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グランプリ・静岡 ヘッドジャッジKevinの「スタンダード、ここに注意だぞ!」

グランプリ・静岡 ヘッドジャッジKevinの「スタンダード、ここに注意だぞ!」

By Naoaki Umesaki

 いよいよ、スタンダードで争われるグランプリ・静岡まで2週間と開催が迫ってきました。

 先週末にヨーロッパで開催されたグランプリ・ウィーンは1,400人を超える参加者が集まる大盛況となりましたが、グランプリ・静岡には一体どれくらいのプレイヤーが集まるのか今から楽しみですね。

 さて、このコラムではグランプリ・静岡に向けて、グランプリ・ウィーンから現場の声をお届けしたいと思います。

 グランプリ・静岡でヘッドジャッジを務めるケビン・ディプレ/Kevin Desprezさん(レベル4・フランス)からは、現在のスタンダード環境において気をつけるべきポイント、『スタンダードあるある』を。

 優勝者のマルティン・スタチヴァ/Marcin Staciwaさんには、優勝デッキとスタンダードの現環境についての見解を語っていただきました。

 グランプリ・静岡に行く方も、行かない方も。このコラムで現在のスタンダード環境について、海外からの意見をご覧になるのも面白いのではないでしょうか。

ケビン・ディプレさん、ミニインタビュー

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ケビン 「このグランプリ・ウィーンではサブヘッドジャッジ。そして、間もなく開催されるグランプリ・静岡ではヘッドジャッジを務めさせて頂くDCI認定レベル4ジャッジのケビン・ディプレ/Kevin Desprez(フランス)と申します。大きなイベントを前に、日本の皆さんへメッセージを送れて嬉しいです」

――「ケビンさんは、先月に開催されたグランプリ・京都にもサブヘッドジャッジとして来日していましたよね?」

ケビン 「自分は、これまでに6回日本を訪れています。日本のジャッジが経験を求めて違う地域に勉強しに行くように、私自身も日本という地に勉強しに行くと同時に日本のジャッジと自身の経験を共有したりしているのです。また、単純に日本の文化は私にとって非常に神秘的で魅力的なものなので、いつも楽しみにしています」

――「なるほど。それではグランプリ・静岡に向けて、ケビンさんからグランプリ・ウィーンでプレイヤーから多く質問されたことや、気になったことを紹介して頂けますでしょうか」

ケビン 「ハイ。ヨロシク、オネガイシマス(日本語で)」

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【1】《夜帷の死霊》について

ケビン 「このグランプリ・ウィーンでは、対戦相手が使う《夜帳の死霊》で追放された自分のカードが奪われたままになっていて、次のラウンドで自分のデッキ枚数が足りないことに気が付く、という事件が頻発しました。何回もマイクアナウンスをしたのですが......。聞いたところ、東京のグランプリトライアルでも同様のトラブルが多かったそうですね。

 ぜひ、皆さんは『試合が終わってから』と、『試合を始める前』には自分のデッキ枚数を確認してください。これを行えば、同時にサイドボードの戻し忘れもチェックできるので非常にオススメです」

【2】《冒涜の悪魔》について

ケビン 「現在のスタンダード環境において、プレイヤー間のコミュニケーション問題を最も起こしやすいカードのひとつが《冒涜の悪魔》です。『各戦闘の開始時に、いずれの対戦相手もクリーチャーを1体生け贄に捧げてもよい。プレイヤー1人がそうした場合、冒涜の悪魔をタップし、これの上に+1/+1カウンターを1個置く』の能力をめぐったトラブルが、このグランプリでも多発しました。

 正常にゲームを行うために、《冒涜の悪魔》をコントロールしている側のプレイヤーは、攻撃に入る際に『アタックしていいですか?』と普段のような聞き方をするのではなく、明確に《冒涜の悪魔》の能力が誘発したことを宣言することを求めたいと思います」

【3】《ニクスの祭殿、ニクソス》について

ケビン 「多くのプレイヤーが《ニクスの祭殿、ニクソス》の信心マナ能力の起動に対応して、『信心/devotion』を減らそうと《英雄の破滅》などの呪文を唱えました。確かに相手の行動に対応して動いていくことで有利を得るのは、このゲームにおける基本のひとつです。しかし、《ニクスの祭殿、ニクソス》の能力はマナ能力の分類なので、プレイヤーが対応するタイミングがなく能力が解決されてマナが出るのです。気を付けて下さい」

