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企画記事
月が蒼く染まるまで 後編
月が蒼く染まるまで 後編
Text by 行弘 賢
はじめに
前回の記事はアジア勢と合流し、調整初日を終了したところまでとなりました。前回の記事を読んでいない方は、ぜひお読みいただいてから今回の記事を読んでいただけたらと思います。
今回はブルー・ムーンの完成、実際にプロツアー(以下PT)で活躍するまでの解説となります。よろしければ最後までお付き合いいただけると幸いです。
チームアジアとの調整 破
朝11時起床という話でしたが、僕が起きたのは11時30分。さすがに疲れていたのか、少し遅い起床となりました。リビングに行ってみると、アジアの面々は既に調整を始めている人もちらほら。人数を数えてみると、どうやら僕のように寝坊というか、起きてない人もまだいるみたいです。
今回テストプレイする際、先手と後手で5本ずつ、計10回の試合をするという形式を取りました。
クオ (備考1)が「青白赤コントロールどう思う?」と聞いてきたので、「ZOOには良いんじゃないか?」と無難なコメントをしつつ、テストプレイすることに。「ZOO vs 青白赤コントロール」は案の定ZOOが後手の時は全部負け、先手もようやく1本取るのみと、青白赤はZOOにはさすがに強いね!というなんというか予想通りの結果に。
しかしながら予想とは裏腹の結果になることもあります。事前の想定では「ZOOとは五分はある」とかいいつつ負け越すこともよくあります。テストプレイは予想が合っているかという証明のデータ取りのためには必要なことなのです。間違ったままトーナメントに出てしまったら大変なことになりかねませんからね。
青白赤がZOOに強いというのは分かりましたが、それ以外のデッキとのマッチアップはどうなのか?という点は見過ごせません。他のデッキとのプレイテストを促し、僕はというと他の人のテストプレイはどんな感じなのか見て回ることにしました。
赤緑トロン対出産の殻デッキでは、僕の予想通り赤緑トロンの方が勝率が高いという結果が出ているようで、僕の心はより赤緑トロンに揺れ動きます。
対戦を見て回っていますと、一人変わったというか、パッと見であまり環境に合ってなさそうなデッキを使用しているプレイヤーがいました。それが青赤Delverです。
6 《島》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《蒸気孔》 2 《変わり谷》 1 《山》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 1 《渋面の溶岩使い》 4 《瞬唱の魔道士》 4 《若き紅蓮術士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(15)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 3 《蒸気の絡みつき》 2 《火柱》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 4 《差し戻し》 -呪文(25)- |
《秘密を掘り下げる者》と《若き紅蓮術士》の、軽く打点が稼げる2枚を、多くのインスタント・ソーサリーでバックアップしていく、クロックパーミッションのようなデッキです。しかしながら対戦相手は基本的にZOOを想定しており、そのZOOに対してみるからに相性が良くなさそうに見えます。ZOOとの相性が悪いようではプレイテストするだけ時間の無駄ではないか?とも思いましたが、そういえば昨夜思い浮かんだ《血染めの月》を入れたら相性がどうなるかは確認したいと思い、「メインデッキに《血染めの月》を採用してみてはどうか?」と提案しました。
その提案は快く受け入れられ、早速《血染めの月》を3枚メインデッキに採用して再度対戦してみると、ZOOとの相性差は劇的に改善され、むしろ有利が付くほどになったのです。《血染めの月》をプレイしたゲームはほとんど勝利しているのを見ると、「やはり環境のキーは《血染めの月》なのではないか?」という自分の疑問が確信へと変わっていきました。
