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藤田憲一の「スーパーシールド」も楽じゃない!?
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2011.07.13
藤田憲一の「スーパーシールド」も楽じゃない!?
By 藤田 憲一
こんにちは、藤田です。
残念ながら、剛史でも修でもなく、憲一のほうだったりします。
とは言うものの、現在の読者の方々の大部分はご存じないでしょう。自己紹介するほどのことではないので、「昔MTGをそれなりにやっていたけど、いまはほとんど公式トーナメントとかには出ないおっさん」とでも思っておいて頂ければと。
で、なんでそんな奴がこの記事を書いているかというと、ひとつはこんな理由。厳密に公平性を確保しようとするなら、やむを得ない措置ですね。
さらに、この記事が掲載される週に開催される日本選手権において、歴代の日本チャンピオンによる『バトル・オブ・チャンピオン』が、発売直後の『基本セット2012』を使用した「スーパーシールド」でおこなわれるんですが、まだ馴染みがないレギュレーションなので紹介してほしい、とういオーダーなのです。基本セットで再録も多いからロートルでも大丈夫だろう!鍛冶くんもいるし、という、森くんの優しい心遣いなのでしょう。
さて、そのスーパーシールドですが、実は、公式戦としてはまだ一度しか行われていません。それも、2月のプロツアー・パリで行われた、同点で迎えたプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースの勝者を決定するという、なかばエキシビションマッチに近いもの。パリという場所もあり、直接目にした方は少ないと思います。
「スーパー」なんて銘打たれているので、さぞかし複雑というか、高尚というか、とにかく凝ったレギュレーションなのかと思われるかもしれませんが、パッと見は至極単純明快。ブースターを6パック使用してデッキを構築する通常のシールド戦と異なるのは、使用するパックが倍の12パックになる点だけなのです。MTGにある程度慣れ親しんでいる人ならば、ほぼ説明不要のカンタンさです。
ですが、実際にやってみると、普通のシールド戦とは異なるポイントがいくつかあることがわかりました。それでは、実際に筆者が組んだデッキを、他に引いたカードの一部を適宜引用しながら見ていきましょう。
ここからさらに微調整を加え、決定打として《ルーン傷の悪魔》を入れるなどして、最終的に以下のような形になりました。
8 《沼》 8 《山》 1 《埋没した廃墟》 -土地(17)- 2 《ゴブリンの投火師》 1 《ゴブリンの付け火屋》 2 《薄暮狩りのコウモリ》 1 《嵐血の狂戦士》 3 《血のオーガ》 1 《血まみれ角のミノタウルス》 2 《グレイブディガー》 2 《真面目な身代わり》 3 《センギアの吸血鬼》 1 《ルーン傷の悪魔》 -クリーチャー(18)- |
1 《破滅の刃》 2 《チャンドラの憤慨》 1 《投げ飛ばし》 1 《ソリンの復讐》 -呪文(5)- |
若干軽めの除去と、狂喜デッキの主力たる《血まみれ角のミノタウルス》の数が足りませんが、マナカーブも非常に綺麗な狂喜デッキが組み上がりました。
特筆すべきは、2枚の《真面目な身代わり》、3枚の《センギアの吸血鬼》、そして、合計4枚のデッキに入るレベルのレアが投入されていることです。
ちなみに、色が合うレベルのレアで言うと、《憤怒生まれのヘルカイト》(神話レア!)がデッキから外れています。その他、引いたけど使われなかったカードをと合わせて、クリーチャーとスペルをチェックしてみましょう。
デッキコンセプト:狂喜連鎖で10点削って、そのまま押し切るか《ソリンの復讐》!