【4】《群れネズミ》のコピートークンについて

ケビン 「意外と知られていないのが、《群れネズミ》のコピートークンはオリジナルと同様にマナコストを持つので、《アスフォデルの灰色商人》の能力でライフをドレインする時に信心をカウントできるということです。通常、トークンはマナコストは持ちません。しかし、《群れネズミ》はコピーのトークンなので、マナコストを持っているんですね。普通のユーザーの方には難しい話だと思いますので、《群れネズミ》のコピートークンはオリジナルと同様に信心をカウントできるとだけでも覚えておいてください」

――「実際にあった話を交えながらの紹介、ありがとうございました。それでは、最後にグランプリ ・静岡に向けての抱負をお願いいたします」

ケビン 「京都やウィーンでの経験を活かして、より良いイベントを日本の皆さんにお届けすることをお約束します。ぜひ、グランプリ・静岡でお会いしましょう!」

グランプリ・ウィーン優勝、マルティン・スタチヴァ/Marcin Staciwaさんのミニインタビュー

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――「優勝おめでとうございます。まず、現在のスタンダード環境をどのように見たのか、教えていただけますでしょうか」

マルティン「単色か、それに近いデッキが好ましいと考えていました。理由としては《変わり谷》が環境的に非常に強いカードであること。そして、《聖なる鋳造所》などのラヴニカ産多色土地はアンタップインする時の2点やタップインが痛く、多く積むと現在のスタンダード環境におけるゲーム速度に間に合っていないという印象がありました」

――「確かに、現環境のスタンダードは単色デッキの活躍が目立っていますね。今回のグランプリ ・ウィーンでも『黒単コントロール』『青単信心』『赤単タッチ白ビートダウン』と、単色かそれに近い形のデッキを上位卓で多く見ました」

マルティン「優秀な多色デッキは存在しますが、多色デッキはマリガンした時に自爆を起こしやすいという面もあるので、グランプリのようなに多くのラウンドを戦わなくてはいけないイベントでは賢明な選択ではないと判断しました。このようなことから自然に単色に近い形でデッキを組むようになり、その中でも一番調整で好成績を残した『青単信心』を選択することになったのです」

――「それでは、マルティンさんが使った『青単信心』の強さについて語っていただけますでしょうか」

マルティン「攻めるデッキだから、序盤からのブン回りで相手に有無を言わさず勝つという権利があります。これは非常に大きい。しかし、このデッキが強いのは序盤だけではありません。《思考を築く者、ジェイス》や《海の神、タッサ》《タッサの二叉槍》などのドロー操作系カードがデッキに多く搭載されているので、中速のゲームや低速のじっくりとしたゲームでも強さを発揮することができます」

――「実際、決勝戦でも『エスパーコントロール』に対して長期戦を制して勝っていましたね」

マルティン「そうですね。攻めるデッキの権利で相手が動きにくくしながらドローを進めて勝つことが出来ました。もう一つこのデッキの長所をあげると、デッキを単色にすると使えるカードの選択肢が狭まるのでサイドボードが弱くなるといった心配をする方も多いと思います。しかし、この『青単信心』はそういったことがありません。まさに環境への解答と言えるでしょう」

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――「このデッキで、もっとも強いカードを1枚挙げるとしたら?」

マルティン「間違いなく《波使い》ですね。このカードは強すぎます。それは、このデッキを使ってもらえれば数分で理解してもらえると思います」

――「最後に、グランプリ・静岡を戦う日本のプレイヤーに一言アドバイスをお願いします」

マルティン「もし僕がグランプリ・静岡に出場するとしたら、間違いなく『青単信心』を選択しますし、あなたにもこれを推薦します。もし別のデッキを使うとしたら、想定される相手デッキのベストな動き・スピードを想像してみたりして、そのデッキが現在のスタンダード環境で戦えるデッキなのかをよく考えてみてください。日本の皆さんの健闘を祈っています」

――「ありがとうございました」

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そして、グランプリ・静岡へ

 ケビンさんからはゲーム中におけること、マルティンさんからはスタンダード環境について、足早にグランプリ・ウィーン現地からの話をお届けしましたが、いかがだったでしょうか。

 グランプリ・静岡に参加させる方はもちろん、参加されない方も地元の大会に出る際の参考にしていただければ幸いです。

 2008年に開催されたグランプリ・静岡(スタンダード)では、高橋優太選手(東京)が『フェアリー』デッキで日本のグランプリを2連覇するという劇的な物語が展開されました。

 5年ぶりの開催となるグランプリ・静岡。

 今回も、きっとプレイヤーの皆さんによって劇的な展開が繰り広げられることでしょう。

 プレイヤー参加でも、ニコ生の応援コメントでも、観戦記事を見ながらのTwitter観戦でも。是非、年末のお祭りイベントをマジックプレイヤー全員で楽しんでいきましょう!

 グランプリ・静岡 イベント特設ページ
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