READING
企画記事

あなたの街のティーチングマイスター 第21回:BIG MAGIC なんば店(大阪府) 中山優輝さん
「ティーチングマイスター」とは、初心者にマジックを教える認定資格を持つ人のこと。「あなたの街のティーチングマイスター」では、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』がリリース後となるこのタイミングに、全国各地にいる彼らの紹介インタビューをシリーズで掲載していきます。
今回は大阪・日本橋のカードショップで店長としてお店を取り仕切りつつ、マジック担当も務めているこの方です。
半生を共にして
──本日はよろしくお願いします。まずはこれまでのマジック歴について聞かせてください。
中山:周りでカードゲームが流行り出した小学校の頃、コロコロコミックに載っていた『デュエル・マスターズ』を見て「なんかおもろそうやなあ」とはじめました。
はじめは周りの友人と遊んでいたんですが、パックを売っているお店に行くと同じような経緯でマジックを始めただろう同年代の子供がいて、それが小さなコミュニティになったりして。「こんな形で友達が増えることもあるんだな」と思ったことを覚えています。
そのころは本当に持っているカードで遊ぶだけだったんですが、中学に上がると情報誌のゲームぎゃざなどで情報収集しながら、自分たちなりに工夫して環境デッキに喰らいつこうとしてみたりしていました。
──手持ちの中でやりくりする、あの感じですね。
中山:そうですそうです。《極楽鳥》が集めきれなくて、《ラノワールのエルフ》頼みの「ファイアーズ」で頑張っていたりしました。マスクス・ブロックから『インベイジョン』くらいの頃ですね。苦労して手に入れた《極楽鳥》は、今でも大切なカードです。
そうして遊び続けて高校生になり、一度マジックから離れたタイミングがありました。はじめはマジックも部活も兼業で頑張ろうと思っていたんですよ。ただ、事件がありまして……組み上げたばかりのデッキ「電結親和」が、禁止改定を喰らってしまったんですよ。デッキの大部分のカードが使えなくなってしまって。
──……なるほど。確かにそれは厳しいですね。
中山:なにせ高校生ですから、カード資産にも限りがあります。いろんなリソースをつぎ込んで完成させた矢先の出来事だったので、本当に大打撃だったんです。勿論仕方がないことではあるのですが、しばらくマジックから離れざるを得なくなってしまいました。
まあ、大学にはいって1年半もするころには友人に誘わる形で戻ってきたのですが。それからはずっと遊び続けています。僕の半生、常にマジックがそばについているイメージはちょっとありますね(笑)。
──現在ではお仕事にもなっているわけですから、まさしく半生のパートナーですね。こちらのお店にはどういった経緯でお勤めになったのでしょうか。
中山:前職を辞めて次の職場を探していた時、大学時代からのマジック仲間たちがBIG MAGICで働き始めることになったんです。もともと客として通っていたお店だったので、相乗りさせてもらう形で働き始めました。
組織改編もあって友人たちは通販部などに移っていったんですが、今でも同じBIG MAGICの仲間として働けているのは嬉しいですね。
──とても素敵な繋がりだと思います。中山さんはずっと店頭でのお仕事をされているのですか?
中山:そうですね。ここなんば店でしばらくは別のゲームを担当しながらプライベートでマジックを、というスタンスでいました。そのころはBIG MAGIC主催のグランプリや大型イベントにも手伝いに行っていましたね。
ただ次第に人が入れ替わっていって、僕以外にマジックが分かる方がいなくなってしまいまして。現在は店長をしながら、マジックも担当している形になります。
──ご友人達がスタイルを変えられた中でお店で働き続けることを選ばれたのには、なにか理由がおありだったんでしょうか。
中山:僕自身、接客するのが結構好きだというのが大きいですね。対面で販売や買取をしたり大会を運営したり……そういったコミュニケーションが好きなんですよ。それがティーチングマイスターの取得に繋がっているところはあると思います。
──確かに、それはお店に立ってこその交流ですね。
中山:店長職になったこともあってどうしても表に出る機会は減ってきているんですが、今でもお客様とのやりとりは大切にしています。マジックはじめ、担当ゲームの大会は積極的に運営に出るようにしているんです。これからもコミュニケーションの機会は大切にしていきたいので、出来る限り続けていきたいですね。
やりこみがいのあるゲーム
──ではこの流れで、マイスターについても聞かせてください。コミュニケーション好きが取得につながったという事でしたが。
中山:この店がWPNプレミアムストアに認定されたときに、マイスターが一人もいないのはどうなんだという話になったんです。それなら、と僕が率先して取得しました。
ルール面での不安は全くなかったんですが、全くマジックを知らない人へのティーチングには独特の壁があって、はじめはちょっと難しさを感じることもありましたね。当たり前に使っている用語の解説からスタートしなくてはならない。「アンタップってアンタップ以外になんて言えばいいんだ!?」と。
──体に染みついてしまっている言葉ですからね。実際にティーチングを行うのはどういったタイミングになるのでしょうか。
中山:「マジック始めてみたいんですけど」とお声掛けいただいたタイミングで都度行っています。お客様が「気になってるんだよね~」なんて会話をされているところに、こちらからお声がけしてみることもありますね。他のゲームの大会などでそんなお話が出たりするときもあるんですよ。
そこから実際に体験してもらって、マジックも楽しんでいただけるようになったりするとやりがいを感じますね。中には統率者やモダンなど、どんどん遊び方を広げていってくださる方もいて……大会で結果を出している方もいらっしゃるんですよ。
もちろん完全に僕だけがきっかけ、なんて言うつもりもないですが、そういった方々を見て嬉しくなれるのはティーチングマイスターならではの特権かもしれません。
──背中を押す喜び、ということでしょうか。素敵です。他のゲームから来られる方もいるということでしたが、そういった方にはマジックのどういった点が魅力に映るのでしょう?