・1マナ域
3枚の狂喜御用達のゴブリンです。他にも、《苛まれし魂》3枚、《ゴブリンのトンネル掘り》2枚といったクリーチャーがいましたが、2マナの飛行クリーチャー2体と合わせてこの3枚で充分と判断しました。ただ、強力なオーラ・カードがあったなら、《苛まれし魂》も採用していたかもしれません。
・2マナ域
3枚の狂喜クリーチャー。《薄暮狩りのコウモリ》は狂喜の出発点としても考慮しています。他の候補としては、3枚の《夜の子》も入るレベルのカードなのですが、狂喜クリーチャーを優先するためと、相手のデッキもかなり強力であることが予想されるため、重要なライフ回復源ではあるのですが、採用は見送りました。
・3マナ域
若干枚数が少ないですが、狂喜が成立している前提ならば、3枚の3/3先制攻撃は色的にも強力なクリーチャーです。写真にあるとおり、貴重な飛行クリーチャーである《貪る大群》も1枚パックに入っていたのですが、デッキのコンセプト的に抜かざるを得ませんでした。
1枚だけ何かと交換してもよかったかもしれませんが、ダメージスタックルールが変更されてから若干この手のクリーチャーの評価が下がっているので、対戦相手がこちらのクリーチャーを奪うカードが入っていた場合のサイドボードにすることにしました。
・4マナ域
アドバンテージの塊みたいなカードが4枚と、狂喜デッキの主力である《血まみれ角のミノタウルス》が1枚。デッキの中核をなす部分です。正直、《血まみれ角のミノタウルス》があと1枚は欲しいのですが、無いものは仕方がないですね。
2枚の《真面目な身代わり》が、このデッキのフィニッシュブローである《ソリンの復讐》へ繋げる安定感を支えてくれています。《グレイブディガー》《埋没した廃墟》での使い回しも効きますし。
他には、狂喜クリーチャーである《吸血鬼ののけ者》もいて、当初はメインデッキに入っていたのですが、最後まで悩んで結局入れませんでした。おそらくライフレースでは優位に立っていることが多いでしょうし、4マナ域でやるべきことが多すぎますし。
・5マナ以降
3枚の《センギアの吸血鬼》が光ります。所詮はただの4/4飛行ではありますが、《破滅の刃》で落ちないのは大きいです。とはいえ、コモンの《チャンドラの憤慨》では倒されてしまいますが、まあ、4マナのスペルとの交換なら許容範囲でしょう。
《ルーン傷の悪魔》は、サイズもそうですが、《ソリンの復讐》をサーチしてこれるのが大きいです。実質2枚入っているようなものですし。そこが、《憤怒生まれのヘルカイト》と比較して採用に至った理由です。とはいえ、何か1枚外して投入するのも当然あり得ると思います。
・スペル
「10点削る」ことを目的とした構成になっています。なので、2枚引いている《ソリンの渇き》は入っていません。もしも《ギデオンの法の番人》《マーフォークの物あさり》のようなシステムクリーチャーが対戦相手のデッキに入っていたら、迷わず投入です。
本来なら《火葬》《ショック》、あわよくば《火の玉》が欲しいところですが、残念ながらそれらは入っていませんでした。そこで、最後の一押し用ということで《投げ飛ばし》を入れてみました。今回は役に立ちましたが、趣味枠なので他のカードに代えてもいいでしょう。
終わってから考えてみると、《精神腐敗》を挿しておくのがよかったように思います。別にキャラクター的な意味ではなく、このデッキをざっと眺めてみてもわかるとおり、強力なカードが手札に残る可能性が高く、事実、鍛冶くんに《困窮》を撃たれて《ソリンの復讐》が落とされてしまったデュエルもありました。普通のリミテッドでも重宝するカードですが、手札破壊スペルはそれなりに一考の余地がありそうです。
さて、このデッキ、さすがに結構なデッキパワーがあったらしく、鍛冶くん・吉川くんのデッキに連勝しました。ちなみに、前者のデッキには《墓所のタイタン》《業火のタイタン》に《炬火のチャンドラ》、後者のデッキには《審判の日》が2枚入っているなど、それぞれ強力なデッキでした。
しかし、最初黒赤除去多めデッキだった鍛冶くんは、こちらのデッキ構成を把握すると、《破滅の刃》などが使いづらいこともあり、デッキを白赤にチェンジし、そのデュエルは普通に負けてしまいました。その白赤デッキも、最初の黒赤デッキとほぼ遜色のない水準の強さであり、さらに言えば、青赤でも《精神の制御》などが入っている強力なデッキでした。
