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企画記事
『霊気紛争』みんなが選ぶトップ3!
『霊気紛争』みんなが選ぶトップ3!
by 金子 真実(WotC 日本コミュニティ担当)
皆さんこんにちは!いや~寒い寒い。年が明けて一気に寒くなりましたね。みなさんも、風邪などひかないように気をつけてください!
華々しい発明の次元、『カラデシュ』!このままきらびやかな発明博覧会で楽しい次元だ!......と思いきや、テゼレット率いる領事府と、ゲートウォッチも加入した改革派による紛争が勃発!次元の命運をわけるこの争い、いったいどうなっちゃうの~!?
と、そんなこんなで『カラデシュ』ブロックの物語も佳境。物語の結末には乞うご期待!......というところですが、そのまえに!今週末はついに『霊気紛争』発売!パックでドラフトするもよし、スタンダードのデッキを作ってイベントに出るもよし、楽しみな週末ですが、ここで気になるのは『霊気紛争』、どのカードが強いの?ってことですよね?というわけで、今回もあの3人に注目カードをピックアップしてもらいました!
鍛冶 友浩の場合
通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。
主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。
最近はプロツアーでのニコニコ生放送の実況や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。
1位 《発明品の唸り》
このカード、なんだかデザインが《召喚の調べ》に似ている気がしませんか? 呪文は青く、サーチするのはアーティファクトになり、唱えるのに必要なマナの補助は即席となっていますが、どう使えばよいのでしょう。
『カラデシュ』のリミテッドでは、霊気装置や飛行機械がこの即席材料として手軽に扱えますが、スタンダードに目を向けると『イニストラードを覆う影』にあった手掛かり・トークンも良さそうですね。手掛かり量産にはおなじみ《不屈の追跡者》が強いのは明確ですが、カードリストを読み返してみましょう。また、手掛かりを使った《発明品の唸り》のサーチ先としては《タミヨウの日誌》なんかも面白いかもしれません。
重かったりという理由でたくさんはデッキに入れられない1枚のカードをライブラリーから探し出す、または伝説のアーティファクト、サーチ効果の恩恵を受けるのはそういったカードたちでしょうか。他にも、《鼓舞する彫像》を中心に構築し、キーカードである彫像を探す役割を持たせるという使い方もいいですね。個人的には、あわせて《疑惑の裏付け》を唱えたいものですが、さすがに重すぎでしょう。どちらにしろ、既存のデッキにただ入れるだけでは役に立たなそうで扱いが難しいですが、プロツアーなどでもぜひ活躍してほしいカードです。
2位 《緑輪地区の解放者》
2ターン目に4/3クリーチャー。条件付きではありますが、これからのスタンダードではそんな試合展開がありえます。
『霊気紛争』で登場したキーワードの紛争持ちのカードは、戦闘で自軍のカードがやられた際にパワーアップするようなフレーバーを持っているカード群ですが、《無私の霊魂》で《大天使アヴァシン》を変身させられるように、能動的に紛争条件を満たすカードが同セットにいくつか収録されています。例えば緑の《枷はずれな成長》や、アーティファクトの《改革派の地図》といった、起動にマナがかからずにパーマネントを墓地に送りこめるものは特別に強力といったことはありませんが、条件を満たすには良い選択肢でしょう。
さらに、《改革派の結集者》で墓地から《緑輪地区の解放者》を再利用できるならば、それは再度4/3クリーチャーを戦場に呼ぶということでもありますね。モダン/レガシー環境下では10種類のフェッチランドがありますから、その条件を満たすのはさらにたやすく、今回選んだ《緑輪地区の解放者》のようなサイズだけのバニラでは活躍が難しくとも、その他のシステム・クリーチャーや《致命的な一押し》がより強力になるでしょう。他に、《緑地帯の暴れ者》でも条件を満たせるのが面白いですね。
3位 《闇の暗示》
「完成だ。ここからが本番だぞ。」これは《次元橋》に書かれたテゼレットのセリフですが、《闇の暗示》のイラストをよく見ると、開きつつある《次元橋》とその前に立つ人の影。そしてカードテキストにはまるでプチ《残酷な根本原理》に、ボーラス・プレインズウォーカーの文字が。これはもしかして、ニコル・ボーラスが他の次元からカラデシュにやってくるのでは!?
今後のストーリー展開もかなり気になりますが、ここで冷静にこのマルチカラー呪文のオリジナルである《残酷な根本原理》がゲームエンド級のカードだったことを思い出しましょう。対戦相手に手札がある、クリーチャーかプレインズウォーカーをコントロールしている、さらに自分の墓地にクリーチャーかプレインズウォーカーがある、という条件下では1対4交換できるソーサリーなのです。
当然、これらの条件は厳しいものなのでそう簡単はいきませんが、回収するクリーチャーが機械巨人だったり、対処すべき呪禁クリーチャーのため、ロングゲームにおけるアドバンテージ獲得手段が必要だったりという場合には良いカードになりえるでしょう。もちろん、真価を発揮するのはボーラス・プレインズウォーカーと一緒に使うときなのでしょうが、果たしてスタンダード環境にボーラスは戻ってくるのでしょうか?