しかしながら《血染めの月》を採用した良いデッキというのはなかなか難しく、さらに言えば今のところ安定した成績を残せそうな赤緑トロンに心も揺れていたこともあり、もし調整に失敗したら時間の無駄になりそうだし、チームのためにも良くないだろうということで、この日は新しい《血染めの月》デッキの開発はすることなく、終始様々なデッキのプレイテストをするに留まります。
ドラフトの練習を2回ほどしたこともあり、この日もいつのまにかすっかり夜です。次の日は全マッチとのデータ取りを兼ねて、ミニトーナメントを朝から開始するという話になりました。使用するデッキは、前回の記事で書いたZOO~親和までの各デッキとなります。この総当たりのトーナメント全8回戦で成績が上位だったデッキを参考に、PT当日のメタゲームをある程度予想しようというのが狙いです。今にして思えば、コンボらしいコンボデッキが青赤欠片の双子デッキしかなく、ZOO系2人、親和1人とビートダウンが多い極端に偏ったフィールドでトーナメントを開催してしまったと少し後悔しているのですが、そのときには露知らず。次の日の朝にトーナメントをやるという約束をして2日目の調整を終え就寝となりました。
チームアジアとの調整 急
前日約束したトーナメントを朝からさっそく開始していきます。僕が使用するのは青白赤コントロール。正直なところ赤緑トロンを使用し、手ごたえを感じたかったのですが、他にも赤緑トロンを使用したいというメンバーがいたので譲ることに。
全8回戦を一気にこなし、結果が出ました。
僕はというと、有利なマッチアップであるはずのZOO系2人に負けと有利なマッチアップを落としてしまった都合もあり、2-6と散々な結果に終わりました。僕個人の成績はともかくとして、サイドボード後のマッチアップについてはトーナメント形式のテストプレイでないと練習するのが難しいものなので、良い経験となりました。
今回のケースだと、「青白赤対ZOO」ではサイド後に《最後のトロール、スラーン》や《光と影の剣》などがガンになるのに気が付くことができました。メインデッキこそ有利なものの、サイドボード後は逆に不利になるマッチアップというのも存在します。そういった事実を見落とす確率を減らすためにも、今回行ったトーナメント形式の練習方法は重要です。
全試合を終えての結果はこちらです。
デッキ | 勝 | 敗 |
ナヤZOO | 7 | 1 |
ドメインZOO | 5 | 3 |
ジャンド | 5 | 3 |
親和 | 5 | 3 |
出産の殻 | 5 | 3 |
青黒フェアリー | 3 | 5 |
赤緑トロン | 2 | 6 |
青白赤コントロール | 2 | 6 |
この結果から以下の考察をしました。
- ZOO系は実力共に間違いなく最多勢力
- ZOOに対して有利なZOOメタ系デッキ(ジャンドや青白赤、出産の殻等)が2番手
- ZOOに速度で勝てない中途半端なコンボは少数派
- ZOOとZOOメタデッキに勝てるデッキが勝ち組ではないか?
トーナメントで赤緑トロンがいまいち振るわなかったこともあり、心はもう決まりました。ZOOとZOOメタに勝てるデッキ、そう、《血染めの月》デッキです。
昨年のモダンのPT『ラヴニカへの回帰』で津村さん(備考2)にアイディアをもらい、実際にデッキを練り上げて使用した「青赤コントロール」のレシピから引用して、《血染めの月》デッキの作成へと移行します。前回のPTを踏まえ、現在の環境に合わせていきました。
【OUT】
まずは《ヴェンディリオン三人衆》です。これは《稲妻》の的になるだけで、たいした仕事をしないので《稲妻》で死なないフィニッシャーと入れ替えることにします。
次に前回は3枚採用していた《ヴィダルケンの枷》の減量です。2枚目以降はオーバーキルになりがちなカードなので、1枚減らすことにします。
そして当時は4枚採用していた《イゼットの魔除け》。2点ダメージのモードが現状のZOOに対して強くないので、全部抜いて別のカードと差し替えることにしました。
また、《手練》は《血清の幻視》の方が《血染めの月》を探しに行きやすいので単純に入れ替えることにします。
【IN】
前回のPTの経験上、バウンス呪文の必要性を感じたので《蒸気の絡みつき》を2枚採用することにしました。これは《血染めの月》さえ張ってしまえばクリーチャーをバウンスすることでほぼ除去と同じ効果を期待できます。
