小項目がついてるってことだけは気がついた。もう一回読み返して、そして「複数の《知識槽》」ということが書いてあるのが判ったんだ。
3つの小項目があるんだよ! だったら、できるだけ多くの《知識槽》を入れたデッキを作るんだ! 勝ち方? 知らないよ!
6 《島》 2 《教議会の座席》 14 《沼》 2 《囁きの大霊堂》 -土地(24)- 4 《刻まれた勇者》 4 《パラジウムのマイア》 -クリーチャー(8)- |
4 《永遠溢れの杯》 4 《処刑人の薬包》 4 《腹黒い夢》 4 《知識槽》 4 《ミシュラのガラクタ》 4 《彫り込み鋼》 2 《求道者テゼレット》 2 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(28)- |
|
《腹黒い夢》で《知識槽》4つ全てを探して、《彫り込み鋼》でコピーして、何が起こるかは高みの見物。新旧テゼレットが勝利に向けて花を添えてくれるよ。
何にせよ、ボクは公式にジョニーの雄叫びを響かせてみた。《知識槽》のコンボを魅せてくれ! このカードはとても無軌道で無制限だから、日曜日までにはボクの脳みそは耳から融け出てるだろうさ。ま、来週までね!
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