『霊気紛争』総評
今回の注目カードでは選びきれなかったカードが『霊気紛争』にはたくさんあり、紹介できないのが残念ですが、新プレインズウォーカーに、機体たちはすでに十分注目されているのであえて他のカードを選んでみました。《新緑の機械巨人》から《リシュカーの巧技》し、《生命の力、ニッサ》をタダで呼んだりもありえる新環境、2週間後に開かれるプロツアーも楽しみですね。特にコモンやアンコモンに構築環境へ影響を与えそうなものも少なくないので、ぜひブースタードラフトなどでカードを揃えてみてください!
射場本 正巳の場合
通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。
彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として「デュエル・マスターズ」の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。
1位 《パラドックス装置》
『霊気紛争』にはアーティファクト・ブロックらしくコンボの匂いがするカードがふんだんに盛り込まれていておもしろい。さすが発明博覧会会場といったところだね! そりゃ領事府もこんなすばらしい発明品だらけなら押収したくなるというもの。
そんな中でも伝説のやつらは明らかに格が違う! 背景ストーリーのキーとなる《次元橋》なんか夢を体現してるようでいいよね。
特に《パラドックス装置》は一目見ただけで香ってくるヤバさ。《侵入警報》みたいなもんといえばそうなんだけど、唱えるだけで(カウンターされてもお構いなしに)自分だけ土地でないパーマネントを全部アンタップできてしまうなんてまさに世界の常識を逆転させる発明といえちゃうんじゃないかな。一度設置に成功してしまえば例えヘビーカウンター相手だろうとお構いなしにやりたい放題。ヤッホイ!
ぜひ手持ちの《大いなる歪み、コジレック》統率者デッキに採用して、心おきなくコジコジしたいなー。
2位 《機械化製法》
青によくあるコピーしちゃうぞエンチャント。今回はカラデシュだけあってアーティファクトがコピーできちゃう。さらに特殊勝利条件付き!?って、むしろこちらが本体なんじゃないかな。以前は特殊勝利するためには《先端生物学者》のような生物を先に用意しておかなければならなかったのに、こちらは何につけてもいいとあって単体完結しててGood。呪禁持ちアーティファクトはなかなかないので、破壊不能のアーティファクトなんかにつけるといいかな。
その分デッキに入る枚数以上の8枚以上という条件があるので、かなり悠長に感じるかもしれないけど、実は8枚の条件はエンチャントしたカードでなくてもいいので、破壊されにくいアーティファクトにこっちをはってトークンなどで条件達成するとお得かも。《マイアの戦闘球》につけるのがわかりやすいかな。
あと、スタンダードでも最初から手掛かりなんかを8枚貯めておけば意外と特殊勝利が決まるかもしれないので、興味がある人は試してみてね。
3位 《歯車組立工》
んー、待ってたよ組立作業員!しかも結構使えるじゃないの!これでカラデシュでは何だこれだった《自己組立機械》にも人権、いやロボット権ができたね。
7マナも払ってアーティファクトのコピー作ってるようじゃ遅いと思うかもしれないけど、統率者なら単体で引いてもグダったゲームでそこそこ役に立つかも。もし生み出したトークンが7マナを生み出してくれるんなら無限も可能だしね。7マナも出してくれるアーティファクトなんてそう簡単にはないけど、《マナの残響》とか《アシュノッドの供犠台》を使って間接的に増やすなら夢ではないかもしれないね。(それこそ《マイアの戦闘球》とか。)ただ実際は逆で無限マナの後の吐き出し先として使うといいかもしれない。
こういう、「ほっといてもいいけど下手するとコンボ決まっちゃうかもしれないから対処しないとだめかなー」って相手に思わせる微妙なパワーバランスのカード好き。
『霊気紛争』総評
上でも書いたけどこのセットはコンボの匂いのするものが多い。改革派がきな臭いものを持ち込んだのかしら? これはアーティファクト関連のものだけでなく、紛争・即席・巧技といった新たなキーワードにも現れている。
紛争はフェッチランドのある環境では普通にハイスペックカードとして機能するし、即席は召集のアーティファクト版と考えればただ強そう。巧技は《超起源》や《死せる生》を使ってくださいと言わんばかり。と、どれも下の環境でも活躍が期待できそうだ。
そんな中、新たなエイトグこと《貪欲な侵入者》が《太陽の指輪》を食べてるのを見るとなんかホッコリする。ちゃんとKaladesh Inventionsがこの世界に存在するというつながりが見えるのもいい。組立作業員が増員されているところとかもそうだけど、開発陣の遊び心が垣間見えるのが楽しいね。
そして《闇の暗示》が示すボーラス・プレインズウォーカーという言葉。次セットの『アモンケット』がボーラスに支配されているということだから、新たなるボーラスのプレインズウォーカー・カードが出るか期待しちゃうね。とりあえず今の《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》も《闇の暗示》を4枚追放すればいきなり奥義使えるので楽しそうだぞ!