中山:やりこみ具合がしっかり勝敗に響いてくるゲームであることじゃないでしょうか。独特の土地システムやインスタントの存在があるので、マジックは比較的再現性が低いゲームだと言えると考えています。必ずしも毎ターン理想の動きが出来るわけではなくて、展開が試合ごとにがらっと変わってくる。
だからこそデッキ構築に深みがあるし、プレイ技術も大切になってくるんじゃないかなと。デッキ内のコスト配分にもこだわりや工夫が出てきますし、何度も何度も練習して経験を積むことが強さに繋がっていく作りになっている。そこに面白さを感じてくださっているんじゃないかなと思います。
──やりこみたくなるゲーム、ということですね。ご自身のマジック歴の中で、それを実感された出来事はありましたか。
中山:一時期モダンに熱中していた時期があって、そこでの体験が大きいかもしれません。僕はネットやSNSで見かけた面白そうなデッキをあれこれと試すタイプで、結構目移りが激しかったんです。大会に出る度に違うデッキを使っている、みたいな。それで全然勝てなかったんですよ(笑)。
一方で周りを見渡すと、これは関西圏の特徴かもしれないんですが、一つのデッキを使い続ける人が結構いらっしゃる。そうしてデッキを極めた方ってめちゃくちゃ強いんですよ。たとえずば抜けて強いデッキでなくてもとにかく勝つんです。やっぱりやり込みって必要なんだなあと気づきましたね。
──○○マスター、みたいな感じでしょうか。憧れちゃいますね。その後、ご自身でも特定のデッキを使い込まれたりされたのでしょうか。
中山:いや、なんだかんだ色んなデッキを渡り歩いています(笑)。負ける度に「やりこんでやる!」って意気込むんですけど、また別のデッキに一目惚れしてしまったりして。最近では「エルドラージ・ランプ」を使ったりしていますが、やっぱり一つには落ち着かないですね。
──あるあるかもしれません。でも、色々使う楽しみというのも格別ですよね。
わかりやすく、楽しく、より多くの人へ
──各地で大盛況の『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』。既に多種多様なイベントも開催されていますが、改めてこのコラボへの意気込みをお聞かせください。
中山:僕は「FINAL FANTASY X」世代で発売当時は凄く遊んでいましたし、周囲でも大流行していた思い出があります。そんな作品とのコラボということで、個人的にも店としても盛り上がっているところです。今は折角コラボするということで、同僚から薦められた「FINAL FANTASY VI」を遊んでいます。
職業柄、マジックに興味はあるけど踏み出せないという方も見てきましたが、そんな方たちにお伝えしたいのは「好きなように遊べばいい」ということです。まずはご自身の興味を持ったところから始めていただいて、楽しくなってきたら遊びの幅を広げていけばいい。
フォーマットも様々ですし、デッキを組まなくても遊べるシールド戦もある。スタートデッキを買って分けて遊ぶことも出来ますし、カードを眺めてコレクションする楽しみ方だってあります。色んな遊び方があることを知ってもらう第一歩になる、そんなティーチングができればいいなと思っています。
──ありがとうございます。では最後に、この記事を読んでくださっている皆様に一言お願いします。
中山:僕のモットーは「わかりやすく、楽しくマジックを遊んでもらうこと」です。そのために何が出来るかを常日頃考えながらティーチングや接客に臨んでいますので、少しでも興味を持っていただけたなら是非、遊びに来てみていただきたいです。ティーチングの際は軽快なトークで盛り上げていきますので、コミュニケーションも含めて楽しんでもらえると思います(笑)。
マジックをはじめ、カードゲームの世界は本当に楽しくて奥が深い。それに魅せられた身として、僕の手の届く範囲の方たちにはどんどん魅力を伝えていきたいなと思っています。お待ちしています!
──最後までありがとうございました。
BIG MAGIC なんば店
住所:〒556-0011 大阪府大阪市浪速区難波中2-4-15 興伸ビル1F/2F
電話番号: 06-6633-7338
公式サイト:https://mtg.bigweb.co.jp/shop/namba
大きな青い看板が印象的な「BIG MAGIC なんば店」はなんば駅徒歩3分・日本橋にあるカードショップです。2階が全て対戦スペースになっており、広々と対戦できます。WBNプレミアム店舗ならではの限定商品の取り扱いもありますよ。
RANKING ランキング
-
広報室ファミリーマートで『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』ベーシック・ブースターを買って特製プラトークンをゲットしよう!|こちらマジック広報室!!
-
戦略記事今週のCool Deck:前評判以上?土の技とマーベリック(レガシー)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
広報室12月5~11日は『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』ホリデー・コマンダー・ボックス・リーグで遊ぼう!社員による体験レポートも|こちらマジック広報室!!
-
開発秘話心理的反応|Making Magic -マジック開発秘話-
-
読み物『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』をコレクションする:物語は続く|翻訳記事その他
NEWEST 最新の読み物
-
2025.12.4戦略記事
とことん!スタンダー道!進化したシミック・ウロボロイド(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2025.12.3戦略記事
のらりくらり、気が付けば勝ってるイゼットはいかが?(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2025.12.2戦略記事
ディミーア・セルフバウンス:使いこなせ、ブーメラン!(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2025.12.2お知らせ
MTGアリーナニュース(2025年12月1日)|お知らせ
-
2025.12.1開発秘話
心理的反応|Making Magic -マジック開発秘話-
-
2025.12.1戦略記事
グルール昂揚:新環境最速の覇者!(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事



















