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モダンマスターズ 2017年版

『モダンマスターズ 2017年版』一問一答

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『モダンマスターズ 2017年版』一問一答

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年3月10日


 こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 今回は、『モダンマスターズ 2017年版』に関するみなさんの質問に答えていこうと思います。私はこのセットに関するものすごい反響に圧倒されていますが、一方でみなさんが私と同じぐらい興奮してくださっていることを嬉しく思います。では前置きはこれぐらいにして、質問へと行きましょう。

 来週『モダンマスターズ 2017年版』の一問一答をやりますぞ。質問を送ってください! できれば答えられるものを。


 再録カードのチョイスにモダンのメタゲームは考慮されているのか、それとも入手しやすさしか考慮されていないのか? すごいセットだ!

 モダンのメタゲームはもちろん考慮されています。『モダンマスターズ 2015年版』の間違いのひとつは入手しにくいカードに再録を集中させすぎ、しかしそれらが一般的にモダンの「定番」とは考えられていなかったものだったことです。これらのセットの目的はモダンの定番ばかりに感じられるものにすることであり、その理由は......そうするべきものだからです。そして(うまく行けば)低いレアリティのそれらの定番は十分リミテッドで話題になるはずです。理想的な世界では、モダンへの参入に目を向けている人が全てのパックから有用なものが得られます――それが彼らの組みたい特定のデッキのものではなかったとしても。

 マーフォーク(《アトランティスの王》と仲間たち)やスリヴァーを収録を検討したことはないの? なぜこれらは枠を外れたの?

 実際のところ、マーフォークはこのセットの初期バージョンには入っていました。『モダンマスターズ 2015年版』も白青の色のペアのテーマとしてそれらをプレイしていました。これはクールだったのですがとても閉鎖的で、そして我々が多色フォーマットに向かっているのに直接的な部族テーマを作るのは筋が通りませんでした。またこのテーマを機能させるための大量の白いマーフォークも実際にありませんでした。『ローウィン』のタップ/アンタップの誘発型能力には多くの楽しい物事があったので、それらがどこかの時点で再び試されると思います――私の予想では自立できるぐらいににそのメカニズムとの十分なシナジーが白に揃った時でしょう。

カードリストはいつ決まったのですか? タイムリーなカードがたくさんありますよね。

 このセットのデベロップが終わったのは大体1年前ですが、アートが完成するのを待っている間にある程度カードを変更する時間がありました。なのでタイムリーな再録の多くは我々がそれの流行を予測していたか、単に運が良かったかのどちらかです。《死の影》のようないくつかのデッキはトップメタではありませんでしたが、一方で《古きクローサの力》は当時の感染の強さによってよりタイムリーなものでした。我々は上がってくるデッキのいくつかを捕まえられるようにトップメタ以外のカードもこのセットに入れようとしたのですが、今回は『モダンマスターズ 2015年版』よりも幸運でした。

 なんでこのセットのアーキタイプに合いそうな《オーリオックのチャンピオン》や《不可思の一瞥》を収録するスペースを見つけられなかったんだ?

 青黒がライブラリー破壊テーマだった時点では《不可思の一瞥》がこのセットに入っていたのですが、ライブラリー破壊がより大きなテーマになるセットまで再録を見合わせるほうが良いように感じられました。そうすれば、これは1つのアーキタイプにとっては開けると本当にエキサイティングなレアであり、リミテッドでのあまり何もしない呪文ということは少なくなります。結局のところ、このセットには多くの目標があり、これら両カードはそれに合うものではありませんでした。ご心配なく、これらはいつか将来のセットに収録されるでしょう。

 リミテッドで多色に焦点を当てているのになぜ《血染めの月》が入ってるのですか? 新しく再版が必要ですが、ドラフトで見かけて楽しいものではありません。

 これは意味を持つので実際このセットに良く合ったものです。このカードは少し悲劇的なものだとしても、モダンのために入手できるようになる必要があって、興味深い方法でリミテッドに影響を与えることができる、これのようなレアがあることに満足しています。4色や5色の門デッキに対して《血染めの月》を使うビートダウンをプレイすることは、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldの意図したマジックに近いものです。全ての組み合わせでそのように機能するべきではありませんが、いくつかそうなることは全体的に見て良いことです。

新しいアートにするのかどうやって判断しているの?

 我々はこのセットで限られた数の新規アートの枠を持っています。そこで起こることは2つに分かれています。

 デベロップのリードがセットに目を通してこのセットの中で最もエキサイティングなカードを選び、それをどのカードに新規アートを優先するかを決めるアート・チームに伝えます。

 アート・チームは現在のアートの基準に達していないと感じるカード(我々が新規アートでカードを再録するたびに毎年減っています)か、今のカードの枠で見映えが良くないカードか、本来のコンセプトをもっと良くできるカードを選びます。我々はその後、それらのリストをどのカードを新規アートにするかを選ぶために使います。

 結局のところ、そのセットのアートのリードが最も発言権を持っていますが、リード・デベロッパーが何かを新規アートにするべきだという実際にもっともな理由を持っていれば、彼らは自由に自分の言い分を説明し、その何かを推します。