浅原 晃の場合
通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。
デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。独自の視点から、セットに切り込む。
1位 《鼓舞する彫像》
すべてがMになる。マジックはマナのゲームである。本来、マナは土地から丹念に1つずつ捻り出さなければ使えないが、今回の『霊気紛争』では即席という掟破りの能力が登場した。これは、かつてあった召集に近い能力だが、召集がクリーチャー限定だったのに対して、即席はアーティファクト限定となっている。
これがどういう意味かというと、アーティファクトには0マナのカードがあるため、それが1マナを生み出す相当の働きをするのであれば、あのMoxシリーズと同じ効果を持つといってもよいのだ。ちなみにスタンダードには《聖戦士の盾》、《骨の鋸》、《羽ばたき飛行機械》と3種類の0マナアーティファクトがあるが、即席と絡めば〈聖戦士モックス〉、〈骨モックス〉、〈羽ばたきモックス〉とすべてがM(モックス)に早変わり。
そして、一部のカードにしかない即席の対象を拡張してくれるのが、この《鼓舞する彫像》。どんな重いカードも12枚のMoxが入ったデッキならば、ズバンズバン打てるのは明白だろう。このカード自体も即席で寝かせられるので、3マナのマナ・アーティファクトとして運用ができるのもうれしい。《パラドックス装置》などと絡めて、無茶苦茶するやんキミと相手に言われそうなデッキを組みたい。
2位 《上級建設官、スラム》
すべてがDになる。マジックはドローのゲームである。カードを引きたい!と思ってもルールでは1ターンに1枚しか引けないし、無理矢理たくさん引くと、即お縄を頂戴することになってしまうので、基本は少ないカードを大事に大事にやりくりして勝つというゲームだ。
しかし、ときにデタラメなドローカードが登場することがある。その中でも、特定のものにドローを付けるタイプは過去の例(《アルゴスの女魔術師》や《垣間見る自然》など)を見てもやり過ぎになることがある。この《上級建設官 スラム》もその類。モダンでは《純鋼の聖騎士》を使ったデッキを超強化するのは間違いないが、スタンダードでも0マナ装備品が2種類あり、また、1マナにまで広げれば機体やオーラも含め無数に存在する。
先ほど紹介した〈聖戦士モックス〉や〈骨モックス〉に至ってはM(モックス)にD(ドロー)まで付いてくるのでもう大変。言わばモックスの進化系、ドローモックスだ。モダンだけでなく、スタンダードにおいても、〈聖戦士ドローモックス〉や《》
世の《変身》マニアに大朗報の一枚。私もかつて《苦花》から出たトークンを《変身》で《引き裂かれし永劫、エムラクール》にチェンジするというデッキで世界選手権に出たこともあるくらいなので、これについては語らないわけにはいかない。
この呪文のすごいところは、同じ4マナで《変身》と同程度の活躍を見せるのに加えて、マナを足せば足すごとに対象を増やせるところにある。名前とイラストも無茶苦茶かっこよく、また、適当に使ってもうまく機能しないので、プレイヤーのデッキ構築に対する、不屈の独創力が試されているとさえ言える。
これを生かす定番のパターンはデッキに特定のクリーチャーかアーティファクトを入れておき、トークンなどを出す呪文などで変身する元を作るというものだが、ここでのオススメはせっかくなので、たくさんの対象を取りバリバリドンと変身させるというもの。それの助けとなるのが、《鼓舞する彫像》、そして、0マナアーティファクト軍団である。これらは即席のコストと同時に破壊する対象にもなってくれるのである。そう、もうお分かりいただけただろう、ドローにマナにと役に立った、こいつらは最後にすべてがF(ファッティ)になる(かもしれない)のだ。
『霊気紛争』総評
禁止カード改定により、エムラクールは死んだ。しかし、これはコンボデッキ使いにとっては朗報中の朗報。エムラクールと言えばこちらのターンを奪うどころか、決めようと思ったコンボでこちらを倒してくるといった残虐ファイトで有名だったので、コンボやコントロール使いにとっては死神のような存在だったのだ。
というわけで、『霊気紛争』からは、コンボデッキがもうちょっと台頭してくるような気がする。デッキを作りたくなるような、コンボっぽいカードも多いし、間違いない。他の組み合わせとしては、前回激推しした《霊気貯蔵器》が大幅強化されたので、天邪鬼としては《秘密の回収》と《面晶体の連結》あたりの組み合わせに注目してデッキを作ってみたい。
おわりに
今回の3人のチョイスは被りなし! それだけ『霊気紛争』に注目のカードが多いということでしょうか。スタンダードはとても大きな変化もあり、どんなデッキが強いのかはまだまだ未知数!みなさんの考えたデッキがプロツアーでも大活躍したりするかもしれませんよ!
そしてそして!発売直後といえばやっぱりリミテッド!ドラフトも楽しみですね! そんな楽しみな『霊気紛争』、明日1月20日発売です!それではみなさんご一緒に、「Crack-a-Pack!」
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