フィニッシャーは《波使い》を採用しました。《稲妻》が効かないという点を評価したためです。また、これと相性の良い《不忠の糸》も採用することにしました。
そして仮組みしたのが以下のデッキとなります。
11 《島》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《蒸気孔》 1 《山》 -土地(23)- 3 《瞬唱の魔道士》 2 《波使い》 -クリーチャー(5)- |
4 《稲妻》 4 《呪文嵌め》 3 《血清の幻視》 2 《蒸気の絡みつき》 3 《差し戻し》 2 《マナ漏出》 4 《血染めの月》 4 《不忠の糸》 2 《ヴィダルケンの枷》 2 《謎めいた命令》 2 《殴打頭蓋》 -呪文(32)- |
チームの皆にデッキを見せたところ、とりあえずテストプレイしてみよう、という話に。まずはドメインZOOと対戦してみたところ、案の定圧勝することができました。次にマナ基盤がドメインZOOよりしっかりしているナヤZOOとの対戦となります。これはドメインZOOほどではないものの、それでも依然有利だと思いました。しかしやはり基本土地の枚数がしっかりしているデッキだと、《血染めの月》の効果はどうしても薄まってしまいます。
そこでチームメイトのリー・シー・タン (備考3)が提案したのが、《広がりゆく海》の採用です。
《血染めの月》の後に引いてきた基本土地を《広がりゆく海》することで、ゲームを完全に「蓋をする」ことが可能じゃないか? ということです。ついでに《波使い》との相性も良好です。
さっそく《不忠の糸》と2枚ほど入れ替えてテストプレイしてみると、《広がりゆく海》はキープ基準ともなりえる強さを持つことが判明しました。序盤のマナ基盤を攻めることでこちらの《血染めの月》までのターンを稼ぎやすく、後半に引くと相手の基本土地を攻めることができるため、ゲームプラン上いつでも役に立ちます。不安材料の赤緑トロンに対しても相手の動きをかなり遅らせることができ、マッチアップ相性的にも有利になりました。
さらにその後のプレイテストの結果、完成したのが以下のデッキとなります。
10 《島》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《蒸気孔》 1 《山》 -土地(22)- 3 《瞬唱の魔道士》 2 《波使い》 -クリーチャー(5)- |
4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 4 《呪文嵌め》 2 《蒸気の絡みつき》 3 《差し戻し》 2 《マナ漏出》 2 《広がりゆく海》 4 《血染めの月》 2 《不忠の糸》 2 《ヴィダルケンの枷》 2 《謎めいた命令》 2 《殴打頭蓋》 -呪文(33)- |
2 《汚損破》 1 《炎の斬りつけ》 2 《広がりゆく海》 1 《焼却》 1 《否認》 3 《神々の憤怒》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《対抗変転》 1 《ザルファーの魔道士、テフェリー》 -サイドボード(15)- |
細かな調整として、《島》1枚を《血清の幻視》の4枚目と差し替えました。《血染めの月》の後のマナフラッドでの負けを防ぐ意味合いと、《血染めの月》を3ターン目に着地させる可能性の向上を狙ってのことです。
プレイテストした結果も僕の予想通り相性の良いマッチアップが多く、さらに前回のPTで辛酸を舐めた赤緑トロンにすら有利が付きます。今回はかなりの自信を持ってPTに臨める良いデッキができました。不安材料があるとすれば、青赤系のコンボデッキに対して《血染めの月》が効かないという点が挙げられますが、それらは少数派であると予想しているため、そこは問題点としては無視できるレベルだと判断しました。
僕がデッキのアイディアのほとんどを出しましたが、細部はチームの皆で話し合ってしっかり作った今回のデッキ、さらに今回はドラフトも自信があるとなると......。トップ8。その言葉が頭を過りながら大会本番を迎えます。
PT『神々の軍勢』本戦
初日はまずはドラフトからスタートです。いまいち流れを掴めぬままドラフトしてしまい、若干線の細い白単タッチ黒のデッキとなりましたが、2-1の成績で終えることができました。
さて、いよいよ構築ラウンド開始です。練習もした、良いデッキもできた。やることはやったはず!