普通のシールドやドラフトでは、数枚の対策カードを入れ替えたり、せいぜいタッチの一色を変更するのが限界なのですが、スーパーシールドはそれらの標準的なリミテッドフォーマットよりもはるかに多くのカードプールに恵まれており、それこそデッキをまるまる交換するようなサイドボーディングも可能です。たとえば、筆者の引いたカードには、以下のようなパーツもありました。
{W} | {U} | {G} |
1 《天使の運命》 1 《清浄の名誉》 1 《セラの天使》 1 《忘却の輪》 1 《雪花石の魔道士》 2 《ギデオンの法の番人》 など |
1 《ジェイスの文書管理人》 1 《霊気の達人》 1 《精神の制御》 1 《蛙変化》 1 《空中浮遊》 3 《マナ漏出》 など |
1 《踏み荒らし》 1 《棍棒のトロール》 1 《翡翠の魔道士》 など |
白はこの他にもコモンの主力クリーチャー、《ベナリアの古参兵》"《突撃するグリフィン》といったところは各1~3枚存在したので、白ウィニー+赤狂喜といったデッキに組み直すころも可能です。たとえばこんな感じですかね。
17 土地 -土地(17)- 2 《ギデオンの法の番人》 1 《雪花石の魔道士》 1 《嵐前線のペガサス》 1 《嵐血の狂戦士》 1 《オーラ術士》 2 《ベナリアの古参兵》 3 《血のオーガ》 1 《突撃するグリフィン》 1 《血まみれ角のミノタウルス》 2 《真面目な身代わり》 1 《セラの天使》 1 《憤怒生まれのヘルカイト》 -クリーチャー(17)- |
1 《天使の運命》 1 《清浄の名誉》 2 《平和な心》 1 《忘却の輪》 2 《チャンドラの憤慨》 -呪文(7)- |
|
あれ...41枚だ...。1枚何抜こう...。といった感じで、白赤で組んでもカードが余ってしまうレベルです。残念ながら緑は少しクリーチャーが足りないので《踏み荒らし》を活かしたデッキを組むにはちょっと工夫が必要そうでしたが、青はメインのカード枚数が濃い白黒赤どれと組んでもキチンとデッキが成立するだけのカードプールでした。対戦相手のデッキを見て、バウンス・カウンターが有効そうだと思ったならば、色替えも検討する価値がありそうです。
このように、スーパーシールドではメインボード以外の色の組み合わせについても重要な要素になっています。初戦黒赤だった相手が、二戦目には青緑だったなんていうのもザラです。『バトル・オブ・チャンピオン』はスイスラウンド4回戦の短期決戦ですし、対戦相手とのサイドボーディングの駆け引きはとても重要になります。
これまで御覧頂いたように、スーパーシールドは非常に強力なデッキを構築することが可能です。実は筆者が最初にパックを開けたとき、《氷河の城砦》《世界薙ぎの剣》《陽花弁の木立ち》と出て、「この企画大丈夫かな?」と思ったりしたのですが、最終的には神話レア2枚を含む強力なカードプールでした。
神話レアの封入率は1/8程度と言われていますので、12パックを使用するスーパーシールドでは、よほど運が悪く無い限り1枚の神話レアを手にすることができる計算になります。フォイルカードの存在も加味すると、レア以上のカードを多く手にする可能性も高いでしょう。一概にレアリティが高い=強いというわけではないですが、それでも通常のリミテッドフォーマットよりも、あるいは予定調和的な駆け引きに終始することが多い構築フォーマットよりも、派手な展開になると言えるかもしれません。
プレイヤーの皆さんも是非・・・と言いたいところですが、さすがに多くのパックが必要となるので、恒常的にプレイできるフォーマットとは言えません。しかし、例えば新エキスパンションが発売されたときにボックスを買って、開けるついでに友達と二人で、みたいな遊び方は面白いと思います。セットのカードの把握にもなりますし、リミテッドデッキ構築の練習としてもオススメです。
今週末、大阪で繰り広げられる日本チャンピオン達による熱い戦いに期待しましょう!
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