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企画記事
『ダスクモーン:戦慄の館』アーティストインタビュー:伊藤暢達
English Title: Exclusive Interview with Notable Artist Masahiro Ito
本記事では、先日発表となった9月27日発売セット『ダスクモーン:戦慄の館』に収録されるスペシャルゲスト・カード《滅び》(Damnation)のカードアートをご担当いただいた、伊藤暢達先生へのインタビューを掲載いたします。
※本記事の内容は本日発行の弊社プレスリリースと同一のものです。
※The English version is available at the bottom.
今回はどのように作品を描かれたのでしょうか?
お話をいただいた「ヴァルガヴォス」というキャラクターには、自分が得意とする方向性のキャラクターデザインとは異なる個体という印象でした。
作品のコンセプトとして、世界観はWesternではありつつも、「日本人が描いた」画風を目指しました。そのため、過去のアーティストがあまり使用していない配色を意識しました。画面全体が暗い方向へ進んだため、体表のオレンジ色の模様を「発光体」と解釈しました。それが無数の腕に反射する画面中心あたりの入り組んだ空間の表現は気に入っています。書き始めもこの複数の腕から制作しています。またカードはイラストのサイズが小さいため、「パッ」と見た時にどのような空間にどのようなシルエットのキャラクターが存在しているのかが分かりやすいよう心掛けてデザインしました。
制作は1日4時間かけ4日程度で完成させました。元のデザインにあまりアレンジを加えないという依頼があったので、体表の模様に若干アレンジを加えて制作しました。好き勝手にデザインをアレンジできない点は苦労しましたね(笑)。
実は、当初は人間キャラクター達の顔の表情を歪んでブラーのかかったものとして描き進めていましたが、最終的にはやめました(苦笑)。
Q.マジック:ザ・ギャザリングの印象は?
マジック:ザ・ギャザリングの魅力は、そのカードゲームとしての歴史だと思います。私はカードゲーム全般的にプレイしたことはありません。ただ、オンライン上でマジックの海外アーティスト達によるカードイラストを見たことはありますし多くの人がプレイされている光景は何回もメディアにて拝見したことはあります。やはりカードゲームとして歴史ある作品ですので、圧倒的な数のファン、規模、それらに敬服します。
コンシューマーゲームの仕事が続いている中、カードゲームイラストは長い期間描いていなかったので、今回はとても新鮮に取り組めました。『ダスクモーン:戦慄の館』の世界観は、以前に見たマジックのイラストの世界観とはかなり異なる方向性だと感じました。
Q. 『ダスクモーン:戦慄の館』の世界観やホラー作品への思いは?
現代のホラーはジャンルとしてかなり多様化しており、中にはレトロホラーに強く影響を受けた物もあるかと思います。『ダスクモーン:戦慄の館』は、お化け屋敷が舞台で、1980年代のホラー映画やゲーム、メディアからインスピレーションを得ていると聞いています。80年代のレトロホラーには、悪役、敵としてキャラクターに個性を持たせ、そこがその作品の特徴となっている物がメジャーな作品となる事が多かった印象です。現代ではそこにはあまり重点を置かず、主人公の行動や内面、背景に焦点を当てている物が大きな違いかなと考えています。
ホラー作品を描く上では、初期の「サイレントヒル」シリーズに携わった関係で、Westernのアーティスト達が描いたりデザインするクリーチャーやモンスターとは異なる物、独自性のある物を作るように意識しています。今回もそういった考えは意識しました。
Q.伊藤先生にとって一番の恐怖は何ですか? ホラー体験をされたことはありますか?
生活するためのお金が無くなることが一番の恐怖です(笑)。
ご期待に沿えない回答で申し訳ありませんが、今回の作品を描いていてもホラー体験は“全く”無かったですし、過去にも1度もありません(笑)。そもそも、こういった仕事をしている割には、そういった怪奇現象を全く信じない性格なので(笑)。
Q.最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
もし私がゼロからデザインしたオリジナルなキャラクターが描かれたカードを見たい場合は、マジックの運営さんにリクエストをしてください。沢山のリクエストがあれば、そのようなオーダーがいつか来るかもしれません(笑)。
<伊藤暢達 先生 プロフィール(X:@adsk4)>
1972年生まれ。1999年発売の「サイレントヒル」の背景・クリーチャーのデザインを担当。「サイレントヒル2」「サイレントヒル3」の制作にも参加し、全てのクリーチャーデザインやアートディレクションを手がける。2006年、イラストレーター、デザインナーとして独立。2024年初めにリリースされたPS5「SILENT HILL:The Short Message」のクリーチャー、裏世界(英語表記の場合は、Other World)のデザイン担当。
現在はフリーランスのイラストレーター兼デザイナー。
Q: How did you approach creating the artwork for this project?
The character design for "Valgavoth" differed significantly from what I’m accustomed to. For this project, I aimed to create a style that, while grounded in a Western setting, also reflects a "Japanese artist’s" touch. I consciously used color schemes not commonly employed by other artists. Given the overall dark tone of the piece, I interpreted the orange patterns on the surface as “luminescent.” I particularly enjoyed how these patterns reflected in the complex space around the multitude of arms. The piece was conceptualized with these multiple arms in mind. Considering the small size of the card illustrations, I designed it to ensure the space and character silhouettes were easily recognizable at a glance.
The work was completed over about four days, dedicating four hours a day. Although I was asked not to make many changes to the original design, I made slight adjustments to the surface patterns. It was challenging not to freely modify the design. Initially, I was drawing distorted, blurred facial expressions for the human characters, but I eventually abandoned that approach.
What is your impression of Magic: The Gathering?
I believe the charm of Magic: The Gathering lies in its history as a card game. I have never played card games in general, but I have seen illustrations by overseas Magic artists online and often seen the game being played in media. Given its long history, I admire the sheer number of fans and the scale of the game.
As my work has primarily been in consumer games, it was refreshing to work on card game illustrations after a long period. I felt that the world of "Duskmourn: House of Horror" was quite different from the Magic illustrations I had seen before.
Q: What are your thoughts on the world of " Duskmourn: House of Horror" and “Horror”?
Modern horror has diversified significantly, with some works heavily influenced by retro horror. I understand that "Duskmourn: House of Horror" is set in a haunted house and draws inspiration from 1980s horror films, games, and media. Retro horror from the 80s often focused on giving villains and enemies unique personalities, which became a defining feature of major works. In contrast, contemporary horror tends to focus more on the protagonist’s actions, inner thoughts, and background. When creating horror art, I aim to produce unique designs that differ from those created by Western artists, as I did with the early Silent Hill series. This approach was something I kept in mind for this project as well.
Q: What is your greatest fear, and have you ever experienced anything truly scary?
My greatest fear is running out of money to live (haha..!). I’m sorry if this is not the answer you were expecting, but I have never had any truly scary experiences while working on horror works, nor have I ever experienced anything terrifying in the past. Despite my line of work, I don’t believe in supernatural phenomena.
Q: Finally, do you have a message for your fans?
If you’d like to see a card featuring a completely original character designed by me, please request it from the Magic: The Gathering team. If there are enough requests, I hope to create my own original Magic: The Gathering character(s) and share them with all of you!
<Masahiro Ito Profile(X:@adsk4)>
Born in 1972. He was responsible for background and creature design in the 1999 release of Silent Hill and participated in the production of Silent Hill 2 and Silent Hill 3, handling all creature designs and art direction. In 2006, he became an independent illustrator and designer. He was responsible for creature and Other World designs in the PS5 release SILENT HILL: The Short Message, which came out in early 2024. He is currently a freelance illustrator and designer.
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