PTに挑む行弘 |
そんな僕の1戦目の対戦相手は『青赤ストーム』でした。
4 《島》 4 《沸騰する小湖》 3 《シヴの浅瀬》 2 《山》 2 《蒸気孔》 1 《霧深い雨林》 -土地(16)- 4 《ゴブリンの電術師》 -クリーチャー(4)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《血清の幻視》 4 《手練》 4 《思考掃き》 4 《捨て身の儀式》 4 《魔力変》 4 《発熱の儀式》 4 《紅蓮術士の昇天》 3 《捨て身の狂乱》 2 《ぶどう弾》 3 《炎の中の過去》 -呪文(40)- |
4 《稲妻》 3 《防御の光網》 3 《倦怠の宝珠》 2 《残響する真実》 3 《巣穴からの総出》 -サイドボード(15)- |
いきなり目の前が真っ暗になりました。《血染めの月》が有効でない上に、クロックの細いデッキなので普通にコンボを決められる可能性の高い、恐らく会場で一番相性が悪いと思われるマッチアップです。
2本とも後一押しというところまで頑張ってライフを詰めてみるものの、ひらりと躱され結局コンボを決められて負けてしまいました。
少数派であるはずの青赤系のコンボデッキといきなりマッチアップされる......。なんてついてないと嘆きたいですが、そんな暇はありません。次の試合に向けて心を落ち着けることにしました。
2戦目の相手は《むかつき》と《天使の嗜み》でライブラリーを引ききるコンボデッキとマッチアップしました。これは上手く引きが噛み合えばまだ《血染めの月》が上手く機能するマッチアップでしたが、《五元のプリズム》が通ってしまい、《血染めの月》の効果が薄まってしまい結局勝つことができませんでした。
この時点で2勝3敗。もうほとんど後が無いといっても過言ではありません。初日突破ラインは4勝以上。残り3回戦で2勝1敗以上が求められます。2連続でコンボと当たった不運はあれど、周りを見渡してみるとどうやら僕の予想に近いZOOとZOOメタのフィールドとなっているように見えます。残りをなんとか頑張って勝とうと前向きに心を落ち着けます。
3戦目は青白赤双子との対戦です。青赤双子との違いは、《前兆の壁》や《修復の天使》など、《欠片の双子》や《鏡割りのキキジキ》と相性の良いカードを多く採用できる点と、《流刑への道》を採用することでZOO系のデッキへの耐性が大きく向上していることです。
しかしながら青赤と違い3色になっているため、《血染めの月》はかなり効果的に働き勝利することができました。
ようやく相性の良いマッチアップと当たり胸をなで下ろします。しかしながら、あと1勝は必要。まだまだ油断はできません。
4戦目はまたもや青白赤双子との対戦となりました。これもまた同じようなゲーム展開で勝利することができました。
これで4勝3敗。最終戦を残して初日突破が確実なものとなりました。最終戦を勝つことができれば2日目の成績次第ではトップ25以内が十分に狙える範囲。大事な試合となる最終戦に当たったのは......。
またしても青赤ストームでした。
こんなことがあるのかと嘆きたくなりましたが、そうも言っていられません。それでも全力を尽くさねば、と頑張ってはみましたが案の定相性差が酷く、勝つことはできませんでした。
初日の結果を4-4と本当に最低限の成績で終え、PTの初日は終わりました。
1日目終了後、公式のカバレージに載っていたデッキ分布を見てみると、青赤ストームは会場の3%しか使用者がいませんでした。それに2回当たる僕は本当についてない......と嘆くこともできますが、そんなこと言ったって当たってしまい、さらに言えば負けてしまったのは事実であり、どうしようも無いことです。
そう嘆き悲しむよりは、明日どうやって勝ち星を取り戻すかのほうが重要です。それにはやはり、「ドラフトラウンドで3-0する」のが大切です。
基本的には流れを重視する、受け思考のドラフトが僕のスタイルなのですが、今回は「黒」を決め打ちしてドラフトすることにしました。この環境の黒は僕のセオリーでは「ギャンブルカラー」であり、大勝するか大敗するかどちらか極端な結果となりやすい、できるだけ触りたくない色です。しかし今回に限っては大勝しなければ上位に入り込むのは難しいという状況だと思い、ギャンブルカラーを最初から積極的に触る戦略を取ることに。
結果2日目のドラフトは黒をかなり良い流れでピックすることができ、3-0できました。
これで成績は7勝4敗。2日目のドラフトを終えた時点の成績としてはそこまで悪いものではありません。残りの構築ラウンド3勝2敗以上で、マネーフィニッシュとプロポイントの増加が狙えるラインです。
4勝以上することができるなら16位以内も夢ではない!そんな中、構築ラウンドが始まりました。
2日目のモダンラウンド1戦目は親和でした。
親和は《血染めの月》で《墨蛾の生息地》などのクリーチャー化する土地をシャットアウトさえすれば、後は《稲妻》や《ヴィダルケンの枷》なんかで十分コントロールできるマッチアップです。