 スタンダードを「飛ばした」カードをこのセットに収録しようと思ったことはある? たとえば『オンスロート』のサイクリング土地とか。

 我々は以前これについて話し合ったことがあり、そしてモダン向けだけにカードを印刷することや、そのフォーマットのためにカードを再録することをしないことに決めました。確かに我々が常にそうするとは言えませんが、我々はモダンが時折そのフォーマットを大きく揺り動かすマスターズのセットで大成功を収める場所であるよりも、スタンダードから進化したフォーマットとして世に出ているほうが良いと思います。このフォーマットを揺るがすようなものが必要になる時が来るかもしれませんが、しかし今のところスタンダードで使える通常のセットの発売でモダンの多様性を十分維持できています。

 『モダンマスターズ』と昔の基本セットとのデベロップの方法の違いを説明してください。複雑さやカードの選択、スタンダードのテーマなど。

 大違いです。まず、我々はスタンダードのテーマに合わせる必要がありません(とはいえ、スタンダードのセットがマスターズのセットを薄めたバージョンにならないようにするためにそれらが近くなることは避けようとするべきです)。また我々は複雑さを扱うためのより多くの余地を持っています。我々はスタンダードで使えるセット向けに、それがあるプレイヤーにとっての最初のマジック体験になることを想定したたくさんの決まりを持っています。一方、実際に経験の多いプレイヤー向けになると想定しているマスターズのセットではそれほど多くありません。また当然ながら収録されるカードのスタンダードでの強さを心配しなくて良いので、カードがフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL)で強すぎるからといってデベロップの後期に変更をたくさん行う必要もありません。多くのリミテッド・フォーマットである1色が弱すぎるものになってしまうのは、そのリミテッド環境を実際に再調整できなくなった後でカードが弱体化された結果だということがあるのです。

貴族の教主》はどこ? モダマス2017に入れようか考えたことある?

 我々の決まりではマスターズのセットに1つのメカニズムを入れるなら少なくとも3枚は入れることになっています。《貴族の教主》は賛美を持っていて、我々がこれを『モダンマスターズ 2015年版』で印刷したばかりだという事実はこのメカニズムを避けさせ、他のカードで行くという結果につながりました。これがこのセットにとって魅力的ではない別の理由は、賛美がこのセットの他のどのメカニズムともうまくいかないので、メカニズムとして筋が通らないというものもあります。我々がマスターズのセットに感染を入れた場合、賛美はそれと重なる本当に良いメカニズムになると思います、

 なぜ《台所の嫌がらせ屋》がないの? これはこのセットのレアより下で一番大きな失敗に見えます。

 上の質問と同じように、我々はある程度の支援と-1/-1カウンターをこのセットに導入する必要があるメカニズム(頑強)を取り扱っています。我々のスタンダードでの決まりでは+1/+1カウンターと-1/-1カウンターを混ぜられないことになっていますが、それはマスターズのセットで採用できないということにはなりません。結局のところ、《貴族の教主》のように、我々はたくさんの興味深い頑強のシナジーなしで《台所の嫌がらせ屋》をこのセットに加えることが見合うと感じなかったのです。私は将来のセットで良い重なりが見つけられると確信しています。

 同時に解禁するためにモダマスにカードを仕込んでおくことを考えたことはある? ジェエエエエエエエエエエイス

 これは我々にとってかなり危険な先行です。そうすることはできますが、我々がすることは2つに1つです――1年以上前に解禁したいカードを決めるということは、必要以上に長い間それが禁止されているということか、その間にメタゲームが変遷したとしても変更できない状態でその決定を固定しなければいけないかのいずれかです。解禁されるカードを入れる方法としては、予告ホームランをするよりもマスターズのセットに後から(多分タイプセット――カードのテキストの最終決定――のほとんどが終わった後、印刷される前に)追加するほうがありうるでしょう。

 このセットに最初に「絶対入れる」と決めたカードは何?

 まず最初にこのセットに入ったのは《タルモゴイフ》、《滅び》、《ヴェールのリリアナ》、《ゴブリンの先達》、《瞬唱の魔道士》、そしてフェッチランドでした。私はこれらがモダン向けに再録する必要があったので最後まで残すようにしたいことは分かっていました。それだけではなく、残りのほとんども、我々が再録できるたくさんのカードに関する知識でこのセットに最も合うと感じたものでしたが、それらを全てここで適応させることはできませんでした。

 伝統的な10種の2色アーキタイプではなく、もっと受けの広いアーキタイプにすることにした理由は何ですか?

 金色のセットで10の色のペアを試してみたところ、多すぎました。何らかの軸に偏らせずに金色のカードを詰め込むと、様々な興味深い2色や3色のデッキができるのではなく、ほとんど同じような5色デッキがたくさんできてしまうことが分かりました。このフォーマットで断片に焦点を当てるようにすることによって、友好色のペア5種類の金色カードの割合が上がり、グッドスタッフのごった煮ではなくテーマが明解な2色と3色の戦略を作りやすくなりました。

 今週はここまでです。来週はスタンダードについてお話しします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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