ですが、僕は3本目で致命的なミスをしてしまい負けてしまいます。詳細は省きますが、《電結の荒廃者》を処理する手順を間違えるという凡ミスでした。勝っていた可能性の高いゲームを負けてしまう...。PTでとなると悔やんでも悔やみきれないものがあります。
そして迎えた2回戦目、対戦相手はリビングエンドでした。
4 《黒割れの崖》 4 《新緑の地下墓地》 3 《銅線の地溝》 1 《血の墓所》 1 《ドライアドの東屋》 1 《森》 1 《神無き祭殿》 1 《山》 1 《草むした墓》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《沼》 -土地(19)- 4 《大爆発の魔道士》 2 《なだれ乗り》 4 《死の一撃のミノタウルス》 4 《巨怪なオサムシ》 4 《通りの悪霊》 3 《青ざめた出家蜘蛛》 2 《よじれた嫌悪者》 4 《ジャングルの織り手》 -クリーチャー(27)- |
3 《死せる生》 4 《悪魔の戦慄》 4 《暴力的な突発》 3 《内にいる獣》 -呪文(14)- |
《血染めの月》が効かないコンボデッキであり、これまた不利なマッチアップと言えます。さらにこのマッチではこちらが2本とも土地詰まりをしてしまい負けてしまいます。
構築ラウンド3勝2敗で......と言っていた矢先、もう2敗をしてしまいました。早くも残り3連勝縛り。さすがにここまで前向きに考えていた僕の心も折れかかっているのを感じながら迎えた3戦目の相手は、これまた相性が悪い青赤欠片の双子デッキでした。相性差はあるものの、青赤系のデッキとしてはまだ戦える範囲ではあります。《ヴィダルケンの枷》さえ通してしまえば、対戦相手がコンボを決めるのが難しいという点がこちらの戦えるポイントとなります。
しかしながら3本目までもつれ込ませることはできましたが、ギリギリの試合を勝つことができませんでした...。7敗は100位以内のプロポイントの上乗せも望めないので、あえなくドロップとなってしまいました。
そしてニクスへの旅へと
そんなこんなで僕自身はノーマネーフィニッシュと残念な結果で終わってしまったPT『神々の軍勢』ですが、実はというか皆さんも知ってのとおりチームメイトのリー・シー・タンが見事トップ8に入ることに成功しました。構築ラウンドの成績も8勝1敗1分けと堂々たる成績で、デッキの実力を十分に示してくれたと思います。
デッキを作る際はどうしたらデッキとして完成度が高まるか、環境に合ったチューンができているか、等色々なロジックを一つ一つ積み上げて完成させていく......そうしている間にデッキに愛着が湧いてきて、次第にデッキが自分の娘のような感覚に陥ることすらあります。
そして娘を成長させ、立派な大人として完成したと思ったら社会(トーナメント)に旅立たせる......。それが人の手によってプレイされるならば、それは娘を他所様に嫁がせるような気持ちです。それが両者にとって最高の形として報われた。親としてはこれほど嬉しいことはありません。最高の気分です。
同時に自分自身の成績を振り返ると、最高に悔しくもあります。この気持ちを忘れないようにしたいですね。
トップ8に入賞したタンとともにニコニコ生放送に出演 |
今大会を終えて結果を見てみれば、コンボデッキが勝ち組となった大会でした。プレイヤーの意識がZOOに対して向いている以上、コンボに対する警戒は普段以上に薄いものとなっていました。そういったことに気が付ければもっと良い選択肢もあったのかもしれませんが、トップ8に入賞者を出したデッキを選択したということもあり、デッキ選択的にはそこまで間違いではなかったのではないかと思います。
デッキリスト的にも大会を終えた後でもそこまで不満に思うことはなかったので、環境に応じてリストを少し調整するだけで今後もブルー・ムーンは戦えるデッキだと思います。今回の経験を活かし、次回のPT『ニクスへの旅』では好成績を残したいと思いますので、応援していただけたらと思います。
長々と書かせていただきましたが、最後まで見ていただけたなら本当にありがたいことです。また機会がありましたら次回の記事でお会いしましょう!それでは!
で、ブルー・ムーンって何よ?
PT当日の朝、デッキリストを記入している際にクオが「デッキ名はブルー・ムーンでいこう!」と言ったので決まった名前です。なんでブルー・ムーン!?と、僕自身最初はあんまりかっこよくないな......なんて思っていましたが、PT後に定着しちゃっているところを見て、今は「案外悪くないか」、なんて思っています。
備考1:ツーチン・クオ/Tzu Ching Kuo
GPトップ8・10回以上、ワールド・マジック・カップ優勝経験ありの台湾の英雄。(戻る)
備考2:津村 健志
日本に4人しかいない殿堂顕彰者の一人。PTトップ8多数の実績を持つ。今大会より本格的にPTへと復帰した。(戻る)
備考3:リー・シー・タン/Lee Shi Tian
モダンPT2年連続トップ8の猛者。(戻る)
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